薬剤師が解説|四十肩・五十肩と漢方
腕が上がらない。夜、肩がズキズキする。
そんな五十肩に「二朮湯」という選択肢。
二朮湯(にじゅつとう)は、医療用漢方製剤でも「五十肩」を効能・効果として持つ方剤です。
ただし、肩の痛みなら誰にでも同じ漢方が合うわけではありません。
「水の滞り」「冷え」「血の巡り」「炎症」など、体質と症状を整理して選ぶことが大切です。
ツムラ二朮湯エキス顆粒(医療用)の正式な効能・効果は「五十肩」です。
12種類の生薬から構成され、特に蒼朮・白朮・茯苓など「水の偏り」を整える方向の生薬が特徴的です。
中医学では、肩から腕にかけて重だるい、むくむ、天候によって不調が変化する、といった状態を「水滞・痰湿=余分な水分や湿が停滞しやすいタイプ」と捉えることがあります。
二朮湯は、このような考え方と相性のよい処方として整理できます。
一方で、冷えが強い人、患部に強い熱感や腫れがある人、血虚・瘀血が中心の慢性痛などでは、別の方剤を検討することがあります。
「五十肩だから二朮湯」と決めるのではなく、証=その人の体質と症状の組み合わせを確認することが大切です。
この記事で分かること
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とは何か
- 二朮湯がどのような漢方薬なのか
- 水滞・痰湿という中医学的な考え方
- 二朮湯と他の「肩・関節痛の漢方」の使い分け
- 臨床医が語る二朮湯のクリニカルパール
- 二朮湯の副作用・注意点
五十肩でも、冷え・むくみ・胃腸・体力・痛み方によって漢方の選び方は変わります。
ほどよい堂では、漢方×薬膳×腸活の視点から無料で体質を整理しています。
全国からLINE相談可能です。
相談料0円・相談だけでもOK・匿名LINE対応
- 四十肩・五十肩とは?正式には「肩関節周囲炎」
- 二朮湯(にじゅつとう)とは?五十肩に用いられる漢方薬
- 中医学で見る五十肩|二朮湯は「水滞・痰湿タイプ」がポイント
- 二朮湯だけではない|肩・関節痛に使う漢方の使い分け
- 臨床医が語る「二朮湯」のクリニカルパール
- 二朮湯には五十肩を対象とした臨床報告もあります
- 二朮湯を購入したい方へ|煎じ薬という選択肢
- 漢方だけに頼らない|五十肩は運動療法・リハビリも大切
- 五十肩で湿布を使っている人へ|ケトプロフェンと紫外線に注意
- 肩だけでなく「からだの土台」を整える|ほどよい堂の3本柱
- 二朮湯の副作用・注意点|「漢方だから安全」とは限りません
- 二朮湯と五十肩のよくある質問
- まとめ|五十肩は「肩だけ」でなく体質まで見ると漢方を選びやすい
- 参考情報・公的資料
四十肩・五十肩とは?正式には「肩関節周囲炎」
一般に「四十肩」「五十肩」と呼ばれている状態は、肩関節周囲炎と呼ばれます。
中年以降、特に50歳代に多くみられ、肩関節周囲の組織に炎症が起こることなどによって痛みや運動制限が生じます。
肩を動かしたときの痛みだけでなく、夜中にズキズキして眠れない「夜間痛」が起こることもあります。
髪を整える、服を着る、エプロンの紐を結ぶ、背中に手を回すといった日常動作が難しくなるのも特徴です。
「腕が上がらない=全部五十肩」ではありません
肩の痛みには、いわゆる五十肩以外にも、肩腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎などがあります。
症状だけでは区別が難しいこともあるため、強い痛みや明らかな筋力低下、外傷後の痛みなどがある場合は、まず整形外科で診断を受けることが大切です。
- 転倒や外傷をきっかけに急に腕が上がらなくなった
- 肩や腕に著しい筋力低下がある
- 強い腫れ・発赤・発熱を伴う
- 急激な激痛が出た
- しびれや麻痺が強い
- 胸痛・息苦しさなど肩以外の症状を伴う
二朮湯(にじゅつとう)とは?五十肩に用いられる漢方薬
二朮湯は、中国・明代の医学書『万病回春』を出典とする漢方処方です。
医療用のツムラ二朮湯エキス顆粒は「五十肩」を効能・効果として承認されています。
名前の「二朮」は、蒼朮(ソウジュツ)と白朮(ビャクジュツ)という2種類の「朮」を配合していることに由来します。
