むせるような咳におすすめの漢方薬【麦門冬湯㉙(ばくもんどうとう)】

麦門冬湯

少しの刺激でもむせるように咳き込む時に、おすすめの漢方薬が『麦門冬湯(ばくもんどうとう)』です。

気道疾患全般に使用され、気道の慢性的な炎症にともなう「気道過敏性亢進」を改善します。

『麦門冬湯』は口や目の乾燥がつらい「シェーグレン症候群」の改善にも効果が期待できる漢方薬です。

ハルくん
ハルくん

のどが敏感になってちょっとしたことでも咳き込むことがあるんだけど、

何かいい漢方薬はないのかな~?

のんびり太郎
のんびり太郎

そんな時は、のどを潤す効果がある『麦門冬湯』がおすすめです!
今回は『麦門冬湯』について解説してみますね!

気道過敏症とはどんな状態なの?

出典:Sanofi公式サイト

エアコンの冷たい空気にあたったり、蚊取り線香や法事の線香の煙を吸い込んだときなどに咳込む、というご経験がある方は、気道が「敏感」になっています。

これを医学の専門用語では「気道過敏性」といいます。

気道の粘膜が荒れてしまっている状態なのです。

このような状態ですと、わずかな刺激にも敏感に反応して、気道がぎゅっと縮んでしまいます。

その結果、空気の通り道が狭くなって、咳込んだり息苦しくなったりするのです。

気道の粘膜が荒れて敏感になる原因には「炎症」があります。

季節の変わり目によって、刺激が加わったときに症状が出るのは、気道に慢性的な炎症が起きていることが原因といわれています。

        (引用:福田 健 先生、獨協医科大学 副学長 呼吸器・アレルギー内科 教授)

【麦門冬湯】の生薬構成(ツムラ)

麦門冬(バクモンドウ)、半夏(ハンゲ)、粳米(コウベイ)、大棗(タイソウ)、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)

【麦門冬湯】の効能効果(ツムラ)

痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく

【麦門冬湯】の特徴・説明

  • 『麦門冬湯』は気道過敏による「咳き込み」を改善する方剤です。
のんびり太郎
のんびり太郎

咳の特徴として、次のような症状があります。

  • 一度咳が出始めると顔面紅潮し吐きそうになる。

  • 温度差のある所の出入りで咳がでる。

  • 話始めると咳が出る。

  • 『麦門冬湯』は咳の有無にかかわらず、「声がかれやすい」ようなひとにもおすすめです。

  • 『麦門冬湯』は気道に対する「滋潤剤(うるおいを与える)」として働き、気道の粘液分泌を促進させ、気道の乾燥を防ぎます。

  • 構成生薬である「麦門冬」は、成分に「サポニン」を含み鎮咳作用・抗炎症作用などがあるとされています。

  • 『麦門冬湯』は「気管支喘息」・「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」・「嗄声」・「口腔乾燥症」・「シェーグレン症候群」などにも使用されることがあります。

  • 『麦門冬湯』は味は表現法が難しいですが、甘いです。

【麦門冬湯】のクリニカルパール

クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

松田邦夫Dr
松田邦夫Dr

『麦門冬湯』は効果発現が早いのですが、効果の持続時間が短い感じがあります。

そのため頻回投与した方が良い場合も多いです。

もし、『麦門冬湯』だけでは咳が鎮まらない場合には『小柴胡湯』を併用すると良いことがあります。

(引用:漢方.jp)

長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

『麦門冬湯』は空咳に使用されることが多い漢方薬なのですが、単独で使うことは少なく、”肺と胃を潤す” 目的で使用します。

『麦門冬湯』は咳止めの効果は弱いため、熱が出て肺が乾燥したような場合には肺を冷やす処方である『麻杏甘石湯』など併用すると効果が倍増します。

中医学的には『麦門冬湯』は ”肺気陰両虚” ”胃気陰両虚” に使用するのですが、ほとんどが ”肺気陰両虚” の人が多いですね。

(引用:がんじゅうふぁみりー)

