長引くこじれた風邪におすすめの漢方薬【小柴胡湯⑨(しょうさいことう)】

小柴胡湯 漢方薬

慢性化してこじれた風邪などの炎症性疾患におすすめの漢方薬が『小柴胡湯(しょうさいことう)』です。

慢性肝炎・慢性気管支炎・慢性胃腸炎などにも使用されます。

ハルくん
ハルくん

風邪をひいて、なかなか良くならずに長引くことがあるけど、そんな時は何か良い方法はあるのかな?

のんびり太郎
のんびり太郎

風邪の漢方薬で有名な「葛根湯」は、ひき初めの時に飲むことで効果が出る漢方薬なので、症状が出て何日も経ってから飲んでも思ったほどの効果が期待できないこともあります。

そんなこじらせた風邪ににおすすめの漢方薬が『小柴胡湯』です。

風邪とはどんな状態なの?

出典:くすりと健康の情報局

主にウイルスが原因で起こる鼻・のどの急性の感染症を「風邪」と呼びます。

風邪の原因は、ほとんどがウイルスです。

風邪の原因である「ウイルス」に対して抗生物質は効きません。

抗生物質が効果があるのは「細菌」であり、「ウイルス」と「細菌」は全く別のものなのです

「抗生物質を飲めば風邪が早く治る!」という確かなデータは世界中どこにもなく、抗生物質の乱用による「薬剤耐性菌」の出現が世界的な問題になっています。

薬剤耐性菌とはどのようなものなの?

「薬剤耐性菌」とは、抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR=Antimicrobial Resistance)を持つ細菌のことです。

薬剤耐性菌が出現しやすい条件には、主に3つのケースがあります。

  • 必要のない症例での抗菌薬の投与
  • 必要以上の広域抗菌薬の投与
  • 必要以上の抗菌薬の長期投与

次々と現れる薬剤耐性菌に対し、抗菌薬の開発が追いつかなくなってきています。

のんびり太郎
のんびり太郎

これはかなり危険な状態です。

耐性菌に対して武器が何もない状態とも言えます。

【小柴胡湯】の生薬構成(ツムラ)

柴胡(サイコ)、 半夏(ハンゲ)、 黄芩(オウゴン)、 大棗(タイソウ)、 人参(ニンジン)、 甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)

【小柴胡湯】の効能効果(ツムラ)

諸種の急性熱性病、肺炎、気管支炎、気管支喘息、感冒、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全

【小柴胡湯】の特徴・説明

  • 『小柴胡湯』は「柴胡」を含む ”柴胡剤” の代表的な漢方薬です。柴胡剤は、慢性疾患に使用されることが多い方剤です。
    腹診において、柴胡剤の使用の目安が ”胸脇苦満” になります。
のんびり太郎
のんびり太郎

”胸脇苦満(きょうきょうくまん)”とは、季肋部から脇腹が膨満し、圧迫感があって苦しい状態をいいます。

按圧すると抵抗と圧痛を訴えることが多いようです。

胸脇苦満は、呼吸器から上部消化器の炎症の体性反射によるものと考えられています。

  • 『小柴胡湯』を使用する目安は亜急性期における発熱性疾患においては、”往来寒熱” といい悪寒と発熱が交互に現れる場合が使用の目安になります。
  • 『小柴胡湯』の別名を『三禁湯(さんきんとう)』といい「発汗」「嘔吐」「瀉下」のいずれの治療法も行えない病態が適応とされています。
  • 『小柴胡湯』の味は表現法が難しいですが、わずかに甘いです。
のんびり太郎
のんびり太郎

風邪などの感染症が流行している様な時に予防的に服用しても効果が期待できます。

風邪予防におすすめの漢方薬は『補中益気湯』、『小柴胡湯』です!

新見正則Dr
新見正則Dr

”子供の便秘” には『小柴胡湯』が効果がある場合があります。

含有生薬の「柴胡」がポイントと考えられています。

(引用:漢方.JP)

東洋医学的な「腹診」とはどのようなものなの?

出典:日本東洋医学会

腹診とは、「四診」の中では「切診」に含まれる診察方法です。

漢方の古典『傷寒論』にも一部その記載があるようですが、日本では、江戸時代の漢方医によって診断方法が構築されました。

西洋医学的な腹部の診察では膝を曲げて横になるのですが、これは腹部の筋肉の緊張を少なくして、腹部の内臓を触知しやすくするためです。

一方、漢方では腹部の筋肉の緊張状態も大事な所見となりますので、膝は伸ばしたまま診察します。

のんびり太郎
のんびり太郎

東洋医学的な典型的腹診は次の通りです。(引用: 日本東洋医学会 )

  • 【心下痞硬】鳩尾がつかえるという自覚症状、同部位の抵抗・圧痛
  • 【胃内停水】鳩尾の腹壁を軽く叩くとピチャピチャと音がする所見
  • 【胸脇苦満】両側もしくは片側の季肋部辺縁を中心に出現
  • 【腹皮拘急】腹直筋が過度に緊張した状態
  • 【小腹不仁】下腹部が軟弱無力、圧迫すると腹壁が容易に陥没する。
  • 【正中芯】腹部正中線上の皮下に索状物を触れる
引用:日本東洋医学会

【小柴胡湯】のクリニカルパール

クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

相見三郎Dr
相見三郎Dr

てんかんには『小柴胡湯』+『桂枝加芍薬湯』を使用することで改善が期待できます。

「芍薬」に含まれる成分のひとつである ”ペオニフロリン” がてんかんを抑えると考えられています。

(引用:漢方.jp)

増山浩一先生
増山浩一先生

『小柴胡湯』の虚証版が『補中益気湯』ですね!

