予防接種は、免疫系の働きを利用して、感染症から身を守る効果的な手段です。
免疫系は、体内に侵入した病原体を検知し、攻撃するための複雑なシステムです。
予防接種は、ワクチンと呼ばれる特殊な物質を体内に導入し、免疫系を活性化させます。
ワクチンに含まれる微生物の一部や毒素は、実際の感染症を引き起こす力を大幅に弱められています。
このようにして体内に導入された微生物の一部に対して、免疫系は抗体を生成し、記憶を形成します。
この記憶によって、将来同じ微生物に再度接触した場合、免疫系は迅速に反応し、感染の発症を防ぐことができます。
予防接種は、個人だけでなく、集団全体の免疫レベルを高め、感染症の拡大を抑制する効果もあります。
2020年12月新型コロナのワクチンが完成し、イギリス・ロシアなどでは予防接種が始まりました。
臨床試験数も限定されており、新たな技術を使用したワクチンであり未知数のことも多いと思いますが一歩前進した感じがしますよね。
様々な予防接種があるけど、どうして病気を予防できるのかな?
この感染予防に重要なワクチンですが、免疫と密接な関係があるのです。
ここでは、免疫について簡単に解説してみようと思います。
免疫とはどのようなものなの?
免疫とは、自己にとっての異物(ウイルス、細菌など)を「非自己」として認識し、排除することで自己を守る防御システムです。
抗原と呼ばれる物質は、生体内で異物として認識され、抗体産生などの免疫反応を誘導します。
免疫系の構成因子にはどのようなものがあるの?
- 免疫細胞(白血球):リンパ球、好中球、マクロファージなど
- 免疫に関与する物質・分子:抗体、補体、サイトカインなど
- リンパ器官:胸腺、骨髄、リンパ節、脾臓など
免疫の種類にはどのようなものがあるの?
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類に分類するとこが出来ます。
それぞれ特徴があり得意分野が異なります。
自然免疫は、人の体に生まれつき備わっているもので、体に異物が侵入しようとするとすぐに反応して、異物の種類にかかわらず排除しようとします。
一方で獲得免疫は、自然免疫をすり抜けてきた特定の細菌やウイルスに対して反応する、第二の壁のようなものです。
自然免疫とはどのようなものなの?
自然免疫とは、非自己と認識したものに対して、無差別(非特異的)に働く免疫です。
免疫機構の一次防御として働いています。
皮膚バリア機能といわれる体表面での異物排除や、皮膚バリアを通過した細菌やウイルスに対して生体内で機能します。
この生体内での機能を炎症反応といいます。
好中球やマクロファージは、異物や細菌を貪食・殺菌します。
NK細胞がウイルス感染細胞を破壊する働きをします。
獲得免疫とはどのようなものなの?
獲得免疫とは、感染することで生後新たに獲得される免疫で、自然免疫より精密で強力な免疫反応です。
作用機序は、ある特定の異物に反応するリンパ球(T細胞・B細胞)だけが増殖して異物に対処するのです。
具体的には、B細胞が抗体を産生し、T細胞がB細胞の分化や抗体産生を誘導します。
特徴として、獲得免疫は自然免疫に続いて起こり、作用の発現までには数日間かかります。
新型コロナワクチンをはじめとする予防接種は、この獲得免疫を利用した人類の叡智ですね。
予防接種とはどのようなものなの?
予防接種とは、ウイルスや細菌などの「病原体」の力を極めて弱くしたり、病原体の一部だけを取り出したり、病原体が出す毒素を取りだして無毒化したりした『ワクチン』を注射などで身体に入れたり皮膚に付けたりすることで「免疫を獲得」して病気にならなかったり、重症化を防ぐことを目的にしたものです。
ウイルスや細菌に一度感染すると身体の中に、その病気に対する抵抗力(免疫)がついて、この記憶は身体の中に長く残ります。
このため、多くの病気は「一度かかると二度とかからない」といわれているのです。
ただし例外として、インフルエンザウイルス・コロナウイルスなど、少しずつ性質を変化させる病原体による病気は、その都度そのウイルスに合わせた「ワクチン」を接種する必要があるのです。
予防接種の種類とその仕組み
能動免疫と受動免疫の基本的な違いや仕組み、それぞれの代表的な例についてまとめました。
種類 | 仕組み | 代表的な例 |
---|---|---|
能動免疫 | ワクチンによって体の免疫系を刺激し、病原体に対する防御機構を獲得させる。 | – BCG(結核ワクチン) – 水痘ワクチン – インフルエンザワクチン – 麻疹・ムンプス・風疹ワクチン – ポリオワクチン(経口) |
受動免疫 | 抗体を直接注射して体内に導入し、病原体に対する防御機構を獲得させる。 | – 特定の微生物や毒素に対する抗体を含む動物の血液(血清) – 多数の人から収集された血液から得られる保存ヒト免疫グロブリン – 特定の病気に対する抗体を持つ人々の血液から得られる高力価免疫グロブリン |
能動免疫の仕組み
能動免疫は、ワクチンを使って免疫系を刺激し、体が病原体に対する防御機構を獲得する過程です。
ワクチンは、感染力のない微生物の断片、無毒化された毒素、または弱毒化された生きた微生物自体を含む製剤です。
ワクチンを接種することで、体の免疫系が特定の細菌やウイルスに反応し、抗体や白血球などの物質を作り出します。
これにより、体が自動的に病気を予防または軽減する免疫を獲得します。
受動免疫の仕組み
受動免疫は、抗体を直接注射して体内に導入する方法です。
これにより、体はすぐに病原体に対する防御機構を獲得します。
抗体は、特定の微生物や毒素にさらされることで人為的に免疫を獲得した動物の血液(血清)、多数の人から収集された血液(保存ヒト免疫グロブリン)、または特定の病気に対する抗体を持つ人々の血液から得られます。
受動免疫は、免疫系が適切に反応しない状況や、ワクチン接種前に感染した場合に使用されます。
ワクチンの種類について
ワクチンのタイプとそれぞれの特徴に関する情報をまとめた表です。
種類 | 特徴 | 該当するVPD |
---|---|---|
生ワクチン | 生きたウイルスや細菌の病原性を抑え、免疫を作る製剤。自然感染と同様の免疫が得られるが、免疫力は一部のワクチンでは5~10年後に追加接種が必要。 | ロタウイルス感染症、結核、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、黄熱病など |
不活化ワクチン | ウイルスや細菌の病原性を完全に除去し、免疫を作るための成分のみを含む製剤。1回の接種では免疫力が充分に得られず、一定の回数の接種が必要。 | B型肝炎、ヒブ感染症、小児の肺炎球菌感染症、百日せき、ポリオ、日本脳炎、インフルエンザ、HPV感染症など |
トキソイド | 細菌が分泌する毒素の毒性を除去し、免疫を促進する製剤。不活化ワクチンとほぼ同様の働きを持つ。 | ジフテリア、破傷風など |
mRNAワクチン | ウイルスの遺伝情報を含む新しい種類のワクチン。接種された遺伝情報をもとに、体内でウイルスのタンパク質が生成され、それに対する免疫が獲得される。一定の回数の接種や追加接種が必要。 | -新型コロナウイルス感染症(COVID-19) |
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