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犬の皮膚病・かゆみに漢方は使える?ペット漢方6選と体質別ケアを薬剤師が解説

皮膚疾患におすすめのペット漢方
犬の皮膚病・かゆみ・乾燥とペット漢方について
薬剤師 × 中医薬膳師 × ペットフーディストが解説
犬の皮膚病・かゆみは
「原因」と「体質」の両方から考える

愛犬が体を何度も掻く。
足先をなめ続ける。
皮膚が赤い、カサカサする、ベタつく、湿疹を繰り返す。

犬の皮膚トラブルには、乾燥だけでなく、アレルギー、細菌や酵母、ノミ・ダニ、食事、基礎疾患など、さまざまな原因があります。

一方、中医学では同じ「かゆみ」でも、乾燥するタイプ、熱をもつタイプ、ジュクジュクするタイプなどに分けて考えます。

最初に大切なこと

漢方は、動物病院で必要な診断や治療の代わりではありません。

強いかゆみ、化膿、出血、悪臭、急激な脱毛、元気や食欲の低下などがある場合は、まず動物病院で原因を確認してください。

原因を確認したうえで、「なぜこの子は繰り返しやすいのか」という体質まで整理していくのがペット漢方の考え方です。

まず結論|犬の皮膚トラブルは4つの視点で整理します

① 原因を確認する アレルギー、感染症、ノミ・ダニ、乾燥、ホルモン疾患など、皮膚病そのものの原因を確認します。
② 皮膚の状態を見る カサカサしているのか、赤いのか、熱をもつのか、ジュクジュクしているのかを観察します。
③ 中医学的な体質を見る 血虚、陰虚、湿熱、痰湿、血熱などの「証」を組み立てます。
④ 食事・腸・皮膚ケアを整える 漢方だけでなく、食事、保湿、シャンプー、腸内環境、生活環境まで一緒に見直します。
愛犬は「乾燥タイプ」?「湿熱タイプ」?

東洋医学では、同じ皮膚トラブルでも体質によって考え方が変わります。
まずは無料のセルフチェックで、愛犬の傾向を整理してみてください。

犬が体をかゆがる主な原因は?

犬が体を掻いているからといって、すべてがアレルギーとは限りません。

皮膚トラブルは、原因を一つずつ整理していくことが大切です。

乾燥・皮膚バリアの低下 空気の乾燥、洗いすぎ、シャンプーとの相性などによって、皮膚が乾燥してかゆみにつながることがあります。
細菌・マラセチアなど 皮膚バリアが乱れると、細菌や酵母が増殖し、赤み、ベタつき、におい、かゆみなどにつながる場合があります。
ノミ・ダニなどの外部寄生虫 ノミアレルギー性皮膚炎や疥癬などでは、非常に強いかゆみがみられることがあります。
環境アレルギー 花粉、ハウスダスト、ダニなどが関係する犬アトピー性皮膚炎があります。
食物アレルギー 食事に含まれる特定のタンパク質などに反応し、皮膚のかゆみや外耳炎などにつながる場合があります。
その他の病気 内分泌疾患、自己免疫性疾患などが皮膚症状として現れることもあります。
犬の皮膚の乾燥やかゆみを日頃から観察する
日頃から皮膚、被毛、耳、足先、便の状態までセットで観察しておくと、変化に気づきやすくなります。

「掻く」以外のサインにも注目

  • 足先を何度もなめる。
  • 床や家具に体をこすりつける。
  • 耳を頻繁に掻く、頭を振る。
  • 皮膚が赤い。
  • フケが増えた。
  • ベタつきや独特のにおいがある。
  • 毛が薄くなってきた。
  • 同じ場所を繰り返し噛む。

このような変化も、かゆみや皮膚トラブルのサインになることがあります。

このような症状は、まず動物病院へ

  • 皮膚から膿や血が出ている。
  • 急激に症状が広がった。
  • 強い悪臭がする。
  • 顔や目の周囲が腫れてきた。
  • 呼吸が苦しそう。
  • かゆみで眠れないほどつらそう。
  • 自分で噛んで傷を作ってしまう。
  • 元気や食欲も低下している。
  • 発熱や嘔吐、下痢などを伴う。

皮膚病では、細菌感染や寄生虫など原因に応じた治療が必要です。

「漢方で様子を見る」のではなく、まず原因を確認することを優先してください。

中医学では犬の皮膚病をどう考える?

