
愛犬が鼻を鳴らしていたり、鼻水やくしゃみが続いていたりすると、「風邪かな?」「鼻がつまっているのかな?」と心配になりますよね。
犬の鼻の症状には一時的な刺激から、鼻炎・副鼻腔炎、異物、歯の病気、真菌感染、腫瘍、短頭種特有の気道構造まで、さまざまな背景が考えられます。
この記事では、犬の鼻づまりや鼻を鳴らすときに確認したいポイントを、現代獣医学と中医学の両面から整理します。
ペット漢方として検討されることがある「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」についても、どのような考え方の処方なのかを詳しく解説します。
- 犬が鼻を鳴らす・鼻づまりになる主な原因
- 動物病院への受診を急ぎたいサイン
- 鼻水の色や片側・両側から見る観察ポイント
- 中医学で考える「鼻」と肺・脾の関係
- 葛根湯加川芎辛夷が向く「証」の考え方
- 食事・腸活・生活環境からできる日常ケア
同じ鼻の症状でも、冷えやすい子、胃腸が弱い子、余分な水分がたまりやすい子など、背景はそれぞれ異なります。
ほどよい堂では、気虚・気滞・血虚・瘀血・陰虚・痰湿・陽虚・湿熱の8タイプから、愛犬の体質傾向を無料で整理できます。
犬の鼻づまり|まず確認したい「受診を急ぐサイン」
鼻を鳴らしていても元気や食欲があり、一時的に治まる場合と、呼吸そのものが苦しくなっている場合では緊急度が違います。
漢方や食事を考える前に、まず呼吸状態を確認することが大切です。
- 安静にしていても呼吸が明らかに苦しそう
- 口を大きく開けて呼吸し続けている
- 胸やお腹を大きく動かして呼吸している
- 歯ぐきや舌が青紫色・白っぽい
- ぐったりする、ふらつく、倒れる
- 鼻血が繰り返す
- 片側だけの鼻水が長期間続く
- 顔の腫れや左右差が出てきた
- 食欲が著しく低下している
犬は暑いときや運動後には、体温調節のため口を開けて「ハアハア」とパンティングします。
そのため、「犬は口呼吸ができない」ということではありません。
一方で、涼しい場所で安静にしているにもかかわらず開口呼吸が続く場合や、呼吸に強い努力が必要になっている場合は注意が必要です。
犬が「ズーズー・フガフガ」鼻を鳴らす主な原因

鼻粘膜の炎症によって分泌物が増え、鼻水・くしゃみ・鼻づまり・呼吸音などがみられることがあります。
草の種や小さな異物などが鼻腔に入ると、突然のくしゃみや片側だけの鼻水、顔を気にする仕草につながることがあります。
上顎の歯根の感染が鼻腔側まで波及し、鼻水や鼻炎の原因になる場合があります。
アスペルギルスなどの真菌が鼻腔に感染し、慢性的な鼻水・鼻血・痛みなどにつながることがあります。
とくにシニア犬で、片側から始まる鼻水や鼻血が長く続く場合には、鼻腔内の病変も鑑別が必要になります。
パグ・フレンチブルドッグ・シーズーなどの短頭種では、鼻孔や上気道が狭く、呼吸音が目立ちやすい場合があります。
鼻水やくしゃみを見るとアレルギーを想像しやすいですが、犬の慢性的な鼻症状では、感染・異物・歯科疾患・真菌・腫瘍なども確認する必要があります。
長引く場合は症状を抑えるだけでなく、「なぜ鼻の症状が続いているのか」を調べることが大切です。
鼻水・鼻づまりを見つけたときの観察ポイント
動物病院を受診するときも、飼い主さんの日頃の観察は重要な情報になります。
鼻を鳴らしている場面をスマートフォンで動画撮影しておくのもおすすめです。
突然片側だけから出る鼻水では、異物なども鑑別に入ります。
慢性的に片側から続く場合にも詳しい確認が必要です。
透明なのか、粘りがあるのか、膿のようなのか、血液が混じるのかを確認します。
「ブーブー」「フガフガ」と急に空気を吸い込むような逆くしゃみがみられることもあります。
