葛根湯(かっこんとう)は、風邪のひきはじめや肩こりでよく知られている漢方薬です。
ただし、漢方では症状名だけでなく、そのときの体質と状態である「証」を見て選びます。
特に目安になるのが、「ゾクゾクする寒気」「まだ自然な汗が出ていない」「首すじから肩・背中がこわばる」という組み合わせです。
中医学的には、葛根湯は表寒実証(ひょうかんじっしょう=体の表面に寒さが入り、まだ体力が残っているタイプ)に用いる代表的な方剤です。
反対に、すでに汗をたくさんかいている人、著しく体力が落ちている人、胃腸がかなり弱っている人では合わないことがあります。
この記事では薬剤師の視点から、葛根湯が合いやすい人・合いにくい人、効能、生薬、麻黄湯や桂枝湯との違い、肩こりへの考え方、臨床家のクリニカルパール、副作用・注意点まで整理します。
漢方は、同じ「風邪」「肩こり」でも体質や症状の段階によって選ぶ処方が変わります。
ほどよい堂では、薬剤師が中医学の「証」を整理しながら、漢方・薬膳・腸活の視点でご相談をお受けしています。
葛根湯が合いやすい人は?まず4つをチェック
葛根湯を選ぶときは、「風邪かどうか」だけを見るよりも、今の体の状態を確認することが重要です。
特に次の4点が分かりやすい目安になります。
「寒気+無汗+首肩のこわばり+比較的体力あり」です。
4項目がそろうほど、葛根湯の典型的な使用目標に近づきます。
ただし、これは簡易的な目安であり診断ではありません。
「風邪だから葛根湯」ではなく、今の状態と葛根湯の方向性が合っているかを見ることが大切です。
汗があるか分からない。
寒気はあるけれど体力が落ちている。
肩こりはあるけれど風邪ではない。
このような「微妙な違い」が漢方選びでは重要です。
中医学で見る葛根湯|「表・寒・実」のタイプ
中医学では、症状を八綱弁証(はっこうべんしょう)という「陰陽・表裏・寒熱・虚実」の物差しで整理します。
葛根湯が典型的に合いやすい状態は、表・寒・実です。
| 八綱 | 意味 | 葛根湯で見るポイント |
|---|---|---|
| 表 | 病邪が体表にある初期段階。 | 風邪のひきはじめなど。 |
| 寒 | 寒さが主体のタイプ。 | ゾクゾクする悪寒、温まりたい感覚。 |
| 実 | 邪気に対抗する体力が比較的残っている状態。 | 著しく虚弱ではなく、まだ自然発汗がない。 |
証を組み立てると「風寒束表+項背強」
中医学的には、冷えの性質をもつ風寒の邪が体表を塞ぎ、気血の巡りが滞った状態と考えます。
そこに「項背強(こうはいきょう=うなじから背中にかけてのこわばり)」が重なっている状態が葛根湯の得意分野です。
治則(ちそく=整える方向性)は、解表散寒(げひょうさんかん=体表の寒邪を発散する)と、解肌舒筋(げきじょきん=筋肉のこわばりをゆるめる)というイメージになります。
「脾=土」が弱い人では強すぎることも
ほどよい堂では、消化吸収を担う「脾」を土台として考える土王説の視点も重視しています。
葛根湯には麻黄が含まれるため、胃腸が著しく弱っている人では食欲不振、胃部不快感、悪心などが出ることがあります。
つまり「外から入った寒さを追い出す力」だけでなく、それを支える脾胃の余力が残っているかを見ることも大切です。
葛根湯の効能と7つの構成生薬
医療用のツムラ葛根湯では、自然な発汗がなく、頭痛・発熱・悪寒・肩こりなどを伴う比較的体力のある人の感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、肩こり、上半身の神経痛、じんましんなどに用いられます。
さらに、製品の効能・効果には中耳炎、扁桃炎、乳腺炎などの炎症性疾患も含まれています。
市販の一般用医薬品と医療用医薬品では、効能・効果の表現や生薬量、1日の服用量などが異なる場合があります。
実際に使用するときは、お手元の製品の説明書を優先してください。
葛根湯を構成する7つの生薬
| 生薬 | 医療用ツムラ1日量中の原生薬量 | 漢方的な役割のイメージ |
|---|---|---|
| 葛根 | 4.0g | 首すじ・肩・背中のこわばりを整える中心生薬。 |