この2つに茯苓・半夏・陳皮などを組み合わせ、体内の水分や痰湿の偏りを整える方向で構成されています。
「肩にたまった湿・痰・水の停滞をさばきながら、肩から腕の巡りを整える」と考える方剤です。
※これは中医学・漢方医学上の説明モデルであり、西洋医学の「体内水分量」とそのまま同一ではありません。
二朮湯を構成する12種類の生薬
| 生薬 | 読み方 | 中医学的な役割のイメージ |
|---|---|---|
| 半夏 | ハンゲ | 痰湿をさばく・胃の働きを整える |
| 蒼朮 | ソウジュツ | 湿を取り除く |
| 威霊仙 | イレイセン | 風湿を除き、経絡の巡りを助ける |
| 黄芩 | オウゴン | 熱を冷ます方向 |
| 香附子 | コウブシ | 気の巡りを整える |
| 陳皮 | チンピ | 気を巡らせ、痰湿をさばく |
| 白朮 | ビャクジュツ | 脾を助けながら水分代謝を整える |
| 茯苓 | ブクリョウ | 脾を助け、余分な湿をさばく |
| 甘草 | カンゾウ | 処方全体を調和する |
| 生姜 | ショウキョウ | 胃を守り、巡りを助ける |
| 天南星 | テンナンショウ | 痰湿を除き、こわばりを整える |
| 羌活 | キョウカツ | 上半身の風湿を除く |
中医学で見る五十肩|二朮湯は「水滞・痰湿タイプ」がポイント
中医学では、同じ「五十肩」という病名でも全員を同じ体質とは考えません。
痛み方、冷えや熱、むくみ、胃腸の状態、天候との関係などを合わせて「証」を組み立てます。
① 証を組み立てる|水滞・痰湿タイプ
二朮湯で特に注目したいのが「水滞・痰湿」です。
水滞とは、水分の巡りが滞りやすい状態です。
痰湿とは、その滞りがさらに粘りを帯び、重だるさやむくみなどとして現れると考えるタイプです。
- 肩や腕が重だるい
- むくみやすい
- 雨の日や湿度が高い日に悪化しやすい
- 肩がカチコチして動かしにくい
- 胃が重い、食欲が安定しない
- 痰が多い、体が重い
② 背景を考える|「脾=土」が弱ると湿がたまりやすい
中医学では、消化吸収や水分代謝の中心を「脾」と考えます。
五行では脾は「土」に属します。
食べ過ぎ、甘い物・脂っこい物の摂り過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレスなどが続くと、脾の「運化=食べ物や水分を必要な形へ変えて全身へ運ぶ働き」が弱くなり、湿が残りやすくなると考えます。
つまり、「肩だけを見る」のではなく、胃腸という土台も一緒に考えるのが中医学の特徴です。
③ 治則・養生|湿をさばき、巡りを取り戻す
水滞・痰湿タイプでは、余分な湿をさばきながら、脾を助け、肩から腕の巡りを整える方向を考えます。
二朮湯はその候補のひとつです。
ただし、冷えが主役なら温める方剤、熱感や腫れが強ければ熱を冷ます方剤、血流の停滞が中心なら活血する方剤など、選択肢は変わります。
二朮湯だけではない|肩・関節痛に使う漢方の使い分け
「肩が痛い」という症状だけで処方を決めないことが、漢方選びでは重要です。
代表的な考え方を比較すると、次のようになります。
| 方剤 | 漢方的な目安 | イメージ |
|---|---|---|
| 二朮湯 | 水滞・痰湿、肩から腕の重だるさ | 湿や痰、水の停滞をさばく |
| 疎経活血湯 | 血虚・瘀血を伴う慢性的な痛み | 血を養いながら巡らせる |
| 越婢加朮湯 | 比較的体力があり、腫れ・熱感を伴う痛み | 熱と水の停滞をさばく |
| 桂枝加朮附湯 | 冷えがあり、比較的虚弱な人の関節痛 | 温めながら湿を除く |
| 葛根加苓朮附湯 | 冷えや水滞を伴う上半身の痛み | 首・肩周囲を温め巡らせる |
| 薏苡仁湯 | 関節痛・筋肉痛・神経痛など | 湿を除き関節を整える |
漢方では、病名だけではなく、寒熱・虚実・気血水・胃腸の状態を合わせて考えます。
「五十肩だから二朮湯」と一律に決めるより、自分のタイプを確認する方が合理的です。
臨床医が語る「二朮湯」のクリニカルパール
クリニカルパールとは、経験豊富な臨床家が実際の診療経験から得た、処方選択のヒントやコツのことです。