頻度が増えた場合や長引く場合は獣医師へ相談しましょう。
鼻の症状だけでなく、食欲低下、元気消失、発熱感、眠れないなど全身状態を合わせて見ます。
安静時にゼーゼー・ヒューヒューする、首を伸ばして呼吸する、お腹を大きく使って呼吸する場合は注意してください。
中医学では「鼻」は肺と深く関係すると考えます

中医学では「肺は鼻に開竅する」と表現し、鼻は肺の状態が表れやすい場所のひとつと考えます。
ただし、中医学でいう「肺」は肺という臓器だけではなく、鼻・喉・気道・皮膚など外界との境界を守る働きまで含めた広い概念です。
さらに、体内に余分な「湿」や「痰」がたまりやすい背景には、消化吸収を担う「脾=お腹の力」の弱りが関係すると考えることがあります。
つまり鼻だけを見るのではなく、便・食欲・体質・冷え・皮膚・水分代謝などを一緒に見ることがポイントです。
鼻症状を中医学的に見る代表的なタイプ
風寒=冷えを伴う外からの刺激タイプです。
透明な鼻水、くしゃみ、冷えなどを伴うときに考えるパターンです。
痰湿=余分な水分や老廃物がたまりやすいタイプです。
鼻水が多い、体が重そう、軟便、太りやすいなどを合わせて見ます。
湿熱=余分な湿気と熱がこもったタイプです。
ベタつき、におい、赤みなど「熱」を感じるサインを参考にします。
気虚=エネルギー不足タイプです。
症状を繰り返しやすい、疲れやすい、食が細い、胃腸が弱いなどを合わせて考えます。
漢方では「鼻づまりだから全員が同じ漢方」という考え方はしません。
①どのタイプ=証なのかを整理し、②なぜその状態になっているのかを考え、③その証に合わせて治則や養生を決める「弁証論治」が基本になります。
犬の鼻づまりで検討されるペット漢方|葛根湯加川芎辛夷
かっこんとうかせんきゅうしんい
葛根湯加川芎辛夷は、「葛根湯」に川芎(せんきゅう)と辛夷(しんい)を加えた漢方処方です。
人の漢方治療では、比較的体力がある方の鼻づまり、慢性鼻炎、副鼻腔炎などに用いられています。
中医学的には、外から受けた寒さなどによって肺の働きや鼻の通りが妨げられた「風寒・鼻閉」のような状態をひとつの目安として考える処方です。
葛根湯加川芎辛夷の構成生薬
- 葛根:葛根湯の中心となる生薬
- 麻黄:発散を助ける生薬
- 桂皮:からだを温め巡りを助ける生薬
- 芍薬:筋肉の緊張などを整える方向で配合される生薬
- 大棗:胃腸を守り処方全体を調和する生薬
- 生姜:胃腸を温め発散を助ける生薬
- 甘草:処方を調和する生薬
- 川芎:血の巡りを整える方向で用いられる生薬
- 辛夷:鼻の通りを整える代表的な生薬
「川芎」と「辛夷」が鼻の症状を考えるポイント
「辛夷」はモクレン科植物のつぼみを基原とする生薬で、鼻づまりなど鼻の症状を考える際に重要な生薬です。
「川芎」は血の巡りを整える方向で用いられ、葛根湯にこの2つを加えることで、鼻の通りをより強く意識した処方になっています。
葛根湯加川芎辛夷には麻黄や甘草など複数の生薬が含まれています。
犬への使用では、体重だけでなく年齢、心臓や腎臓などの状態、現在使用している薬、体質などを確認する必要があります。
人用製品の用量を単純に体重換算して与えることは避け、ペットへの漢方に詳しい獣医師など専門家へ相談してください。
また、鼻腔異物・歯根疾患・真菌感染・腫瘍など原因そのものへの治療が必要なケースでは、漢方だけで対応するものではありません。
犬にとって「鼻」は大切な情報器官

犬は人よりも広い嗅上皮と多くの嗅神経細胞を持ち、においから非常に多くの情報を得ています。
散歩中に地面を嗅ぐ、飼い主さんやほかの犬のにおいを確認するなど、嗅覚を使う行動は犬の日常そのものです。
そのため、鼻の通りが悪い状態が続くと、呼吸だけでなく食欲や日常行動にも影響する可能性があります。