| 大棗 | 3.0g | 脾胃を支え、処方全体を調和する。 |
| 麻黄 | 3.0g | 体表の寒邪を発散する。 |
| 甘草 | 2.0g | 諸薬を調和し、筋の緊張を整える。 |
| 桂皮 | 2.0g | 体表を温め、巡りを助ける。 |
| 芍薬 | 2.0g | 筋肉の緊張やつっぱりを整える。 |
| 生姜 | 2.0g | 胃腸を温めながら寒邪を散らす。 |
葛根湯は、桂枝・芍薬・大棗・生姜・甘草からなる桂枝湯系統の処方に、麻黄と葛根が加わった構成です。
このため「温めて発散する方向」と「首肩のこわばりをゆるめる方向」の両方を持つのが特徴です。
麻黄湯・桂枝湯・麻黄附子細辛湯・香蘇散との違い
風邪に使われる漢方薬は葛根湯だけではありません。
寒気、汗、体力、胃腸の状態などを組み合わせて使い分けます。
| 方剤 | 体力の目安 | 汗 | 特徴的な目安 |
|---|---|---|---|
| 麻黄湯 | 比較的しっかり | 出ていない | 強い悪寒、発熱、関節痛・筋肉痛などが目立つ。 |
| 葛根湯 | 中等度以上 | 出ていない | 悪寒に加えて首・肩・背中のこわばりが特徴。 |
| 桂枝湯 | やや虚弱 | 自然に出やすい | 悪寒があり、体力が落ち気味で汗をかきやすい。 |
| 麻黄附子細辛湯 | 虚弱・冷えが強い | 個人差あり | 強い冷え、倦怠感、高齢者や虚弱者などで検討される。 |
| 香蘇散 | 虚弱 | - | 胃腸が弱く、気分の落ち込みや気滞を伴う軽い感冒など。 |
葛根湯と桂枝湯を分ける代表的なポイントの一つが自然発汗の有無です。
「汗が出ていないから葛根湯」と単純化するのではなく、寒気、体力、胃腸、動悸の出やすさなども合わせて確認します。
そもそも風邪とは?抗菌薬が必要とは限りません
一般的な風邪の多くは、鼻やのどなど上気道に起こるウイルス感染です。
抗菌薬、いわゆる抗生物質は細菌に作用する薬であり、ウイルスそのものには効果がありません。
そのため、一般的なウイルス性の風邪に抗菌薬を漫然と使用することは、薬剤耐性菌の増加や副作用という問題につながります。
厚生労働省も抗微生物薬の適正使用を推進しています。
肺炎、細菌性扁桃炎、副鼻腔炎など、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬が必要になることがあります。
高熱が続く、息苦しい、胸が痛い、水分がとれない、意識状態がおかしい、急激に悪化しているなどの場合は、漢方だけで様子を見ず医療機関を受診してください。
葛根湯はなぜ肩こりにも使われるの?
葛根湯は「風邪薬」という印象が強いですが、医療用製剤の効能・効果には肩こりや上半身の神経痛も含まれています。
ポイントになるのが「葛根」という生薬と、首から背中にかけてのこわばりです。
中医学では「不通則痛」と「不栄則痛」で考える
中医学には、痛みを考える有名な言葉として「不通則痛(ふつうそくつう)」と「不栄則痛(ふえいそくつう)」があります。
不通則痛は「通じなければ痛む」という考えです。
気・血・津液などの巡りが滞ることで、張り、こわばり、重だるさ、刺すような痛みなどが現れると考えます。
不栄則痛は「十分に養われなければ痛む」という考えです。
気血不足などによって筋肉や組織を十分に養えない場合、慢性的な痛みやだるさにつながると考えます。
長嶺荒人先生の見解では
長嶺荒人先生の見解では、腰痛・関節痛・神経痛などは中医学で「痺証(ひしょう=気血の流れが塞がって痛む状態)」として整理できます。
風によって場所が移動する「風痺」、寒さで強く痛む「寒痺」、湿気で重だるく長引く「湿痺」などに分けて考えます。
葛根湯は特に上半身のこわばりを伴う風寒タイプで候補になりやすい一方、瘀血、痰湿、気虚、血虚などが主体なら別の治法が必要になります。
肩こりが何カ月・何年も続く場合は、葛根湯だけで考えないことが重要です。
長時間のデスクワーク、運動不足、睡眠、ストレス、瘀血、気血不足など背景を整理した方がよい場合があります。
葛根湯のクリニカルパール|医師・臨床家はどう使い分ける?
