肝機能障害や蕁麻疹、口内炎に悩む方に朗報です。
古くから漢方医学で用いられてきた『茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)』が、その症状に効果的であることが注目されています。
茵蔯蒿湯は、肝機能の改善をサポートし、体内の余分な熱や湿気を取り除く働きを持つ漢方薬です。
そのため、肝臓の解毒作用を助けるだけでなく、蕁麻疹や口内炎といった皮膚や粘膜のトラブルにも有効です。
天然由来の成分で構成されているため、副作用が少なく、長期間の使用にも適しています。
本記事では、茵蔯蒿湯の成分や効能、具体的な使用方法について詳しく解説します。健
康を取り戻し、日々の生活を快適に過ごすために、茵蔯蒿湯を取り入れてみましょう。
肝機能障害・黄疸などの肝胆疾患や、蕁麻疹などの皮膚疾患、口内炎におすすめの漢方薬が『茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)』です。
近年では、黄疸や高ビリルビン血症に応用されています。
最近、口内炎が痛くて食事するときなどつらいんだけど、何か良い漢方薬はあるの?
そのような時には ”清熱作用” がある『茵蔯蒿湯』がおすすめです!
清熱とは、熱証(炎症・充血・熱感・のぼせ・ほてり・イライラ・口渇・尿が濃いなど)を改善することです。
黄疸とはどのような状態なの?
「黄疸」とは、血液中に含まれるビリルビンという成分が身体の組織に沈着し、肌や白目が黄色く染まって見える状態のことです。
「ビリルビン」は、肝臓で処理されて胆汁の中に排泄されます。
そのため、肝臓が機能しなかったり、胆汁の流れが悪かったりすると黄疸が出現します。
また、血液中の赤血球が大量に破壊された時も、ヘモグロビンという赤い色素がビリルビンに変わるため、処理が追いつかなくなって黄疸が出現します。
血液検査の「総ビリルビン(T-Bil)」は肝臓や胆道に異常がないかを調べるための指標のひとつです。
肝臓で処理される前のビリルビンを “間接ビリルビン”、処理されて胆汁に入ったビリルビンを “直接ビリルビン” といいます。そして、この2つを合わせたものを “総ビリルビン” といいます。
総ビリルビンが高くなる要因はいくつかあります。
代表的な病気は次のようなものがあります。
- 肝炎や肝硬変などの肝臓の病気:
ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、薬剤性やアルコール性の肝障害、肝硬変
- 胆管の閉塞:
胆汁の通り道である胆管が閉塞してしまうと、胆汁の流れが滞って血液中にビリルビン(直接ビリルビン)が漏れ出てきます。
- 溶血性貧血:
赤血球が過剰に破壊されてしまうために、処理しきれなくなり肝臓で処理される前の間接ビリルビンの上昇が見られます。
黄疸(おうだん)は、皮膚や眼球の白い部分(強膜)が黄色くなる状態を指します。
これは、血中のビリルビンという黄色い色素の濃度が高くなることが原因です。
ビリルビンは、赤血球の破壊に伴って生じるヘモグロビンの分解産物であり、通常は肝臓で処理されて胆汁として排泄されます。
しかし、何らかの理由でこのプロセスが妨げられると、ビリルビンが体内に蓄積し、黄疸が発生します。
黄疸の主な原因
黄疸の原因は大きく分けて3つのカテゴリーに分類されます。
- 溶血性黄疸(前肝性黄疸):
赤血球が過剰に破壊されることによってビリルビンが過剰に産生される状態です。原因には、溶血性貧血、血液型不適合妊娠(新生児溶血)などがあります。 - 肝細胞性黄疸(肝性黄疸):
肝臓自体の障害により、ビリルビンの処理がうまく行えない状態です。肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害などが原因として挙げられます。 - 閉塞性黄疸(後肝性黄疸):
ビリルビンが胆管を通って排出される過程で、胆管が閉塞されることによって起こります。胆石、腫瘍、胆管炎などが原因です。
黄疸の症状
黄疸の主な症状は以下の通りです。
- 皮膚や眼球の黄染
- 尿の色が濃くなる(ビリルビンが尿中に排泄されるため)
- 便の色が淡くなる(胆汁の流出障害による)
- かゆみ(ビリルビンの蓄積による)
その他の症状として、肝機能障害による疲労感、食欲不振、腹痛などが現れることがあります。
診断と検査
黄疸の診断には以下のような検査が用いられます。
- 血液検査:ビリルビン値、肝機能検査(AST、ALT、ALPなど)
- 尿検査:ビリルビンやウロビリノーゲンの測定
- 画像診断:超音波検査、CT、MRIなどで肝臓や胆管の状態を確認
- 肝生検:必要に応じて肝臓の組織を採取し、詳細な検査を行う
治療
