循環器系の専門病院では『BNP』『ANP』という血液検査をすることも多いです。
いったい何を調べているのという疑問にお答えしていきます。
『BNP』とはbrain natriuretic peptideの略で脳性ナトリウム利尿ペプチドのことです。
『ANP』とはatrial natriuretic peptideの略で心房性ナトリウム利尿ペプチドのことです。
ANPとは
ANP(Atrial Natriuretic Peptide、心房性ナトリウム利尿ペプチド)は、主に心房から分泌されるホルモンで、体内の水分バランスや血圧の調整に重要な役割を果たします。
ANPの生理学的役割
- 分泌のメカニズム:
- 心房が拡張する際にANPが分泌されます。心房の拡張は、血液量が増加したり、血圧が上昇したりしたときに起こります。
- 心房が拡張する際にANPが分泌されます。心房の拡張は、血液量が増加したり、血圧が上昇したりしたときに起こります。
- 作用:
- 利尿作用: ANPは腎臓に作用してナトリウムと水分の排出を促進します。これにより、血液量が減少し、血圧が低下します。
- 血管拡張作用: ANPは血管を拡張させる効果があり、これも血圧の低下に寄与します。
- レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の抑制: ANPはこの系統を抑制し、結果として血圧を下げる効果があります。
ANPの臨床的意義
- 心不全の診断と評価:
- ANPの血中濃度が上昇している場合、心房の負荷が増していることを示唆します。これは、心不全などの心疾患の指標となります。
- BNPと同様に、ANPも心不全の重症度の評価や治療効果のモニタリングに用いられることがあります。
- 高血圧の管理:
- 高血圧の患者では、ANPのレベルを測定することで、心臓への負荷を評価することができます。
ANPとBNPの違い
- 分泌部位:
- ANPは主に心房から分泌されます。
- BNPは主に心室から分泌されます。
- 役割と作用:
- 両者ともに利尿作用、血管拡張作用、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の抑制作用を持ちますが、BNPは心室の機能や負荷に関する情報をより反映します。
- ANPは心房の状態や負荷をより反映します。
ANPの測定とその意義
- 測定方法:
- ANPの濃度は血液検査で測定されます。通常、採血によって行われます。
- ANPの濃度は血液検査で測定されます。通常、採血によって行われます。
- 臨床での利用:
- ANPの測定は、心不全や高血圧の診断、評価において有用です。
- ANPの値が高い場合、心房に負荷がかかっている可能性が高く、心不全の疑いがある場合には特に注意が必要です。
ANPの正常値と異常値
- 正常値:
- ANPの正常値は個々の検査機関や方法によって異なりますが、一般的には20-77 pg/mL程度とされています。
- ANPの正常値は個々の検査機関や方法によって異なりますが、一般的には20-77 pg/mL程度とされています。
- 異常値:
- ANPの値が上昇している場合、心不全、心房細動、腎不全などの疾患が疑われます。
- 逆に、ANPの値が低い場合、特定の疾患の可能性を除外するためにさらなる検査が必要になることがあります。
小まとめ
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)は心房から分泌されるホルモンで、主に体液バランスや血圧の調整に関与しています。
利尿作用や血管拡張作用を通じて血圧を下げる役割を持ち、心不全や高血圧の診断や評価において重要な指標となります。
ANPの測定は、心臓の負荷や機能を評価するための重要なツールです。
BNPは何の指標?
