慢性の頭痛、頭重感、めまいなどに効果のあるおすすめの漢方薬が『釣藤散(ちょうとうさん)』です。
高齢者に使用することが多いですが、若年者にももちろん効果があります。
なんとなく頭が重くて、よく頭痛が起こるときに何かおすすめの漢方薬あるかな?
いつも頭がスッキリしないような頭痛におすすめの漢方薬を紹介するね!
頭痛の分類にはどのようなものがあるの?
自分も頭痛持ちで「片頭痛と緊張性頭痛」に悩んでいるひとりです。
頭痛は、周りの人に分かってもらえないし頻回に起きるとつらいものです…。
緊張型頭痛とはどのような状態なの?
「緊張型頭痛」は、頭の横の筋肉や、肩や首の筋肉が緊張することで起きます。
筋肉の緊張で血流が悪くなった結果、筋肉内に老廃物がたまり、その周囲の神経が刺激されて起きる痛みです。
片頭痛とはどのような状態なの?
「片頭痛」は、何らかの理由で脳の血管が急激に拡張して起きます。
脳の血管が拡張することで、周囲の三叉(さんさ)神経を刺激し、刺激で発生する炎症物質がさらに血管を拡張して「片頭痛」を発症します。
群発頭痛とはどのような状態なの?
「群発頭痛」は、20代後半〜40代くらいの、働き盛りの、しかも圧倒的に男性に多い頭痛で、女性に起きることはまれです。家族歴もあまり関係ありません。
どちらか片方の目の奥が、「アイスピックで突き刺されるように」「焼け火ばしを当てられたように」激しく痛むのが特徴で、そのような痛みが毎日、夜中から明け方ごろの決まった時間帯に起こり、1〜2時間続きます。
【釣藤散】の生薬構成(ツムラ)
釣藤鈎(チョウトウコウ)、陳皮(チンピ)、半夏(ハンゲ)、麦門冬(バクモンドウ)、茯苓(ブクリョウ)、人参(ニンジン)、防風(ボウフウ)、菊花(キクカ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、石膏(セッコウ)
【釣藤散】の効能効果(ツムラ)
慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向のあるもの
【釣藤散】の特徴・説明
- 『釣藤散』は起床時に最も頭痛が強く、起きて体を動かしていくうちに次第に頭痛が楽になっていくような場合を目安に使用されます。
起きがけが一番つらいんだね。
- 『釣藤散』は高血圧の傾向があり、脳血管障害を罹患している場合によいとされています。
- 『釣藤散』が効くめまいのタイプはグルグル回る場合より、クラクラするような場合がよいとされています。
- 『釣藤散』の味は表現法が難しいですが、わずかに辛くて酸味があります。
釣藤鈎を含む漢方薬の抗うつ効果:安全性と効果のバランスを求めて
『抑肝散』、『釣藤散』、『七物降下湯』など、漢方薬の中には、セロトニン作用を持ち、抗うつ作用や抗不安作用を発揮するものがあります。
その中でも注目されるのが、「釣藤鈎」(チョウトウコウ)です。
最近の研究では、釣藤鈎がSSRIなどの西洋薬と同様の効果を持つことが示され、特に副作用が少ないことが高く評価されています。
小児や妊娠中の婦人、高齢者にも副作用が少ないため、安心して使用できる漢方薬として期待されています。
特に、気分障害や不安障害で不登校になった学童には、釣藤鈎が良い効果を示すことが報告されています。
一方で、日本うつ病学会の治療ガイドラインでは、新規の抗うつ剤が第一選択とされていますが、副作用を恐れる妊婦や小児、また妊娠を希望する女性らが漢方薬治療を選択するケースが増えています。
釣藤鈎は、基原植物であるカギカズラの茎を使用します。
この植物は日本でも自生しており、釣り針のような形のトゲが特徴です。
これを春と秋に採取し、陽乾や湯通しして使います。主な成分としてはリンコフィリンやガイソシジンメチルエーテル、ヒルスチンなどが含まれています。
釣藤鈎を用いた漢方薬は、症状に応じて他の生薬と併用することで効果が高まります。
臨床的な検証も進んでおり、今後の研究が期待されます。
参考文献
・釣藤散,抑肝散の中枢セロトニン受容体機能に及ぼす効果 抗うつ作用の可能性を探る:J-GLOBAL ID:200902017211158150 整理番号:87A0052074
耳鳴りの漢方薬:自然なアプローチで耳鳴りに対処しよう
耳鳴りは、突発性難聴などに伴う急性の場合を除いて、治りにくいとされています。
そのため、多くの方が耳鳴りをあきらめてしまっているかもしれません。
しかし、耳鳴りには個人差があり、軽いものから重いものまでさまざまです。
静かな環境で気になる程度のものから、仕事に支障をきたすほどひどいものまであります。
耳鳴りの治療には、耳鳴りを完全に消すことよりも、苦痛を軽減し、生活の質を向上させることが目標とされます。
このような状況において、漢方薬は自然なアプローチで耳鳴りに対処する一つの手段となります。
漢方薬は個々の症状や体質に合わせて処方され、症状の軽減や快適な生活をサポートします。
例えば、『釣藤散』や『柴胡加竜骨牡蠣湯』、『六味丸』、『牛車腎気丸』、『加味逍遙散』などの漢方薬が耳鳴りの症状を和らげる効果があるとされています。
これらの漢方薬は、体内の気の流れを整えたり、体液のバランスを整えることで、耳鳴りの原因となる要因に働きかけます。
ただし、漢方薬の効果は個人によって異なる場合があります。
また、漢方薬を服用する際には、専門医や漢方医の指導のもとで適切な処方や服用方法を確認することが重要です。
耳鳴りに悩む方々にとって、漢方薬は自然な治療法として選択肢の一つとなります。
耳鳴りが日常生活に与える影響を軽減し、快適な生活を取り戻すために、漢方薬の活用を検討してみませんか?
