薬剤師・中医薬膳師が「便の形」と「体質」から解説
「水を飲んでいるのに、便がコロコロして硬い」。
「便秘だけでなく、肌も乾燥しやすい」。
「強い下剤だと、お腹が痛くなりやすい」。
そんな“乾いて出にくい便秘”で候補になる漢方薬の一つが、潤腸湯(じゅんちょうとう)です。
潤腸湯は、すべての便秘に同じように使う漢方薬ではありません。
大切なのは、「便秘だから何を飲むか」ではなく、「なぜ便が出にくくなっているのか」を整理することです。
潤腸湯を検討するときの代表的な目安
- 便が乾燥して、ウサギの糞のようにコロコロしている。
- 便が硬く、いきまないと出にくい。
- 年齢とともに便が硬くなってきた。
- 肌や口なども乾燥しやすい。
- 比較的体力が落ちている、または虚弱傾向がある。
「潤腸湯でよいのか分からない」という方へ
便秘は、乾燥・冷え・ストレス・胃腸の弱り・腸の動きの低下など、背景によって選ぶ漢方が変わります。
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相談だけでも大丈夫です。
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※医薬品は使用上の注意を確認し、用法・用量を守って使用してください。
潤腸湯とは?「腸を潤して出す」便秘の漢方
潤腸湯は、中国明代の医学書『万病回春』を出典とする漢方処方です。
現在も、便秘に用いられています。
一般用のツムラ潤腸湯では、体力が中等度からやや虚弱で、ときに皮膚の乾燥などがある人の便秘が適応として示されています。
つまり、「便秘なら何でも潤腸湯」というより、硬い便・乾燥・やや虚弱という組み合わせが大きなヒントになります。
中医学で整理すると「血虚・津液不足を伴う腸燥便秘」タイプ
中医学では、腸をなめらかに保つ「血(けつ)」や「津液(しんえき=体を潤す水分)」が不足すると、便そのものも乾燥しやすいと考えます。
このような状態を「腸燥(ちょうそう=腸の潤い不足)」として捉えます。
八綱弁証でみると、表裏では「里」、虚実では「虚」寄り、さらに燥の要素を伴うタイプです。
肌の乾燥や年齢による体液・血の不足が重なる場合は、より潤腸湯らしい証と考えやすくなります。
あなたの便秘は潤腸湯タイプ?5つのチェックポイント
① 便の形が「コロコロ・硬い」
最も分かりやすい目安が便の形です。
小さく硬い粒状の便、いわゆる兎糞状便が続く場合は、腸内で水分が少なくなっている可能性があります。
② 肌や口も乾燥しやすい
便だけではなく、皮膚や口などにも乾燥傾向がある場合、中医学では「血」や「津液」の不足という共通した背景から考えます。
③ 年齢とともに便が硬くなってきた
高齢になると、食事量・活動量・筋力・体液量など複数の要因が重なり、便秘が起こりやすくなります。
潤腸湯は、高齢者の乾燥性便秘について臨床的に検討されてきた処方の一つです。
④ 強い下剤では腹痛や下痢が出やすい
便秘薬は「強ければよい」わけではありません。
虚弱傾向がある人に刺激の強い処方を用いると、腹痛や下痢が問題になることがあります。
⑤ 体力が落ちている
食が細い、疲れやすい、年齢とともに体力が落ちたなど、「虚」の要素があるかどうかも大切です。
ただし、極端に虚弱な場合や基礎疾患がある場合には自己判断ではなく専門家へ相談してください。
当てはまる項目が多くても「自己判断だけ」で決めなくて大丈夫です
ほどよい堂では、便の形だけでなく、冷え・食欲・睡眠・水分・ストレス・服用薬なども合わせて「証」を整理します。
クリニカルパール|専門家は潤腸湯をどう使い分けている?
