認知症になった人に話しかけるときは、どのようなことに気を付ければいいのかな?
2020年7月31日に厚生労働省が発表したデータでは、2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳と前年に比べそれぞれ0.16歳、0.13歳延びています。これに伴って、認知症の患者数も増加傾向を辿っています。
現在の医学では、残念ながら認知症の進行を緩やかにすることは出来ても、認知症を治すことは出来ません。
認知症は、患者さん本人も罹患初期の際は大変なのですが、認知症が進行してしまった場合は、どちらかというと患者さんの家族のほうが大変な場合が多いようです。
認知症になると、患者さんは感情のコントロールが出来なくなる場合が多くなり、「喜怒哀楽」などの感情表現が大きくなってしまうため不安や焦り、怒りなどの自制が効かなくなってしまうのです。
そのため、認知症の人に対して普通の人に接するように言葉をかけてしまうと逆効果になることも多いのです。
認知症の患者さんをもつ家族など介護に携わる場合は、あまりひとりで抱え込まないようにしてくださいね。
今回紹介する「認知症の方に対する言葉かけ」は、テクニックのひとつとして捉えていただくとよさそうです。
この著書の言葉かけを参考にしていただいた後に、自分なりのアレンジを加えて活用していただいたらあなたが介護している認知症の方に対して最適・最強でかつオリジナルな『言葉かけ』が完成するような気がしました。
右馬埜 節子(うまの せつこ)さんとはどのような人なの?
右馬埜 節子さんは、認知症専門相談員として活躍されています。
1993年、中野区役所(東京都)で非常勤の認知症専門相談員として働いたのを機に介護の仕事に就くことになったようです。
その後、認知症専門のデイサービス「デイホームゆりの木中野」を立ち上げ、のちに介護者を支援する「認知症相談センター」を併設し担当したケース数は2000を超えるとのこと。
介護支援専門員や認知症ケア専門士の職務を経て、現在は東京都の「中野区地域連携型認知症疾患医療センター」で専門相談員として勤務されています。
現場の職員や介護家族向けの研修・指導・講演にも積極的に携わっておられます。
(引用:講談社ホームページ)
右馬埜 節子さんの著書『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』もおすすめです!
右馬埜 節子さん推奨の「引き算を使った言葉かけ」とは?
認知症の人は記憶や知識が無くなっていく「引き算の世界」にいるという前提が大切な認識になるとのことです。
ここでいう「引き算」とは、「ウソ(=現実とは異なること)をつくこと」と 右馬埜 節子さんは話されています。
右馬埜 節子さんによれば、私たちの世界で正しいこと(=事実)を「足し算」のように押し付けても解決にはならず、「引き算の世界」に自分が入ってあげて「説得」するのではなく、認知症の人にやりたいようにさせて「納得」させるのが良い方向へ導く方法になるというのです。
「ウソ」は知恵であり技術であると右馬埜 節子さんは表現されています。
「ウソ」=「悪いこと」ではないということなのですね。
なぜ引き算が効果的なのか?
シンプルで伝わりやすい
言葉を減らすことで、メッセージがシンプルになり、子どもが理解しやすくなります。
過度な説明や複雑な表現は、子どもを混乱させることがありますが、シンプルな言葉はダイレクトに伝わります。
ポジティブな影響を与える
肯定的な言葉は、子どもの自己肯定感を高め、ポジティブな行動を引き出します。
否定的な言葉よりも、ポジティブな言葉の方が、子どもにとって受け入れやすく、前向きな気持ちを持ちやすくなります。
自主性を促す
シンプルで具体的な言葉かけは、自ら考え行動する力を育みます。
具体的な指示や褒め言葉は、明確な目標となり、自主的な行動を促します。
認知症のひとに対応するときの十か条とは?
- 積んだ知識がこぼれてる。「足し算」やめて「引き算」で
- 説得は「ザルに水」の空しい作業
- 「生きざま」が教えてくれる介護の手ほどき
- 「揺るがぬ言い分」には、負けて勝つ
- 話は短く「点」でひと言、長い話は点々バラバラ
- 「北風と太陽」、無理強いはケガのもと
- 正直者はバカを見る。安定剤は「ウソも方便」
- 「知恵比べ」、わからず屋には知恵で応戦
- 「ありがとう」と元気の種を蒔きましょう
- 「忘れることを利用」、それが優しい関係です
『認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ』では、この十か条を実際の場面に沿って漫画形式に分かりやすく解説してあります。
認知症の方とのコミュニケーションは、理解と配慮が求められます。
次のことを意識することで、認知症の方に対応する際に役立ち、より良い関係を築き、認知症の方の生活の質を向上させることができます。
- 尊重と配慮を忘れない:
認知症の方も一人の人間として尊重することが重要です。失礼な態度や子供扱いをせず、丁寧に接しましょう。 - 明確で簡単な言葉を使う:
難しい言葉や長い説明は避け、シンプルでわかりやすい言葉を使います。短い文章で、ゆっくりと話すことを心がけましょう。 - 繰り返し説明する
同じ質問を何度もされることがありますが、根気強く何度も説明します。イライラせず、優しく対応することが大切です。 - 視覚的な手がかりを提供する
言葉だけでなく、絵や写真、身振り手振りを使って説明することで理解を助けます。視覚的な情報は認知症の方にとって有効です。 - 安心感を与える
認知症の方は不安を感じやすいので、安心感を与えることが重要です。笑顔や穏やかな声で話しかけ、身体的な接触を通じて安心感を提供します。 - 適度な距離感を保つ
過度に干渉せず、適度な距離感を保ちます。認知症の方のペースに合わせ、急かさないようにしましょう。 - 環境を整える
認知症の方が混乱しないよう、シンプルで整った環境を提供します。不要な物を減らし、分かりやすいレイアウトにすることが重要です。 - ルーチンを大切にする
毎日のルーチンを守ることで安心感を与えます。決まった時間に食事や入浴を行うなど、規則正しい生活を心がけましょう。 - ポジティブな言葉を使う
否定的な言葉を避け、ポジティブな言葉を多く使います。認知症の方の自己肯定感を高めるために、褒めることを忘れずに。 - 自分をケアする
介護者自身の健康管理も重要です。疲れやストレスを溜めないよう、自分自身のケアを怠らないことが大切です。
認知症の方に対応する際の十か条を実践することで、より良い関係を築き、彼らの生活の質を向上させることができます。
尊重と配慮を基本に、明確でシンプルなコミュニケーションを心がけましょう。
この十か条を念頭に置き、認知症の方との接し方を工夫することで、双方にとって安心で穏やかな時間を過ごすことができます。
まとめ
『認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ』は、現在、認知症のひとに携わっている、そんな頑張っているひとたちに役立ちそうな情報満載の著書でしたので一度、手にして頂くと良さそうです。
「ウソ」は知恵であり技術であると、右馬埜 節子さんは表現しています。
「ウソ」=「悪いこと」ではないということにこの著書の真髄があらわれていると思います。
これからも認知症関連のお役に立てる情報をアップしていきたいと思います!
このブログ内のカテゴリー「介護・認知症関連」をのぞいてみてくださいね。
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