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当帰飲子は乾燥肌・かゆみに効く?血虚・冷えタイプの見分け方を薬剤師が解説

「冬になると肌がカサカサして、夜になるとかゆくなる」。
「保湿剤を塗っても、また乾いてかいてしまう」。
「冷えや疲れやすさもあり、肌そのものに元気がない気がする」。
そんな乾燥タイプの慢性的なかゆみで候補になる漢方薬のひとつが、当帰飲子(とうきいんし)です。

当帰飲子は、特に皮膚が乾燥して分泌物が少なく、冷えを伴うタイプに用いられてきた漢方処方です。
中医学では、皮膚や髪などを養う「血(けつ)」が不足した血虚=栄養・潤い不足タイプを背景に考えることがあります。

一方で、同じ「かゆみ」でも、赤みや熱感が強い、ジュクジュクする、化膿しているといった状態では、当帰飲子とは別の処方を検討することがあります。
漢方は「症状名」だけではなく、からだ全体の状態で選ぶことが大切です。

先に結論|当帰飲子が候補になりやすいのはこんなタイプ

  • 皮膚がカサカサしている。
  • 湿疹からの分泌物が少ない。
  • 秋から冬、空気が乾燥すると悪化しやすい。
  • 冷えを感じやすい。
  • 比較的体力が少ない、または高齢者の乾燥性皮膚症状。
  • 皮膚の赤みや熱感より「乾燥」と「かゆみ」が目立つ。
  • 顔色の悪さ、髪の乾燥、爪のもろさなど「血虚」を思わせる症状を伴う。

反対に、真っ赤で熱を持つ、ジュクジュクする、膿がある、急速に広がるなどの場合は、当帰飲子だけで考えない方がよいケースがあります。

「私のかゆみは当帰飲子タイプ?」と迷ったら

漢方は、同じ「かゆみ」でも乾燥・熱・湿・冷え・体力によって選び方が変わります。
ほどよい堂では、薬剤師・中医薬膳師の視点から体質を整理しています。
相談料は無料です。

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当帰飲子とは?乾燥してかゆい皮膚に使われる漢方薬

当帰飲子(とうきいんし)は、中国宋代の医学書『済生方』を原典とする漢方処方です。
現在も、乾燥傾向の湿疹・皮膚炎やかゆみに使用されています。

一般用漢方製剤では、体力中等度以下で、冷え症で、皮膚が乾燥する人の湿疹・皮膚炎やかゆみなどが適応の目安となっています。
製品によって効能・効果の表記が異なる場合があるため、実際に使用するときは必ず商品添付文書を確認してください。

ポイントは「乾燥・冷え・虚」の3つです。
当帰飲子は、皮膚症状なら何でも使う処方ではありません。
「ジュクジュクした湿疹」よりも「カサカサした湿疹」をイメージすると分かりやすくなります。

中医学では「血虚生風」タイプ|皮膚を養う血が不足した状態

中医学では、当帰飲子の適応を考える際に血虚生風(けっきょしょうふう)という考え方があります。

「血虚」とは、単純に血液量が少ないという意味ではありません。
中医学における「血」は、皮膚・髪・爪・筋肉などに栄養と潤いを届ける働きまで含めて考えます。

その「血」が不足すると、皮膚が十分に養われにくくなり、乾燥しやすくなります。
そこに「風」が生じることで、ムズムズと移動するようなかゆみや、繰り返す皮膚症状につながると考えます。

八綱弁証でみると「裏・寒・虚」が基本

当帰飲子が合いやすい人は、八綱弁証では虚証=体力や栄養が不足したタイプが中心です。
冷えがあることから「寒」の傾向も重要です。

つまり、単純に炎症を強く抑えるというよりも、不足している血を補い、皮膚を養いながらかゆみを整えるという方向性の処方と考えると理解しやすくなります。

当帰飲子を構成する10種類の生薬

当帰飲子は、当帰・地黄・芍薬・川芎などを中心とする10種類の生薬から構成されます。

生薬読み中医学的なイメージ
当帰トウキ血を補い、巡らせる。
地黄ジオウ血・陰を補い、潤いを支える。
芍薬シャクヤク血を養い、筋肉の緊張などを整える。
川芎センキュウ血の巡りを助ける。
蒺藜子シツリシ風を除き、かゆみを整える。
防風ボウフウ風による皮膚症状を整える。
荊芥ケイガイ皮膚表面の風をさばく。
黄耆オウギ気を補い、皮膚の防御を支える。
何首烏カシュウ血を養う方向に働く。
甘草カンゾウ処方全体を調和させる。

特に、当帰・地黄・芍薬・川芎は「血を補い巡らせる」方向を持つ組み合わせです。
そこに、防風・荊芥・蒺藜子などの皮膚のかゆみに用いられる生薬を組み合わせた構成になっています。

当帰飲子のクリニカルパール|臨床家はどう使い分ける?

