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ニュースを見ると不安になるのはなぜ?SNSの見すぎ・ドゥームスクローリング対策7選【薬剤師解説】

ワイドショーなどの メディアは不安を煽り「コロナうつ」を助長させている⁉ (1)

ニュースやSNSを見たあと、なぜか気持ちが落ち着かない。

災害、事件、感染症、戦争、経済不安などのニュースが気になり、何度もスマートフォンを確認してしまう。

「情報を知っておきたい」という気持ちから見始めたはずなのに、気づけば不安や疲労感が強くなっていることがあります。

近年では、このようにネガティブな情報を次々と追い続ける行動を「ドゥームスクローリング(doomscrolling)」と呼ぶこともあります。

大切なのは、ニュースやSNSそのものを悪者にすることではありません。

必要な情報を得ながら、「どの情報を・いつ・どのくらい見るか」を自分で選べる状態をつくることです。

この記事では、薬剤師の視点から、ニュースやSNSを見ると不安になりやすい理由と、心を守りながら情報と付き合う具体的な方法を解説します。

この記事の結論

  • ネガティブなニュースを繰り返し追うことと、不安・ストレスとの関連が報告されています。
  • 「ニュースを見れば必ずうつになる」という単純な因果関係ではありません。
  • 不安が強いときは、情報源・見る時間・通知を整理するだけでも心への刺激を減らしやすくなります。

ニュースやSNSを見ると不安になるのはなぜ?

人は、危険につながる情報へ注意を向けやすい性質を持っています。

災害や事故、病気、犯罪などの情報は、自分や家族の安全に関係する可能性があるため、つい注意を向けてしまいます。

これは危険を避けるうえでは大切な反応です。

問題になるのは、危険情報への注意が長時間続き、休む時間まで失われてしまう場合です。

1.ネガティブな情報は注意を引きやすい

SNSやニュースサイトでは、驚き・恐怖・怒りなど強い感情を生む情報ほど目に留まりやすくなります。

一つの記事を確認したあと、関連記事やコメント欄、SNSでの反応まで次々と読み続けてしまうこともあります。

「もう十分」と思っていても、次の情報を確認したくなることがあるのです。

2.「わからない状態」を埋めるために情報を探し続ける

人は先が見えない状況になると、「もっと情報を集めれば安心できるのではないか」と考えやすくなります。

しかし、災害や国際情勢、感染症などは、情報を集めてもすぐに答えが出るとは限りません。

そのため、「不安だから調べる → 新しい不安材料を見つける → さらに調べる」という循環に入りやすくなります。

3.映像・通知・速報が休む時間を細かく分断する

テレビだけでなく、現在はスマートフォンへ速報やSNS通知が届きます。

自分からニュースを見に行っていなくても、生活の途中で刺激の強い情報に触れる機会があります。

とくに寝る前までニュースやSNSを追い続けている場合は、気持ちを休息モードへ切り替えにくくなることがあります。

WHOも、テレビやSNSでニュースを長時間追うことでストレスが強まる場合には、ニュースを見る時間を制限することを提案しています。

ドゥームスクローリングとは?ネガティブ情報を追い続けてしまう状態

「ドゥームスクローリング」とは、災害・事件・感染症・戦争・経済不安など、気持ちが暗くなる情報をオンライン上で延々と追い続ける行動を表す言葉です。

医学的な正式診断名ではありません。

ただし近年は、ドゥームスクローリングと不安、心理的苦痛、睡眠などとの関連を調べる研究が増えています。

よくある状態具体例
確認が止まらない数分おきにニュースアプリやSNSを開く。
関連記事を延々と読む一つの記事から関連ニュース、コメント、SNS投稿へ移動し続ける。
寝る直前まで見る布団の中で事件や災害などのニュースを確認し続ける。
見たあとも頭から離れない仕事中や食事中にもニュースの内容を何度も思い返す。
安心するために検索する調べれば安心すると思うのに、調べるほど不安が増える。

研究では、ドゥームスクローリングと不安や心理的ウェルビーイング低下との関連が報告されています。

一方で、もともと不安が強いからニュースを多く見るという逆方向の関係も考えられます。

つまり、「ニュースを見ることだけが原因」と決めつけるのではなく、双方向の影響を考えることが大切です。

ニュースの見すぎで「うつ」になるの?

