体力があり、常にお腹が張っているような常習便秘の人におすすめの漢方薬が『大承気湯(だいじょうきとう)』です。

便秘以外にも『大承気湯(だいじょうきとう)』は「多汗症」にも使用されることがあります。

多汗症とはどのような状態なの?

多汗症には、全身に汗が増加する「全身性多汗症」と、体の一部に汗が増える「局所多汗症」があります。
全身性多汗症には、特に原因のない原発性と感染症、内分泌代謝異常や神経疾患に合併するものがあります。
原発性局所多汗症は、手のひら、足のうらや脇という限局した部位から両側に過剰な発汗を認める疾患です。
(引用:日本皮膚科学会)
多汗症の治療薬にはどのようなものがあるの?
多汗症に対しては、「抗コリン剤」が使用されていますが、唯一保険適応があるのは臭化プロバンテリン(プロバンサイン🄬)です。
その他には、オキシブチニン(ポラキス🄬)、コハク酸ソリフェナシン(ベシケア🄬)などがありますが、効果の程度にはばらつきがあります。
抗コリン剤には、口の渇きや眠気などの副作用が出ることがあります。
その他注意すべきことに、抗コリン薬は閉塞隅角緑内障、下部尿路閉塞(前立腺肥大など)の疾患があるひとはこれらの症状を悪化させる可能性があるため使用することができません。
多汗症に対して漢方薬では、『防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)』が多汗症改善の効果・効能が認められています。
そのほか、その人の体質に合わせて、『白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)』や『竜胆潟肝湯(りゅうたんしゃかんとう)』などが使われることもあります。

手のひら・足の裏・脇などに汗をかく局所性多汗症の場合は、精神的な緊張や末梢神経の損傷などが原因である可能性が考えられているので、「 厚朴(コウボク)」、「枳実(キジツ)」 などのメンタルに作用する生薬や、「黄耆(オウギ)」などの固表止汗作用といって汗に作用する生薬が含まれている漢方薬に効果が期待できるようですね!
【大承気湯(だいじょうきとう)】の生薬構成(ツムラ)
厚朴(コウボク)、枳実(キジツ)、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)
【大承気湯(だいじょうきとう)】の効能効果(ツムラ)
腹部がかたくつかえて、便秘するもの、あるいは肥満体質で便秘するもの。
常習便秘、急性便秘、高血圧、神経症、食当り
【大承気湯(だいじょうきとう)】の特徴・説明
- 『大承気湯』の構成生薬には「大黄」、「芒硝」が含まれており、便秘に対しての作用は強めです。
- 『大承気湯』・『小承気湯』・『調胃承気湯』を ”三承気湯” と呼び、「大黄」が君薬とされ、使用法も類似しています。
- 『大承気湯』には気剤といわれる生薬の「厚朴」、「枳実」が含まれているため、神経症や軽度の抑うつ状態にも効果が期待できます。
- 『大承気湯』の味は表現法が難しいですが、わずかに苦いです。
【大承気湯(だいじょうきとう)】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。
【大承気湯(だいじょうきとう)】の入手方法
- 病院で処方してもらう
漢方薬のメーカーは「ツムラ」「クラシエ」が2大メーカーです。そのほか、「三和」「コタロー」などあります。どこのメーカーが優れているかは自分は正直わかりません。
同じ方剤名でもその中に含まれる生薬は植物などが原料になっているので、生産地・生産時期・天候などで変わります。ただ、しっかりと厳しい基準をクリアしたものですので心配はありません。
ちなみに、「ツムラ」さんの粉末は、粒子が大きいですがお湯に溶かすときれいに完全に溶けてしまいます。
「クラシエ」さんの粉末は、粒子が細かいですが、お湯に完全には溶けず、粒子が沈殿した感じになります。
実際に飲み比べて、お好みのメーカーを選んでいただければ良いと思います。
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