クリニカルパールとは、経験豊富な医師・臨床家が実際の診療経験から得た、処方選択のヒントになる考え方です。
漢方では「病名」だけでなく、皮膚の見た目、季節、冷え、体力などを合わせて判断します。

増山浩一先生の見解では

皮膚のかゆみに対して、「ジクジク・夏場は消風散、カサカサ・冬場は当帰飲子」という使い分けが紹介されています。

非常に分かりやすい臨床的な目安です。
夏場に悪化し、湿気や熱感を伴ってジュクジュクするタイプと、冬場に悪化し、皮膚が粉をふくように乾燥するタイプでは、同じ「かゆみ」でも処方の方向性が変わります。

二宮文乃先生の見解では

冬の乾性皮膚炎について、当帰飲子は冷え症であまり体力がなく、目立った発疹が少なく、ふけのような落屑を伴う皮膚炎が使用目標として紹介されています。

つまり「赤く腫れて炎症が強い」ことよりも、皮膚そのものが乾いて弱っている状態が大切なポイントです。

ほどよい堂の捉え方
この2つのクリニカルパールを合わせると、当帰飲子は「乾燥・冷え・体力低下・分泌物が少ない」という4点がそろうほど検討しやすい処方と考えられます。

当帰飲子・消風散・温清飲・十味敗毒湯の違い

「皮膚のかゆみ=当帰飲子」ではありません。
皮膚の状態によって、他の漢方薬が候補になることがあります。

漢方薬選択の目安体質イメージ
当帰飲子カサカサ、乾燥、分泌物が少ない、冷え。血虚・虚証・寒証。
消風散かゆみが強く、比較的ジュクジュク・湿熱を伴う。風湿熱タイプ。
温清飲乾燥に加えて赤み・ほてり・炎症傾向がある。血虚+血熱タイプ。
十味敗毒湯比較的初期の炎症、発赤、化膿傾向などで検討される。風・湿・炎症タイプ。

この使い分けはあくまで大まかなイメージです。
実際には、舌・冷え・胃腸の状態・便通・睡眠・ストレス・服用中の薬なども含めて判断します。

漢方は「商品を選ぶ前」に体質を確認すると失敗しにくくなります

当帰飲子・消風散・温清飲のどれが自分に近いか分からない方は、購入前に一度ご相談ください。
ほどよい堂では「気・血・津液」「寒熱」「虚実」「脾胃」の状態まで整理してご提案します。

薬剤師に無料で漢方相談する

当帰飲子が合いにくい可能性があるケース

次のような場合は、当帰飲子の典型像から外れる可能性があります。

  • 皮膚が真っ赤で強い熱感がある。
  • 湿疹がジュクジュクして分泌液が多い。
  • 膿や黄色いかさぶたがある。
  • 体力が充実しており、炎症反応が非常に強い。
  • 服用すると胃が重い、食欲が落ちる、下痢する。

特に赤み・腫れ・痛み・熱感・急速な悪化を伴う場合は、感染症など漢方だけで判断すべきでない疾患もあります。
皮膚科で診断を受けることを優先してください。

老人性乾皮症とは?なぜ冬にかゆくなりやすいのか

年齢を重ねるにつれて、皮脂や汗の分泌は減少しやすくなります。
さらに角層の水分保持力も低下しやすくなり、皮膚表面のバリア機能が保ちにくくなります。

すると衣類との摩擦や乾燥した空気などの小さな刺激にも敏感になり、かゆみが生じやすくなります。
かくことでさらに皮膚バリアが傷つき、またかゆくなるという「かゆみ→掻破→炎症→さらにかゆみ」の悪循環につながります。