元の記事では「コロナうつ」という言葉を中心に解説していました。

しかし現在は、コロナ禍だけに限定せず、災害、戦争、事件、経済不安、SNS上の対立などを含めた「情報ストレス」として考える方が実生活に合っています。

災害や大きな事件に関するメディア接触と、抑うつ・不安との関連を調べた研究では、小さいながらも関連が認められた報告があります。

また、新型コロナ関連ニュースを対象とした縦断研究でも、ニュースへの接触量と不安・抑うつ感などとの関連が報告されています。

ただし、「ニュースを○時間見たらうつ病になる」といった明確な境界線が分かっているわけではありません。

多くの研究は関連性を調べたものであり、生活背景、もともとの不安傾向、睡眠、仕事や家庭のストレスなど、さまざまな要素が関係します。

そのため、「ニュースを見るのは危険」と考えるよりも、「見たあと自分の心身がどう変化するか」を観察する方が実践的です。

「日本人は不安遺伝子が多いから不安になりやすい」は単純化しすぎ

以前の記事では、セロトニントランスポーター遺伝子の多型である「5-HTTLPR」と不安の関係を大きく取り上げていました。

5-HTTLPRには、いわゆるS型・L型などの違いがあり、不安や性格との関連について長年研究されてきました。

しかし、研究結果は一貫していません。

メタ解析でも、不安傾向と5-HTTLPRとの関連を単純に説明できるほど強い結果は示されていません。

「S型=不安遺伝子」「日本人だから不安になりやすい」と決めつけるのは適切ではありません。

不安の感じ方には、遺伝だけでなく、これまでの経験、睡眠、生活環境、ストレス、性格、社会的な支援など多くの要因が関係します。

遺伝的な傾向があるとしても、それだけで人生や心の状態が決まるわけではありません。

むしろ、自分で変えられる「情報の取り方・休養・睡眠・運動・食事・人とのつながり」へ目を向ける方が、日常の養生には役立ちます。

ニュースやSNS疲れを減らす7つの対策

情報を完全に遮断する必要はありません。

「ゼロにする」より「自分で量を決める」ことを目標にすると続けやすくなります。

① ニュースを見る時間を決める

まず1つ変えるなら、ニュースを「いつでも見る状態」から「決めた時間に見る状態」へ変えてみましょう。

例えば、朝と夕方など1日2回程度にまとめる方法があります。

これは医学的に「1日2回が正解」という意味ではなく、何度も確認してしまう人向けの現実的なルールです。

② プッシュ通知を減らす

緊急性の低いニュースアプリやSNSの通知をオフにすると、自分の意思とは関係なく情報へ引き戻される回数を減らせます。

防災情報など、本当に必要な通知だけ残す方法でも構いません。

③ 情報源を2〜3個程度に絞る

同じ出来事をテレビ、ニュースサイト、YouTube、X、Instagram、コメント欄まで追い続けると、情報量が一気に増えます。

信頼できる公的機関や報道機関など、確認する情報源をあらかじめ絞っておくと整理しやすくなります。

④ 「事実」と「意見」を分けて読む

SNSでは、確認された事実、推測、個人の感想、広告、切り抜き動画などが同じ画面上に並びます。

「誰が言っているのか」「一次情報はどこか」「いつの情報か」を確認する習慣をつけましょう。

とくに医療・薬・健康に関する情報では、SNSだけで判断せず、公的機関や医療機関、医師・薬剤師など複数の情報源を確認することが重要です。

⑤ 寝る直前のニュース確認を減らす

「最後にもう一度だけ」と確認したニュースから関連記事を読み続け、就寝時間が遅くなることがあります。

寝る前はニュースではなく、入浴、読書、ストレッチ、音楽、深呼吸などへ置き換えてみましょう。

⑥ 情報を見たあとは「体を使う」

頭の中だけで考え続けていると、気持ちの切り替えが難しくなることがあります。

5〜10分散歩する。

軽くストレッチする。

ベランダや庭に出る。

掃除をする。

ペットと触れ合う。

このように、情報から離れて身体感覚へ意識を戻す時間をつくりましょう。

⑦ 「見る休養」だけでなく「情報を切る休養」をつくる

休養というと「ソファでスマホを見ること」を想像する人も多いですが、脳には大量の情報が入り続けています。

