漢方的には体質は8つに分することが出来ます!
体質ごとに養生法は異なります。
それぞれの体質(タイプ)別に解説していきます。
”陰虚” とはどのような状態なの?
体に必要な潤いが不足すると、体内の熱を冷ますことができなくなり、微熱や乾燥といった症状があらわれやすくなります。このような状態を ”陰虚” といいます。
潤いは加齢とともに不足していきますが、睡眠不足や慢性病が原因となることもあるので注意が必要です。
陰虚体質とは血虚に ”ほてり・のぼせ(虚熱)” が加わった状態ということも出来ます。
- 肝陰虚:肝血虚によって、目のかすみ・頬が赤いなどの症状が特徴。
- 心陰虚:心血虚によって、動悸・不眠・顔が赤いなどの症状が特徴。
- 肺陰虚:肺の津液不足によって、空咳・声がかすれる・痰に血が混ざるなどの症状が特徴。
- 腎陰虚:腎虚での陰液の潤す力が低下することによって、足腰がだるい・めまい・耳鳴り・不眠・悪夢・生理の量が少ない・便秘などの症状が特徴。
”陰虚” の主な症状とは?
- のどが渇いて水分を飲みたくなる:
陰虚になると、様々な場所の粘膜が乾燥し、潤いを失います。
漢方では“粘膜は潤いを好み、乾燥を嫌う”と言われています。
呼吸器が乾燥するとのどがイガイガする、のどがむずがゆくなる、せきが出る、呼吸がしにくくなるなどのトラブルが出やすくなると考えられています。
咳は「コンコン」と乾いた咳で、痰は無いか出ても少ないのが特徴で「空咳」と呼ばれています。
- 口や鼻の粘膜が乾燥する:
口の粘膜も乾燥しやすくなり、口が乾燥する(ドライマウス)、口臭が強いなどのトラブルが起こりやすくなると漢方では考えています。
また唇も乾燥しやすく、唇がカサカサする、唇が割れやすくなります。
また、鼻の粘膜も乾燥しやすくなり、ひどいときには鼻血が出やすくなります。
- 皮膚が乾燥してカサカサになる:
皮膚も粘膜同様に潤いを好み、乾燥を嫌うと漢方では考えられています。
カサカサする、艶がなくなる、キメが荒くなる、粉をふく、かゆみが出る(乾燥性皮膚搔痒)などのトラブルが起こりやすくなると漢方では言われています。
- 便が硬くなる・尿が少なく濃い:
腸の粘膜の潤いがなくなると、便が乾燥して硬くなり、排便困難、排便痛、さらにはコロコロした兎糞便など便秘になります。
陰虚になると体内の水分が少ないため、尿として排出される水分が減少し、尿量も少なくなり、色も濃くなります。
”陰虚タイプ” におすすめの養生法とは?
激しい運動や汗のかきすぎに注意
「津液(潤い)」や「腎陰」を不足させないためには、身体から失われないようにすることが大切です。
津液は汗として失われるため、陰虚体質のひとは、激しい運動やサウナなどで汗をかきすぎるのは避けなければいけません。
過労・徹夜はNG
過労など心身を酷使する活動は「腎陰」を消費してしまうために注意が必要です。
徹夜などは腎陰が過度に消費され、睡眠によって補われるチャンスを奪われるために最悪のパターンです。
こまめな水分補給を!(飲み過ぎに注意)
こまめに水分を補給して、カラダに潤いを与えてあげましょう!
ただし、一度に多量の水分を摂ったり、摂り過ぎるのは禁物です。
陰虚の場合は漢方でいう ”気” も弱っていることが多いために、巡りが悪く津液が偏って体に悪影響が出る場合があります。
”陰虚タイプ” におすすめの食材とは?
