気象病・めまいにおすすめの漢方薬が『五苓散(ごれいさん)』です。
水分の調節を得意とする漢方薬です。
漢方的には『利水(りすい)作用』と言います。
五苓散は、水分が足りないときは水分を逃がさないようにし、水分が余っているときは水分を排出するというとても便利な漢方薬です。
西洋薬で使用される多くの利尿薬は「カリウム」という電解質の調節に注意を要しますが 、五苓散は「カリウム」には影響しません。

カリウムが高くなりすぎると不整脈が出現して、
最悪心臓が止まることがあります。
血液中のカリウム濃度の正常範囲は3.5〜5.0mEq/Lです。
カリウム値は5mEq/Lを超えると高いとされ、
6mEq/Lを超えてくると危険です。

熱中症とはどのような状態なの?
熱中症とは、体温調節ができなくなり、体の中に熱がこもってしまう状態です。
体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状が起こります。

熱中症予防に、
こまめな水分補給を忘れずにね!

【五苓散】の生薬構成(ツムラ)
沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)
【五苓散】の効能効果(ツムラ)
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい(グルグル回転性・フワフワ浮動性どちらにも)、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹注)のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛(片頭痛にも効果あり)、むくみ、二日酔、乗り物酔い

注)「しぶり腹」とは残便感があり、
くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことです。

- 五苓散(ごれいさん):水分代謝の異常をともなうめまいに
- 沢瀉湯(たくしゃとう):グルグル回るめまいに(回転性めまい)
- 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):起立性調節障害による立ちくらみに
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):
メニエル病や良性発作性頭位めまい症に!めまいの第一選択薬です
- 真武湯(しんぶとう):フワフワするようなめまいに(浮遊性めまい)

【五苓散】の特徴・説明
- 『五苓散』は小児によく使われる漢方薬です。
小児には、漢方薬(エキス剤)を溶かしておしり(肛門)から注腸することもあります。
- ”気象病” といわれる状態に、おすすめの漢方薬が『五苓散』です。
- 『五苓散』の利尿作用はフロセミドと比較すると緩徐である。(引用:WAKAN-YAKU)
- 脱水状態でもフロセミドは利尿作用を示すのに対して、『五苓散』は逆に抗利尿作用を示します。※フロセミド投与により体重減少・生体内総水分量減少を認めるのに対して、『五苓散』を投与することで体重減少・生体内総水分量減少を抑制します。(引用:WAKAN-YAKU)



『五苓散』証の嘔吐は、
口渇を強く訴え、水を飲むとすぐにどっと戻してしまう様な特徴があります。
吐くとまた喉の渇きを訴え、飲むと吐くを繰り返します。
また、尿も少ないのも特徴の一つです。
(引用:傷寒論解説)
『気象病』とはどのような病気なの?
- 気候や天気の変化が原因でおこるカラダの不調の総称で、頭痛やめまい、疲労感、関節痛、気持ちの落ち込み(うつ)、吐き気、喘息などさまざまな症状が出るのが特徴です。
- 台風や梅雨時期の梅雨前線通過時には、急激な気圧変化が起こりますので、心身の不調が起こりやすいことが分かっています。

『気象病』は、『天気病』といわれることもありあます。


『五苓散』は小林製薬からは「テイラック」、
ロート製薬の和漢箋からは「キアガード」という商品名で発売されています!
天気痛ドクター/佐藤 純医師(愛知医科大学病院 痛みセンター:気象病外来・天気痛外来)を紹介!

日本初の「気象病外来」・「天気痛外来」を立ち上げた佐藤 純医師(天気痛ドクター)は、天気が悪くなると痛みが悪化したり、寒暖差などによって起きるからだの不調を「気象病・天気痛」と名付けました。
「気象病・天気痛」の症状には、頭痛だけでなく、めまい、耳鳴り、倦怠感、うつ等もあり、症状やその重さも人によって様々です。


近年では、
寒暖差による「寒暖差疲労」も注目されています。

人間のからだは、
環境の変化を敏感に感じ取っているんだね。

気候や天気の変化がある場合に体調が悪くなりやすく、
今まで様々な病院を受診しても ”異常なし” と言われ続けてきたあなたは、
一度、医師に相談してみてもいいかもしれませんね!