クリニカルパールとは、臨床経験や研究から得られた「診療上の重要なコツ・視点」のことです。
ここでは、潤腸湯について公開されている医師・研究者の見解を、日常生活で理解しやすい形に整理します。
慢性便秘に漢方を用いる際には、患者さんを「実証・虚証」に分類して使い分けることが重要とされています。
虚証の人に実証向けの処方を使うと、腹痛や激しい下痢などにつながる可能性があるためです。
高齢者の慢性便秘では、麻子仁丸と潤腸湯がよく用いられる処方として紹介されています。
透析患者や高齢者では、兎糞状の硬い便となる「腸内乾燥性便秘」がみられることがあり、このタイプでは潤腸湯や麻子仁丸を使い分ける考えが紹介されています。
また、潤腸湯は効果判定を急ぎすぎず、福原先生の臨床的な文脈では7〜10日程度継続して評価する考えが示されています。
ただし、これは特定の患者背景を含む臨床的見解です。
実際の服用期間は購入した医薬品の添付文書や医師・薬剤師の指示を優先してください。
慢性便秘は一括りにせず、「大腸通過遅延型」「大腸通過正常型」「便排出障害型」など病態から整理することが重要です。
河野先生の総説では、潤腸湯は麻子仁丸や大黄甘草湯とともに、大腸通過正常型で適応できる可能性のある漢方薬として取り上げられています。
ここから分かるのは、便秘という症状名だけで処方を決めるのではなく、「便がどのように出にくいのか」を見ることが大切だということです。
便秘の代表的な漢方として潤腸湯と麻子仁丸を挙げ、実証・虚証の判断が難しい場合には、大黄の量なども考慮しながら潤腸湯を虚証寄りの選択として考える視点が紹介されています。
「便秘だから一番強い漢方を選ぶ」という発想ではなく、体力と便の性状を見ながら選択することがポイントです。
潤腸湯を構成する10種類の生薬
代表的な潤腸湯は、10種類の生薬から構成されます。
単純に腸を刺激するだけではなく、「潤す」「補う」「動かす」を組み合わせている点が特徴です。
| 生薬 | 読み | 中医学的な位置づけ |
|---|---|---|
| 地黄 | ジオウ | 血や陰を補い、潤いを支える。 |
| 当帰 | トウキ | 血を補い、巡りと潤いを支える。 |
| 麻子仁 | マシニン | 腸を潤し、硬い便の排出を助ける。 |
| 杏仁 | キョウニン | 潤いを与えながら、気の流れを整える。 |
| 桃仁 | トウニン | 血の巡りを助け、種子由来の潤いも持つ。 |
| 大黄 | ダイオウ | 便を下す働きの中心となる。 |
| 厚朴 | コウボク | 気の停滞や腹部膨満を整える。 |
| 枳実 | キジツ | 停滞した気を動かし、腸管の動きを支える。 |
| 黄芩 | オウゴン | こもった熱を冷ます方向に働く。 |
| 甘草 | カンゾウ | 諸薬を調和し、急激な作用を和らげる方向に働く。 |
製品やメーカーによって生薬量などが異なる場合があります。
実際に服用するときは、購入した製品の表示・添付文書をご確認ください。
現代医学から見る潤腸湯|腸内の水分と腸内細菌
潤腸湯の作用は、「漢方だから作用機序が分からない」というものではなく、現代医学的な研究も進められています。
構成生薬である大黄に含まれるセンノシドは、そのまますべて吸収されるのではなく、腸内細菌による代謝を受けて活性代謝物となり、腸管に作用すると考えられています。
さらに潤腸湯については、CFTRと呼ばれるクロライドチャネルを介した腸管内への水分分泌との関連なども研究されています。
漢方と「腸活」は別々ではありません
漢方薬の成分の一部は腸内細菌による代謝を受けることが知られています。
ただし、「腸内環境を整えれば必ず漢方が効く」という単純な関係まで確立しているわけではありません。
ほどよい堂では、漢方薬だけを見るのではなく、プロバイオティクス(善玉菌)、プレバイオティクス(善玉菌のエサ)、バイオジェニックス(菌が作る有用成分)の三方向から、腸の環境を整える考え方を取り入れています。
潤腸湯と麻子仁丸の違いは?