中医学では、皮膚だけを切り離して考えるのではなく、気・血・津液、胃腸、体の熱、水分代謝など全身のバランスから皮膚の状態を見ます。

皮膚と「肺・脾・血・津液」の関係

中医学では「肺は皮毛を主る」と考え、肺の働きと皮膚・被毛には深い関係があると考えます。

さらに、皮膚へ栄養を届ける「血」、潤いを与える「津液」、食べたものを気血へ変える「脾=消化吸収」の状態も重要です。

ほどよい堂では、とくに「脾=土」を土台として考えます。

食べても消化・吸収できなければ、皮膚や被毛をつくる材料を十分に活かしにくくなるからです。

犬の皮膚トラブルで考える代表的な「証」

血虚風燥タイプ 血虚=皮膚を養う血や栄養が不足した状態です。
カサカサ、フケ、毛づや低下、乾燥によるかゆみなどが目安になります。
湿熱タイプ 湿熱=余分な水分と熱がこもった状態です。
赤み、ベタつき、ジュクジュク、におい、強いかゆみなどが目安になります。
血熱・実熱タイプ 体内の熱が強く、皮膚に赤みや熱感として現れやすいタイプです。
赤みが強い、熱っぽい、かゆみが激しいなどが目安になります。
陰虚タイプ 陰虚=潤い不足タイプです。
皮膚や口が乾燥する、暑がる、水をよく飲む、便が硬いなどを伴う場合があります。
痰湿タイプ 痰湿=余分な水分や脂肪がたまりやすいタイプです。
太りやすい、皮膚がベタつく、耳のトラブル、軟便などを伴うことがあります。
脾虚タイプ 脾虚=消化吸収力が弱いタイプです。
軟便、食欲のムラ、疲れやすさなどと一緒に皮膚や被毛の状態が気になる犬で考えます。
「うちの子は、どのタイプ?」と思ったら

