最近、便秘になった、胃の調子が悪い気がする、頭痛がするようになったなど、お薬を服用しているときに体調の変化を感じたらお薬の副作用も疑う必要があります。
長年お薬は飲んでいるけど、ずっと同じ薬を飲んでいるだけだからという場合でも注意は必要です。
このような場合でも副作用が起こる可能性はあります。
確かに、お薬の副作用は服用初期に起こることが多いのですが、お薬の蓄積や持続的な作用によって、数年後に発現することもあります。
多くの副作用は早めに気付いてお薬を中止することで重大なことが起きてしまう可能性は低いのです。
いつもと違う症状がある場合は、早めに医療従事者に相談しましょう。
『ポリファーマシー』という言葉を耳にする機会が増えてきたかもしれませんが、石原さとみさん主演の薬剤師ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の第4話において、このことがストーリーの話題として扱われていました。
たくさんのお薬を飲んでいて、何か調子が悪いと感じることがあったら、お薬が原因かもと考えることも大切なんだね!
今回は、『ポリファーマシー』について解説してみようと思います!
『ポリファーマシー』とは
「ポリファーマシー」とは、
「複数」を意味する「poly」と「調剤(薬局)」を意味する「pharmacy」からなる造語で「害のある多剤服用」を意味する言葉です。
重要なのは「害のある」という部分で、単純に「服用するお薬の数が多い」ということではありません。
必要とする以上の薬や不要な薬が処方されていることによって、有害事象のリスク増加や誤った方法での服薬(服薬過誤)、服薬アドヒアランス低下などの問題に繋がる状態を指しています。
薬による有害事象(薬物有害事象)は、処方された薬の数に比例するとされ、「薬の数が6種類を超えると発生頻度が大きく増加する」というデータが、日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で発表されました。
薬の副作用を抑えるために新たな薬が処方され、その新たな薬の副作用を抑えるためにまた別の薬が処方され……というように、薬物有害事象を新たな薬で対処し続ける「処方カスケード」がポリファーマシーの問題点になっています。
「処方カスケード」とは、例えばこんな感じです。
- あるおばあさんが、食欲がなくて病院に行くと食欲を増進する作用がある「スルピリド」というお薬が出ました。
このお薬の副作用によってふらつき・振えなどパーキンソン病と同じような状態になることがあります。 - 今度はふらつき・振えが出たために別の病院に行きました。
そこで別の医師から抗パーキンソン病の薬が処方されました。
このお薬には副作用として物忘れや認知症のような症状が現れることがあります。 - またまた、物忘れや認知症のような症状が出たために別の病院に行きました。
そこで別の医師からアルツハイマー病のお薬が出てしまった。
このおばあちゃんに次々に起こった症状はすべて薬の副作用だったんだね!
ということは、
最初に処方されたお薬の「スルピリド」を別のお薬に変えていればこんなことにはならなかったんだよね…。
複数の病院を受診している場合、現在服用している薬をそれぞれの医療従事者に伝えないと、このようなことが起きてしまいます。
自分の身を守るためにも、必ず現在使用している薬(内服・外用)は全て医療従事者に伝えるようにしてくださいね!
「かかりつけ薬剤師」に相談するのもひとつの方法ですよ!
ポリファーマシーが起こる原因
ポリファーマシーとは、一人の患者が同時に複数の医薬品を処方され、服用している状態を指します。
この状態は、さまざまな医療機関での診療や処方、または自己処方によって引き起こされる場合があります。
以下に、ポリファーマシーが起こる主な原因をいくつか挙げてみましょう。
- 慢性疾患の複数処方:
患者が複数の慢性疾患を抱えている場合、それぞれの疾患に対する治療薬が必要になります。この結果、複数の医師から処方された薬が重複してしまうことがあります。 - 医師や医療機関の情報の不足:
患者が異なる医師や医療機関で診察を受け、処方箋を受け取る場合、過去の処方内容や服用している薬についての情報共有が不十分な場合があります。これにより、同じ成分の薬が重複して処方されることがあります。 - 自己処方や市販薬の使用:
患者が自ら処方せんなしで市販薬を購入し、または過剰なサプリメントを摂取する場合、それが処方された薬と相互作用する可能性があります。これにより、薬の相互作用や副作用のリスクが高まります。 - 加齢に伴う複数の健康問題:
加齢に伴い、慢性疾患や健康問題が増加する傾向があります。高齢者は複数の医師から複数の薬を処方されやすく、また自己判断で市販薬を摂取することも増えるため、ポリファーマシーのリスクが高まります。 - 健康問題の治療方針の変更:
患者の健康状態が変化したり、新しい症状が現れたりすると、治療方針が変更されることがあります。その際に新たな薬が追加されることがあり、既存の薬との相互作用が考慮されない場合があります。
ポリファーマシーは、患者の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
