膀胱炎(頻尿・血尿・排尿痛)などの泌尿器系症状におすすめの漢方薬【五淋散(ごりんさん)】

五淋散

膀胱炎などの泌尿器系の症状に、おすすめの漢方薬が『五淋散(ごりんさん)』です。

ハルくん
ハルくん

排尿痛や、下腹部の不快感など、女性に多い『膀胱炎』だけど漢方薬でもよくなるのかな?

のんびり太郎
のんびり太郎

膀胱炎で原因が細菌の場合は抗生物質を使用することが大切なのですが、なかには細菌とは関係がない膀胱炎もあります。

のんびり太郎
のんびり太郎

そのような場合には、漢方薬の出番なのです。

今回は、膀胱炎に使用される漢方薬のひとつである『五淋散(ごりんさん)』について解説してみます!

ハルくん
ハルくん

膀胱炎には水分の摂取もおすすめだよ!

膀胱炎とはどんな状態なの?

排尿時に痛みを起こす最も一般的な病気は急性膀胱炎です。

急性膀胱炎は、女性に多く、頻尿(おしっこが近い)・血尿(おしっこに血が混じる)・排尿時の痛みが特徴的な症状です。

急性膀胱炎の多くは排尿の終わりごろに尿道に不快な痛みを感じます(排尿終末時痛)。

膀胱炎は特に問題となる基礎疾患がなくても、尿道から細菌が膀胱へ侵入することによって起こり、尿検査により炎症細胞(白血球)や細菌が認められますが、抗生剤治療あるいは無治療でも数日以内に完治することがほとんどです。

高熱や倦怠感などの全身症状、背部痛などを伴う場合には腎盂腎炎を併発している可能性もあり、重症化するリスクもありますので、すみやかに医療機関を受診することが必要です。

男性で排尿時の痛みを起こす病気には、前立腺炎や尿道炎があります。

                             (引用:日本泌尿器科学会

軽度の膀胱炎の対処法

軽い膀胱炎の症状(軽度の膀胱違和感)が現れた際には、以下の対処法が効果的です。

水分摂取と排尿の促進

  • 水分の摂取を増やす: たくさんの水分を摂取し、尿量を増やすことで膀胱内の細菌を尿で洗い出します。
  • こまめにトイレに行く: トイレを我慢せず、頻繁に排尿することが重要です。これにより、細菌の増殖を抑えます。

軽度の膀胱炎症状への漢方薬の利用

漢方薬特徴効果
五淋散尿路の炎症に対して消炎作用があります。尿路の不快感や炎症を和らげます。
腎仙散腎臓や膀胱の機能を改善し、尿路の健康をサポートします。尿路の炎症を抑え、尿の排出をスムーズにします。
猪苓湯利尿作用があり、腎臓や膀胱の機能を調整します。尿路の炎症を鎮め、排尿を促進します。

これらの漢方薬を服用することで、自然な方法で膀胱炎の症状を緩和し、改善することができます。

ただし、効果や副作用については医師や薬剤師に相談することが重要です。

膀胱炎の治療と抗生剤の使用

膀胱炎の症状が悪化し、自己免疫力が低下している場合や、菌の侵入が多かった場合、漢方薬だけでは菌の増殖を抑制しきれず症状が悪化することがあります。

このような場合、抗生剤の力を借りて膀胱炎を治療する必要があります。

一時的な激しい症状が消えたとしても、頻尿や膀胱違和感が続く場合は、菌がまだ残っている可能性が考えられます。

そのような場合でも、菌を排除するために抗生剤治療が推奨されます。

抗生剤の処方には医療機関での受診が必要です。

医療機関では尿検査を行い、尿中の菌の数や尿中の尿白血球の量を計測して膀胱に菌が存在するかどうかを判断します。

膀胱炎の治療において、自己免疫力が低下したり、菌の侵入が多かったりする場合は、漢方薬だけでは十分な治療が難しいことがあります。

このような場合は、医療機関での受診をして抗生剤の処方を受けることが重要です。

尿検査を通じて、膀胱に菌が存在するかどうかを確認し、適切な治療を受けることで症状を改善することができます。

まとめ

膀胱炎の軽度の症状が出た場合は、適切な水分摂取と頻繁な排尿を心がけることが大切です。

また、市販の漢方薬を併用することで、膀胱粘膜の炎症を修復し、症状の改善を図りやすくなります。

【五淋散】の生薬構成(ツムラ)

茯苓(ブクリョウ)、黄芩(オウゴン)、甘草(カンゾウ)、当帰(トウキ)、山梔子(サンシシ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、車前子(シャゼンシ)、沢瀉(タクシャ)、木通(モクツウ)、滑石(カッセキ)

【五淋散】の効能効果(ツムラ)

頻尿、排尿痛、残尿感

「膀胱炎(泌尿器系)」に使用される漢方薬

【五淋散】の特徴・説明

  • 『五淋散』は膀胱・尿道の炎症性疾患で、それほど症状が強くないようなときに使用されます。
    細菌性膀胱炎などの場合は、抗生剤と併用することが推奨されます。