二朮湯についても、複数の臨床家が興味深い見解を示しています。
二朮湯や疎経活血湯を単独で使用しても肩・肘・膝などの痛みが十分に抜けない場合に、葛根加朮附湯を加えることで反応が良くなるケースがあると紹介されています。
つまり、水滞だけではなく「冷え」など別の証が重なっているケースでは、処方を組み合わせて考えることがあるという臨床的な示唆です。
※漢方薬の併用は生薬の重複や副作用につながることがあるため、自己判断で行わないでください。
二朮湯には麻黄や附子が含まれていないことを特徴として捉え、麻黄剤・附子剤を積極的に使いにくいケースで検討するイメージが紹介されています。
上肢の痛みに対し、体力や胃腸の状態まで考慮して選択するという視点です。
ただし、市販・薬局製剤の二朮湯では「胃腸の弱い人」などが服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談する対象となる製品もあります。
「胃が弱いから安全」と単純に判断しないことが大切です。
二朮湯の生薬構成を中医学的にみると、白朮・蒼朮・茯苓が水分の偏りを整え、威霊仙・羌活が風湿を除き、半夏・天南星が痰をさばく構成になっています。
そのため長嶺先生は、二朮湯を「水分を取り除く方向に特化した処方」として位置づけています。
肩だけを局所的に見るのではなく、体内の湿・痰・水の停滞から考える視点が特徴です。
医師の臨床経験は非常に参考になりますが、すべての人に同じ結果が得られることを意味するものではありません。
年齢、体力、基礎疾患、服用薬、証などを確認して判断する必要があります。
二朮湯には五十肩を対象とした臨床報告もあります
日本疼痛漢方研究会の会誌には、2019年に「五十肩に対する二朮湯の有効性に関する検討」という報告が掲載されています。
また、肩関節周囲炎に対する二朮湯を扱った症例報告もあります。
ただし、漢方薬の臨床エビデンスは処方によって質や量に差があります。
「研究報告がある=全員に有効」と考えるのではなく、西洋医学的な診断と漢方的な証の両方から判断することが重要です。
二朮湯を購入したい方へ|煎じ薬という選択肢
二朮湯にはエキス顆粒だけでなく、生薬を煎じて服用するタイプもあります。
指定の商品リンクでは、二朮湯の煎じ薬10日分を確認できます。
肩や上腕などに痛みがある四十肩・五十肩向けの薬局製剤です。
服用前に商品ページの効能・用法・使用上の注意をご確認ください。
※外部の楽天市場の商品ページへ移動します。
漢方だけに頼らない|五十肩は運動療法・リハビリも大切
五十肩では、痛みの強い急性期と、痛みが落ち着いてきた時期で対応が変わります。
日本整形外科学会では、急性期は安静や消炎鎮痛薬などを用い、急性期を過ぎてから温熱療法や運動療法を行うことが紹介されています。
痛みが強い時期に「動かさなければ」と無理をすると、かえって負担になることがあります。
一方、痛みが落ち着いてから全く動かさない状態が続くと、関節が固くなる原因になることがあります。
漢方は体質や全身状態を整える選択肢のひとつです。
肩関節そのものの機能回復には、状態に応じたリハビリや運動療法も重要です。
強い痛みがある場合は自己流で無理に動かさず、医療機関で相談してください。
五十肩で湿布を使っている人へ|ケトプロフェンと紫外線に注意
肩の痛みで湿布を使用している人も多いと思います。
特に注意したいのが、ケトプロフェンを含む貼付剤です。
ケトプロフェンの貼付部を紫外線に当てると、光線過敏症が起こることがあります。
貼付中だけでなく、はがした後もしばらく注意が必要です。
外出時は、濃い色の衣服やサポーターなどで貼付部を覆い、紫外線を避けることが推奨されています。
発疹・発赤・かゆみ・腫れなどが現れた場合は使用を中止し、医師・薬剤師へ相談してください。
肩だけでなく「からだの土台」を整える|ほどよい堂の3本柱
五十肩の治療そのものは整形外科的な診断・治療を基本としながら、日々の体づくりも無視できません。
ほどよい堂では、健康づくりを「栄養・循環・吸収」の3本柱で考えています。
「脾=土」を助ける食べ方
中医学では、胃腸の働きを担う「脾」は気血を生み出す土台です。