ときにはスマートフォンを置き、何も入力しない時間をつくることも休養の一つです。

深呼吸、瞑想、自然の中を歩く、料理をする、人と話す、ペットと過ごす、趣味や創作を楽しむなど、自分に合った休養を組み合わせてみましょう。

情報疲れを「栄養・循環・吸収」の3本柱から考える

心の状態は情報だけで決まるものではありません。

睡眠不足、空腹、疲労、胃腸の不調が重なっているときは、普段なら受け流せる情報にも強く反応することがあります。

栄養|脳や神経も食べたものからつくられる

エネルギーだけでなく、たんぱく質、良質な脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを幅広く摂ることが大切です。

甘い飲み物や菓子を完全に禁止する必要はありません。

頻度を決め、水・お茶・無糖飲料などへ少しずつ置き換える方法が現実的です。

循環|座り続けず、少し体を動かす

ニュースやSNSを長時間見ていると、同じ姿勢のまま座り続けやすくなります。

散歩やストレッチなどの軽い運動を間に入れ、情報を見る時間と身体を動かす時間を切り替えましょう。

吸収=腸活|ストレス時ほど胃腸をいたわる

ストレスが強いと、食欲が落ちる、お腹が張る、下痢や便秘が起こるなど、胃腸に変化が出る人もいます。

温かい味噌汁や野菜スープ、海藻、きのこ、豆類などを毎日の食事へ無理なく取り入れてみましょう。

食事を急いで流し込むのではなく、1口30回を目安によく噛むことも、消化のスイッチを入れる小さな養生になります。

中医学ではニュースやSNSによる情報疲れをどう考える?

中医学では、同じ「不安」でも、体質や一緒に現れる症状によって考え方が変わります。

ニュースやSNSを見たときの反応だけで「この証」と決めることはできませんが、代表的には次のような傾向があります。

体質傾向分かりやすい説明出やすい状態の例
肝気鬱結気の巡りが滞るタイプ。イライラ、ため息、胸や喉のつかえ、考え込みやすい。
心脾両虚心と胃腸のエネルギー不足タイプ。疲れやすい、不安、眠りが浅い、食欲低下、考えすぎる。
心神不安心が落ち着きにくい状態。ドキドキする、物音に敏感、寝つきにくい、夢が多い。
陰虚潤い不足タイプ。夕方以降のほてり、寝汗、口の乾き、夜に頭が冴える。

中医学でいう「脾」は、現代医学の脾臓そのものではなく、食べ物を消化・吸収し、全身へ必要なものを届ける働きを含む概念です。

考え事が多く、食事も乱れ、睡眠も不足する状態が続くと、心だけでなく「脾=土」の働きも消耗しやすいと考えます。

そのため、情報を減らすだけではなく、温かい食事、よく噛むこと、睡眠、軽い運動などを一緒に整えることが養生につながります。

3日・3週間・3ヶ月で考える「情報養生」

情報との付き合い方も、一気に完璧に変える必要はありません。

まず3日|刺激を減らしたときの体感を観察する

  • ニュース通知を一部オフにする。
  • 寝る前30〜60分はニュースを見ない。
  • 見る情報源を少し減らす。

3日ほど試して、「寝つき」「胸のざわつき」「考え込み」「肩や首の緊張」などがどう変化するか観察してみましょう。

3週間|自分なりの情報習慣をつくる

ニュースを確認する時間、SNSを見る時間、スマートフォンを置く時間をおおまかに決めます。

完璧に守ることより、何度でも戻れるルールをつくることが大切です。

3ヶ月|情報に振り回されにくい生活の土台をつくる

睡眠、食事、運動、休養、人とのつながりまで含めて整えていきます。

「不安にならない人」を目指すのではありません。

不安を感じても、自分で休む・離れる・相談する・体を整えるという選択ができる状態を目指しましょう。

不安・不眠・疲れ・胃腸の不調がいくつも重なっている方へ

「情報を減らしても落ち着かない」「眠れない」「食欲まで落ちてきた」という場合は、生活習慣だけで抱え込まず、心身の状態を一度整理してみることも大切です。

宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」では、薬剤師・中医薬膳師が、漢方・薬膳・腸活の視点から体質と生活を一緒に整理しています。