愛犬の普段の様子から、気虚・血虚・陰虚・陽虚・気滞・瘀血・痰湿・湿熱の傾向を整理できます。

フード選びの前にもおすすめです。

犬の皮膚トラブルで検討されるペット漢方6選

ここからは、皮膚の状態と「証」をもとに、皮膚トラブルで検討される代表的な漢方薬を整理します。

同じ「かゆい」という症状でも、皮膚が乾いているのか、ジュクジュクしているのか、赤みや熱感が強いのかによって選択は変わります。

重要|人用漢方を愛犬へ自己判断で与えないでください

犬では体重だけで単純に投与量を換算することはできません。

麻黄、甘草、黄連などを含む処方では、持病や服用中の薬との兼ね合いにも注意が必要です。

漢方薬を使用するときは、獣医師やペット漢方に詳しい専門家へ相談してください。

乾燥 赤み 血虚+血熱

温清飲は、「血虚=血や栄養不足」と「血熱=血分に熱がこもる状態」が重なった証を考える方剤です。

四物湯と黄連解毒湯を組み合わせた構成で、養血しながら熱を冷ますという考え方をします。

皮膚がカサカサしている。
フケが目立つ。
被毛のつやが乏しい。
乾燥しているのに赤みや熱感もある。

このような状態で候補になります。

胃腸が弱い犬では、地黄などを含む処方が負担になる場合もあるため、便や食欲を確認しながら判断します。

むくみ ジュクジュク 水分停滞+熱

越婢加朮湯は、体表に余分な水分がたまり、そこに熱が加わったような状態を考える方剤です。

皮膚が腫れぼったい。
ジュクジュクした分泌がある。
水分停滞を伴う皮膚症状がみられる。

このような場合に検討されることがあります。

麻黄を含む処方のため、心臓病などの持病がある犬ではとくに自己判断を避けてください。

湿疹 化膿傾向 風湿

十味敗毒湯は、赤み、湿疹、化膿傾向などを伴う皮膚トラブルで検討される代表的な方剤です。

中医学的には「風」や「湿」が皮膚に影響し、炎症を起こしているような状態として考えます。

ブツブツができやすい。
掻くと悪化しやすい。
化膿を繰り返す。
赤みを伴う。

このような皮膚症状で候補になります。

強い熱 口渇 津液不足

白虎加人参湯は「気分熱盛+津液不足」、つまり強い熱によって体の潤いが消耗しているような証に用いる方剤です。

強い熱感がある。
赤みが強い。
皮膚が乾燥している。
水をよく飲む。
暑がる。

このような状態を組み合わせて判断します。

「かゆい=白虎加人参湯」ではなく、熱の強さや口渇、全身状態まで確認することが大切です。

強い赤み 熱感 実熱

黄連解毒湯は、体内に強い熱がこもった「実熱タイプ」で検討される方剤です。

皮膚の赤みが強い。
熱をもっている。
炎症が目立つ。
落ち着きがなく、暑がる。

このような熱症状が目立つ場合に候補となります。

冷ます作用を重視する処方なので、冷えや胃腸虚弱が強い犬では慎重に判断します。

強いかゆみ 湿疹 風湿熱

消風散は「風湿熱」、つまり、かゆみを起こす風、ジュクジュクを生みやすい湿、赤みを生む熱が重なったような皮膚症状で考える方剤です。

かゆみが強い。
赤みがある。
湿疹がある。
ジュクジュクする。

このような場合の代表的な候補です。

漢方選びのポイント

皮膚が乾いているなら「血・津液不足」。

赤みや熱感が強いなら「熱」。

ジュクジュクしているなら「湿」。

かゆみが強く移動性があるなら「風」。

このように皮膚の見た目と全身状態を組み合わせて「証」を整理するのが中医学です。

迷ったらこの順番|愛犬の皮膚ケア4ステップ

皮膚の状態を観察する。
赤み、乾燥、ベタつき、ジュクジュク、脱毛、におい、傷の有無を確認します。
動物病院で原因を確認する。
感染、寄生虫、アレルギーなど、治療が必要な原因を確認します。
体質を整理する。
血虚、陰虚、湿熱、痰湿など、繰り返しやすさの背景を確認します。
食事・保湿・生活環境まで整える。
漢方だけに頼らず、皮膚をつくる材料、腸の状態、シャンプーや保湿まで見直します。

犬の食物アレルギー|血液検査だけでは分からない

皮膚のかゆみが続くと、「フードが合っていないのでは?」と考える飼い主さんも多いと思います。

ただし、食物アレルギーは症状だけでは犬アトピー性皮膚炎などと区別しにくく、血液検査だけで原因食材を確定することもできません。

食物アレルギー診断の基本は「除去食試験」

獣医師の指導のもとで、これまで食べたことのないタンパク源や加水分解タンパク食などを一定期間与え、症状の変化を確認します。

改善した場合は、元の食事を再び与えて症状が再発するかを確認する「食物負荷試験」を行うことで診断につなげます。

この期間は、おやつ、味付きの薬、サプリメントなどに含まれるタンパク質も影響するため、自己流で行うより獣医師と一緒に進めることが重要です。

フードを変更した直後からかゆみが出た場合

新しいフードへ切り替えた時期と症状が重なっている場合は、食事との関連も確認します。

ただし、「添加物が原因」「穀物が原因」と最初から決めつけるのではなく、使われているタンパク源や過去の食事歴まで含めて整理することが大切です。

ほどよい堂の考え方|皮膚を「栄養・循環・吸収」で見る

皮膚は毎日少しずつ入れ替わっている組織です。

そのため、外側から保湿するだけでなく、皮膚をつくる材料や、それを届けて吸収する仕組みまで考えることが大切です。

① 栄養|つくる材料 皮膚や被毛をつくるためには、良質なたんぱく質、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどが必要です。
② 循環|届ける 中医学では「血」が皮膚や被毛を養うと考えます。
血虚や瘀血など、栄養を届ける側の状態も確認します。
③ 吸収=腸|受け取る どれほど良い食事でも、消化吸収が乱れていれば十分に活かしにくくなります。
便、食欲、胃腸の状態も皮膚と一緒に確認します。
外側のケア|守る シャンプーのしすぎを避け、必要に応じて保湿を行うなど、皮膚バリアを守るケアも重要です。

皮膚ケアは「短期・中期・長期」で見る

まず3日|悪化していないか確認 赤み、かゆみ、傷、食欲、元気など、急激な変化がないか観察します。
約3週間|毎日の習慣を見直す シャンプー、保湿、おやつ、食事、便、生活環境などを継続して記録します。
約3か月|体質と再発傾向を見る 食事や腸の状態、季節性、再発頻度などを含め、長い目で体質の土台を確認します。

※改善までの期間を示すものではありません。
病気の種類や治療内容によって経過は大きく異なります。

食事から整えたい方へ|和漢みらいペットフードという選択肢

皮膚のコンディションを考えるとき、毎日食べるフードは大きな生活習慣の一つです。

ほどよい堂では、薬膳・和漢の考え方をフード選びにも取り入れたい方へ「和漢みらいペットフード」の情報を整理しています。

和漢みらいは「年齢・悩み・体質」で選びやすい
  • 幼犬・成犬向けの健康維持タイプ。
  • シニア・高齢犬向けタイプ。
  • 皮膚・アレルギーを意識したタイプ。
  • 胃腸を意識したタイプ。
  • 腎臓、肝臓、心臓、関節など目的別のタイプ。

