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【2026年版】脂質異常症でも卵は食べていい?LDLコレステロールとの関係を薬剤師が解説

脂質異常症と卵の関係:コレステロールとの真実

「コレステロールが高いから卵は食べない方がいい?」
「卵は1日1個までと言われたけれど、本当?」
「食事のコレステロール制限は撤廃されたのでは?」

脂質異常症について調べていると、このような疑問を持つ方は少なくありません。
実は、卵とコレステロールの関係は「卵は悪い」「卵はいくら食べても大丈夫」という二択では説明できません。

大切なのは、現在のLDLコレステロール値、糖尿病や心血管疾患の有無、遺伝的体質、そして卵以外も含めた食事全体を見ることです。

この記事では、薬剤師・中医薬膳師の視点から、脂質異常症と卵の関係を現在の医学的知見と中医学の両面から整理します。

【先に結論】卵は「全員一律に禁止」でも「無制限にOK」でもありません

健康な人に対して「食事性コレステロールは必ず○mg以下」とする一律の上限を設定する十分な根拠はありません。
一方、高LDLコレステロール血症など脂質異常症のある人では、話が別です。

日本動脈硬化学会では、高LDLコレステロール血症の人について、LDL-Cを低下させるため食事性コレステロールを1日200mg未満にすることを推奨しています。

つまり「2015年にコレステロールの摂取上限がなくなったから、脂質異常症でも卵を好きなだけ食べてよい」という理解は正確ではありません。

脂質異常症とは?まず知っておきたい現在の診断基準

脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、non-HDLコレステロールなどに異常がみられる状態です。

とくに高LDLコレステロール血症は、動脈硬化性疾患の重要な危険因子です。
血管壁にコレステロールが蓄積しやすい状態が長く続くと、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などにつながる可能性が高くなります。

日本動脈硬化学会による主な診断基準

項目基準判定
LDL-C140mg/dL以上高LDLコレステロール血症
LDL-C120~139mg/dL境界域高LDLコレステロール血症
HDL-C40mg/dL未満低HDLコレステロール血症
トリグリセライド空腹時150mg/dL以上
随時175mg/dL以上
高トリグリセライド血症
non-HDL-C170mg/dL以上高non-HDLコレステロール血症

ただし、これらは「診断のための基準」であり、全員の治療目標が同じという意味ではありません。
年齢、喫煙、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、冠動脈疾患の既往、家族性高コレステロール血症などによって、目標値は変わります。

卵1個にはコレステロールがどのくらい含まれる?

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、生の鶏卵全卵100gには、コレステロールが約370mg含まれています。

可食部を50g程度と考えると、卵1個でおよそ185mg前後のコレステロールを摂取する計算になります。

高LDLコレステロール血症で「食事性コレステロール200mg/日未満」を目標とする場合、卵1個だけでその大部分を占める可能性があります。
卵だけではなく、レバー、魚卵、内臓類など、その日の食事全体で考える必要があります。

「食事のコレステロール制限は撤廃された」は半分正しく、半分誤解です

2015年版の「日本人の食事摂取基準」で、一般の健康な成人を対象としたコレステロールの目標量が設定されなくなったことは大きな話題になりました。

これは、食事から摂ったコレステロール量だけから循環器疾患の発症リスクを正確に説明することが難しく、一律の上限を設定する十分な根拠がなかったためです。

しかしこれは、「コレステロールはいくら食べても問題ない」という意味ではありません。

現在使われている「日本人の食事摂取基準2025年版」でも、一般の発症予防と、すでに脂質異常症がある人の重症化予防は分けて考える必要があります。

日本動脈硬化学会では、高LDLコレステロール血症の人について、コレステロール摂取を1日200mg未満に抑えることによりLDL-C低下が期待できるとしており、卵類を含めたコレステロールの多い食品の摂り過ぎに注意するよう示しています。

最新研究では「卵=心血管疾患」と単純には言えない

卵については非常に多くの研究がありますが、結果は完全には一致していません。

2025年に発表された、複数のメタ解析をさらにまとめたアンブレラレビューでは、卵摂取と健康アウトカムに関する研究には大きなばらつきがあり、全体としてエビデンスの確実性は高くありませんでした。

心血管疾患全体について「卵を食べるほど明確に発症が増える」と断定できる十分な根拠は確認されなかった一方、介入研究では卵摂取に伴いLDL-Cや総コレステロールが上昇する方向の結果も確認されています。

観察研究では地域差もみられる

2020年の大規模な系統的レビュー・メタ解析では、1日1個程度までの卵摂取と心血管疾患との明確な関連は全体として確認されず、アジアの研究ではむしろ低いリスクとの関連もみられました。

