湿布薬は大きく分類すると次の通りです。
- テープ剤(プラスター剤)
- パップ剤
- 冷湿布
- 温湿布
どの種類の湿布を選べばいいか悩むことが多いと思いますが、今回はそれぞれの湿布薬の特徴について解説していきたいと思います。
テープ剤(プラスター剤)とは
「テープ剤(プラスター剤)」とは、ポリエチレンフィルムなどに薬効成分と粘着剤を混ぜ合わせたものを薄くのばしたテープ状の湿布のことです。
代表的な「テープ剤(プラスター剤)」にはモーラステープ®、ロキソニンテープ®、ボルタレンテープ®などがあります。
一般的には、肌色の薄い伸びる素材の湿布薬です。
「テープ剤(プラスター剤)」の特徴とは
- 粘着度が高く、貼った時の違和感も少ない。
- 伸縮性が高いため、肘や膝などのよく動く関節部分にも使用可能。
モーラステープ®・ロキソニンテープ®・ボルタレンテープ®の比較
湿布薬は薬の作用持続時間によって1日1回または1日2回貼るかが決まっています。
モーラステープ®・ロキソニンテープ®・ボルタレンテープ®は全て1日1回タイプの湿布薬です。
実は1日1回のタイプは8~10時間位貼れば成分の多くは皮膚に浸透している為、湿布をはがした後も効果が持続しています。
モーラステープ®とは
モーラステープ®の有効成分は「ケトプロフェン」です。
このケトプロフェンは「プロピオン酸系」に分類され、比較的副作用が少ないとされています。
ケトプロフェンの作用機序は、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによって、炎症を引き起こすプロスタグランジン(PG)が体内で作られるのを抑えることができるため、炎症や痛みを抑える事が出来るのです。
ケトプロフェンの欠点には「光線過敏症」「光接触皮膚炎」と言われるものがあります。
「光線過敏症」「光接触皮膚炎」はケトプロフェンが含まれている湿布を貼った場所に太陽の光などの紫外線が当たることで発症します。
皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたり、痒くなることもあります。
そのため、ケトプロフェン含有の湿布を使用した場合は、1か月程度は湿布を貼った場所に紫外線が当たらないようにしなければいけません。
ロキソニンテープ®とは
ロキソニンテープ®の有効成分は「ロキソプロフェン」です。
モーラステープ®と同様にプロピオン酸系に分類されます。
ロキソニンテープ®には「光線過敏症」「光接触皮膚炎」は確認されていませんので、屋外で作業やスポーツをする機会が多い方や、薄着になる機会が多い夏場などにはモーラステープ®よりもロキソニンテープ®の方が使いやすいと思います。
ボルタレンテープ®とは
ボルタレンテープ®の有効成分は、「ジクロフェナクナトリウム」です。
ジクロフェナクナトリウム(英: Diclofenac sodium)は、フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の1種で主に解熱、鎮痛のために用いられています。
ジクロフェナクは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによってプロスタグランジン合成を抑制するため、解熱・鎮痛効果があると考えられています。
ボルタレンテープ®は、この有効成分が患部に素早く浸透し、痛みのもとに作用して効果を発揮します。
パップ剤とは
水分を多く含むジェル状の軟膏を布やプラスチックフィルムに貼り付けた湿布のことです。
一般的に白いブヨブヨした感じの湿布薬です。
消炎作用に加えて冷却効果も期待できる「冷湿布(冷感タイプ)」と、皮膚の温感を刺激し血行をよくする作用がある「温湿布(温感タイプ)」の2種類があります。
パップ剤の基剤には、薬効成分以外に水やグリセリンといった液状の物質が含まれています。
基剤が乾燥しやすいため使用時間が短く、はがれやすいという特徴があります。
冷湿布とは
打撲や捻挫など局所の腫れが生じる急性疾患に使われる湿布罪で、パップ剤に含まれている水分が蒸発することで気化熱により冷却効果が期待できます。
有効成分として「サリチル酸誘導体」「㎗カンフル」「グリチルリチン酸」「メントール・ハッカ油」などが配合されています。
メントール・ハッカ油
メントール・ハッカ油はいわゆる「スースーする」と表現される成分です。
冷湿布に含まれていることが多く独特の清涼感を持っています。
メントール・ハッカ油は実際に温度が下げるわけではなく、神経の冷たさを感じる部分に作用して冷たく感じさせます。
温湿布とは
温湿布には唐辛子由来成分のトウガラシエキスが含まれており、皮膚を刺激することで血行を良くするため湿布を貼ったところが温かく感じます。
温湿布自体が、熱を発生しているわけではありません。
温感湿布を使用中の際は、入浴による温熱によって皮膚が刺激されて痛みを感じやすくなっているので、入浴の30分~1時間前にはがすようにしましょう。
また、同様の理由で入浴後30分位たってから貼るようにして下さい。
入浴前に早めに温湿布をはがさないと、温湿布を貼っている部分がジリジリとした感じになることがあります。
モーラスパップXRが新登場!(2017年2月7日発売)
モーラスパップXR®はパップ剤の貼った時にひんやりとする冷却効果と、テープ剤の剥がれにくさを兼ね備えた薬剤で、パップ剤とテープ剤のいいとこ取りの製品です。
1日1回貼りかえるタイプのパップ剤です。
湿布を貼る時間帯でおすすめなのはいつ?
