「スポーツ貧血」とはスポーツ活動をする際に特に運動をしている人に関連する血液の問題を指します。
一般的な貧血と同様に、スポーツ貧血も赤血球の数やヘモグロビンの量が正常値より低い状態を指しますが、運動愛好者やアスリートに特有の要因が影響を与えます。
スポーツをすることが原因で起きる「貧血」の総称を『スポーツ貧血』といいます。
「鉄欠乏性貧血」と「溶血性貧血」に大きく分類されます。
スポーツ貧血を起こしやすい競技は、マラソンなどのように食事制限が必要とされるものや、足底部に繰り返し大きな衝撃が加わるマラソン、剣道、新体操、バレーボールなど様々です。
スポーツ貧血とは、スポーツや激しい運動を行う人々に見られる特有の貧血のことです。
一般的な貧血と同様に、血液中の赤血球やヘモグロビンの不足によって引き起こされますが、運動による特有のメカニズムが関与しています。
運動選手やアスリートは、体力向上やパフォーマンスの向上を目指してトレーニングを重ねる中で、しばしばこの問題に直面します。
スポーツ貧血の原因
スポーツ貧血は、特に運動を頻繁に行うアスリートやスポーツ愛好者に見られる特有の貧血です。
この現象は、運動による特定の要因が血液中の赤血球やヘモグロビンの減少を引き起こすことで発生します。
スポーツ貧血の原因は多岐にわたり、主に血液希釈、鉄分の不足、そして赤血球の破壊が挙げられます。
激しい運動によって血液量が増加し、相対的に赤血球の濃度が低下する血液希釈性貧血や、運動中の発汗や消化管出血による鉄分の損失が主な要因です。
また、ランニングなどの衝撃で赤血球が破壊されることも一因となります。
これらの要因が複合的に作用し、スポーツ貧血が発症するのです。
以下では、それぞれの原因について詳しく解説します。
1. 血液希釈
激しい運動を行うと、血液量が増加します。
これは体が酸素供給を効率化するための適応反応ですが、その結果として血液中の赤血球濃度が低下し、見かけ上の貧血状態となることがあります。
これを「血液希釈性貧血」と呼びます。
2. 鉄分の不足
運動中は、汗や尿を通じて多くの鉄分が失われます。
特に女性アスリートは月経による鉄分の損失も加わり、鉄欠乏性貧血を引き起こしやすくなります。
また、運動による消化器官の微小な出血も鉄分不足の一因となります。
3. 赤血球の破壊
ランニングやジャンプなどの衝撃を伴う運動は、足の裏の毛細血管内で赤血球が壊れることがあります。
これを「ランナーズアネミア」と言い、特に長距離ランナーに多く見られます。
スポーツ貧血の症状
スポーツ貧血の症状は一般的な貧血と似ており、以下のようなものがあります。
- 疲労感
- 息切れ
- めまい
- パフォーマンスの低下
- 頭痛
これらの症状が見られた場合、早期に医師の診断を受けることが重要です。
スポーツ貧血の予防と対策
1. バランスの取れた食事
鉄分を多く含む食品(赤身の肉、レバー、ほうれん草、大豆製品など)を積極的に摂取しましょう。
また、ビタミンCを一緒に摂ることで鉄の吸収を促進します。
2. 鉄サプリメントの利用
必要に応じて鉄分サプリメントを利用することも有効です。
鉄サプリメントを利用する際に、ヘム鉄を選ぶことを強くお勧めします。
ヘム鉄は、非ヘム鉄に比べて体内での吸収率が非常に高いことが特徴です。
これは、ヘム鉄が動物性食品から摂取される鉄であり、胃酸の影響を受けにくく、腸内での吸収が効率的に行われるためです。
特に、鉄不足に悩む方や貧血気味の方にとって、効率的に鉄を補給することが重要です。
ヘム鉄サプリメントは、そうしたニーズに応える理想的な選択肢となります。
さらに、ヘム鉄は胃腸への負担が少なく、消化器系の副作用が起こりにくいという利点もあります。
鉄分の補給をより効果的かつ安全に行いたい方には、ヘム鉄サプリメントが最適です。
ただし、サプリメントの使用については医師と相談することをお勧めします。
3. 適切なトレーニング管理
過度なトレーニングを避け、適切な休息を取ることが重要です。
トレーニング計画を見直し、疲労を蓄積させないようにしましょう。
鉄欠乏性貧血とは
スポーツによる鉄欠乏性貧血は、運動して多量の汗をかくことによって、汗と一緒に鉄分も排出されます。
それに加え運動後は排尿によっても鉄分が排出されやすくなるという理由で体の鉄分が多量に排出されてしまうために貧血が起こります。
溶血性貧血とは