クリニカルパールとは、臨床経験を積んだ医師や専門家が現場で得た「使い方のコツ・経験則」のことです。
ここでは既存記事で紹介してきた臨床家の見解を、一般の方にも分かりやすい形に整理します。
以下には、添付文書に記載された一般的な使い方を超える専門的な応用例も含まれます。
医師の診断や経過観察を前提とした臨床経験であり、市販薬を自己判断で併用するための情報ではありません。
新見正則先生の見解では|「汗が出ていない急性期」が重要
新見正則先生は、葛根湯は「風邪なら誰にでも」という処方ではなく、急性期で発熱し、まだ自然な汗が出ていない状態を重視する考えを紹介しています。
つまり、病名より「今どの段階なのか」を見ることが重要です。
また既存記事では、耳管の開閉がうまくいかないケースなど、耳鼻咽喉科領域で葛根湯が検討されることがあるという臨床的な見解も紹介しています。
耳症状は中耳炎、耳管機能障害、突発性難聴など鑑別が必要なため、自己判断より耳鼻咽喉科での評価を優先します。
千福貞博先生の見解では|「上焦」の痛みに注目
千福貞博先生の見解では、葛根湯は「上焦(じょうしょう=頭部から胸部付近まで)」に現れる痛みやこわばりを考える際に応用しやすい処方とされています。
首、肩、後頭部、上背部など、葛根湯が上半身の症状によく登場する理由を理解するヒントになります。
松田邦夫先生の見解では|生姜や症状の進行度を見る
松田邦夫先生の臨床的な工夫として、葛根湯に生姜を組み合わせる考え方が紹介されています。
葛根湯そのものにも生姜は含まれており、「温めて散らす」という処方の方向性を理解する一つのヒントになります。
また、むち打ちのような首周辺の痛みでは葛根湯系処方と他の漢方を組み合わせる臨床的な考え方や、急性扁桃炎が長引く場合には柴胡剤を検討する見解も紹介されています。
複数の漢方薬を併用すると麻黄・甘草などの生薬量が重複するため、自己判断での組み合わせは避けてください。
竹越哲夫先生の見解では|耳鼻咽喉科領域にも応用
竹越哲夫先生の見解では、急性中耳炎など耳鼻咽喉科領域でも、症状や体質に応じて葛根湯や柴胡剤などを検討することがあります。
ただし急性中耳炎の治療方針は年齢、重症度、鼓膜所見などによって異なり、抗菌薬が必要なケースもあるため、耳鼻咽喉科での診断が重要です。
冨澤英明先生の見解では|筋肉痛の「動き方」を見る
冨澤英明先生は、疼痛を考える際に、麻黄や葛根など構成生薬の特徴を見ながら処方を組み立てる考え方を紹介されています。
2025年の整形外科領域の講演でも、肩こりやストレスが絡む痛みに葛根湯を組み合わせる考え方が紹介されています。
パソコン作業などで猫背が続き、首から肩・背中にかけて緊張するようなケースでは、単なる「肩こり」という病名だけでなく、姿勢、筋緊張、ストレスなどを含めて考えることが大切です。
中永士師明先生の見解では|破傷風への漢方併用報告
中永士師明先生は、破傷風の専門的治療に葛根湯と芍薬甘草湯を併用した症例経験を学会で報告されています。
これは専門医療の中で行われた臨床経験であり、葛根湯だけで破傷風を治療するという意味ではありません。
破傷風は生命に関わる感染症です。
汚染された深い傷、動物咬傷などで破傷風が疑われる場合は、ワクチン接種歴を確認し、速やかに医療機関へ相談してください。
風邪をこじらせたら葛根湯を続ければいい?