したがって、患者と医療提供者の間で適切なコミュニケーションや情報共有が重要です。
また、定期的な薬剤師や医師による薬物療法のレビューもポリファーマシーのリスクを軽減する上で重要です。
ポリファーマシーの問題点とは
ポリファーマシーにはいくつかの問題点があります。
以下に、主な問題点をいくつか挙げてみます。
- 薬物相互作用のリスク:
複数の医薬品を同時に服用することで、それらの薬物が相互作用を起こす可能性があります。相互作用によって、薬物の効果が増強されたり、副作用が発現したりするリスクがあります。 - 副作用の増加:
複数の薬物を同時に服用することで、副作用が増加する可能性があります。特に高齢者や免疫機能の低下した患者にとって、副作用が重篤な状況を引き起こす可能性があります。 - 治療不遵守のリスク:
複数の薬物を同時に服用することは、治療の複雑さを増すことがあります。患者が処方された薬の服用を忘れたり、誤った服用方法を取ったりするリスクが高まります。 - コストの増加:
複数の薬物を同時に処方されることで、医療費が増加する可能性があります。さらに、副作用や合併症の治療によって、医療費が増えることも考えられます。 - 薬物耐性のリスク:
長期間にわたって複数の薬物を使用することで、薬物耐性の問題が発生する可能性があります。特定の薬物に対する耐性が形成され、その薬物の治療効果が低下する可能性があります。 - 不必要な治療のリスク:
複数の医師から処方された薬物が重複している場合、不必要な治療や重複した治療が行われる可能性があります。これによって、患者の健康に悪影響を及ぼすリスクが増加します。
ポリファーマシーの問題点を解決するためには、患者と医療提供者の間でのコミュニケーションや情報共有が重要です。
また、定期的な薬物療法のレビューや適切な薬物管理の実施がポリファーマシーのリスクを軽減する上で重要です。
国民医療費の増大による国民皆保険制度の維持の困難とは
国民皆保険制度の維持における国民医療費の増大が困難な課題として取り上げられる理由には、以下のような要因が挙げられます。
- 高齢化社会の進行:
高齢化社会に伴い、高齢者の医療ニーズが増加しています。高齢者は疾患のリスクが高く、医療サービスの利用頻度が高いため、医療費の増大につながっています。 - 医療技術の進歩:
医療技術の進歩により、新たな治療法や医療機器が開発されています。これにより、より高度な医療サービスへの需要が増加し、医療費が増大しています。 - 慢性疾患の増加:
慢性疾患の患者数が増加しており、慢性疾患の管理や治療にかかる医療費が増大しています。特に生活習慣病や認知症などの慢性疾患の増加が顕著です。 - 医療サービスの格差:
地域間や都市部と地方部などで医療サービスの格差が存在し、医療サービスの質やアクセス性に差が生じています。格差解消のための施策が必要であり、そのためには追加の財政支援が必要です。 - 医療費の個人負担の増大:
医療費の増大に対応するため、国民の医療費の個人負担が増大しています。これにより、経済的負担が増加し、医療サービスの利用に対するハードルが高くなっています。 - 医療機関の経営環境の変化:
医療機関の経営環境が変化しており、診療報酬の抑制や効率化の要求が高まっています。これにより、医療機関の収益が低下し、医療サービスの提供が困難になる可能性があります。
国民皆保険制度の維持には、これらの課題に対する適切な政策や施策が必要です。
財政支援の増加や医療制度の改革など、様々なアプローチが検討されていますが、持続可能な医療制度を実現するためには、国民の健康への投資や医療サービスの効率化が不可欠です。
『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』とは
『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』では、病院内にある薬剤部で、主に患者の薬の調剤、製剤を行う “病院薬剤師” たちの知られざる舞台裏を描いてあります。
薬剤師を主人公として描く連続ドラマは日本初です。
日の目を見ない『薬剤師業界』では話題になっていました。
“アンサング”とは「褒められない」という意味です。
医師のように頼られず、看護師のように親しまれなくても、“縁の下の力持ち(=アンサングヒーロー)”として患者のために奮闘する病院薬剤師たちの、ヒューマンドラマということで自分も視聴していました。
確かに『薬剤師あるある』という感じは、きちんと表現されていると思いますので、薬剤師を目指しているひとには参考になるドラマだと思います。
ちょっと現実とは乖離した感じもあったけど、
理想像としてはしっかり薬剤師について描かれていたよね!
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
漢方相談や薬膳に関するオンライン相談も提供し、遠方の方々も利用できます。
また、わんこの健康も見逃しません。
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