「皮膚だけを見る」のではなく、年齢や胃腸、体質まで一緒に考えたい方にとって、選択肢を整理しやすいフードです。

食物アレルギーの診断中は獣医師の指示を優先

動物病院で除去食試験を行っている場合は、指定された療法食以外を追加すると正確な評価ができなくなる可能性があります。

その場合は自己判断でフードを変更せず、まず担当獣医師の指示を優先してください。

愛犬に合うフードを「年齢・悩み・体質」から整理

皮膚・アレルギー、胃腸、シニア期など、目的別の和漢みらいペットフードをほどよい堂が分かりやすくまとめています。

我が家のマルチーズ「ハル」の皮膚炎体験

マルチーズのハルくん
我が家のマルチーズ「ハル」。

我が家のマルチーズ「ハル」も、以前、全身の皮膚がうっすら赤くなり、少しかゆそうな仕草を見せることがありました。

そこで動物病院で診察していただいたところ、乾燥や食事などが原因として考えられるとのことでした。

まず乾燥対策として、動物病院で勧められた保湿剤を使用することになりました。

使ったのは「AFLOAT VET モイスチャライズ」

ハルの場合は、保湿ケアを続けていくうちに皮膚の赤みが落ち着いてきました。

この経験からも、「皮膚が赤い=すぐ漢方」ではなく、乾燥、感染、アレルギーなど原因を確認し、その子に必要なケアを選ぶことが大切だと感じています。

外から守る+内側から整える

乾燥しているなら保湿。

感染症なら適切な治療。

ノミ・ダニなら予防と駆除。

そして繰り返しやすい子では、食事、胃腸、体質まで一緒に確認する。

この組み合わせが大切です。

年齢を重ねた犬の皮膚と被毛の健康管理
年齢を重ねるほど、皮膚だけでなく、食欲、胃腸、体重、足腰など全身を一緒に見ることが大切です。

どのフードが合うか迷ったら、まず「体質」から

愛犬の皮膚トラブルには、一つの正解があるわけではありません。

乾燥している犬と、ベタつきや湿疹がある犬では、整え方も異なります。

まず体質を整理し、そのうえで日々の食事を考えると、フード選びの軸が見えやすくなります。

迷ったら、この2ステップから

STEP1で愛犬の体質を確認。
STEP2で、その体質や悩みに合ったフード候補を確認できます。

犬の皮膚病・ペット漢方についてよくある質問

犬のかゆみに漢方薬は使えますか?

犬の皮膚トラブルで漢方薬が検討されることはあります。

ただし、感染症、寄生虫、アレルギーなど治療が必要な原因を先に確認し、体質や持病、服用薬を踏まえて選ぶことが重要です。

犬の乾燥肌ではどの漢方を考えますか?

血虚や血熱を伴う乾燥では温清飲などを検討する場合があります。

ただし、単純な乾燥であれば保湿やシャンプー方法の見直しが優先される場合もあります。

ジュクジュクした湿疹にはどの漢方を考えますか?

湿熱や風湿熱を伴う状態では、消風散、十味敗毒湯、越婢加朮湯などが候補になる場合があります。

ただし、細菌やマラセチア感染を伴っていることもあるため、まず動物病院で診察を受けることが大切です。

犬の食物アレルギーは血液検査で分かりますか?

食物アレルギーを血液検査だけで確定することは困難です。

獣医療では、獣医師の管理下で行う除去食試験と、その後の食物負荷試験が診断の基本になります。

皮膚が弱い犬に和漢みらいペットフードは選べますか?

和漢みらいペットフードには、皮膚やアレルギーを意識したタイプを含め、年齢や悩みに応じた複数の選択肢があります。

ただし、食物アレルギーの診断目的で除去食試験をしている場合は、担当獣医師が指定した食事を優先してください。

この記事を書いた人

薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士 河邊甲介
河邊 甲介

薬剤師。
中医薬膳師。
薬膳素材専門士。
ペットフーディスト。

宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」代表。

漢方だけでなく、薬膳・腸活・食事・生活習慣まで含めた「漢方 × 薬膳 × 腸活」の視点から健康相談を行っています。

愛犬の健康についても、ペット漢方、食事、腸内環境、体質という複数の視点から情報を発信しています。

愛犬の健康は、毎日の小さな選択から。

「何を食べさせればいいの?」と迷ったら、まず体質を知るところから始めてみてください。

【ご注意】
本記事は、犬の健康管理や東洋医学・漢方について理解を深めるための一般的な情報提供を目的としています。

特定の病気の診断・治療を目的としたものではありません。

皮膚症状がある場合は、まず獣医師による診察を受けてください。

漢方薬についても、愛犬の年齢、体重、既往歴、体質、服用薬などによって適否が異なります。
自己判断で人用漢方薬を与えないでください。

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