陰虚タイプの方には、からだの水分を増やす食材が適しています。
逆に香辛料など乾燥させたり、熱を強めるような食材はNGです。
また、香味野菜など巡りを良くする食材も、潤いが足りない状態では空回りしてしまうので注意が必要です。
豚肉・鶏肉・鶏卵
タンパク質では、豚肉・鶏肉・鶏卵がおすすめです。
羊肉はダイエットに良いと言われるラム肉にはアミノ酸の一種「L-カルニチン」が含まれています。
脂肪を燃焼し、エネルギーに変える働きを促進するといわれる成分ですが、陰虚タイプの方には ”熱性” ですのでお勧めできません。
松の実・ゆり根・やまいも・れんこん・豆腐・白きくらげ
白色の食材は薬膳では五行の帰経が ”肺” にあたりますので、(鼻・のど・気管支などの呼吸器系、皮膚、粘膜、大腸など)」の働きを助けると考えられています。
糯米・オクラ・やまいも(ネバネバ系)
薬膳ではネバネバした食べものはカラダの潤いを補うと考えられています。
山芋はできるだけ「とろろ」で食べるのがおすすめです。
山芋は加熱してホクホクした状態になると気を補う働きを助ける作用に変化してしまうと言われています。
”陰虚タイプ” におすすめの漢方薬
陰虚タイプの体質は、体内の陰の不足により、体力の低下や不調が見られる傾向があります。
このタイプに適した漢方薬は、体内の陰を補い、調和を取り戻すことを目指します。
陰虚タイプの漢方薬は身体のどの部分を中心に潤すかによって、使用する方剤が変わります。
六味丸(ろくみがん)
加齢に伴う排尿障害、足腰の機能低下、皮膚のかゆみにおすすめの漢方薬が『六味丸』です。
熱感を訴える場合や暑がりの人に使用されることが多い漢方薬です。
下半身から身体深部から始まって全身に作用します。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
『六味丸』の構成成分で腎陰を補い、「知母」と「黄柏」で虚火を冷ますことにより、熱証を伴う慢性疾患を治療する際に使用されます。
清熱作用があるので、脾陽虚や腎陽虚には使用を避ける方がよい。
身体深部から身体上部に作用します。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
『杞菊地黄丸』は、「肝腎陰虚・肝陰虚」で目の症状が強い場合に使用します。
PCや携帯など、目を使い過ぎて目に栄養が届きにくく、目が疲れやすい状態におすすめです。
六味丸がベースとなっているので、疲れると手や足の裏がほてる、イライラしやすい、口が渇く、排尿困難などを伴う方に用います。
身体深部と目に作用します。
滋陰降火湯(じいんこうかとう)
気管支炎・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、”コンコンと乾いた咳(空咳)” におすすめの漢方薬が『滋陰降火湯』です。
『滋陰降火湯』は、”就寝時の咳など体が温まると咳がでる” ような場合におすすめです。
身体深部から上半身(肺)にかけて作用します。
温清飲(うんせいいん)
皮膚疾患・婦人科領域・精神神経症状など様々な症状に使用う出来るおすすめの漢方薬が『温清飲』です。
皮膚がカサカサして色つやが悪いひとに使用されることが多い漢方薬です。
尋常性乾癬やベーチェット症候群の口内炎などの粘膜疾患にも使用されることがあります。
身体深部とともに皮膚に作用します。
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
気管支炎・気管支喘息などにおすすめの漢方薬が『麻杏甘石湯』です。
ゼロゼロした咳に使用されることが多い漢方薬です。
肺や皮膚に作用します。
当帰飲子(とうきいんし)
分泌物が少なく乾燥傾向の慢性湿疹におすすめの漢方薬が『当帰飲子』です。
虚弱体質で冷え性傾向の高齢者に使用することが多い漢方薬です。
『当帰飲子』は ”老人性乾皮症” にも効果が期待できる漢方薬です。
皮膚に作用します。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
少しの刺激でもむせるように咳き込む時に、おすすめの漢方薬が『麦門冬湯』です。
気道疾患全般に使用され、気道の慢性的な炎症にともなう「気道過敏性亢進」を改善します。
『麦門冬湯』は口や目の乾燥がつらい「シェーグレン症候群」の改善にも効果が期待できる漢方薬です。
肺や胃に作用します。
麻子仁丸(ましにんがん)
”便秘症” のファーストチョイスに、おすすめの漢方薬が『麻子仁丸』です。
女性に多い辛い便秘症には漢方薬がおすすめです。
『麻子仁丸』は便秘だけではなく、色々な体の不調も一緒に改善することもあります。
腸に作用する方剤です。
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
漢方相談や薬膳に関するオンライン相談も提供し、遠方の方々も利用できます。
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