以前、表題のような「ダマされるな!医者に出されても飲み続けてはいけない薬」という記事が週刊誌などに掲載され、色々な議論を呼んでいました。
実際、自分が勤務している薬局でも「私もこの薬を飲んでいるんだけど・・。
飲んではいけないと雑誌に書いてありました」と患者さんが話されることが何度もありました。
しかし、この週刊誌の記事は人目を惹くために、”薬のネガティブな部分だけを極端に強調した”非常に偏った内容のものとも言えます。
読み物のタイトルとしては刺激的で興味をそそられるよね・・。
当然ながら、発行部数をあげるための編集社の戦略なんだけどね!
ただ、ひとつ間違いないことは、この週刊誌を根拠に患者さんが薬を勝手に中断し、治療中の病気が再発・悪化しても、週刊誌は一切責任をとってくれないということです。
自己判断で勝手に薬をやめたりはせず、薬に関する疑問や不安を感じた場合には、必ず主治医・薬剤師に相談するようにしてくださいね。
新型コロナワクチンの情報についてもSNSなどで同じようなことが起きているね。
どんな薬やワクチン、医療でも100%安全ってものは存在しないってことは、当然のことだよね。
特に、TwitterなどSNSでは、自分が検索した情報と似たような情報が次第と集まってくるような仕組みになっていることは常に理解して頭の片隅に置いておくことが大切だと思います。
このような状態を「フィルターバブル」と言うんだって!
フィルターバブル (filter bubble) とは、「インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムが、各ユーザーが見たくないような情報を遮断する機能」(フィルター)のせいで、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなることなんだよ。
当たり前の話ですが使い方を間違えれば、どんなものでも危険なものになる!【どんなものでも使い方が大切!】
薬は使い方を間違えれば間違いなく危険なものです。
『クスリはリスク』と言われる所以ですね。しかし、それは別に薬に限ったことではありません。
例えば、みんな「自動車」に乗って移動しているけど、事故にあったり、走っている「自動車」にぶつかったら死んでしまう。だから自動車に乗るのはやめましょう!
こんな論説と同じような感じで、雑誌の記事やSNSには極端な表現の場合もあるんだよね。
確かに、薬には『副作用』もあり、使い方を誤ると危険なものであることに違いはありませんし否定もしません。
だから、医師や薬剤師といった専門家の話をきちんと聞いて、正しく使う必要があるのです。
仮に ”ゼロリスク症候群” や ”ゼロリスク信仰” と言われる「危険な面がちょっとでもあるなら使わない」というのであれば、事例の優先順位や価値観がそれぞれ異なるとしても、極論をいえば明日から自動車も電気もガスも、火でさえ…、結局のところ何も使えなくなってしまいます。
【自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋】池田清彦著
明石家さんま司会の『ホンマでっか!? TV』でおなじみの生物学者・池田清彦氏が、日本人に多い「徹底的にゼロを求めるリスクゼロ幻想」について執筆されていました。
生物学者・池田清彦先生。
言い方を変えれば、なんでも危険なものになる⁉【ネイサン・ゾナーのDHMO(一酸化二水素・H₂O・水)の危険性】
以前、ネイサン・ゾナー君という当時14歳の少年が書いた「我々はどのようにしてだまされるのか」というタイトルのレポートが科学フェアで入賞し、マスコミにも取り上げられて話題を呼んだことがあったんだ!