一方、別の大規模メタ解析では、卵や食事性コレステロール摂取の増加と心血管リスク上昇との関連が報告されています。

この違いには、卵そのものだけでなく、卵と一緒に何を食べているのか、飽和脂肪酸の摂取量、体重、糖尿病、喫煙、運動習慣など、多くの要因が影響していると考えられます。

「卵が悪いか?」より「誰が、どのくらい、何と一緒に食べるか?」

卵だけを善玉・悪玉食品として評価するのではなく、現在のLDL-C値や心血管リスク、食生活全体を見ることが重要です。

結局、卵は1日に何個まで食べていい?

実際の相談で最も多い疑問が、「卵は1日何個ならよいですか?」という質問です。

ここで大切なのは、医学的にすべての人へ当てはまる「1日○個まで」という絶対的な数字があるわけではないことです。

状態考え方
健康診断で脂質異常を指摘されていない人 卵だけを過度に恐れる必要はありません。
野菜、魚、大豆、海藻、きのこ、未精製穀物などを含む食事全体とのバランスを優先します。
LDL-Cが高い人 食事性コレステロール200mg/日未満が一つの目安になります。
卵1個で約185mg前後になるため、毎日の卵摂取については食事全体を見ながら調整します。
糖尿病・CKD・冠動脈疾患などがある人 心血管リスクが高くなる場合があります。
卵だけで判断せず、医師・管理栄養士などと個別に調整することが大切です。
家族性高コレステロール血症が疑われる人 食事だけでは十分に下がらない場合があります。
早期の医療評価と適切な治療が重要です。

脂質異常症では、卵だけを減らしても不十分です

LDL-C対策では、卵だけに注目するよりも、食生活全体を見直す方が重要です。

① 飽和脂肪酸を摂り過ぎていないか確認する

LDL-Cが高い場合は、食事性コレステロールだけでなく、飽和脂肪酸の摂り過ぎも重要なポイントです。

脂身の多い肉、ベーコン・ソーセージなどの加工肉、バター、生クリーム、洋菓子、菓子パンなどが毎日の定番になっていないか確認してみましょう。

「全部禁止」ではなく、まずは頻度を少し減らし、魚、大豆製品、オリーブ油などへ置き換えることから始めると続けやすくなります。

② 食物繊維を増やす

食物繊維は、LDL-Cの改善を考えるうえで重要な栄養素です。

玄米や麦、豆類、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどを毎日の食卓へ取り入れてみましょう。

「味噌汁に海藻ときのこを入れる」「白米にもち麦を混ぜる」「納豆や豆腐を1品加える」といった小さな変化でも構いません。

③ 魚と大豆を上手に使う

魚に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸や、大豆を含む食事パターンは、脂質管理を考えるうえで取り入れたい選択肢です。

「卵を食べてはいけない」と考えるより、卵料理だけに偏らず、魚・豆腐・納豆などタンパク源をローテーションする方が現実的です。

腸活から考える脂質異常症|食物繊維と胆汁酸のつながり

コレステロールは、血液だけでなく肝臓や胆汁酸の代謝とも深く関わっています。

食物繊維をしっかり摂ることは、便通を整えるだけでなく、胆汁酸やコレステロール代謝の面からも大切です。

腸活では、善玉菌そのものを摂る「プロバイオティクス」だけではなく、善玉菌のエサになる「プレバイオティクス」、発酵によって生まれる有用な代謝産物を意識する「バイオジェニックス」という3つの視点があります。

脂質異常症対策としては、まず野菜、海藻、きのこ、豆、雑穀などから発酵性食物繊維を含む食材を増やすことを優先するとよいでしょう。

さらに、一口30回程度を目安によく噛むことは、食べ過ぎを防ぐだけでなく、消化のスイッチを入れて胃腸の負担を減らすという意味でもおすすめです。

中医学では脂質異常症をどう考える?