葛根湯は、基本的には病邪がまだ「表」にある初期段階を得意とする処方です。
症状が進んで病期が変化すれば、同じ葛根湯を続けるより処方を見直した方がよいことがあります。
悪寒と発熱を繰り返す「往来寒熱」
悪寒と発熱が交互に現れる状態は、中医学・漢方医学では「往来寒熱(おうらいかんねつ)」と表現されます。
これは病邪が表からさらに内側へ移行した少陽病期を考えるサインの一つです。
この段階では、小柴胡湯などの柴胡剤や、古典的には柴葛解肌湯(さいかつげきとう)などが検討されることがあります。
「最初は葛根湯だったから、そのままずっと葛根湯」という考え方ではなく、症状の変化に合わせて処方も見直します。
吐き気・嘔吐がある場合
吐き気や嘔吐を伴う場合には、小半夏加茯苓湯などを検討する臨床的な考え方や、「葛根加半夏湯」という別処方の考え方があります。
ただし、市販の葛根湯と別の漢方薬を自分で足し算すると構成生薬が重複する可能性があるため、医師・薬剤師へ相談してください。
風邪の回復期は「脾=土」を立て直す
急性期を乗り越えた後に大切なのが、消耗した体を回復させることです。
ほどよい堂では「栄養・循環・吸収=腸活」の3本柱で考えます。
特に胃腸は中医学で「脾=土」と考え、食べ物から気血をつくる土台です。
食欲が落ちている時期に無理に大量の食事を詰め込むより、温かい味噌汁や野菜スープ、おかゆなど、消化しやすいものから戻していきます。
食欲が戻ってきたら、豆類、きのこ、海藻、発酵食品なども少しずつ取り入れます。
よく噛める状態なら、一口30回程度を目安に噛むことも「消化のスイッチ」を入れ、脾を助ける養生になります。
①栄養=細胞をつくる材料を入れる。
②循環=栄養と酸素を全身へ届ける。
③吸収=腸活=食べたものを受け取れる胃腸を育てる。
葛根湯の副作用・注意点|2026年8月最新版
「漢方薬だから副作用がない」というわけではありません。
葛根湯には麻黄と甘草が含まれるため、体質、持病、併用薬によっては注意が必要です。
2026年8月「多形紅斑」が重大な副作用に追加
PMDAの医療用葛根湯の添付文書では、2026年8月の改訂で「多形紅斑」が重大な副作用として追加されました。
服用後に発疹が急速に広がる、水疱や粘膜の異常など気になる皮膚症状が出た場合は服用を中止し、速やかに医療機関へ相談してください。
甘草による偽アルドステロン症
葛根湯には甘草が含まれます。
まれに低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などを伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。
手足のだるさ、脱力感、筋肉痛、こむら返りなどが続く場合も、低カリウム血症やミオパチーの可能性を考えて医師・薬剤師へ相談してください。
麻黄による動悸・不眠・発汗過多など
麻黄には交感神経系に作用する成分が含まれるため、不眠、動悸、頻脈、発汗過多、興奮感などが出ることがあります。
他の麻黄含有漢方、小青竜湯、麻黄湯などとの重複や、エフェドリン・プソイドエフェドリンを含む医薬品、甲状腺製剤、テオフィリンなどとの併用には注意が必要です。
特に相談してから使いたい人
- 著しく体力が低下している人。
- 胃腸がかなり弱い人。
- すでに発汗が多い人。
- 狭心症、心筋梗塞など循環器疾患がある人。
- 重症高血圧症の人。
- 排尿障害のある人。
- 甲状腺機能亢進症の人。
- 高度の腎機能障害がある人。
- 妊娠中・妊娠の可能性がある人。
- 複数の漢方薬や甘草・麻黄含有製剤を併用している人。
葛根湯に別の漢方薬を追加すると、麻黄や甘草などが重複する場合があります。
「漢方同士だから安全」と考えず、併用時は医師・薬剤師に確認してください。
葛根湯はどこで買える?市販薬を選ぶポイント
葛根湯は医療機関で処方されるほか、ドラッグストアやインターネットでも一般用医薬品として購入できます。
顆粒、錠剤、液剤などさまざまなタイプがあります。
メーカーによって1日量、エキス量、服用回数などが異なることがあるため、「葛根湯」という名前だけで比較せず、商品ごとの説明書を確認してください。
①自分の症状が「寒気・無汗・首肩のこわばり」に近いか。
②麻黄や甘草と重複する薬・漢方を飲んでいないか。
③高血圧、心疾患、甲状腺疾患など相談が必要な持病がないか。
市販の葛根湯には複数の剤形・メーカーがあります。
購入する際は、商品説明と添付文書を確認し、用法・用量を守って使用してください。