ただの「水」であっても、ネガティブな部分だけを強調し、さも危険な言い方で紹介すれば、ほとんどの人が簡単にだまされる、という面白い社会実験があります。
ネイサン・ゾナーのDHMO(一酸化二水素・H₂O・水)の話題です。
最初に”実はただの水”にことなんだけど、世間一般には認識されていない表記の仕方を用いて、”『DHMO』とは、こんなに危険なものなんです!”と次のようにDHMOという化学物質の害を指摘します。
- 酸性雨の主な成分であり、温室効果によって地球温暖化の要因になる
- 末期がんの患者の腫瘍細胞から、必ず検出される
- 多くの金属を腐食・劣化させる
- 触れることで火傷の症状を起こすことがあり、特に固体状態の「DHMO」では皮膚に損傷を起こす
- 高レベルの「DHMO」に曝されることで、植物の成長が阻害される
その後、ネイサン・ゾナー君は、この物質の使用規制を求めて周囲の50人の大人に署名を求め、うち43名のサインを得ることに成功したのです。
「DHMO」にはこのような危険性があるにも関わらず、世界中で毎日膨大な量が使用されていて、川や海にもそのまま排出され、既に世界中の海や川、湖、南極の氷や母乳に至るまであらゆるところで高濃度で検出されている。
しかしながら、現在どこにもこの「DHMO」を規制する法律はどこにもない。
更に恐ろしいことに、「DHMO」は無色透明、無味無臭であるため、知らないうちに暴露してしまう。
こんなに危険なものは使わないようにしようと警鐘し、署名活動をしました。
そうすると実際、9割近くの人が彼の主張に共感し、署名をしたというのです。
勘の鋭いあなたならお気づきになっかもしれませんが、「DHMO( dihydrogen monoxide )」とは和訳すれば一酸化二水素、要するにただの水(H2O)なのです。
このように、ただの「水」であっても、視点を変えたり、敢えてネガティブな部分だけを強調し、ことさら危険なもののように表現すれば、超危険物質のように思えてしまいます。
数少ないですが、なかにはきちんと見破った人もいたようです。
このような方は日頃から真理を追究する広い視野を持っている人なのでしょうね。
このネイサン・ゾナーのDHMO(一酸化二水素・H₂O・水)話題で一番恐ろしいことは、上記の①~⑤の表現にウソ・虚偽は全くないということです。
ひとは簡単に情報操作されてしまうということだね!
「物は言いよう」ってこと!
「ダマされるな!医者に出されても飲み続けてはいけない薬」の週刊誌の内容は、全くのでたらめやウソではなく、およそ薬に関して同様にネガティブな部分だけを強調して書かれたものとも言えます。
SNSなど世の中にありふれている情報には、情報操作による様々な誘導が潜んでいるということをきちんと理解しておくことも大切ですね。
河野太郎行政改革担当相(ワクチン担当相)が、自身の公式ブログにて『ワクチンをめぐる7つのデマ』を完全否定!
河野太郎行政改革担当相(ワクチン担当相)は、「ワクチンデマについて」というタイトルでブログを更新したというニュースがあったけど、これも【ネイサン・ゾナーのDHMO(一酸化二水素・H₂O・水)の危険性】と同じ感じだったよね・・。
デマのひとつは「新型コロナワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ!」だから、新型コロナワクチンは危険で接種するべきではない!という論説でワクチン接種反対!というものだったようです。
「実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度」なんだから2年で全て死んでもおかしくないというか当然の考え方だよね。
でも、そういう大切な前提は説明しないで「ネズミが2年で全て死んだ!」だけを抜き出せば、危険だ!って思うひとが多いはず・・。
そうなんです。この場合も「新型コロナワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ!」という結果は、全くのウソ・でたらめではないよね・・・。
でも、この結果は科学的にワクチンが危険という理由にはなりえないよね。
まとめ
このようなことを踏まえて、週刊誌の記事やSNSによるネガティブキャンペーンに対して、医療従事者の意見もふまえながら、最終的には自分の意志で治療を決定するのが一番いいと思います。
医療も日進月歩ですので、現時点の医療の常識が必ずしも正しいとは言い切れません。
実際に医療の進歩により以前の常識が覆されることは度々起こっています。
薬剤師をしているとなんとなく感じることがあるのですが、主治医や薬剤に対してネガティブな感情や不信感を持ちながら治療している方は、治療効果が得られにくいような気がします(個人的感想です)。
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