潤腸湯とよく比較される漢方薬が、麻子仁丸(ましにんがん)です。
どちらも乾燥して硬い便に用いられますが、構成生薬と狙いには違いがあります。
| 漢方薬 | 便秘の目安 | 体質・特徴 |
|---|---|---|
| 潤腸湯 | コロコロした硬便、乾燥便。 | 血や津液の不足、皮膚乾燥など「潤い不足」を伴う場合。 |
| 麻子仁丸 | 硬い便、排便困難。 | 腸を潤しながら、便の停滞を動かしたい場合。 |
| 大黄甘草湯 | 比較的シンプルな便秘。 | 大黄を中心に排便を促す。乾燥・血虚を補う構成ではない。 |
| 大建中湯 | 冷え、腹部膨満、腸の動きが弱い。 | 「硬い便を潤す」というより、冷えや腸管運動低下を考える処方。 |
「潤腸湯と麻子仁丸、どちら?」で迷う場合
便の硬さだけではなく、肌の乾燥、体力、腹部膨満、冷え、食欲、年齢などを合わせて考えます。
漢方では、この組み合わせを「証」と呼びます。
潤腸湯は「血虚・津液不足を伴う腸燥便秘」、麻子仁丸は「腸の乾燥と停滞」というように考えると理解しやすくなります。
便秘を漢方だけで終わらせない|「脾=土」から整える
中医学では、胃腸の消化吸収機能を「脾」と表現します。
五行では脾は「土」に属し、食べたものから気・血・津液を作る土台です。
土が弱れば、腸を潤す血や津液の材料も十分に作りにくくなります。
そのため、ほどよい堂では便秘を「出す問題」だけではなく、「作る・吸収する・巡らせる」という全身の問題として考えます。
ほどよい堂の3本柱
タンパク質、良質な脂質、ビタミン・ミネラル、食物繊維を不足させないことが基本です。
歩くことは腸への刺激にもなります。
腸内細菌・食物繊維・腸管バリアをまとめて整えます。
まず1つ変えるなら「よく噛む」
1口30回を目安によく噛むことは、食べ物を細かくするだけではありません。
唾液や消化管への刺激が入り、「これから消化する」というスイッチになります。
中医学でいえば、脾の仕事を助けるシンプルな養生です。
毎日の定番にしたい食材
- わかめ・昆布などの海藻。
- しいたけ・しめじ・舞茸などのきのこ。
- 大豆・小豆・納豆などの豆類。
- 野菜・果物。
- 発酵性食物繊維を含む食品。
- 具沢山の味噌汁。
- 野菜スープ。
ただし、腹部膨満が非常に強い場合や便が詰まっている可能性がある場合に、食物繊維だけを急激に増やすとかえって苦しくなることがあります。
その場合は、原因を確認することが先です。
便秘改善は「3日・3週間・3ヶ月」で考える
からだは固定されたものではなく、食事・睡眠・運動・腸内環境などの影響を受けながら常に入れ替わっています。
そのため、ほどよい堂では短期だけでなく、次の3つの時間軸で養生を考えます。
医薬品は添付文書に従って評価します。
「薬で出たから終了」ではなく、薬が必要になった背景も整えていくことが再発予防を考えるうえで大切です。
潤腸湯の注意点|「漢方=副作用がない」ではありません
潤腸湯も医薬品です。
体質に合わない場合や、他の薬との重複などによって副作用が起こる可能性があります。
特に確認しておきたいこと
- 大黄を含むため、腹痛や下痢などが起こる場合があります。
- 甘草を含むため、他の甘草含有漢方との重複には注意が必要です。
- むくみ、体重増加、血圧上昇、脱力感などがみられた場合は医師・薬剤師へ相談してください。
- 発熱、空咳、息苦しさなどが出た場合は服用を中止して医療機関へ相談してください。
- 強い倦怠感、黄疸、尿色の変化などがみられる場合も医療機関への相談が必要です。
- 妊娠中・妊娠の可能性がある場合は自己判断で服用せず、医師・薬剤師へ相談してください。
- 治療中の病気や服用薬がある場合も、購入前に確認してください。
大黄を含む漢方を長期間使用している方へ
潤腸湯には、大黄が含まれています。
大黄・センナ・センノシドなどアントラキノン系成分を含む刺激性下剤は、漫然とした長期使用を避け、必要性を定期的に見直すことが大切です。
「毎日飲まないと出ない」「以前より量が増えた」という場合は、薬を増やすだけではなく便秘の原因を改めて整理することをおすすめします。
漢方より先に医療機関へ相談したい便秘
次のような症状がある場合は、セルフケアだけで様子を見続けないことが大切です。
- 血便がある。
- 黒い便が続く。
- 強い腹痛がある。
- 吐き気・嘔吐が強い。
- お腹が大きく張り、ガスも出ない。
- 発熱を伴う。
- 意図しない体重減少がある。
- 急に便通が変化した。
- 便秘が長期間続いている。
- 大腸がんなどの家族歴があり便通変化がみられる。
便秘は生活習慣によるものだけではなく、病気や薬剤が原因となることもあります。
「いつもの便秘と違う」と感じたときは受診を優先してください。
潤腸湯を購入する前に確認したいこと
今回ご案内している商品リンクは、赤尾漢方薬局の潤腸湯「お手軽煎じ薬10日分・30包」の商品ページです。
1回分ずつティーバッグ状になっており、煎じ薬を比較的取り入れやすい形になっています。
ただし、「コロコロ便だから必ず潤腸湯」とは限りません。
冷えが強い便秘、ストレスで腸が動かない便秘、腹部膨満が中心の便秘、排便時の力が弱い便秘などでは別の考え方が必要になります。
あなたはどちら?