参考文献
・難治性の耳鳴に対する釣藤散の薬剤効果について:西田清一郎 著 · 2011
・耳鼻咽喉科疾患と漢方治療/耳鼻咽喉・頭頸部外科 特任部長 秋定 健:川崎医科大学総合医療センターHP
釣藤散の効能と適応症:高血圧やイライラに効果的な漢方薬
釣藤散は、高血圧症や動脈硬化症に伴う頭痛、ふらつき、手足のふるえ、不眠などの症状に用いられる漢方薬です。
特に、「肝陽上亢」や「痰飲」といった状態に起因するイライラや神経症の症状に効果があります。
起床時の頭痛や不眠、イライラした時の血圧上昇などに悩む方々に適しています。
肝陽上亢や肝風内動といった状態に対して、釣藤散は代表的な処方の一つです。
これらの状態が引き起こすイライラや易怒性、のぼせ、頭痛、不眠、痙攣などの症状に効果を発揮します。
また、脾虚による痰飲が肝陽上亢に乗って頭部に影響を与える場合にも、釣藤散は有効です。
漢方医学の古典である『普済本事方』にも、釣藤散が肝厥頭暈(肝に邪気が盛んで気の上逆のために起こったふらつきや目眩、神経症)を治す効果があると記されています。
頭部の症状やのぼせ、目の充血などにも効果が期待できます。
したがって、釣藤散は高血圧やイライラに伴う症状に対して有効な漢方薬であり、肝陽上亢や痰飲に起因する様々な症状の改善に役立ちます。
ただし、漢方薬は個々の体質や症状に合わせて処方されるため、専門医の指導のもとで適切な使用を行うことが重要です。
【釣藤散】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。
頭痛に『釣藤散』を用いる際のポイントは次の通りです。
- 朝に起きる頭痛
- 舌下静脈の怒張
- 頸部・肩のこり
- めまい・ふらつき感
- 耳鳴り
- 不眠
持続性知覚性姿勢誘発めまいには『釣藤散』、『抑肝散加陳皮半夏』が効果が期待できますが、自分が診た患者さん2人にはあまり効果が出ませんでした。
(引用:漢方.jp)
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)とは、3か月以上ほぼ毎日続く、ふわふわするめまいが特徴です。
歩行や乗り物で身体が揺れる、動くものや複雑な模様を見るなどの刺激で悪化します。
(引用: 戸田耳鼻咽喉科)
心臓から脳に流れる椎骨動脈の血流が悪くなり、めまい、吐き気、貧血症状を起こす椎骨脳底動脈循環不全症 (vertebro-basilar insufficiency :VBI)・H(hemodynamic)-VBIには『釣藤散』がおすすめです!
その他、『抑肝散加陳皮半夏』・『桂枝加苓朮附湯』も効果が期待できます。
(引用:漢方.jp)
初老期でうつ傾向がみられるような場合には『釣藤散』が良い場合が多いです。
『釣藤散』は漢方薬の脳循環改善薬というイメージになります。
私は高齢者のめまいにも『釣藤散』を使うことが多いです。
また、『釣藤散』には『六君子湯』骨格がふくまれているので、同時に胃の調子が良くなることも多いですね。
(引用:漢方.jp)
大塚敬節先生は『釣藤散』を緑内障にも使用していました。
(引用:漢方.jp)
突発性難聴には基本的にはステロイド剤を使用しますが、漢方薬を使用するような場合では『釣藤散』が良いような気がしています。
(引用:漢方.jp)
肝陽化風とは陰虚体質の人がストレスなどで交感神経が優位な状態(興奮状態)になって「頭痛・顔面紅潮・目の充血・口が苦い・イライラ・怒りっぽい・手足がふるえる・耳鳴り」などの上部の熱証がみられることを表しています。
熄風薬(そくふうやく)とは ”内風” で起きている「身体のふらつき・めまい・手足の震え・筋肉の引きつり・けいれん・麻痺」などを治すものを指しています。
内風とは「脳の興奮性が増大・自律神経の過興奮・脳血管のけいれん」などによって起きる上記の症状のことを表します。
ストレスが原因になっていることも多いようです。
【釣藤散】の注意点
むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。
【釣藤散】の入手方法 / 通販で買える!楽天とAmazonのおすすめ商品一覧
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
『釣藤散』は、小林製薬から「ズッキノン」という名前で販売されています。
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
漢方相談や薬膳に関するオンライン相談も提供し、遠方の方々も利用できます。
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