(引用:漢方.jp)

増山浩一先生
増山浩一先生

『小柴胡湯』の合法シリーズをまとめてみました!

  • 柴朴湯:喘息バージョンの小柴胡湯
  • 柴陥湯:胸痛バージョンの小柴胡湯
  • 柴苓湯:浮腫みバージョンの小柴胡湯
  • 柴胡桂枝湯:困った時バージョンの小柴胡湯
  • 小柴胡湯加桔梗石膏:咽頭痛バージョンの小柴胡湯
  • 柴蘇飲(小柴胡湯+香蘇散):耳鼻科バージョンの小柴胡湯
  • 柴胡解毒湯(小柴胡湯+黄連解毒湯):不明熱バージョンの小柴胡湯
  • 柴胡四物湯(小柴胡湯+四物湯):皮膚炎バージョンの小柴胡湯
  • 小柴胡湯+麻杏甘石湯:咳喘息バージョンの小柴胡湯
  • 小柴胡湯+茵蔯蒿湯:慢性肝炎バージョンの小柴胡湯
  • 小柴胡湯(加桔梗石膏)+辛夷清肺湯:副鼻腔炎バージョンの小柴胡湯

(引用:漢方.jp)

幾嶋泰郎Dr
幾嶋泰郎Dr

耳閉感には『小柴胡湯』+『香蘇散』がお勧めです!

(引用:漢方.jp)

松田邦夫Dr
松田邦夫Dr

扁桃腺炎を繰り返すようなひとには、予防的に『小柴胡湯』を使用すると扁桃腺炎になりにくくなります。

自分の場合、疲れたりすると扁桃腺が腫れたりすることがあったのですが、胃腸が少し弱かったので『半夏瀉心湯』を服用していると風邪をひきにくくなった経験があります。

自分に合った漢方薬を使用することで風邪をひきにくくなったりすることがよく見られますね。

(引用:漢方.jp)

松田邦夫Dr
松田邦夫Dr

”幼児の便秘” には『小柴胡湯』が良いことがあります。

「大黄」は含まれていないのですが、かなり効果が期待できますね!

(引用:漢方.jp)

増山浩一Dr
増山浩一Dr

風邪などに罹患して数日後に発熱、吐き気などが残っている場合に『小柴胡湯』を使用していても改善が見られない場合には、次のような方剤に変更すると良いことがあります。

  • 心窩部膨満して痛みがある場合⇒『大陥胸湯』
  • 心窩部膨満して痛みがない場合⇒『半夏瀉心湯』
長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

中医学では ”半表半裏(はんぴょうはんり)証 ” に用いる漢方薬が『小柴胡湯』です。

『小柴胡湯』は『三禁湯』とも呼ばれ3つの禁止事項があるのでそのように呼ばれています!

3つの禁止事項は次の通りです。

  • 発汗させてはいけない
  • 下させてはいけない(下剤を使ってはいけない)
  • 吐かせてはいけない

つまり、半表半裏証であるのに間違って上記の禁止事項を守らなかった場合に使用するのが『小柴胡湯』なのです。

半表半裏の代表的な症状は次の通りです。

  • 往来寒熱:悪寒と熱感が交互にやってくる状態のこと
  • 胸脇苦満:両側の肋骨弓の下を押すと、圧痛と抵抗を認めるもの
  • 食欲不振・悪心
  • 口が苦い

(引用:がんじゅうふぁみりー)

長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

『小柴胡湯』の構成生薬で一番含有量が多いものが「柴胡(7g)」です。

この「柴胡」を深掘りしてみます!

「柴胡」は中医学では ”辛温解表薬(しんおんげひょうやく)” と言われ薬理作用は次の通りです。

  • 解表:発汗によって表証を改善すること
  • 解熱:一日の中で体温差が1度以上変化するような往来寒熱に用いる
  • 疏肝解欝:ストレスが原因で起きた自律神経の乱れを改善する作用
  • 升挙陽気:冷えによる下垂を改善する作用

「柴胡」は次の生薬との組み合わせでそれぞれの効果がアップします。

(引用:がんじゅうふぁみりー)

長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

『小柴胡湯』の薬効は次のように考えると理解しやすいです。

柴胡黄芩」で解熱効果、「半夏生姜」で鎮吐作用、「人参大棗甘草」で補気健脾という感じです。

(引用:がんじゅうふぁみりー)

【小柴胡湯】の注意点

むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。

【小柴胡湯】の入手方法

  • 病院で処方してもらう
  • ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。

漢方薬のメーカーは「ツムラ」「クラシエ」が2大メーカーです。そのほか、「三和」「コタロー」などあります。どこのメーカーが優れているかは自分は正直わかりません

同じ方剤名でもその中に含まれる生薬は植物などが原料になっているので、生産地・生産時期・天候などで変わります。ただ、しっかりと厳しい基準をクリアしたものですので心配はありません。

ちなみに、「ツムラ」さんの粉末は、粒子が大きいですがお湯に溶かすときれいに完全に溶けてしまいます。

「クラシエ」さんの粉末は、粒子が細かいですが、お湯に完全には溶けず、粒子が沈殿した感じになります。

実際に飲み比べて、お好みのメーカーを選んでいただければ良いと思います。

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