体質が分かっている方は商品を確認。
「自分に合うか分からない」「他の薬を飲んでいる」という方は、購入前に無料相談をご利用ください。
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※使用前に必ず商品ページ・添付文書の使用上の注意をご確認ください。
潤腸湯についてよくある質問
Q1.潤腸湯はどんな便秘に向いていますか?
体力が中等度からやや虚弱で、皮膚や便に乾燥傾向があり、コロコロした硬い便が出るタイプが代表的な目安です。
中医学では、血虚・津液不足を伴う「腸燥便秘」と整理すると理解しやすくなります。
Q2.潤腸湯と麻子仁丸は何が違いますか?
どちらも硬い乾燥便に用いられます。
潤腸湯には当帰・地黄・桃仁などが含まれ、「潤い不足」や血虚の要素をより意識した構成になっています。
体質、便の形、体力などを合わせて選択します。
Q3.潤腸湯は何日くらいで判断すればいいですか?
個人差があります。
福原慎也先生は特定の患者背景における臨床経験から、潤腸湯では7〜10日程度は評価を急がない考えを紹介しています。
ただし、実際は購入した製品の添付文書に記載された服用期間・相談基準を優先してください。
Q4.潤腸湯は毎日ずっと飲んでも大丈夫ですか?
大黄や甘草を含むため、漫然と長期間自己判断で続けることはおすすめできません。
長期連用が必要な場合は、医師・薬剤師・登録販売者へ相談し、便秘の原因や薬の必要性も定期的に見直しましょう。
Q5.妊娠中でも飲めますか?
潤腸湯には大黄や桃仁が含まれるため、妊娠中・妊娠の可能性がある場合は自己判断で服用せず、医師・薬剤師へ相談してください。
Q6.便秘なら食物繊維をたくさん摂ればいいですか?
必ずしもそうではありません。
食物繊維は大切ですが、便が詰まっている場合や腹部膨満が強い場合に急激に増やすとかえって苦しくなることがあります。
水分、食事量、運動、便意、薬剤なども含めて総合的に考えましょう。
まとめ|「便秘だから下す」から「なぜ乾いている?」へ
潤腸湯は、コロコロした硬い便、皮膚などの乾燥、体力低下といった特徴が重なる便秘で候補になる漢方薬です。
中医学では「血虚・津液不足を伴う腸燥便秘」と捉えると分かりやすく、「腸を潤して出しやすくする」ことが治則の中心になります。
ただし、便秘には冷え、気滞、脾虚、腸の運動低下、薬剤性、病気によるものなどさまざまなタイプがあります。
大切なのは、便秘という症状だけで薬を選ばないことです。
ほどよい堂が大切にしているのは「漢方×薬膳×腸活」
漢方で「証」を整理する。
薬膳・食事で材料を補う。
腸活で「食べたものを受け取れる土台」を整える。
そして、栄養・循環・吸収の3本柱から、無理なく続けられる優先順位を考えます。
便秘薬を増やす前に、一度「便秘のタイプ」を整理してみませんか?
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LINEで問診票に答えるところから始められ、相談だけでも大丈夫です。
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この記事の監修・執筆
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」代表・河邊甲介。
薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士・ペットフーディスト。
漢方薬だけに頼るのではなく、「漢方×薬膳×腸活」を軸に、食事・栄養・睡眠・運動・腸内環境まで含めた健康相談を行っています。
ほどよい堂では、「栄養=細胞をつくる」「循環=栄養と酸素を届ける」「吸収=食べたものを受け取る腸を育てる」の3本柱を大切にしています。
参考情報・出典
- 株式会社ツムラ|ツムラ漢方潤腸湯エキス顆粒
- PMDA|ツムラ潤腸湯エキス顆粒(医療用)
- 河野透:慢性便秘症に対する漢方薬の役割|日本大腸肛門病学会雑誌
- 眞部紀明:高齢者の皮膚乾燥・兎糞状便×潤腸湯|日本医事新報社
- 福原慎也:兎糞状の硬便を伴う腸内乾燥性便秘×潤腸湯|日本医事新報社
- Minds|便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。
診断・治療の代替を目的とするものではありません。
症状が強い場合や長く続く場合、治療中の病気がある場合は医療機関へご相談ください。



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