「いつも鼻を鳴らす犬だから」と決めつけず、以前より音が大きくなった、鼻水が増えたなどの変化を観察してあげましょう。
芳香剤・柔軟剤など「強い香り」も見直してみる
嗅覚が敏感な犬にとって、人には心地よく感じる香りでも強すぎる場合があります。
鼻水やくしゃみが気になるときは、芳香剤・ルームフレグランス・香りの強い柔軟剤・スプレーなど、生活環境の刺激も一度整理してみましょう。
すべてを一度に禁止する必要はありません。
まず愛犬が長く過ごす部屋では強い香りを控え、こまめに換気し、「香りを足す」よりも「空気を入れ替える」ことを基本にしてみてください。
鼻だけではなく「栄養・循環・吸収」から体調の土台を考える

鼻の病気そのものは、まず原因を調べて必要な獣医療を受けることが基本です。
そのうえで、毎日の体調管理では「どのような食事から体をつくっているか」「栄養を全身へ届けられているか」「胃腸でしっかり受け取れているか」という土台も大切です。
皮膚・粘膜・筋肉など、からだをつくる材料は毎日の食事から入ってきます。
良質なたんぱく質、脂質、ビタミン・ミネラルなどを過不足なく摂ることが基本です。
中医学では「気・血・津液」がスムーズに巡ることで、必要な場所へ栄養や潤いが届くと考えます。
良いものを食べるだけではなく、便・食欲・ガスなどを観察し、消化吸収できる胃腸の状態を整えることも大切です。
中医学では消化吸収を担う「脾」を土台として考えます。
「土が整えば気血水が生まれ、全身へ巡りやすくなる」という考え方です。
犬の腸活も「菌・エサ・菌がつくるもの」の三位一体で
腸内環境を考えるときは、善玉菌そのものを取り入れるプロバイオティクスだけに偏らず、菌のエサとなるプレバイオティクス、菌がつくる有用成分を利用するバイオジェニックスという3つの視点で考えると整理しやすくなります。
その子の便や胃腸の状態に合わせ、無理なく続けられる方法を選びましょう。
毎日の食事から整えたい方へ|和漢みらいペットフード
漢方薬だけではなく、「毎日のごはんから和漢・薬膳の考え方を取り入れたい」という飼い主さんには、和漢みらいペットフードという選択肢があります。
カロリー・たんぱく質・脂質など現代栄養学的な視点に加え、和漢素材や東洋医学的な体質ケアの考え方を食事に取り入れたペットフードです。
年齢だけでなく、胃腸・皮膚・腎臓・心臓・肝臓・膵臓・尿路・体重管理など、気になるテーマから候補を整理できます。
ただし、「病名だけ」で決めるのではなく、年齢・便・食欲・冷え・体重・体質などを合わせて選ぶことが大切です。
ほどよい堂では、和漢みらいペットフードの特徴・選び方・商品ラインナップをまとめています。
症状だけでなく、「うちの子の今の体質」を合わせて考えたい方は、下のページから確認してください。
食事を見直したら「3日・3週間・3ヶ月」で観察
からだは一度にすべてが変わるものではなく、日々少しずつ入れ替わっています。
食事や生活環境を見直したときは、「効いた・効かなかった」を短期間だけで決めず、変化を段階的に観察していきましょう。
食事への反応、便の状態、嘔吐やガスが増えていないかなど、まず胃腸との相性を見ます。
便・毛づや・食欲・元気・睡眠・散歩の様子などを記録し、日常の変化を確認します。
体重や被毛、胃腸の安定、季節による変化などを含め、長い目で今の食事が合っているかを振り返ります。
ただし、鼻血・呼吸困難・急激な食欲低下・ぐったりなどがある場合は、この観察期間を待つ必要はありません。
病気が疑われるサインは食事や漢方よりも動物病院での診断を優先してください。
犬の鼻づまり・ペット漢方についてよくある質問
Q.犬が「フガフガ」するのは鼻づまりですか?