黄疸の治療は原因によって異なります。
- 溶血性黄疸:原因となる疾患の治療や、重度の場合は交換輸血
- 肝細胞性黄疸:肝炎の治療、アルコール摂取の中止、薬物療法など
- 閉塞性黄疸:胆石や腫瘍の除去、胆管のステント挿入などの外科的処置
予防
黄疸の予防には、以下の対策が有効です。
- 健康的な生活習慣:バランスの取れた食事、適度な運動、適切な水分摂取
- 肝臓の保護:アルコールの過剰摂取を避け、肝臓に負担をかけない
- ワクチン接種:肝炎ウイルスの予防接種(A型、B型)
- 定期的な健康診断:早期発見と早期治療を心がける
黄疸のまとめ
黄疸は、体内のビリルビンの蓄積によって皮膚や眼球が黄色くなる状態であり、原因は多岐にわたります。
適切な診断と治療が必要であり、日常生活における予防策も重要です。
黄疸の兆候を見逃さず、早期に医療機関を受診することが健康維持につながります。
【茵蔯蒿湯】の生薬構成(ツムラ)
茵蔯蒿(インチンコウ)、山梔子(サンシシ)、大黄(ダイオウ)
【茵蔯蒿湯】の効能効果(ツムラ)
黄疸、肝硬変症、ネフローゼ、じんましん、口内炎
【茵蔯蒿湯】の特徴・説明
- 『茵蔯蒿湯』に含まれている生薬の「茵蔯蒿」は消炎性利尿剤、解熱剤で胆汁の分泌を促して黄疸の聖薬とされています。
- 『茵蔯蒿湯』を蕁麻疹に使用する場合は『十味敗毒湯』が無効で、痒みが強い場合に第二選択肢として使用します。
『茵蔯蒿湯』は便秘傾向がある場合によいとされています。
- 漢方では消化管や内臓器の炎症を「裏熱」といいます。
裏熱の状態になると口が渇き、尿の量が少なくなったり、便秘になったり、痒みが出たり、口内炎ができることもあります。
このような裏熱を伴った口内炎に『茵蔯蒿湯』は効果が期待できます。
- 「茵蔯蒿、山梔子、大黄」の3種類で構成され、これらの生薬はすべて熱を冷ます作用をもち、炎症性疾患に効果があります。また、大黄は便秘にも効果がある生薬です。
- 『茵蔯蒿湯』の味は表現が難しいですが、わずかに渋いです。
口内炎とはどのような状態なの?
口内炎は、口腔内の粘膜や歯肉にできる痛みを伴う潰瘍(ただし、痛みを伴わない場合もあります)のことを指します。
一般的に、直径数ミリから1センチほどの赤い斑点や円形の潰瘍が口内に現れます。
口内炎は非常に一般的であり、ほとんどの人が一生の中で少なくとも一度は経験します。
口内炎の原因
口内炎の原因はさまざまですが、以下が一般的な原因です。
- 外傷や咬傷:粘膜が損傷されることで口内炎が発生することがあります。
- ストレスや疲労:ストレスや疲労が免疫機能を低下させ、口内炎の発生を促すことがあります。
- 感染:細菌やウイルスによる感染が口内炎の原因となることがあります。
- アレルギー反応:口内炎を引き起こす食品や薬物へのアレルギー反応がある場合があります。
- 栄養不足:ビタミンB12、鉄、葉酸などの栄養素の欠乏が口内炎を引き起こすことがあります。
口内炎の症状
口内炎の一般的な症状には以下が含まれます。
- 痛み:食事や会話時に口内炎の箇所に触れると痛みを感じることがあります。
- 赤い斑点や円形の潰瘍:口腔粘膜上に赤く盛り上がった部分や白く潰れた痛みを伴う傷が見られます。
- 腫れや炎症:口内炎の周囲が赤く腫れたり、炎症を起こしたりすることがあります。
口内炎の治療と管理
口内炎の治療と管理には以下の方法があります。
- 軟膏や塗り薬の使用:医師や薬剤師に相談して、口内炎を治療するための軟膏や塗り薬を使用します。
- 痛みの軽減:アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの痛み止めを使用して、口内炎の痛みを和らげます。
- 栄養補給:ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛などの栄養素を摂取し、口内炎の回復を促します。
- 適切な口腔衛生:口内を清潔に保ち、適切な口腔衛生を行います。口を漱ぐために塩水を使用することも効果的です。
予防方法
口内炎を予防するためには以下の方法が有効です。
- バランスの取れた食事:栄養豊富な食事を摂取し、口内炎を引き起こす可能性のある食品を避けます。
- ストレス管理:ストレスを軽減し、免疫機能を強化します。
- 適切な口腔衛生:歯磨きやうがいをしっかり行い、口内の清潔を保ちます。
- アレルギー対策:口内炎を引き起こす可能性のあるアレルギー反応を避けます。
専門医の診断が重要
口内炎が頻繁に発生する場合や、症状が重篤な場合は、歯科医や耳鼻咽喉科医などの専門医に相談することが重要です。
口内炎は一般的な疾患であり、適切な治療や管理方法を理解することで、その症状を軽減することができます。
蕁麻疹とはどのような状態なの?