中医学には「LDLコレステロール」という概念そのものはありません。
そのため、中医学だけで血液検査の数値を判断することはできません。

一方、脂質異常症を伴う人にみられやすい体質や生活背景を、痰湿・湿熱・瘀血・気滞・脾虚などの「証」として整理することがあります。

痰湿タイプ=余分な水分や重だるさがたまりやすいタイプ

体が重い、むくみやすい、胃がもたれる、便がすっきりしない、舌の苔が厚いなどが目立つ場合、中医学では「痰湿」を考えます。

治則は健脾化痰・利湿、つまり胃腸の働きを支えながら、余分な湿をさばく方向です。

湿熱タイプ=余分な湿と熱がこもりやすいタイプ

脂っこいものや甘いもの、アルコールが多い、体が重いのに暑がる、口が苦い、便がべたつくなどの場合は「湿熱」を考えることがあります。

治則は清熱利湿、つまり過剰な熱と湿をため込まない生活へ整えることです。

瘀血タイプ=血の巡りが滞りやすいタイプ

肩こり、頭痛、固定した痛み、冷えとのぼせ、舌の暗い色などが重なる場合は「瘀血=血の巡りが滞るタイプ」と考えることがあります。

治則は活血化瘀、つまり血の巡りを整える方向です。
ただし「瘀血だから血液がドロドロ」という単純な置き換えではありません。

脾虚タイプ=消化吸収の土台が弱っているタイプ

中医学では、胃腸の消化吸収機能を「脾=土」として捉えます。

疲れやすい、食後眠くなる、胃もたれしやすい、軟便になりやすいといった傾向があれば、脾の弱りが背景にあることがあります。

「脾は生痰の源」とも考えられ、消化吸収の土台が乱れると痰湿を生みやすいというのが中医学の考え方です。

ほどよい堂では、この「脾=土」の考え方と現代の腸活をつなぎ、食べる内容だけでなく、噛むこと、便通、睡眠、ストレス、食べる時間なども含めて整理します。

「LDLが高いけれど、何から変えればいい?」という方へ

卵をやめるべきかどうかだけではなく、食事・胃腸・体質・生活習慣を一緒に整理すると、改善ポイントが見つけやすくなります。
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」では、薬剤師が漢方・薬膳・腸活の視点から無料で健康相談を行っています。

薬剤師に無料相談する

ほどよい堂式|脂質管理を「栄養・循環・吸収」の3本柱で考える

① 栄養|細胞の材料を整える

脂質異常症だからといって、脂質やタンパク質を極端に減らすことが正解とは限りません。

とくに高齢者では、厳格すぎる食事制限によって低栄養へ傾かないよう注意が必要です。

良質なタンパク質、魚由来の脂質、ビタミン・ミネラル、食物繊維、フィトケミカルなどを不足させないことも大切です。

② 循環|届ける力を整える

食事だけでなく、日常的に体を動かすことも重要です。

いきなり激しい運動を始めるより、食後の散歩、買い物で歩く距離を増やす、座りっぱなしの時間を減らすなど、続けられる方法から始めてみましょう。

③ 吸収=腸活|食べたものを受け取れる土台を整える

野菜、海藻、きのこ、豆、発酵食品などを組み合わせ、腸内細菌のエサとなる食物繊維を確保します。

味噌汁や野菜スープを「毎日の定番」にすると、比較的取り入れやすくなります。

まず何を変える?3日・3週間・3か月で考える脂質対策

最初の3日|まず食卓を観察する

卵だけを数えるのではなく、ベーコン、加工肉、バター、菓子パン、洋菓子、乳脂肪、揚げ物なども含めて確認してみましょう。
味噌汁に海藻・きのこを加えるなど、食物繊維を1品増やすところから始めます。

3週間|無理なく続く習慣へ

卵・肉・魚・大豆をローテーションし、同じタンパク源ばかりに偏らないようにします。
食後に少し歩く、よく噛む、夜遅い食事を減らすなど、自分が続けられる行動を2~3個に絞ります。

3か月|数値と体調を振り返る

医療機関から再検査を指示されている場合は、LDL-C、HDL-C、TG、non-HDL-Cなどの変化を確認します。
「頑張ったのに下がらない」場合は、遺伝的要因、甲状腺機能、糖尿病、腎疾患、薬剤など別の原因がないか医療機関で評価することも重要です。

「コレステロールの薬を飲むと死亡率が上がる」は本当?

インターネットや週刊誌などでは、「コレステロールを下げ過ぎると危険」「スタチンを飲むとかえって死亡率が上がる」といった情報を見かけることがあります。

しかし、ここでは観察研究と薬による介入試験を分けて考える必要があります。

重い病気や低栄養などによってコレステロール値が低くなっている人は、もともと死亡リスクが高い場合があります。
このようなケースを単純に「コレステロールが低いから死亡した」と解釈すると、原因と結果を逆に考えてしまう可能性があります。

一方、スタチンなどを用いてLDL-Cを低下させる臨床試験では、適切な対象に使用することで心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントを減らすことが示されています。

