インフルエンザやかぜのような ”急性発熱性疾患の初期” におすすめの漢方薬が『麻黄湯(まおうとう)』です。
『麻黄湯』は風邪などのひき始めの寒気・悪寒戦慄が出てきて、まだ汗が出ていない様な時に使用すると効果的です。

『麻黄湯』は寒気が出た時にすぐに飲むことをお勧めします。

風邪とはどのような状態なの?
主にウイルスが原因で起こる鼻・のどの急性の感染症を「風邪」と呼びます。
風邪の原因のほとんどが細菌ではなくウイルスなのです。
風邪の原因である「ウイルス」に対して抗生物質は効果がありません。
抗生物質が効くのは「細菌」であり、「ウイルス」と「細菌」は全く別のものなのです。

「抗生物質を飲めば風邪が早く治る!」という確かなデータは世界中どこにもありません。
安易な抗生物質の乱用による「薬剤耐性菌」の出現が世界的な問題になっています。

「ウイルス」と「細菌」は全く違うものなんだね!

薬剤耐性菌とはどのようなものなの?
「薬剤耐性菌」とは抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR=Antimicrobial Resistance)を持つ細菌のことです。
薬剤耐性菌が出現しやすい条件には主に3つのケースがあります。
- 必要のない症例での抗菌薬の投与
- 必要以上の広域抗菌薬の投与
- 必要以上の抗菌薬の長期投与

次々と現れる薬剤耐性菌に対し、抗菌薬の開発が追いつかなくなってきています。
これはかなり危険な状態です。
麻黄湯(まおうとう)の生薬構成(ツムラ)
麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)、杏仁(キョウニン)、甘草(カンゾウ)
麻黄湯(まおうとう)の効能効果(ツムラ)
感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難

上から実証(体が丈夫)⇒中間⇒虚証(虚弱体質)の順で使用される漢方薬になります。
麻黄湯(まおうとう)の特徴・説明

『麻黄湯』は寒気がしたらをすぐに服用して、発汗し解熱し始めたら服用をやめるというような感じで使用するとよい漢方薬です。
『麻黄湯』服用のポイントは ”汗がにじむように出るまで” です!

- 『麻黄湯』は「麻黄」を含んでいるため、不整脈・心疾患・甲状腺機能亢進症の方が服用すると、基礎疾患の状態が悪くなることもあるので注意が必要となります。

心疾患と言っても全ても心臓病が当てはまるわけではありません。
”心房細動” がある場合が中止しなければありません。
例えば心臓弁膜症などは関係ありません。
(引用:漢方.jp)
- 『麻黄湯』は「杏仁」を含んでいるため咳を鎮める作用が期待できます。
- 『麻黄湯』の味は表現法が難しいですが、わずかに甘くて渋いです。
漢方薬(生薬)によるスポーツ選手のドーピング問題とは!


オリンピックなどで、時折耳にするようになった「ドーピング問題」ですが、アスリートが風邪の対応に服用した漢方薬が原因でドーピング検査で陽性反応が出たという事例が起きています。
”うっかりドーピング” と言われていて、風邪における漢方薬服用が原因なのです。

WADA(World Anti-Doping Agency)が発表する禁止薬物にはどのようなものがあるの?

次のようなものが、WADA(World Anti-Doping Agency)によって禁止されています。
- 常に禁止される物質:ベータ2作用薬として「ヒゲナミン」など
- 競技会(時)に禁止される物質:興奮薬としてエフェドリン、プソイドエフェドリン、ストリキニーネなど
- 特定競技において禁止される物質
エフェドリンやプソイドエフェドリンは「麻黄(まおう)」に含まれ、ヒゲナミンは「呉茱萸(ごしゅゆ)」、「細辛(さいしん)」、「丁子(ちょうじ)」、「蓮肉(れんにく)」、「附子(ぶし)」、「南天実(なんてんじつ)」などに含まれています。
風邪の引き初めにと使われる『葛根湯(かっこんとう)』や『麻黄湯(まおうとう)』には「麻黄」が含まれています。
また、鼻かぜやアレルギー性鼻炎に用いる『小青竜湯(しょうせいりゅうとう)』には「麻黄」と「細辛」が含まれ、『麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)』にはそれらに加えて「附子」も含まれています。
麻黄湯(まおうとう)のエビデンスとは

「エビデンス」とは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
- インフルエンザに『麻黄湯』を投与し、発熱時間短縮効果が認められました。
- インフルエンザ治療において『麻黄湯』と「ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル®など)」が同等の効果であることが確認されました。
麻黄湯(まおうとう)のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、とは経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。


風邪薬としての漢方薬を飲む場合のコツ・注意点があります。
「麻黄」が含まれている漢方薬の場合、効果の現れ方が ”胃内のPHの違い” で大きく異なってきます。
「麻黄」の成分であるエフェドリンはアルカロイドであるため、胃酸分泌抑制剤であるPPI・H2ブロッカーなどを併用している場合は効き目が強く現れるのです。
(引用:漢方.jp)

渡辺賢治先生
麻黄湯(まおうとう)の注意点
むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。
麻黄湯(まおうとう)の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。
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