漢方だけでなく「外からの保湿」も大切

当帰飲子を検討する場合でも、保湿剤によるスキンケアは基本です。
入浴後は皮膚が乾ききる前に、ワセリンや保湿剤などで水分の蒸発を防ぐことが大切です。

熱すぎるお湯、強いナイロンタオル、洗浄剤の使い過ぎは皮脂を落としすぎることがあります。
「しっかり洗う」より「皮膚のバリアを残す」という視点を持ちましょう。

皮膚を内側から整える|栄養・循環・吸収の3本柱

ほどよい堂では、皮膚の養生も①栄養、②循環、③吸収=腸活の3つに分けて考えます。

① 栄養|皮膚は食べたものから作られる

皮膚は常に入れ替わっています。
その材料となるのが、タンパク質、良質な脂質、ビタミン、ミネラルなどです。

カロリーは足りていても、タンパク質・ミネラル・食物繊維などが不足する「新型栄養失調」のような食生活では、皮膚を作る材料も不足しやすくなります。

肉・魚・卵・大豆製品を偏らず取り入れ、海藻・きのこ・野菜・豆類なども組み合わせましょう。
味噌汁や具だくさんの野菜スープを毎日の定番にすると続けやすくなります。

② 循環|つくった栄養を皮膚まで届ける

中医学では「血」が皮膚を濡養すると考えます。
現代的に考えても、皮膚を作るための栄養や酸素は血流によって届けられます。

冷えや運動不足がある方は、無理のないウォーキングやストレッチ、入浴などで循環を支えることも大切です。

③ 吸収=腸活|食べるだけでなく「受け取れる腸」を整える

栄養を食べても、消化吸収の土台が弱っていれば十分に活用できません。
中医学では、この消化吸収を担う働きを「脾=土」と考えます。

土が整うことで、食べ物から気・血を作りやすくなり、全身へ届ける土台が整うと考えます。

よく噛むことは最もシンプルな腸活のひとつです。
目安として1口30回程度を意識し、食物繊維、発酵食品、海藻、きのこ、豆類などを無理なく増やしていきましょう。

腸内環境と皮膚状態との関連について研究は進んでいますが、腸活だけで湿疹や皮膚疾患が治療できるという意味ではありません。
皮膚科治療やスキンケアと組み合わせて考えることが重要です。

乾燥肌の養生は「3日・3週間・3か月」で振り返る

期間確認したいこと養生のポイント
まず3日洗いすぎ、熱い風呂、室内乾燥など。刺激を減らし、入浴後の保湿を固定する。
3週間食事・睡眠・便通・水分・ストレス。毎日の習慣として続けられる形を作る。
3か月季節変化を含めた皮膚状態や体調。漢方・栄養・腸活を含めて全体を再評価する。

これは「3日で治る」「3か月で体質が変わる」と効果を保証する意味ではありません。
小さな変化から生活習慣まで、時間軸を分けて観察するための目安です。

当帰飲子の購入方法|通販でも購入できる

当帰飲子は、医療機関で処方される医療用漢方製剤のほか、薬局やインターネットなどで購入できる一般用・薬局製剤があります。

今回ご紹介する商品は、10日分・30包に分けられた煎じ薬タイプです。
1回分ずつティーバッグ状になっており、煎じ薬を試したい方にも比較的取り入れやすい仕様です。

当帰飲子の煎じ薬を確認する

「カサカサする」「冷えがある」「分泌物の少ない慢性的なかゆみ」という方は、商品詳細と使用上の注意を確認してください。

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※上記リンクにはアフィリエイトリンクを含みます。
※購入前に効能・効果、用法・用量、使用上の注意を必ず確認してください。

当帰飲子の副作用・注意点

「漢方薬=副作用がない」というわけではありません。
当帰飲子にも注意すべき副作用や併用があります。

胃腸が弱い人は注意

当帰飲子には地黄や当帰などが含まれており、著しく胃腸が弱い方では、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などが現れることがあります。

甘草の重複に注意

当帰飲子には甘草が含まれています。
甘草を含む他の漢方薬やグリチルリチン酸製剤などを重ねて使用すると、偽アルドステロン症や低カリウム血症などのリスクが高くなることがあります。

次の症状が出た場合は医師・薬剤師へ相談してください。
むくみ。
急な体重増加。
血圧上昇。
手足のだるさや脱力。
筋肉のつっぱりやこむら返り。
発疹・発赤・かゆみの悪化。
食欲不振・胃部不快感・下痢など。

医療用の当帰飲子では、甘草由来の偽アルドステロン症や低カリウム血症に伴うミオパチーなどが重大な副作用として注意喚起されています。
他の漢方薬や医薬品を服用している方は、自己判断で追加せず、医師・薬剤師に確認してください。

妊娠中・授乳中でも飲める?

