痛風は、高尿酸血症によって引き起こされる疾患であり、関節の激しい痛みや腫れを特徴とします。
この病気は、遺伝的要因や食生活、肥満などの要素によってリスクが増加します。
本記事では、痛風の症状、原因、予防方法、治療法について詳しく解説し、健康な生活を送るための知識を提供します。
痛風とはどのような状態なの
痛風は、尿酸の異常な蓄積によって引き起こされる疾患です。
通常、体内の尿酸は血液を通じて腎臓から排泄されますが、尿酸が過剰に生産されたり排泄が不十分な場合、尿酸結晶が関節や周囲の組織に蓄積し、炎症を引き起こすことがあります。
痛風発作は、尿酸結晶が関節に堆積した結果、急激な炎症反応が起こることで特徴付けられます。
一般的に、痛風発作は夜間や早朝に急に始まり、関節の赤み、腫れ、熱感、激しい痛みを伴います。
一般に、足の親指の付け根(拇趾関節)が最も一般的な発作部位ですが、他の関節、例えば足首、ひざ、手首、指などでも発症することがあります。
痛風発作の原因は、食事やライフスタイルの要因と、遺伝的な要因の両方が関与しています。
食事における高プリン食品(内臓、レバー、海鮮類)、アルコールの過剰摂取、肥満、高血圧、糖尿病などがリスク要因として挙げられます。
また、尿酸代謝に関与する遺伝子の変異も痛風の発症に関与しています。
痛風発作の治療には、急性期の炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンなどの薬物療法が一般的に使用されます。
また、痛風の予防としては、尿酸値を下げるための薬物(尿酸排泄促進薬や尿酸生成阻害薬)の使用や、食事の見直し(低プリン食やアルコール制限)が推奨されます。
さらに、体重管理や適度な運動、水分摂取の増加などのライフスタイルの改善も重要です。
痛風発作が起こると「風が吹いただけでも痛い」と言われるほどの激痛を伴います。
痛風は足の親指付け根などの関節で発症しやすい疾患です。
痛風(高尿酸血症)の検査基準とは
痛風では、「尿酸」が重要になります。
尿酸とは、不要となったDNAなどが分解された時に生成される老廃物です。
この尿酸値が高いと「高尿酸血症」と診断されます。
男女ともにこの値が7.0mg/dLまでは基準値内です。
これを超えると異常で、高尿酸血症と呼ばれます。
痛風発作が起きる仕組みとは
血液中の尿酸値が高いことにより、関節に尿酸の結晶が蓄積していきます。
衝撃を受けたり、急激に尿酸値が低下するなど、何らかの刺激によって尿酸結晶が剥がれ落ちてしまうことがあります。
この時の尿酸結晶を白血球の一種である好中球が取り込むと、炎症を引き起こす物質が放出されるようになります。
これによって激痛を伴う痛風発作が起こります。
高尿酸血症であれば必ず痛風が起こるとは限りません。
高尿酸血症が続くことで関節に尿酸結晶が溜まり、痛風発作が起こるための下地が完成されていきます。
ある時をきっかけとして尿酸結晶が剥がれ落ちると痛風を発症してしまいます。
痛風発作が起こっている部位では、体中からたくさんの好中球が集まってくるのですが、これらの好中球がいっせいに炎症物質を放出するために強烈な痛みが起こるのです。
痛風発作が起きた時に「好中球(白血球)が寄せ集まってくる過程」を抑制できれば、それ以上痛風発作が悪化することはなくなります。
痛風発作を予防するために使用される薬として『コルヒチン🄬』があります。
コルヒチンは白血球の作用を抑えることにより、痛風を防止します。
コルヒチンの作用機序:白血球(好中球)の遊走
白血球の一種である好中球が痛風発作の発生部位に集積する反応(白血球の遊走)を阻害する薬がコルヒチンです。
実際に痛風発作が起こった時、コルヒチンを服用することで痛風の症状を軽減させることができます。