一般的には、湿布薬はお風呂上りに貼り、朝起きた時にはがすのが良いと言われています。
その理由はお風呂上りは皮膚の汚れや皮脂が洗い流された状態なので、湿布がしっかりと皮膚に密着する事ができ剝がれにくく、肌が清潔な状態で湿布を貼るために皮膚のかぶれも起こり難くなります。
お風呂上がりで汗をかいている場合は汗がひくまで少し時間をあけてから湿布を貼るようにするといいです。
湿布かぶれを避けるためのポイントとは!
1日1回貼付のタイプは湿布を8~10時間程度貼ることで有効成分が皮膚に浸透し、その後湿布を剥しても約24時間は効き目があると言われています。
1日2回貼付のタイプは湿布を4~6時間程度貼ることで有効成分が皮膚に浸透で浸透し、約12時間効果が持続されると言われています。
次の湿布を貼るまでに早めに一度剥がすことで皮膚を休ませてあげる事で湿布かぶれを最小限にすることができます。
湿布かぶれが起きるのは、湿布に使用されている粘着剤が原因のことも多いため、湿布と肌の接触時間をどれだけ減らすことができるかが湿布かぶれを予防する鍵なのです!
その他、湿布をはがす方法によって湿布かぶれになりやすくなるので注意が必要です!
湿布の剥がし方にはコツってあるの?
特にテープ剤は粘着力が強めなので、丁寧に剥がさないと皮膚にダメージが残り、赤くはれたり、痒みの原因になります。
湿布をはがす際のポイントは次の通りです。
- お風呂に入って湿布を濡らすことで湿布が剥がれやすくなります。
- 湿布を水やぬるま湯で湿られてから湿布をはがす。
- 湿布の端を180度めくって皮膚に沿って水平に、体毛があれば体毛の生え方に逆らわないように、少しづつ湿布ではなく皮膚の方を引っ張るようにするとダメージが少なく剥がすことが出来ます。
これは言葉で説明するよりも実際の画像を見ていただいた方が分かりやすいので、参考になるYouTubeチャンネルがありましたので紹介しますね!
まとめ
モーラステープ®・ロキソニンテープ®・ボルタレンテープ®の個人的見解による比較です!
実際の使用感の効果の差は、それぞれ優劣はつけがたいと思います。
単に有効成分の差だけで比較すれば、ボルタレンテープ®の有効成分である「ジクロフェナクナトリウム」はNSAIDsの中でも最も鎮痛効果が高く、ロキソニンテープ®・モーラステープ®に使用されている有効成分よりも強力だといえます。
しかし、効果は有効成分の差だけではあらわすことはできません。
有効成分の患部への浸透率や有効成分の濃度など様々な要素が影響されるためです。
「光線過敏症」の有無を考慮して、使用部位・生活様式によって湿布の成分を選択してもいいかもしれません。
基剤(主にその形状をつくっているもので、有効成分ではない成分のこと)の面で優劣を付けようとするのであれば、湿布薬の大手メーカーである「久光製薬」の商品である「モーラステープ®」に軍配があがるような感じがあります。
これはあくまでも薬剤師である自分が使用してみた個人的な見解です!
価格面での薬価比較では湿布1枚あたり数円の違いですので、有意差はありません。
個人によって、それぞれ湿布に使用されている有効成分や基剤に対して合う合わないという相性があると思いますので実際に使用してみて比較検討されるのが一番いいかと思います。
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
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