お腹が冷えることで起きる腹痛や膨満感におすすめの漢方薬が『大建中湯(だいけんちゅうとう)』です。
『大建中湯』はおなかの血流を改善しておなかを温める作用がある漢方薬です。

お腹が冷えると、お腹の痛みや下痢、体の疲れやすさや肩こりなど様々な不調を感じるよね。


そう!お腹の冷えは万病のもとなのです!
そんな時におすすめの漢方薬が『大建中湯』です。
『大建中湯』はお腹の血流を改善して、お腹を温める作用があるとされています。
腸閉塞とはどのような状態なの?

腸閉塞とは、小腸または大腸の一部が狭くなることや、腸の動きが麻痺することで内容物が停滞し、腹痛、腹満(おなかがはった状態)、嘔吐(おうと)などの症状をひき起こす疾患です。
腸閉塞の治療は胃管チューブやイレウスチューブ挿入による減圧療法などの内科的治療が基本となりますが、内科的治療により改善しない場合には外科的治療が選択されます。
腸閉塞の原因は、過去に受けた手術が原因となるものが多く、それ以外には腫瘍による浸潤によって起こる場合があります。
前者の場合には癒着剥離術が基本となります。
後者の場合には浸潤している部分を迂回させるバイパス手術が行われます。
(参考資料:日本消化器学会)
「腸閉塞」と「イレウス」はどう違うの?

言葉の知識として「腸閉塞」と「イレウス」の違いについて簡単に説明すると、日本では「腸閉塞」と「イレウス」が同じ意味で使われていることが多く、「絞扼性腸閉塞」と言うこともあれば「絞扼性イレウス」と呼ぶこともあります。
しかし、本来「イレウス」とは「腸管の麻痺」を意味する言葉なのです。
イレウスとは腸管が麻痺し、蠕動運動が低下することによって、腸内に内容物が溜まって腸管の拡張が起こる状態のことを指しています。
腹部の手術後に起こることが多い病態で、これを臨床現場では「麻痺性イレウス」と呼ぶことが多いのです。
一方、何らかの物理的な閉塞機転があるケースを正確には「腸閉塞」と呼びます。
(参考資料:看護roo!)
消化器(胃や腸)について知りたくなったらこの本を読んでみて!
消化器(胃や腸)についてもっと知りたくなったら、江田クリニックで院長を務めている『江田 証(えだ・あかし)』氏の著書がおすすめです!
江田 証医師は、日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学専門医・米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバーを務られています。
消化器系がんに関連するCDX2遺伝子がピロリ菌感染胃炎で発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表し、英文誌の巻頭論文として掲載された経歴があります。
また、内視鏡検査のスペシャリストとしても有名で、全国各地から患者さんが診察に来ています。
【大建中湯】の生薬構成(ツムラ)
山椒(サンショウ)、人参(ニンジン)、乾姜(カンキョウ)、膠飴(コウイ)
【大建中湯】の効能効果(ツムラ)
腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):足腰の冷えに
- 大建中湯(だいけんちゅうとう):お腹の冷えに
- 五積散(ごしゃくさん):クーラー病にも効果あり!
- 真武湯(しんぶとう):新陳代謝が低下した虚弱体質の人の冷えに
【大建中湯】の特徴・説明
- 『大建中湯』はお腹の手術をした方に起きやすい腸閉塞などの予防に用いられます。
- 『大建中湯』は腹部にガスが溜まって、腸の蠕動運動が高まって、強い腹痛を伴うようなときに効果的な方剤です。
- 『大建中湯』は構成生薬に「山椒」を含んでおり、「山椒」の薬理作用は腸管血流改善、消化管運動促進、抗菌、駆虫です。
- 『大建中湯』は通常の服用量が1日15g(1回2包ずつ)と、他の漢方薬に比べて多くなります。
- 『大建中湯』の味は表現法が難しいですが、甘くて辛いです。
【大建中湯】のエビデンスとは
エビデンスとは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
- 『大建中湯』は開腹手術後腸管麻痺への有効性を認めた
- 『大建中湯』は術後癒着性イレウスへの有効性を認めた
- 『大建中湯』には腸管運動の促進が認められた
- 『大建中湯』には腸管血流量の増加が認められた
【大建中湯】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

おならや便の臭いが強くて気になるような場合には『大建中湯』がおすすめです!
おならの臭いが半減しますよ!
(引用:漢方.jp)

冷たいものを食べたり飲んだりすると悪化するようなIBS(過敏性腸症候群)には『大建中湯』がお勧めです!
『大建中湯』は腸管を温めて腸の蠕動運動を整えてくれます。
(引用:漢方.jp)

中医学的には ”脾陽虚” と呼ばれる状態に『人参湯(理中湯)』、『大建中湯』を用います。
この二つの方剤の使い分けはお腹の痛みの有無です。
お腹が痛むような場合には『大建中湯』が良いと思います。
その他、胃がメインで冷えているような際には『安中散』、『呉茱萸湯』を用いますが、使い分けは次の通りです。
- 『安中散』:冷飲食による胃の冷え
- 『呉茱萸湯』:”胃虚寒” による悪心・嘔吐、冷飲食による頭痛・しゃっくり
(引用:漢方.jp)

『大建中湯』は中医学では ”脾胃虚寒の疝痛” ”脾胃実寒の疝痛” に使用する漢方薬です。
- 虚寒:自分で温める力が無く冷えてしまった状態
- 実寒:冷たい飲食物を多く摂ってお腹が冷えてしまった状態
つまり、『大建中湯』はお腹の冷えが原因でお腹が痛くなった際に使用する漢方薬なのです。
(引用:がんじゅうふぁみりー)

お腹を温める作用がある漢方薬には次の方剤がありますが、それぞれの特徴は次の通りです。
- 『大建中湯』:”温中散寒” といいお腹を温めることに特化している。お腹を温める作用が強い。
- 『人参湯(理中湯)』:お腹を丈夫にすることでお腹を温める。
『人参湯』に「附子」を加えた『附子理中湯』は『大建中湯』に類似していて作用はほぼ同じと考えても良いです。
また、『人参湯』に「桂皮(桂枝)」を加えた『桂枝人参湯』は元々お腹が弱い体質の人がゾクゾクと寒気を感じたような場合に使用すると良いです。
(引用:がんじゅうふぁみりー)

『大建中湯』、『人参湯(理中湯)』のどちらも虚寒や実寒に関係なくお腹が冷えている場合に使用されます。
「虚寒」とは、お腹を温めるエネルギー不足を意味しています。
「実寒」とは、冷たい飲食物を多く摂り過ぎた場合にお腹が冷えてしまったという意味があります。
【大建中湯】の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。

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