
認知症には、色々な種類があると聞いたことがあるんだけど、詳しく教えてほしいな~。


代表的な認知症である「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」について解説してみるね!
3大認知症とは、「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」です。
なかでも一番多いのがアルツハイマー型認知症で、認知症の約7割を占めていると言われています。その次に多いのが血管性認知症で、約2割を占めています。3番目に多いレビー小体型認知症は、全体の4%を占めている認知症です。


2021年6月、米食品医薬品局(FDA)は、米製薬企業バイオジェンと日本のエーザイが開発した初期のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を承認したっていう報道を聞いたんだけどどんなお薬なの?

アルツハイマー病では、脳内に異常なたんぱく質(アミロイドβたんぱく)が蓄積して、徐々に神経が破壊されていくのです。
『アデュカヌマブ』は、このたんぱく質を除去する世界初の薬なんだ!アルツハイマー認知症の進行を長期間抑えられる可能性があり、画期的な新薬です。


ただ、新薬の費用は、米国で患者1人あたり年間5万6000ドル(約610万円)となる見通しなんだって。
どれくらいの効果が得られるかにもよるけど、日本では、アルツハイマー病の初期段階の人は200万~250万人程度いるから、医療財政を圧迫する可能性も大きいですね。

とはいえ、介護費や家族の介護負担は軽減できるメリットは大きそうだよね!

アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症は、脳に特殊なタンパク質が増えてしまうことによって、脳の神経細胞が少しずつ変質してしまって起こる認知症のことを指します。現在、治療によって完治することはないとされています。
「アミロイドβたんぱく」は、本来は分解され、脳から排出されていきます。
しかしながら、年齢を重ねると分解機能が衰えて排出されず、神経細胞に溜まって「アミロイド斑」となり、これが神経細胞を殺傷し、情報伝達が正常に行われなくなってしまうのです。

これがアルツハイマー型認知症の原因と言われています。また、若年性アルツハイマー病は、遺伝の可能性が高いとされています。
主な症状は記憶障害で、初期段階では、最近の記憶がおぼろげになり、同じことを何度も聞き返すといった症状が起こる場合があります。
進行すると、過去の記憶などにも障害が生じるのが特徴です。
さらに、物を盗まれたなどの妄想や、睡眠障害、幻覚、夜間せん妄(夜間に大声を出したり、暴れたりする症状のこと)、徘徊などが起こる人もいます。

レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症とは、脳の内部にレビー小体と呼ばれるタンパク質の塊ができることによって、脳の神経細胞の減少でなる認知症です。
レビー小体の発生は、脳の年齢的な変化によるものとされています。そのため、70代以降の高齢者に多く見られるケースが多いです。
主な症状は幻視で、これに伴う妄想なども多く見られます。例えば、実際にはいない人や小動物、虫などが見えるようになるのです。
また、転びやすくなったり、手が震えたり、動きが緩慢になったりする「パーキンソン病」を同時に現れるのも特徴です。

血管性認知症とは
血管性認知症は、脳の血管が詰まる(脳梗塞)、脳の血管が破れる(脳出血)ことによって脳が損傷し、脳の機能が阻害されて発生します。
脳内で損傷を受けている部位と、受けていない部位があるため、部分的に能力が低下する場合があります。
例えば、記憶障害があるのに、本を読む理解力はあるといったように、症状にバラつきがあるため、「まだら認知症」と呼ばれています。損傷を受けた部位によって症状が変わるため、個人差が大きく現れます。

症状にバラつきがあるので、最初のころは認知症とわかりにくい面も多いんだって。

薬剤性の認知機能障害
お薬によって一過性の認知機能障害、「せん妄」のような症状が副作用として現れる場合があります。この場合は、可逆性ですのでお薬をやめれば、元の状態にもどります。

お薬をやめれば元に戻るのだから、せん妄の原因がお薬であることに早めに気づいてあげることが大切だね!

せん妄とはどんな状態なの?
数時間~数週間の一過性に表れる意識神経障害です。症状は、妄想や幻覚・幻聴、突然暴れ出したり、話のつじつまが合わない、攻撃的になるなどが挙げられます。
高齢者の場合、認知症の症状と似ているので、アルツハイマー型認知症などと間違えられることもあります。

せん妄と認知症の鑑別は難しいとされていますが、「せん妄と認知症の違い」は次の通りです。


石原さとみさん主演のアンサングシンデレラにおいて、第4話で『薬剤性の認知機能障害』が取り上げられていましたね。


お薬が原因で認知症のような症状が出ることがあるんですよ。
せん妄のリスクを上げる薬とは

どんなお薬が認知症のような「せん妄」の状態になるの?

「せん妄」を起こしやすい代表例が次のようなお薬ですが、様々なお薬にも「せん妄」が起きる可能性はあります。
- 睡眠薬・抗不安薬
- 抗コリン作用を持つ薬

睡眠薬・抗不安薬【ベンゾジアゼピン系/BZD系】
睡眠薬・抗不安薬の中には、ベンゾジアゼピン系と呼ばれ、GABAという伝達物質を増やし眠りへ導くお薬があります。眠りを助ける働きの他に不安を和らげる作用や筋肉の緊張をほぐす作用などを併せもち、その結果、注意力や記憶力の低下、転倒のリクスを上げてしまうなどのデメリットがあります。
例)セルシン🄬(ジアゼパム)、デパス🄬(エチゾラム)、リーゼ🄬(クロチアゼパム)、コンスタン🄬・ソラナックス🄬(アルプラゾラム)、メイラックス🄬(ロフラゼブ酸エチル)など

抗コリン作用を持つ薬
・抗アレルギー薬 ・痛み止め ・吐き気止め・気管支拡張薬 ・抗不整脈薬 ・降圧剤
・抗精神薬 ・パーキンソン治療薬・副腎皮質ステロイド ・胃、十二指腸潰瘍治療薬など
「抗コリン作用」とは、「アセチルコリン」という神経と神経の橋渡しをする物質の働きを抑える作用です。脳でも働いているアセチルコリンは、記憶や注意、集中に関係していると考えられています。
そのため、抗コリン作用によって脳の活動が落ちてしまい認知機能に影響がでる場合があります。
この作用を利用して、アルツハイマー型認知症のお薬の一種に、「アセチルコリン」という神経伝達物質の減少を防ぐ作用を利用した「アセチルコリンエステラーゼ阻害剤」と呼ばれるものがあります。
例)アリセプト®(塩酸ドネペジル)、レミニール®(ガランタミン)、イクセロン®とリバスタッチパッチ®(リバスチグミン)など
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