必ずしも鼻づまりとは限りません。
逆くしゃみ、短頭種特有の気道構造、鼻炎、異物などでも似た音がすることがあります。
頻繁に繰り返す、鼻水や鼻血を伴う、呼吸が苦しそうな場合は動物病院へ相談してください。
Q.犬は鼻がつまると口で呼吸できませんか?
犬は暑いときや運動後には、口を開けてパンティングします。
ただし、涼しい環境で安静にしているのに開口呼吸が続く場合は、呼吸困難の可能性も考えて早めに受診してください。
Q.犬の鼻づまりに葛根湯加川芎辛夷を飲ませてもいいですか?
人用の葛根湯加川芎辛夷を自己判断で愛犬へ投与することはおすすめしません。
鼻づまりの原因を確認したうえで、年齢・体重・体質・持病・服薬状況などを考慮する必要があります。
ペットへの漢方使用は、獣医師など専門家へ相談してください。
Q.鼻水が透明なら様子を見ても大丈夫ですか?
一時的な透明の鼻水だけで元気・食欲が保たれている場合は経過を観察できるケースもありますが、長期間続く、片側だけ出る、くしゃみが増えるなどの場合は原因確認が必要です。
Q.鼻づまりは食事で治せますか?
異物、感染症、歯根疾患、真菌、腫瘍、気道構造などが原因の場合、食事だけで原因を治療することはできません。
食事は栄養・胃腸・体重・体質など日々の健康維持を支える土台として考え、必要な獣医療と組み合わせることが大切です。
まとめ|鼻の音だけを見るのではなく「原因+体質+食事」で考える
犬の「ズーズー」「フガフガ」といった鼻の音には、鼻炎・副鼻腔炎、異物、歯の病気、真菌、腫瘍、短頭種の気道構造などさまざまな背景があります。
まず大切なのは、呼吸が苦しくないか、鼻水が片側だけではないか、血が混じっていないかなどを確認することです。
中医学では鼻を「肺」と関係する場所として捉え、さらに消化吸収を担う「脾」や、気・血・津液の巡りまで合わせて体質を考えます。
葛根湯加川芎辛夷は、葛根湯に川芎と辛夷を加え、鼻の通りを意識した代表的な処方ですが、すべての犬の鼻づまりに同じように使うものではありません。
まず原因を確認し、そのうえで「栄養・循環・吸収」の3つの土台から毎日の生活を整えていくことが、愛犬の長期的な健康管理につながります。
「うちの子はどんな体質?」から知りたい方は無料セルフチェックへ。
「和漢を取り入れた食事を見てみたい」という方は、和漢みらいペットフードの解説ページへ進んでください。
- Merck Veterinary Manual: Rhinitis and Sinusitis in Dogs
- Merck Veterinary Manual: Rhinitis and Sinusitis in Dogs and Cats
- Cornell University College of Veterinary Medicine: Recognizing and responding to canine respiratory distress
- ツムラ: 葛根湯加川芎辛夷
※本記事はペットの健康管理に関する一般的な情報提供を目的としています。
病気の診断や治療を目的とするものではありません。
愛犬に呼吸困難、出血、急激な体調悪化などがある場合は、速やかに動物病院を受診してください。




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