「葛根湯なのか分からない」なら、ほどよい堂へ
漢方で大切なのは、「この症状にはこの薬」と一対一で当てはめないことです。
同じ風邪でも、葛根湯が合う人もいれば、桂枝湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、香蘇散など別の方剤が合う人もいます。
肩こりでも、寒さが主体なのか、気滞(きたい=ストレスなどで気が滞るタイプ)なのか、瘀血(おけつ=血の巡りが滞るタイプ)なのか、気血不足なのかで方向性が変わります。
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」では、薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士の視点から、漢方×薬膳×腸活を組み合わせて体質を整理します。
「とりあえず葛根湯を買う」前に、自分の証を確認しておくことで、より納得して漢方を選びやすくなります。
「葛根湯が合っているか知りたい」。
「風邪をひくと毎回長引く」。
「肩こりも一緒に相談したい」。
「市販の漢方を飲んでいるけれど併用が心配」。
そのようなご相談も可能です。
葛根湯についてよくある質問
葛根湯は風邪をひいたらすぐ飲めばいいですか?
「早ければ何でもよい」というより、寒気があり、まだ自然な汗が出ておらず、首・肩のこわばりがある初期状態が代表的な目安です。
すでに大量に汗をかいている場合や著しく消耗している場合には、別の処方が合うことがあります。
葛根湯は肩こりだけでも使えますか?
肩こりは医療用葛根湯の効能・効果に含まれています。
特に首すじから肩、上背部にかけてのこわばりが目立つケースで検討されますが、慢性肩こりは姿勢、ストレス、瘀血、気血不足など原因が多いため、長引く場合は体質全体を見直します。
葛根湯と麻黄湯は何が違いますか?
どちらも麻黄を含み、寒気があり汗が出ていない初期の風邪に使われます。
一般には麻黄湯は悪寒や発熱、関節痛・筋肉痛が強い比較的実証寄りのタイプ、葛根湯は首・肩・背中のこわばりが目立つタイプで使い分けます。
葛根湯と桂枝湯は何が違いますか?
代表的な違いの一つが自然発汗です。
葛根湯は比較的体力があり汗が出ていないタイプ、桂枝湯はやや虚弱で自然に汗が出ているタイプに用いられることがあります。
葛根湯を他の漢方と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
自己判断での併用はおすすめしません。
葛根湯には麻黄と甘草が含まれているため、他の漢方薬と併用すると同じ生薬が重複し、動悸、発汗過多、低カリウム血症などのリスクが高まる場合があります。
併用するときは医師・薬剤師へ確認してください。
授乳中に葛根湯を使えますか?
医療用葛根湯では乳腺炎も効能・効果に含まれていますが、授乳婦については治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して判断するとされています。
授乳中は自己判断せず、医師または薬剤師へ相談してください。
参考情報・出典
医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)添付文書・2026年8月改訂」。
PMDA医療用医薬品情報
厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策・抗微生物薬適正使用の手引き」。
厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策
本記事中のクリニカルパールは、既存記事で紹介してきた漢方.jp、学術集会、臨床家による解説等の情報を、一般の方向けに再構成したものです。
臨床経験に基づく見解には、添付文書に記載された一般的な使用法を超える内容が含まれるため、自己治療の手順として使用しないでください。
※本記事は一般的な健康・医薬品情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
持病がある方、妊娠・授乳中の方、他の薬を服用している方、症状が強い方は、医師・薬剤師などの専門家へご相談ください。
寒気があるのか。
汗が出ているのか。
胃腸は弱っていないか。
体力は残っているのか。
首や肩はこわばっているのか。
こうした小さな違いを整理することが、漢方選びの第一歩です。



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