体力があるものの、便秘がちでお腹を押さえると痛みが生じる方におすすめしたい漢方薬が『通導散(つうどうさん)』です。
この処方は、体内の気と血の流れを改善し、腸内環境を整えることを目的としています。便秘はただの不快感にとどまらず、体全体の健康に影響を与えることがあります。
特に、体力がある人でも便秘が続くと、お腹の張りや痛みを感じることが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。
通導散は、こうした症状を緩和し、腸の働きを活発にして自然な排便を促す効果が期待できる漢方薬です。
「瘀血」を改善する「駆瘀血剤(くおけつざい)」の代表的な漢方薬です。

「便秘・瘀血」というキーワードでは、「駆瘀血剤(くおけつざい)」の代表的な漢方薬に『桃核承気湯』もあると思うけど、『通導散』とはどのように使い分けているの?

▶通導散についてわかりやすく解説!
今日は「通導散(つうどうさん)」についてお話ししますね。
通導散は、漢方薬のひとつで、特に便秘や腰痛、瘀血(おけつ:血の流れが悪くなる状態)に悩む方におすすめされる処方です。
子宮内膜症などの女性特有の症状にも使われることがあります。
この漢方薬は、便秘を解消しながら血流を良くし、痛みを緩和する効果が期待できます。
例えば、腰痛があって便秘がちの方に使用すると、『通導散』が腸を動かしつつ瘀血を取り除くことで、痛みの原因にアプローチします。
また、必要に応じて『芍薬甘草湯』をプラスすることで、筋肉のこわばりや痙攣を和らげることも可能です。
さらに、便秘が解消したら『桂枝茯苓丸』に切り替えるという使い方もポイント。
このステップを踏むことで、症状に合わせた効果的な治療が行えるんですね。
こういった柔軟な対応が、漢方治療の魅力です。
『通導散』は、冷え性や下腹部の張り感などが気になる方にもおすすめ。
ただし、自己判断で使うのはNGです!
漢方薬は体質や症状によって合う・合わないがあるので、専門家に相談して、自分に合った処方を選んでもらうのが大切ですよ。
もし『通導散』が気になったら、ぜひ一度、漢方薬局や中医学の専門家に相談してみてくださいね!
【通導散】の生薬構成(ツムラ)/ 便秘も腰痛もスッと軽く。通導散で自然な流れを取り戻す
当帰(トウキ)、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、枳実(キジツ)、厚朴(コウボク)、陳皮(チンピ)、木通(モクツウ)、紅花(コウカ)、蘇木(ソボク)、甘草(カンゾウ)
【通導散】の効能効果(ツムラ)
比較的体力があり下腹部に圧痛があって便秘しがちなものの次の諸症
※月経不順、月経痛、更年期障害、腰痛、便秘、打ち身(打撲)、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)
【通導散】の特徴・説明 / 巡りを整え、詰まりを解消。通導散でスッキリした毎日を
- 『通導散』は「瘀血」を改善する ”駆瘀血剤(くおけつざい)” の代表的な漢方薬です。
- 『通導散』は体質的には、丈夫な ”実証” とよばれるタイプの人に使用されます。
便秘や下腹部の圧痛が『通導散』を使用する際の目安になります。
- 『通導散』は、元来は打撲傷に使用されていた処方です。
森道伯による一貫堂流によって、応用が拡がったとされています。
- 『通導散』の味は表現法が難しいですが、えぐくて苦いです。
便秘改善に役立つ漢方薬の効果と選び方
2016年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、便秘に悩む人は男性で約2.5%、女性で約4.6%でした。
便秘は一見軽症の疾患と認識されがちですが、その原因には大腸がんなどの重大な疾患を含むことがあります。
便秘の適切な治療を怠ると、宿便性腸穿孔など生命に関わる深刻な病態を引き起こすことも報告されています。
特に高齢者においては、慢性便秘が増加し、80歳を超えると1割以上に達します。
便秘の治療には、以下の種類を考慮する必要があります。
- 機能性便秘:弛緩性便秘、直腸性便秘、痙攣性便秘など
- 器質性便秘:大腸がん、腹腔内腫瘍、術後の腸管閉塞など
- 薬剤性便秘:抗コリン薬、抗うつ薬、パーキンソン治療薬など
- 症候性便秘:加齢、神経性疾患によるもの
漢方薬による便秘治療は、便秘そのものの改善だけでなく、便秘を引き起こす根本的な病態を全身的に捉えて治療することが特長です。
精神的状態を含む全身の症状を総合的に評価し、便秘に関連する全身の健康状態を改善することを目指します。