  • 漢方でいう「五淋」とは「石淋・気淋・膏淋・労淋・熱淋」の5つの尿路の病態を意味し、『五淋散』はそれらの症状を改善するのに考えだされました。

  • 『五淋散』は「抗菌・抗炎症作用」「血流改善作用」「利尿作用」のある11種類の生薬で構成されています。

  • 『五淋散』の味は表現法が難しいですが、わずかに苦くて甘いです。

五淋散の効果と適応症

五淋散は、尿トラブルに対する優れた処方です。特に以下のような症状に効果があります。

効果・適応症

五淋散は、尿トラブルに対する優れた処方です。特に以下のような症状に効果があります。

  • 排尿痛
  • 残尿感
  • 頻尿
  • 小便の色が濃く(黄赤色)
  • 1回の排尿量が少ない

五淋散の名前の由来

五淋散の名前は、五種類の淋病(五淋)を治すことから来ています。ここでいう淋病は、頻尿・排尿痛・排尿の切迫状態を指し、性感染症の淋病とは異なります。

五淋の種類説明
石淋(せきりん)尿路結石
気淋(きりん)前立腺肥大、神経性頻尿
膏淋(こうりん)尿がクリーム状、米のとぎ汁状になるもの
労淋(ろうりん)過労からくる排尿異常
熱淋(ねつりん)急性の尿路感染症

反復性膀胱炎と関連処方

中年以降の女性に多い反復性膀胱炎は、冷えや免疫機能の低下が原因となることが多いです。

これらの症状に対しては以下の処方が併用されます。

症状と治療処方名
冷え症の治療当帰四逆加呉茱萸生姜湯温経湯苓姜朮甘湯真武湯
抗生剤の不要な膀胱炎症状猪苓湯猪苓湯合四物湯清心蓮子飲五淋散
免疫力の向上補中益気湯

小まとめ

五淋散は、多岐にわたる尿トラブルに対応する漢方薬であり、その優れた消炎・利尿・止血効果によって、膀胱炎や尿路感染症などの症状を効果的に緩和します。

中年以降の女性に多い反復性膀胱炎にも対応し、冷えや免疫力低下に対する治療と併用することで、さらなる効果が期待できます。

膀胱湿熱の漢方治療

「膀胱湿熱」は、湿熱邪が膀胱に凝集し、膀胱の機能を障害する状態を指します。

主な症状には排尿痛、尿意切迫、残尿感、紅い舌、べっとりとした黄色い舌苔があります。

細菌性前立腺炎でよく見られる証であり、排尿時の尿道灼熱感、排尿困難、尿失禁、血尿などもみられます。

治療方法と漢方薬

膀胱湿熱の治療には、漢方薬が効果的です。

湿熱を除去し、前立腺炎を治療します。

一般的に、以下の漢方薬が用いられます。

漢方薬名特徴効果
竜胆瀉肝湯膀胱の湿熱を除去し、前立腺炎の症状を緩和します。残尿感や下腹部痛などの症状を改善します。
猪苓湯利尿作用があり、膀胱の湿熱を除去します。尿の色が濃い、尿の勢いが弱い、排尿困難などの症状を改善します。
五淋散尿路の炎症に対して消炎作用があります。発熱、尿量減少、排尿時の熱感、排尿直後の尿漏れなどの症状を改善します。

【五淋散】のクリニカルパール

クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

『五淋散』は中医学的には”熱淋(ねつりん)”と言われる状態に使用する漢方薬です。

熱淋とは尿路系の感染症のことを指しています。

膀胱炎などの尿路系の炎症のファーストチョイスが『五淋散』ですね!

実は『五淋散』の構成生薬の過半数は抗菌・消炎作用があるものなのです。

『五淋散』は補う作用がある生薬も含まれているために急性期だけではなく慢性期の尿路疾患にも効果が期待できるのです。

また、血尿が認められる場合には『猪苓湯四物湯=猪苓湯合四物湯』『猪苓湯温清飲』の組み合わせが良いですね!

(引用:がんじゅうふぁみりー)

のんびり太郎
のんびり太郎

『五淋散』は抗菌・消炎作用が中心(黄芩、山梔子、車前子、沢瀉、木通、滑石)で、お腹を丈夫(茯苓、甘草)にしながら血を補う(当帰、地黄、芍薬)処方構成となっています。

※補う作用があるため、慢性化した状態にも使用されます。

【五淋散】の注意点

むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。

【五淋散】の入手方法

  • 病院で処方してもらう
  • ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
のんびり太郎
のんびり太郎

『五淋散(ごりんさん)』は、小林製薬から「ボーコレン」という商品名で販売されています。

ほどよい堂
河邊甲介
河邊甲介

「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。

代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。

漢方相談や薬膳に関するオンライン相談も提供し、遠方の方々も利用できます。

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