LINE・オンライン相談にも対応しています。

ほどよい堂の漢方相談について詳しく見る

「ニュース疲れ」だけと思わず医療機関へ相談した方がよい目安

ニュースやSNSから距離を取ることはセルフケアの一つですが、すべての不安や抑うつを自分だけで解決する必要はありません。

次のような状態が続く場合は、心療内科・精神科・かかりつけ医などへの相談を検討してください。

  • 気分の落ち込みや強い不安が続いている。
  • 眠れない日が続き、日中の生活に支障が出ている。
  • 食事がほとんど取れない。
  • 仕事・学校・家事などができないほどつらい。
  • 動悸や息苦しさ、パニックのような症状を繰り返す。
  • 今まで楽しめていたことを楽しめなくなった。
  • 「消えてしまいたい」「生きていたくない」と考えることがある。

とくに、自分を傷つけたい気持ちや生命に関わる危険がある場合は、一人で抱えず、家族や周囲の人、医療機関、地域の相談窓口などへ早めにつながってください。

厚生労働省・国立精神・神経医療研究センターでも、こころの不調や相談窓口に関する情報が提供されています。

ニュース・SNSと不安についてよくある質問

Q.ニュースは見ない方がいいですか?

いいえ。

必要な情報を得ることは大切です。

問題は「見るか見ないか」より、不安や生活への影響が出るほど長時間追い続けていないかです。

Q.SNSを見ると不安になるのは病気ですか?

SNSを見て一時的に不安になるだけで、病気というわけではありません。

ただし、不安・不眠・動悸・食欲低下などが続き、日常生活へ支障が出ている場合は医療機関へ相談しましょう。

Q.ドゥームスクローリングは依存症ですか?

ドゥームスクローリングは、現在のところ独立した正式な医学的診断名ではありません。

ただし、やめたいのに長時間見続ける、睡眠や仕事へ影響するなどの場合は、スマートフォンやSNSとの付き合い方を見直すサインになります。

Q.不安になったとき、まず1つ変えるなら何がおすすめですか?

まずは「ニュースの通知を減らし、寝る直前には確認しない」ことから始めると取り組みやすいでしょう。

完全にやめるより、「見る時間を自分で決める」ことをおすすめします。

まとめ|情報を遮断するのではなく「自分で選べる状態」をつくろう

ニュースやSNSは、社会で生活するために大切な情報源です。

一方で、ネガティブな情報を長時間追い続けることと、ストレスや不安との関連も研究されています。

大切なのは、「ニュースは悪い」「SNSは見てはいけない」と禁止することではありません。

  • 見る時間を決める。
  • 不要な通知を減らす。
  • 情報源を絞る。
  • 寝る前は情報から離れる。
  • 散歩やストレッチで体へ意識を戻す。
  • 食事・睡眠・腸活を一緒に整える。
  • つらい状態が続けば専門家へ相談する。

まず1つ変えるなら、今日の夜から「寝る前のニュースチェックを1回減らす」くらいで十分です。

心と体は、毎日の小さな習慣の積み重ねによって少しずつ変化していきます。

3日で体感を観察し、3週間で習慣を整え、3ヶ月かけて情報に振り回されにくい生活の土台を育てていきましょう。

この記事の監修・執筆

河邊甲介|薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士。

宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」にて、漢方・薬膳・腸活を組み合わせた健康相談を行っています。

本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を目的とするものではありません。

参考情報・参考文献

※研究結果は対象者・研究方法・社会状況などによって異なります。

本記事では、ニュースやSNSが精神疾患を直接引き起こすと断定せず、現在確認されている関連性と日常生活で取り組みやすい対策を中心に整理しています。

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