尿酸値が高い人が治療のために ”尿酸値を下げるお薬” を飲んだら逆に痛風の発作が出て、足の指が腫れて痛くなったんだって…。
今まで何ともなかったのにどうしてなのかな?
そうなんです!
尿酸値をお薬で急激に下げてしまうと、逆に痛風発作を誘発することがあるのです!
尿酸値を急に下げると痛風発作を誘発することも⁉
薬で急激に尿酸値を下げると、「痛風発作」を起こすことがあります。
そのため、尿酸値はゆっくりと下げていく必要があります。
こうした痛風発作を防ぐために、『フェブリク?(一般名:フェブキソスタット)』『ユリス?(一般名:ドチヌラド)』『ザイロリック?(一般名:アロプリノール)』などの尿酸値を下げる薬は、”少ない量から飲み始めて徐々に薬の量を増やしていく” という使い方をすることが推奨されています。
また、痛風発作が起きている状態で尿酸値を急激に変動させると発作が悪化する恐れがあります。
そのため、まずは痛風発作を鎮めてから尿酸値を下げる治療を開始する必要があります。
痛風発作を起こさないよう尿酸降下剤は少ない量から始める必要があります!
『フェブリク?』は10mgから開始し、2週間後に20mg、6週以降に40mgと、少しずつ薬の量を増やしていくことが推奨されています。
これは、急激に尿酸値を下げたことによって起こる痛風発作を防ぐためです。
痛風のガイドラインでも薬は少量から開始し、徐々に量を増やしていくことが推奨されています。
痛風発作が起こる原因とは?(結晶離脱説)
「血液中の尿酸」が6.4mg/dLより高い状態が続くと、尿酸は結晶化して蓄積されていきます。
つまり、薬物治療を始める段階では、身体には「血液中の尿酸」と「結晶化した尿酸」がある状態と言えます。
『尿酸降下剤』は、その名の通り尿酸の量を減らすお薬です。
そのため薬を飲み始めると血液中の尿酸の量が減っていきます。
血液中の尿酸が減ると、それに伴って「結晶化した尿酸」が再び血液中に溶け出していきます。
それが引き金になって痛風発作が起こるのです。
尿酸の基準値はどれくらいなの?
尿酸は、7.0mg/dLまでが基準値内です。
これを超えると異常とされ「高尿酸血症」と呼ばれます。
血中の尿酸値が7.0mg/dLを越えてしまうと関節内に尿酸が溜まってしまうためです。
血液中の尿酸と、結晶化した尿酸との関係
「血液中の尿酸」と「結晶化した尿酸」はお互いに増えたり減ったりしながら、バランスがとれた状態になっています(厳密には、6.4mg/dLを越えた尿酸は、血液中と結晶化で平衡状態になっています)。
いきなり高用量の薬を使うと「血液中の尿酸量」が急激に減少します。
そのため、「結晶化した尿酸」を大量に血液中に溶かして、バランスをとろうとします。
「結晶化していた尿酸」を急に溶かそうとすると、結晶のまま剥がれ落ちることがあるのです。
この剥がれ落ちた尿酸の結晶は、生体にとって異物なので、白血球が集まってきて激しく攻撃することになります。
この白血球の働きによって、関節で強い炎症が起こります。
これが ”痛風発作” です。
痛風の3つの特徴を説明できる「結晶離脱説」とは
この「結晶離脱説」では、痛風発作の以下の3つの特徴をうまく説明することができるのです。
- 一時的に尿酸値が上がっただけでは、痛風発作が起きない
- 高尿酸血症が数年間持続しないと、痛風発作が起きない
- 急激に尿酸値を下げると、痛風発作が起こる
薬剤師としてのアドバイス:治療中に痛風発作が起きた場合は、まず主治医と相談を!
『尿酸降下剤』での治療中に痛風発作が起きた場合でも、『尿酸降下剤』による治療は中断しないのが原則です。
痛み止めであるNSAIDsや炎症を抑えるステロイド剤などを併用しながら、『尿酸降下剤』による治療も継続するのが基本であると、ガイドライン上でも言及されています。
「尿酸を下げるお薬を飲んだために痛風発作が起こってしまった」という本末転倒の現象が起きた場合、お薬に対する不信感を抱くことに無理はありませんが、自己判断で薬を中断せず、まずは主治医に今後の対応を相談するようにしてください。
+αの情報:痛風発作が無ければ尿酸値を下げる治療は不要?
尿酸値が高い状態が続くと腎臓や心臓などに悪影響を与える可能性があります。
少なくとも、尿酸値が高くて得をすることはありませんので、食生活や運動習慣の見直しは必要です。
そのため、たとえ痛風発作を起こしていなくとも尿酸値を下げる必要があります。
その際、薬を使うだけでなく、食事や運動などの生活習慣を見直すことも重要です。
ひと昔前まで、”尿酸の素である「プリン体」さえ摂らなければ大丈夫!” と言われていましたが、これは誤りのようです。
しかし、尿酸値が高いひとは「プリン体」をたくさん含む食品は避けた方が良さそうです。
「プリン体」は様々な食品に含まれているため、純粋に ”食べ過ぎ(過食)” によっても過剰摂取になってしまいます。
また、アルコールは代謝に関連して尿酸値を上昇させるため、「プリン体」の有無やお酒の種類に関わらず過剰摂取は控えた方が無難なようです。
ただし、いわゆる晩酌程度、日本酒1合程度のアルコール量であればそれほど神経質になる必要は無いようです。
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
漢方相談や薬膳に関するオンライン相談も提供し、遠方の方々も利用できます。
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