風邪がなかなか良くならなくて、お腹の調子も悪い時(痛みがつらいとき)におすすめの漢方薬が『柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)』です。
膵炎などの心下部緊張疼痛などにも使用されてきた経緯もあり守備範囲が広い漢方薬です。

『柴胡桂枝湯』は、ストレスが原因の症状の改善にもよく使用されている漢方薬です。
例えば、ストレス性の胃痛・便通異常、頭痛などに対して使用されています。
様々な症状がなかなかすっきりよくならない時などにもおすすめです!


『柴胡桂枝湯』に似た名前で『柴胡桂枝湯乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)』って漢方薬があるけど違いは何かな?

基本的な使い方は同じなのですが、『柴胡桂枝湯乾姜湯』の方が虚証(体力がなくて弱い感じ)の人に向いているとされています。
体を温めてくれる「乾姜」という生薬が含まれているので、冷え性の人には『柴胡桂枝湯乾姜湯』の方が合っていると思われます。

慢性膵炎とはどのような状態なの?
膵臓は、多くの消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌して食べ物を体内で消化するはたらきと、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌して体内の糖分をコントロール(血糖のコントロール)するはたらきを担っている臓器です。
「慢性膵炎」とは、長期間にわたって膵臓の炎症が持続することによって、この2つのはたらきが徐々に衰えていく病気です。
膵液は本来は食べ物を消化するはたらきを担っているのですが、異常時には膵臓自身を溶かしてしまいます。
そのため、繰り返し炎症が引き起こされ、膵臓の正常な細胞(腺房細胞、ランゲンハンス島)が徐々に破壊され、膵臓が硬くなったり(線維化)、膵臓の中に石(膵石)が出来る原因になってしまうのです。

膵炎の原因として最も多いのは、長期間にわたり大量のお酒を飲むことです。

(引用:日本消化器学会)

膵炎について分かりやすく解説してくれている動画があったよ!
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】の生薬構成(ツムラ)
柴胡(サイコ)、 半夏(ハンゲ)、 黄芩(オウゴン)、甘草(カンゾウ)、 桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、 大棗(タイソウ)、 人参(ニンジン)、生姜(ショウキョウ)
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】の効能効果(ツムラ)
感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】の特徴・説明
- 漢方の診察の中に「腹診」があるのですが、『柴胡桂枝湯』は「胸脇苦満(肋骨下部に痛み)」や「腹直筋攣急(腹直筋が硬く緊張している)」という状態を認めるときに使用されることが多い漢方薬です。
精神疾患、ストレス性疾患の際によくみられる状態です。

「胸脇苦満(肋骨下部に痛み)」を図解すると次のようになります。

理学療法士/陰ヨガインストラクターブログより

「腹直筋攣急(腹直筋が硬く緊張している)」を図解すると次のようになります。

理学療法士/陰ヨガインストラクターブログより
- 『柴胡桂枝湯』は腹痛を主訴とするような消化器疾患(胆石・慢性膵炎など)に使用されることが多い漢方薬です。
- 『柴胡桂枝湯』の味は表現法が難しいですが、わずかに甘くて渋いです。
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】のエビデンス
エビデンスとは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
- 慢性膵炎に対する柴胡桂枝湯の作用機序
- 膵外分泌刺激作用
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、とは経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

風邪をひいてもうすでに汗をかいて、なかなか治らないような場合に『柴胡桂枝湯』がおすすめです。
(引用:漢方.jp)

(類衆方広義)
血の道症(女性が原因もなく暑くなったり、寒くなったり、頭痛・めまい・生あくび・みぞおちがつかえたり・体中が痛むなど)の場合は、『柴胡桂枝湯』に『三黄瀉心湯』を併用するとよい。


原因不明の蕁麻疹に『柴胡桂枝湯』が効果がある場合があります。
(引用:漢方.jp)


しょっちゅう熱を出すようなこどもに『柴胡桂枝湯』を飲ませると、熱を出すことが少なくなります。
また、緊張が強くて頭痛を訴えるこどもにも使えます。
(引用:漢方.jp)
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】の注意点
むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。
【柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)】の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
漢方薬のメーカーは「ツムラ」「クラシエ」が2大メーカーです。そのほか、「三和」「コタロー」などあります。どこのメーカーが優れているかは自分は正直わかりません。
同じ方剤名でもその中に含まれる生薬は植物などが原料になっているので、生産地・生産時期・天候などで変わります。ただ、しっかりと厳しい基準をクリアしたものですので心配はありません。
ちなみに、「ツムラ」さんの粉末は、粒子が大きいですがお湯に溶かすときれいに完全に溶けてしまいます。
「クラシエ」さんの粉末は、粒子が細かいですが、お湯に完全には溶けず、粒子が沈殿した感じになります。
実際に飲み比べて、お好みのメーカーを選んでいただければ良いと思います。

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