スポーツによる溶血性貧血は、足底部に繰り返し大きな衝撃が加わることによって、機械的に赤血球が破壊されたり、激しい運動により代謝性アシドーシスが起こり赤血球が破壊されてしまうことで起こります。
溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)は、赤血球が正常な寿命(約120日)よりも早く破壊されることによって引き起こされる貧血の一種です。
これにより、体内での赤血球の供給が需要に追いつかなくなり、貧血の症状が現れます。
溶血性貧血には、先天性と後天性のものがあります。
先天性溶血性貧血
先天性溶血性貧血は、遺伝的要因により発症します。
代表的なものに以下があります。
- 遺伝性球状赤血球症:赤血球の形が異常になり、脆弱で破壊されやすくなります。
- 鎌状赤血球症:異常なヘモグロビン(ヘモグロビンS)が赤血球を鎌状に変形させ、破壊されやすくします。
- グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症(G6PD欠損症):特定の薬物や食物(例:そら豆)によって赤血球が破壊されやすくなります。
後天性溶血性貧血
後天性溶血性貧血は、外的要因や免疫系の異常によって発症します。
以下がその例です。
- 自己免疫性溶血性貧血(AIHA):自己抗体が自身の赤血球を攻撃し破壊します。
- 薬剤性溶血性貧血:特定の薬剤が赤血球を破壊することがあります。
- 感染症関連溶血性貧血:マラリアや他の感染症が赤血球を破壊します。
症状
溶血性貧血の症状は、貧血の一般的な症状(疲労感、息切れ、めまいなど)に加えて、特有のものが含まれます。
- 黄疸:破壊された赤血球から放出されたビリルビンが蓄積します。
- 脾腫:脾臓が赤血球を過剰に破壊するために腫大します。
- 茶色の尿:溶血によって血中のヘモグロビンが尿に排出されるためです。
診断と治療
診断には血液検査が用いられ、赤血球の形態、ビリルビン値、ハプトグロビン値などが評価されます。
治療は原因により異なりますが、一般的には以下の方法が取られます。
- ステロイド療法:自己免疫性の場合、免疫抑制剤が使用されます。
- 輸血:赤血球の補充が必要な場合に行われます。
- スプレン摘出術:脾臓の異常な赤血球破壊が問題の場合に適応されます。
溶血性貧血は、適切な診断と治療により症状の管理が可能ですが、原因により長期的なフォローアップが必要な場合があります。
貧血予防のため、普段から気をつけておくべきこと
貧血の予防には、しっかりと栄養を摂取することが大切です。
特に女性の場合には、月経などがあるために、男性よりも鉄分が多く必要になります。
鉄分の摂取に加えて、ヘモグロビンを作るためには、タンパク質も必要になりますので、食事の栄養バランスに注意することが大切になります。
鉄分はサプリメントで補った方がいいのかな?
食生活を見直しても貧血が、改善しない場合は、鉄剤を使用する方がいいですね!
ただし、貧血の原因が鉄分の不足かどうかを、血液検査で確認することが前提です。
鉄分を摂り過ぎると過剰状態になり、肝硬変、糖尿病、心不全などを引き起こす原因になることがあります。
鉄剤などのサプリメントは、ドーピング違反にはならないの?
鉄剤はドーピングには関係ありません。
選手自身は、全く覚えがないのに「ドーピング陽性」となってしまう多くの場合は、市販薬などの風邪薬が原因のことが多いようです。
風邪薬に含まれる「エフェドリン」という成分には興奮作用があり、ドーピングの禁止物質になっています。
ドーピングに関連する薬など、だれに教えてもらえるの?
薬剤師のなかには、『スポーツファーマシスト』という最新のアンチ・ドーピングに関する知識を持った薬剤師がいます。
日本アンチ・ドーピング機構ホームページ内に「スポーツファーマシストを探す」という検索項目がありあます。
まとめ
スポーツ貧血は、特にアスリートにとって避けて通れない問題です。
しかし、適切な知識と対策を持つことで、予防や改善が可能です。
バランスの取れた食事、適切な休息、そして必要に応じたサプリメントの利用を心掛け、健康的にスポーツを楽しみましょう。
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
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