このように、漢方治療では便秘を含む全身の病態を総合的に治療することが重要です。
便秘に対する漢方薬の選び方と効果:効果的な治療法を解説
便秘に対する漢方薬の選び方は、治療の段階によって異なります。
以下の三段階に分けて説明します。
第一段階:排便を促す効果の強さを考慮
排便促進効果の強さ | 漢方薬名 |
---|---|
1. | 桃核承気湯 |
2. | 麻子仁丸 |
3. | 大承気湯 |
4. | 通導散 |
5. | 潤腸湯 |
6. | 桂枝加芍薬大黄湯 |
7. | 大建中湯 |
第二段階:便秘のタイプに応じた漢方薬の選択
便秘のタイプ | 適応する漢方薬 |
---|---|
弛緩性便秘 | 麻子仁丸、桃核承気湯、大承気湯などの大黄剤 |
痙攣性便秘 | 大建中湯、中建中湯(大建中湯+桂枝加芍薬湯)、小建中湯 |
高度な痙攣性病態と腹痛 | 芍薬甘草湯(併用)、麻子仁丸(芍薬配合) |
第三段階:全身の漢方医学的病態を考慮
病態 | 適応する漢方薬 |
---|---|
気うつ(精神的な抑うつ状態) | 大承気湯、通導散、麻子仁丸 |
気逆(イライラ) | 桃核承気湯、三黄瀉心湯 |
生理痛など瘀血の症状 | 桃核承気湯、通導散、大黄牡丹皮湯 |
肌の乾燥など血虚の兆候 | 潤腸湯 |
月経痛やイライラを伴う高度の便秘 | 桃核承気湯 |
このように、便秘の治療にはそのタイプや全身の病態を考慮した漢方薬の選択が重要です。
便秘に悩む方は、自身の症状に適した漢方薬を選ぶことで、効果的に症状を改善することができます。
通導散の適応症と効果:便秘、肥満、生理不順に悩む方へ
便秘に悩む方の中でも、食欲が旺盛で便秘し、生理不順や肥満が気になる方には、通導散が適しています。
このタイプの方は、皮膚が暗紫色(あるいは青黒い)を呈し、一見元気そうに見えるものの、実際には瘀血を伴う循環器疾患や婦人科疾患、肥満症などの疾患があることが多いです。
通導散の適応症
- 瘀血証の代表処方:漢方一貫堂医学では、気滞・瘀血の熱証に用います。
- 打撲、挫傷の治療:本来は打撲や挫傷を治す目的で作られた処方ですが、そこから瘀血性疾患(循環器疾患、婦人科疾患)にも応用されるようになりました。
- 症状の特徴:皮膚が暗紫色で、頭痛、肩こり、生理痛などの瘀血症状に加え、胸苦しさ、お腹の張り、便秘などの気滞症状を伴います。
- 食欲旺盛で肥満:熱証タイプで、食欲が旺盛で肥満している方、特に女性に適しています。なかなか痩せない方に効果があります。
- 生活習慣病:メタボリックシンドローム(肥満、糖尿病、高血圧症)による循環器疾患には、防風通聖散と合わせて使用します。また、拡張期血圧が高い(100mmHg以上)高血圧症にも効果的です。
便秘、肥満、生理不順に対する効果
通導散は、便秘に対する排便促進効果だけでなく、生理不順や肥満にも効果を発揮します。
瘀血や気滞による症状を総合的に改善することで、全身の健康状態を向上させることができます。
このように、便秘や肥満、生理不順に悩む方は、通導散を活用することで効果的に症状を改善することができます。
漢方の力を借りて、健康的な生活を取り戻しましょう。
【通導散】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

うっ滞性皮膚炎の患者さんに『通導散』+『黄連解毒湯』を併用して症状が改善したことがあります。
※うっ滞性皮膚炎は、脚の膝より下の部分に血液と体液がたまることで炎症が起きる病気です。
(引用:漢方.jp・MSDマニュアル家庭版)

【通導散】の注意点
むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。
【通導散】の入手方法 / 通販で買える!楽天とAmazonのおすすめ商品一覧
『通導散』は、漢方で便秘や腰痛、瘀血(血液の滞り)をケアするのに役立つ処方です。
特に、便秘が原因で腰痛が悪化している方におすすめ!
便秘を改善しながら体内の血流を整えることで、つらい痛みを和らげる効果が期待できます。
さらに、状態が落ち着いたら『桂枝茯苓丸』に切り替える活用法も。
体の巡りを整え、健やかな毎日を目指しましょう!
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。

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代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
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