コルヒチンの特徴
痛風発作を予防する薬がコルヒチンですが、発作が起こった後の服用が早いほどコルヒチンによる効果は高くなります。
痛風発作を予感したときに服用することで痛風発作を大幅に軽減できます。
ただ、コルヒチンには消炎・鎮痛作用は認められていません。
あくまでも痛風発作の症状を軽減する作用であるため、炎症や痛みを抑えたい場合は消炎鎮痛剤(ボルタレン🄬・ロキソニン🄬・ポンタール🄬)を服用しなければいけません。
コルヒチンは尿酸の代謝にはほとんど影響せず、尿酸排泄を促進する作用もありません。
そのため、高尿酸血症を改善させたい場合、「尿酸産生抑制薬」や「尿酸排泄促進薬」など他の薬を使用することで尿酸値をコントロールする必要があります。
基本的にコルヒチンは、痛風発作の予防として用いられるため、長期間に渡ってコルヒチンを使用し続けることは推奨されていません。
長期間の予防投与において、血液障害や生殖器障害、肝・腎障害、脱毛などの副作用が知られています。
このような特徴により、実際に痛風発作が起こった時のつらい症状を軽減する薬がコルヒチンなのです。
コルヒチンには消炎鎮痛作用はないですが、好中球の働きを抑えるために結果として消炎鎮痛作用を得ることができます。
薬剤師としてのアドバイス:尿酸値を下げるために、生活習慣から改めよう
ひと昔前まで、「尿酸の素であるプリン体含有の多い食材さえ摂らなければ大丈夫」と言われていましたが、これは誤りのようです。
確かにプリン体をたくさん含む食品を避けることは必要ですが、プリン体は様々な食品に含まれているため、純粋に ”食べ過ぎ” によっても過剰摂取になります。
また、アルコールは代謝に関連して尿酸値を上昇させるため、プリン体の有無やお酒の種類に関わらず過剰摂取は控えた方が無難です。
しかし、晩酌程度、日本酒1合程度のアルコール量であればそれほど神経質になる必要はありません。
痛風の予防ガイドラインでは週3回程度の軽い運動を継続して行うことも推奨されています。
有酸素運動をしても直接尿酸値には影響しませんが、他の生活習慣病の因子を改善することにより、腎臓や心臓へのリスクを軽減することができます。
尿酸が高めと言われたら心がけたいこと
- バランスのよい食事をしましょう
- プリン体の多い食品を取りすぎないようにしましょう:
※高プリン食品(内臓、レバー、海鮮類)やアルコールの摂取を制限することが重要です。
代わりに、低プリン食品(果物、野菜、全粒穀物)や低脂肪の乳製品、健康的なタンパク源(鶏 肉、豆腐など)を選ぶようにしましょう。
- 脂肪・糖質を控え、肥満解消に努めましょう:
※肥満は痛風のリスクを高める要因の一つです。
健康な体重を維持することで、尿酸値の上昇や痛風の発作を予防することができます。
バランスの取れた食事と定期的な運動を組み合わせることが重要です。
- 塩分は控え目にしましょう
- 野菜・果物をしっかり摂り、体内の尿酸の排泄を促進させましょう
※腎臓や心臓が悪い方は医師に相談してください
- 水分を十分に、1日2ℓ以上目安に取りましょう:
※水分摂取量を増やすことで、尿酸の排泄を促進することができます。
水や無糖の飲み物を積極的に摂取し、脱水を防ぐようにしましょう。
腎臓や心臓が悪い方は水分制限がないか医師に相談してください。
- アルコールは控えましょう(ビールはプリン体がより多いです)
痛風は慢性的な疾患であり、個人の状態に合わせた適切な管理が重要です。
定期的な医師の診察を受け、適切な治療と予防策を行うことで、痛風発作の頻度や重症度を軽減することができます。
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