妊娠中や妊娠している可能性がある場合は、自己判断で服用しないことをおすすめします。
医療用漢方製剤でも、治療上の有益性とリスクを比較して使用を判断することになっています。

授乳中の場合も、服用の必要性と授乳継続のメリットを含め、医師・薬剤師へ確認してください。

こんな皮膚症状は先に皮膚科へ

漢方相談よりも、まず医療機関で診断を受けるべき場合があります。

  • 湿疹が急速に広がっている。
  • 強い腫れ・熱感・痛みがある。
  • 膿や黄色い浸出液が出ている。
  • 発熱を伴う。
  • 水疱が多数出ている。
  • 新しい薬を飲み始めてから発疹が出た。
  • かゆみが非常に強く眠れない状態が続いている。
  • アトピー性皮膚炎や乾癬などの診断を受けている。

漢方薬は、必要な標準治療を中断して置き換えるものではありません。
外用薬や保湿剤などと組み合わせながら、体質に応じて補助的に活用することが大切です。

当帰飲子についてよくある質問

Q.当帰飲子はどんな人に向いていますか?

皮膚が乾燥してカサカサし、湿疹からの分泌物が少なく、冷えを伴う比較的体力の少ない方が代表的な使用目標です。
中医学では「血虚=血や潤いが不足したタイプ」と考えることがあります。

Q.当帰飲子と消風散はどう違いますか?

大まかな目安では、当帰飲子はカサカサした乾燥型、消風散はかゆみが強く比較的ジュクジュクした湿熱型で検討されることがあります。
ただし実際の選択は皮膚の状態と全身体質を合わせて判断します。

Q.高齢者の乾燥肌にも使われますか?

当帰飲子は古くから、冷えや体力低下を伴う高齢者の乾燥性皮膚症状・かゆみに用いられてきた処方です。
高齢者では薬の代謝や排泄機能が低下していることもあるため、医師・薬剤師へ相談しながら使用することをおすすめします。

Q.どのくらい飲めばよいですか?

製品によって用法・用量が異なります。
必ず購入した製品の添付文書に従ってください。
一定期間服用しても改善しない場合や悪化する場合は、漫然と継続せず医師・薬剤師へ相談してください。

Q.保湿剤と一緒に使ってよいですか?

乾燥性皮膚症状では保湿ケアが基本になります。
漢方薬だけに頼らず、保湿剤や必要な外用治療と組み合わせて皮膚バリアを守ることが大切です。

まとめ|当帰飲子は「乾燥・冷え・血虚」を見極めることがポイント

当帰飲子は、乾燥した慢性的な皮膚のかゆみで古くから用いられてきた漢方薬です。

とくに、「カサカサ」「分泌物が少ない」「冷える」「体力が少ない」という特徴が重要な目安になります。

中医学では、皮膚を養う「血」が不足した血虚生風タイプを整える処方として考えます。

しかし、赤みや熱感が強いタイプ、ジュクジュクするタイプ、化膿しているタイプでは別の処方が適することがあります。

「かゆいから当帰飲子」と決めるのではなく、まず自分の皮膚が乾燥タイプなのか、熱タイプなのか、湿タイプなのかを見極めることが漢方選びの第一歩です。

乾燥・かゆみを「体質」から一緒に整理します

ほどよい堂では、漢方薬だけを見るのではなく、漢方 × 薬膳 × 腸活の視点から、今のお身体を整理します。

「当帰飲子でよいのか分からない」。
「消風散や温清飲との違いを知りたい」。
「現在飲んでいる薬との併用が気になる」。
そんな方もお気軽にご相談ください。

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薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士が対応します。
全国からオンラインでご相談いただけます。

この記事の執筆・監修
河邊甲介|薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士・ペットフーディスト。
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」代表。
漢方・薬膳・腸活を組み合わせ、体質や生活背景に合わせた健康相談を行っています。

【参考情報】
PMDA「ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)添付文書」。
厚生労働省関連資料「一般用漢方製剤製造販売承認基準」。
日本臨床漢方医会「冬の乾燥と皮膚炎/二宮文乃先生」。
漢方臨床家による消風散・当帰飲子の処方使い分けに関するクリニカルパール。

※本記事は漢方・健康に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療を目的とするものではありません。
※医療機関で治療中の方、妊娠・授乳中の方、他の医薬品や漢方薬を服用している方は、使用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。
※症状が強い場合や長期間改善しない場合は医療機関を受診してください。

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