長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

”肺気陰両虚” とは次のような症状がある場合のことになります。

肺陰虚

  • 慢性的に痰が絡んでいる:痰は少量の粘痰

  • いったん咳き込むとなかなか止まらずに顔が紅潮する

  • 喉の乾燥感と刺激感がある

  • 喉が渇く

肺気虚

  • 元気がなく、倦怠無力感、声が小さい

  • 風邪をひきやすく、長引きやすい

  • 汗をかきやすい

  • 持久力が無い

(引用:がんじゅうふぁみりー)

長嶺荒人先生
長嶺荒人先生

中医学的には ”気の働き” には次の5つの作用があると考えています。

  • 推動作用
    人体の成長・発育を主り、血と津を全身に巡らせる働き

  • 温煦作用(おんくさよう
    体温の調節と維持

  • 防御作用
    身体の抵抗力である免疫

  • 固摂作用(こせつさよう)
    汗・尿・血液・精液などが漏れ過ぎないようにする働き

  • 気化作用
    飲食物を身体に必要な形に変える働き

(引用:がんじゅうふぁみりー)

のんびり太郎
のんびり太郎

『麦門冬湯』は肺・気管支・喉を潤す作用があるので、声をよく使う人やすぐに声が枯れてしまう様な人におすすめの漢方薬です!

カラオケの前や大きな声を出さなければいけないような場合の前には予め『麦門冬湯』を飲んでおくといいですよ!

その他に『響声破笛丸(きょうせいはてきがん)』という漢方薬も普段からのどが弱かったり、声の出しすぎや歌いすぎなどでのどの調子が悪く、しわがれ声やのどに不快感があるときによく効くのでおすすめです!

【麦門冬湯】のエビデンス

  • 求心性神経の興奮抑制作用(鎮咳)

  • 気道粘膜での抗炎症作用

  • 肺サーファクタント分泌促進作用(去痰)

  • 気管支腺からの水分分泌正常化作用(滋潤)

  • アクアポリン(AQP5)に作用して咳を止めたり、唾液の分泌を調整する

(引用:芝大門いまづクリニック院長 今津嘉宏先生)

【麦門冬湯】の注意点

むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。

【麦門冬湯】の入手方法

  • 病院で処方してもらう
  • ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
のんびり太郎
のんびり太郎

小太郎漢方製薬からは【漢方せき止めトローチS「麦門冬湯」】も販売されています。

乾燥して過敏になったノドや気管・気管支は、少しの刺激でも咳を発生しやすい状況にあります。

漢方薬である麦門冬湯をトローチにすることで、直接、その成分の働きで徐々に潤してくれるというわけです。

シェーグレン症候群とはどのような病気なの?

「シェーグレン症候群」は、涙腺や唾液腺をはじめとする外分泌腺に、自己免疫による慢性炎症が生じる疾患です。

外分泌腺以外にも、複数の臓器に慢性炎症を合併することがあります。

中年発症が多く、50歳代が発症のピークですが、若年者にも発症することがあります。

男女比は1:14で女性に多い疾患です。

ハルくん
ハルくん

シェーグレン症候群は、圧倒的に女性に多い病気なんだね。

【シェーグレン症候群の症状】

中心となる症状は、口や目の乾燥です。

外分泌腺の機能低下のために「涙、唾液の分泌量が減少する」ことにより起こります。

気管分泌液や胃液分泌が減ってしまうこともあります。

これらは慢性炎症のために、外分泌腺組織が破壊されてしまうためです。

                    (引用:千葉大学病院 アレルギー・膠原病内科)

のんびり太郎
のんびり太郎

シェーグレン症候群は、直接的には命にはかかわらないけど、

つらい症状が様々出てくるんです。

出典:大阪府医師会

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