日本動脈硬化学会も、LDL-C低下療法の第一選択薬としてスタチンを位置づけています。
必要に応じてエゼチミブなどの小腸コレステロールトランスポーター阻害薬やPCSK9阻害薬などを組み合わせることがあります。

処方されている脂質異常症治療薬を、記事やSNSの情報だけで自己判断して中止しないでください。
筋肉痛などの副作用が疑われる場合や治療への疑問がある場合は、処方医・薬剤師へ相談して調整することが大切です。

こんな場合は「卵の量」より先に医療機関へ相談を

  • LDL-Cが180mg/dL以上など、かなり高い値が続いている。
  • 若い頃からコレステロールが高い。
  • 家族に若年性心筋梗塞や家族性高コレステロール血症の人がいる。
  • 糖尿病、CKD、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などがある。
  • 急にコレステロール値が上昇した。
  • 生活習慣を改善しても数値がほとんど変わらない。

とくに家族性高コレステロール血症や甲状腺機能低下症などでは、食事だけを頑張っても十分に改善しない場合があります。

脂質異常症と卵についてよくある質問

Q.健康な人も卵は1日1個までですか?

一律に「全員1日1個まで」とする現在の基準があるわけではありません。
健康状態と食生活全体で考えます。

Q.LDLコレステロールが高くても毎日卵を食べてよいですか?

高LDL-C血症では、食事性コレステロール200mg/日未満が目安とされています。
卵1個で約185mg前後となるため、毎日食べる場合は他の食品を含む1日の総量を考える必要があります。

Q.卵をやめればLDLは下がりますか?

下がる人もいますが、卵だけが原因とは限りません。
飽和脂肪酸、体重、遺伝、糖尿病、甲状腺機能、運動不足なども影響します。

Q.卵白だけならどうですか?

卵のコレステロールの多くは卵黄に含まれます。
タンパク質を確保したい場合、全卵と卵白の使い分けを考える方法もあります。

Q.中医学だけで脂質異常症を改善できますか?

脂質異常症は血液検査による評価と心血管リスク管理が基本です。
中医学は、痰湿、瘀血、脾虚などの体質を整理し、食事・睡眠・運動・ストレスなどの養生を組み立てる補助的な視点として活用するのが適切です。

まとめ|卵を悪者にするより「食事全体」と「自分のリスク」を見る

卵は、良質なタンパク質をはじめ、さまざまな栄養素を含む食品です。
その一方で、卵黄には比較的多くのコレステロールが含まれています。

現在の研究からは、健康な人が適量の卵を食べること自体を一律に禁止する根拠は十分ではありません。

しかし、高LDLコレステロール血症の人まで「卵はいくら食べても大丈夫」と考えるのは適切ではありません。

脂質異常症では、卵だけではなく、飽和脂肪酸、食物繊維、魚や大豆の摂取、体重、運動、喫煙、睡眠、ストレスなどを含めた全体像を見ることが重要です。

中医学では、さらに「痰湿」「湿熱」「瘀血」「脾虚」など、その人の体質を重ねて考えます。

卵を禁止することより、まず自分のLDL-C値と食生活を知る。
そこから無理なく続けられる一歩を選んでいきましょう。

検査値と体質の両方から食生活を整理したい方へ

ほどよい堂では、漢方だけに偏らず、食事・薬膳・腸活・服用薬・生活習慣を含めて一緒に整理します。
「LDLが高かったけれど何を食べればいいの?」という段階からでもご相談いただけます。

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参考資料・エビデンス

  1. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
    日本動脈硬化学会公式サイト
  2. 日本動脈硬化学会「脂質異常症診療のQ&A」
    脂質異常症診療のQ&A
  3. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患の発症を予防するためには?」
    一般向け動脈硬化予防情報
  4. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
    厚生労働省
  5. 文部科学省「食品成分データベース・鶏卵 全卵 生」
    食品成分データベース
  6. Effect of egg consumption on health outcomes: An updated umbrella review of systematic reviews and meta-analysis of observational and intervention studies. 2025.
    PubMed
  7. Drouin-Chartier JP, et al. Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review, and updated meta-analysis. BMJ. 2020.
    PubMed
  8. Zhao B, et al. Associations of Dietary Cholesterol, Serum Cholesterol, and Egg Consumption With Overall and Cause-Specific Mortality. Circulation. 2022.
    PubMed

医療情報について
本記事は一般的な健康情報を提供するもので、個別の診断や治療を目的としたものではありません。
検査値の異常を指摘されている方、心血管疾患・糖尿病・腎疾患などの治療中の方は、主治医や医療専門職へご相談ください。

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