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚表面に発生する赤い発疹や腫れを伴う症状であり、かゆみを伴うことが一般的です。
蕁麻疹は、体の免疫反応が過剰に反応し、血管に炎症が生じることで発生します。
一般的には、短時間で発疹が出現し、数時間から数日で消えることが多いですが、慢性的な蕁麻疹もあります。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹の主な原因は以下の通りです。
- アレルギー反応:食物、薬物、昆虫刺咬、花粉などのアレルゲンによって引き起こされるアレルギー反応が最も一般的な原因です。
- 薬物副作用:特定の薬物の副作用として蕁麻疹が現れることがあります。
- ストレス:ストレスや精神的な負担が蕁麻疹の発生を引き起こすことがあります。
- 感染症:ウイルスや細菌感染によっても蕁麻疹が発生することがあります。
- 身体的刺激:摩擦、圧迫、冷たさ、熱さなどの身体的刺激に反応して蕁麻疹が現れることがあります。
蕁麻疹の症状
蕁麻疹の主な症状は以下の通りです。
- 赤い発疹:皮膚表面に赤い発疹が現れます。発疹はしばしば蕁麻疹の特徴である丸い形状をしています。
- 腫れ:皮膚が腫れ、触れるとふにゃっとした感触があります。
- かゆみ:非常に強いかゆみを伴うことがあります。かいてしまうことで発疹がさらに広がることがあります。
蕁麻疹の治療
蕁麻疹の治療には以下の方法があります。
- 抗ヒスタミン薬:かゆみや発疹を抑えるために処方されることがあります。
- ステロイド薬:重症の蕁麻疹の場合、ステロイド薬が処方されることがあります。
- 漢方薬:症状や体質に合わせて処方されます。
- 塗布薬:かゆみを和らげるためのクリームやローションが処方されることがあります。
- アレルゲンの除去:特定のアレルゲンを避けることが有効です。
蕁麻疹の予防
蕁麻疹を予防するためには以下の方法が効果的です。
- アレルギーの管理:特定のアレルゲンに対するアレルギーの管理を行います。
- ストレス管理:ストレスを減らし、心身の健康を保ちます。
- 健康的な生活習慣:バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけます。
注意点
重篤な蕁麻疹の場合、呼吸困難やめまいなどの症状が現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診し、適切な治療を受けて下さい。
著書『じんましんの「真」常識』では、アトピーとじんましんの違い、じんましんの原因、その究明と対策を本章で紹介してくれています。
そのかゆみから解放されましょう!
蕁麻疹には次のような漢方薬が使用されることが多いですよ!
【茵蔯蒿湯】のエビデンスとは
エビデンスとは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
- 肝繊維化抑制作用が認められた
- 胆汁分泌促進作用・黄疸改善作用が認められた
茵蔯蒿湯と腸内細菌の深い関係とは⁉
茵蔯蒿湯は、肝臓や胆のうの病気に伴う黄疸の改善などに用いられる漢方薬です。
茵蔯蒿湯は、利胆作用を有する漢方薬として知られており、胆道ドレナージ処置を必要とする閉塞性黄疸を伴う胆管がん患者において、茵蔯蒿湯服用後の胆汁排泄量が有意に増加する事が報告されています。
その主な成分は「茵陳蒿(いんちんこう)・山梔子(さんしし)・大黄(だいおう)」の3味で構成されています。
特に山梔子に含まれる配糖体ゲニポシドは、一部の腸内細菌が産生する酵素によってゲニピンに変換されます。
そして、このゲニピンには肝保護作用があることが分かっています。
茵蔯蒿湯が腸内細菌の働きを介して肝臓の健康をサポートするメカニズムについて、詳しく探ってみましょう。
参考文献
・漢方薬(インチンコウトウ)の薬効と腸内細菌の関係を腸内細菌の代謝能およびメタボロームを用いて解明:名古屋大学
【茵蔯蒿湯】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。
【茵蔯蒿湯】の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
「スラジンA」は、じんましんに効果のある、漢方処方『茵蔯蒿湯』と抗ヒスタミン剤を配合した内服薬です。
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代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
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