ANPは心房が、BNPは心室が分泌する循環調整ホルモンであり、心臓の負荷が増えたり、心筋の肥大が起こるとANP・BNPの血液濃度が増加します。
本来、BNPは利尿作用、血管拡張作用、レニン・アルドステロン分泌抑制、交感神経抑制、肥大の抑制などの作用があって、心筋を保護するように働くホルモンです。
現在、BNPは治療薬ではなく、心不全の生化学的マーカーとして広く臨床現場で用いられており『慢性心不全治療ガイドライン』の心不全の診断の項にも記載されています。
高齢社会においては高血圧や虚血性心疾患など、心臓病の有病者は増えつつあり、心臓病の早期発見、早期治療が重要です。
心疾患のスクリーニングとして、人間ドックや健診などでは心電図がよく用いられますが、心電図だけでは検出できない心臓病の早期発見にBNPの測定は有用とされています。
また、心臓病の診断がついてすでに治療を受けている患者さんにおいては、その治療効果の判定や予後の推定などにもとても役立っています。
心不全は高血圧による心肥大、虚血性心疾患(心筋梗塞など)、弁膜症、心筋症などのいろいろな病気によって起こる症候群と考えられています。
心不全の症状としては息切れ、疲れやすい、咳や呼吸困難、浮腫みや食欲低下など様々ですが、中には加齢や運動不足、喫煙による肺の問題などと思われていることもあります。
それらの症状が心不全によるものかどうか区別するのに有用です。
慢性腎不全、透析、肝硬変、甲状腺機能亢進症など心臓病以外でも上昇する場合があり、値が高い場合には、専門医で精密検査を受ける必要があります。
血漿BNP値の基準値は18.4pg/ml以下です。
大まかには18.5~39pg/mlは要経過観察、40~99pg/mlは心疾患の疑いがあるので要精密検査、100pg/ml以上の場合は治療を要する心不全の疑いがあるので専門医に相談する必要があります。
心房細動などの不整脈があると100 pg/ml近くに上昇することがあります。
急性心不全で緊急入院が必要な場合には500pg/ml以上に上昇したり、また、心臓移植が必要なほど重症の心不全の例では1000pg/mlを超えることもあります。
各種の心不全の治療を行うことによりBNP値も減少してくるので、その値を目安に薬の種類や量の調整が行われます。
BNPの臨床的意義
BNPの血中濃度を測定することは、心不全の診断や重症度の評価、治療効果のモニタリングにおいて非常に重要です。
- 心不全の診断
- 急性心不全:
急性心不全の患者では、心臓が十分な血液を送り出せなくなるため、心臓に負荷がかかり、BNPの分泌が増加します。高いBNPレベルは心不全の可能性を示唆します。 - 慢性心不全:
慢性心不全の患者でもBNPレベルは上昇しますが、急性心不全ほど急激ではありません。
- 急性心不全:
- 重症度の評価
- BNPの値が高いほど、心不全の重症度が高いとされます。例えば、BNP値が100 pg/mL未満の場合は心不全の可能性が低く、400 pg/mL以上の場合は心不全の可能性が高いと考えられます。
- BNPの値が高いほど、心不全の重症度が高いとされます。例えば、BNP値が100 pg/mL未満の場合は心不全の可能性が低く、400 pg/mL以上の場合は心不全の可能性が高いと考えられます。
- 治療効果のモニタリング
- 心不全治療の効果を評価するために、治療前後でBNPの値を比較します。治療が効果的であれば、BNPの値は低下する傾向があります。
BNPと心臓の機能
BNPは心室が伸展(拡張)する際に主に分泌されます。これは、心臓が血液を送り出す際に高い圧力がかかるときに特に顕著です。
このため、BNPは心臓の負荷状態を反映する指標として有用です。
BNPの検査
BNPの血液検査は比較的簡単で、少量の血液サンプルを採取するだけで済みます。
検査結果は通常数時間から1日以内に得られます。
高BNP値の原因
BNP値が高くなる主な原因は心不全ですが、他にも以下のような要因があります。
- 急性冠症候群
- 心房細動
- 肺高血圧症
- 心筋梗塞
- 慢性腎臓病
低BNP値の意義
逆に、BNP値が低い場合は、心不全の可能性が低いことを示します。
ただし、完全に心不全を除外できるわけではなく、他の臨床的評価と組み合わせて総合的に判断する必要があります。
まとめ
BNPは心臓から分泌されるホルモンで、心不全の診断、重症度評価、治療効果のモニタリングにおいて重要な指標です。
BNP値の上昇は心臓の負荷やストレスを反映し、心不全などの心疾患の診断に役立ちます。
BNP検査は簡単に行えるため、心不全の疑いがある場合には広く利用されています。
BNP値測定は、①心疾患のスクリーニング、②心不全の重症度評価、③心不全に対する治療効果判定、④心不全患者の予後予測指標などに有用とされています。
(参考文献:日本心不全学会)
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
漢方相談や薬膳に関するオンライン相談も提供し、遠方の方々も利用できます。
また、わんこの健康も見逃しません。
わんこ腸活に関するアドバイスも行っています。
「ほどよい堂」で、健康に関する様々な疑問や悩みを解決しませんか?
コメント