佐藤 純医師は、2021年現在において『愛知医科大学病院 痛みセンター』や『東京竹橋クリニック』で診療を行っていらっしゃるようです。
※最新の情報は、直接医療機関に問い合わせてくださいね!
天気痛対策には自分で出来る『くるくる耳マッサージ』がおすすめ!
天気が悪くなると痛みが悪化したり、寒暖差による不調を「天気痛・気象病」と呼んでいますが、このつらい天気痛を自分で手軽に改善することができるおすすめの方法が『くるくる耳マッサージ』です。



『くるくる耳マッサージ』は手軽に自分でできて1分で完了!
というところもおすすめのポイントだね!

天気痛は内耳が大きく関係していて、内耳の血流が悪くなることで、
気圧のセンサーや自律神経に影響していることが少なくないと、
佐藤 純先生が解説されていました。

『くるくる耳マッサージ』は、
どれくらいの頻度で行ったらいいの?

朝昼晩に1回ずつ、毎日続けることがポイントです。
特に台風や低気圧が発達して通過する時などに効果が期待できます。
天気痛ドクター/佐藤 純医師が執筆されたおすすめの著書を紹介!

もしかしたら、
あなたの頭痛は天気が原因なのかもしれませんよ!

【五苓散】のエビデンス
エビデンスとは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
尿量増加作用・抗浮腫作用はアクアポリン阻害作用が関与
『アクアポリン』とは、細胞膜に存在する膜たんぱく質で、水分のみを選択的に通過させることができるため「水チャンネル」と呼ばれています。
五苓散の水分代謝調節作用メカニズムは、このアクアポリンに対する作用と報告されています。

1992年に水だけを選択的に通すチャネルが存在することが発見され、
水の穴という意味を持つ「アクアポリン」と名づけられました。
アクアポリンには、内部に水分子1つが通れるほどの孔(あな)が開いています。


慢性硬膜下血腫とはどのような状態なの?
『慢性硬膜下血腫』とは、忘れてしまうような軽微な頭部外傷などの後、通常1~2ヶ月かけて頭蓋骨の下にあり脳を覆っている硬膜と脳との隙間にじわじわと血が貯まってくる病気です。
少しずつ頭痛が起こったり、物忘れをするようになります。

特に高齢の方などは、
ドアに頭をぶつけた程度の軽い打撲でも、
『慢性硬膜下血腫』が起きることも珍しくはないようです。

【五苓散】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。


心不全に『五苓散』を使用すると良いことが多いです。
(引用:漢方.jp)

脳浮腫・慢性硬膜下血腫に『五苓散』が効果が期待できます。
脳外科医のなかでも最近はスタンダードな治療法になってきています。

熱中症には『五苓散』を使用するとよいのですが、熱中症のような脱水状態に ”利水剤” である『五苓散』は逆効果のように思われるかもしれませんが、構成生薬の「蒼朮」が ”アクアポリン” に作用するため脱水状態では利尿作用は起きないことが確認されています。
また、熱中症患者さんの脳では脳浮腫が起きているために『五苓散』がよく、脱水には輸液を用いればよいのです。
また、『五苓散』は白湯に溶いて温かいまま服用した方が効きが良いと思います。
(引用:漢方.jp)

飛行機などに乗って耳が詰まってつらい・耳が痛くなるような場合には、
『五苓散』を搭乗前に飲むことで症状が出にくくなります。
こどもの乗り物酔い防止にも使えます。
(引用:漢方.jp)

三叉神経痛には『五苓散』がファーストチョイスです!
また、”二日酔いの頭痛” にも『五苓散』がおすすめです!
飲む前に『黄連解毒湯』、飲んだ後に『五苓散』という感じでしょうか。
『黄連解毒湯』は悪酔いの予防になります。
(引用:漢方.jp)

三叉神経痛の1つである ”歯の痛み” にも効果があるのですが、
通常量(エキス剤7.5g/d)ではあまり効果が出ません。
倍量(15g/d):2.5g/回を2時間くらいおきに服用すると効果が出てくることが多いですね!
(引用:漢方.jp)

気道浮腫に対して利水剤である『五苓散』が良いと考えています。
泡を吹くタイプの喘息にもお勧めですね!
(引用:漢方.jp)


小児の水いぼに『五苓散』が効果が期待できます。
大人の疣贅にはお灸と『紫雲膏』を使用することもあります。
※疣贅(ゆうぜい)は、ヒトパピローマウイルスの感染によって引き起こされる皮膚の小さな増殖性病変で、一般に ”いぼ” と呼ばれるものです。
(引用:症例による漢方治療の実際)

【五苓散】の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
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