土が整えば、全身へ気血水を巡らせやすくなると考えます。
まず1つ変えるなら、食事を急いで飲み込まず「1口30回」を目安によく噛むことから始めてみてください。
噛むことは消化のスイッチを入れ、胃腸への負担を減らす第一歩になります。
味噌汁や野菜スープ、海藻、きのこ、豆類、発酵性食物繊維などを日々の定番にすることもおすすめです。
善玉菌そのものを摂る「プロバイオティクス」、菌のエサになる「プレバイオティクス」、菌が作り出す有用成分を活用する「バイオジェニックス」の3方向から腸内環境を考えていきます。
二朮湯の副作用・注意点|「漢方だから安全」とは限りません
漢方薬も医薬品です。
二朮湯にも副作用や併用上の注意があります。
甘草の重複に注意
二朮湯には甘草が含まれます。
甘草を含む他の漢方薬やグリチルリチン酸製剤を併用すると、偽アルドステロン症や低カリウム血症などのリスクが高まる可能性があります。
むくみ、体重増加、血圧上昇、脱力感、筋肉のけいれんなどがみられた場合は、服用を続けず医師・薬剤師へ相談してください。
まれでも知っておきたい重大な副作用
- 間質性肺炎
- 偽アルドステロン症
- ミオパチー
- 肝機能障害・黄疸
咳、息苦しさ、発熱、強い脱力感、黄疸など、普段と違う症状が現れた場合は服用を中止し、速やかに医療機関へ相談してください。
漢方を複数使う場合は生薬の重複を確認
二朮湯に別の漢方を追加する臨床例もありますが、これは医師や薬剤師が体質・症状・生薬量を確認したうえで行うものです。
自己判断で複数の漢方を重ねることはおすすめできません。
二朮湯と五十肩のよくある質問
Q. 二朮湯は四十肩にも使えますか?
「四十肩」と「五十肩」は年齢による俗称の違いで、一般に肩関節周囲炎を指します。
医療用二朮湯の効能・効果は「五十肩」ですが、実際の使用では病名だけでなく症状や体質を確認します。
Q. 二朮湯はどのような人に向いていますか?
中医学的には、肩や腕が重だるい、むくみやすい、湿度や天候で不調が変化するなど、「水滞・痰湿」を思わせる状態で候補になります。
ただし、実際の適否は体力・胃腸・服用薬なども含めて判断します。
Q. 二朮湯はすぐ効きますか?
反応の早さには個人差があります。
肩関節周囲炎そのものも経過が長くなることがあるため、「何日で治る」と一律には言えません。
症状が改善しない場合は漫然と継続せず、診断や処方を見直すことが大切です。
Q. 湿布や痛み止めと一緒に飲めますか?
併用できる場合もありますが、服用中の薬や持病によって判断が変わります。
処方薬、市販薬、サプリメントを含め、使用しているものを医師・薬剤師へ伝えてください。
Q. 二朮湯と疎経活血湯はどちらがよいですか?
二朮湯は水滞・痰湿を中心に考え、疎経活血湯は血虚や瘀血を伴う慢性的な痛みで候補になるなど、処方の方向性が異なります。
病名だけではなく「どう痛むか」「冷え・熱・むくみ・体力」などから選びます。
まとめ|五十肩は「肩だけ」でなく体質まで見ると漢方を選びやすい
二朮湯は、正式に「五十肩」を効能・効果として持つ漢方薬です。
蒼朮・白朮・茯苓・半夏・天南星・威霊仙などから構成され、中医学では「水滞・痰湿・風湿」を整える方向の処方として理解できます。
ただし、五十肩の背景が「冷え」なのか「熱」なのか「血の巡り」なのか「水の滞り」なのかによって、適する漢方は変わります。
また、肩腱板断裂や石灰沈着性腱板炎など、五十肩と似た症状を示す病気もあります。
強い痛みや筋力低下がある場合は、整形外科での評価を優先してください。
ほどよい堂では、薬剤師が中医学と現代栄養学の両面から体質を整理します。
漢方だけでなく、薬膳・腸活・食事・休養まで含めて「まず何から始めるか」を一緒に考えます。
宮崎県川南町・全国オンライン対応
相談だけでもOK/購入は相談後に検討できます
参考情報・公的資料
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。
診断や治療を目的とするものではありません。
症状が強い場合や長引く場合、服用中の薬がある場合は、医師・薬剤師などの医療専門職へご相談ください。



スポンサーリンク