認知症にも様々なタイプがあります。
一番有名なのが『アルツハイマー型』といわれる認知症で罹患者数も多いです。
そして、『第二の認知症』といわれるのが、あまり聞き慣れないと思いますが、『レビー小体型』と呼ばれるものになります。
このレビー小体型認知症の特徴の一つに『幻覚症状』があります。
『幻覚』とは、実際に存在しないものが見えたり、聞こえたりする状態を指す医学用語になります。
さらに分類すると次のように表現されます。
- 幻視:実際には存在しない人間や動物、物などが見える症状
- 幻聴:実在していない声や、物音が聞こえる症状
- 幻触・幻味・幻臭:実在していないものが触れたり、味がしたり、臭いがしたりする症状
また、幻視とは異なりますが、全く別のものに見えてしまう症状も出現します。
例えば、紙くずがネズミなどに見えたりするような症状を『錯覚・錯視』と呼びます。
このような、レビー小体型認知症を発症して、幻覚症状が起こっている大切な人への接し方と病気の正しい知識がイラストで分かりやすく記されているお勧めの著書がありました!
本のタイトルは『レビー小体型認知症がわかる本』です。
副題が『家族や介護従事者はどう接すればよいか』です。
著者は、『川畑 信也(かわばた のぶや)』氏です。
八千代病院神経内科部長、愛知県認知症疾患医療センター長を兼任されています。
1996年から認知症の早期診断と介護を目的に「もの忘れ外来」を開設し、現在までに8000名近い患者さんの診療を行ってきている医師です。
目次は次の3部に分かれています。
- 知っておきたいレビー小体型認知症のこと
- 事例から考える対応と対策
- 家族の疑問や悩みごとに関するQ&A
様々な症例に関する解説とその症例に対する的確な介護のポイントが分かりやすく記されていました。
知識ゼロの方でも分かる様な言葉で解説してありますので、お勧めです。
『レビー小体型認知症』に罹患されている大切な人がいる方にはぜひ読んでいただきたいバイブル的な著書だと思います。
レビー小体型認知症: 症状、診断、治療法について知っておくべきこと / 幻視、幻聴…レビー小体型認知症の複雑な症状に寄り添う
レビー小体型認知症とは、認知症の一種であり、しばしばアルツハイマー病やパーキンソン病と混同されることがあります。
レビー小体型認知症(DLB:Dementia with Lewy Bodies)は、脳内にレビー小体と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することによって引き起こされる神経変性疾患です。
この疾患はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病と症状が重なることが多く、正確な診断と適切な治療が重要です。
この記事では、レビー小体型認知症の症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。
症状 / 幻視や運動症状を見逃さない、レビー小体型認知症の特徴とは
レビー小体型認知症の主な症状は以下の通りです。
- 認知機能の変動:注意力や警戒心の急激な変動が見られます。ある日非常に明瞭である一方、翌日には極度に混乱することがあります。
- 幻視:実際には存在しないものが見える、視覚的な幻覚が頻繁に発生します。これはDLBの特徴的な症状です。
- 運動症状:パーキンソン病に似た運動障害(震え、筋肉のこわばり、動作の遅さ)が見られることがあります。
- REM睡眠行動障害:夢を見ている間に身体を動かす、寝ている時に叫んだり暴れたりする症状です。
- 自律神経障害:血圧の低下、便秘、排尿障害などの自律神経系の問題が発生します。
- うつ病や不安:精神的な症状が伴うことがあり、これが患者の生活の質に大きな影響を与えます。
診断 / レビー小体型認知症の診断、早期発見で適切な対応を
レビー小体型認知症の診断には、以下の方法が用いられます。
- 臨床診断:患者の症状や病歴を詳細に調べることが第一歩です。特に認知機能の変動や幻視、運動症状の有無が重要な診断基準となります。
- 神経学的検査:MRIやCTスキャンなどの画像診断を通じて、脳の構造的異常を確認します。DLBの場合、典型的なアルツハイマー病の脳萎縮パターンは見られないことが多いです。
- 核医学検査:ドーパミントランスポータSPECT(DaTscan)などの特殊なスキャンを用いて、脳内のドーパミン作動系の異常を評価します。
- 睡眠ポリグラフ検査:REM睡眠行動障害を確認するための睡眠検査です。
治療法 / レビー小体型認知症の治療、症状に合わせた個別対応がカギ!
レビー小体型認知症には根治療法はありませんが、症状の管理を目的とした治療が行われます。
薬物療法
- コリンエステラーゼ阻害薬:認知機能の改善を目的として、ドネペジルやリバスチグミンが使用されます。
- 抗精神病薬:幻覚や妄想に対して使用されますが、DLB患者はこれらの薬に対して敏感で副作用が強く出ることがあるため注意が必要です。
- パーキンソン病治療薬:運動症状の管理にレボドパが用いられます。
非薬物療法
- 認知リハビリテーション:認知機能を維持・改善するためのリハビリテーションが推奨されます。
- 運動療法:運動機能を維持するためのリハビリや理学療法が有効です。
- 心理社会的支援:患者とその家族を支えるためのカウンセリングやサポートグループの活用が重要です。
レビー小体型認知症は、複雑で多岐にわたる症状を持つ疾患ですが、適切な診断と治療により、患者の生活の質を向上させることが可能です。
医療専門家との連携を通じて、個々の患者に合った治療プランを立てることが重要です。
まとめ / 家族と共に支える、レビー小体型認知症の症状管理と生活の質向上
レビー小体型認知症(DLB)は、脳内にレビー小体という異常タンパク質が蓄積することで発症する神経変性疾患です。
この病気の特徴は、視覚的幻覚や注意力の急激な変動、パーキンソン病に似た運動障害、REM睡眠行動障害など、多岐にわたる症状を示すことです。
DLBの診断は、臨床症状の評価に加え、神経学的検査や核医学検査、睡眠ポリグラフ検査などを組み合わせて行います。
特に視覚的幻覚や認知機能の変動が診断の重要な手がかりとなります。
これらの症状は患者の生活の質に大きな影響を与えるため、早期診断が非常に重要です。
治療においては、現在のところ根治療法は存在しませんが、症状の管理を目的とした治療が行われます。
薬物療法としては、認知機能の改善を目的とするコリンエステラーゼ阻害薬や、運動症状の管理のためのパーキンソン病治療薬が使用されます。
しかし、DLB患者は抗精神病薬に対して敏感で、副作用が強く出ることがあるため、使用には慎重さが求められます。
非薬物療法としては、認知リハビリテーションや運動療法、心理社会的支援が有効です。
DLBは、患者とその家族にとって非常に挑戦的な病気です。
多岐にわたる症状が生活の質に大きな影響を与えるため、包括的なアプローチが必要です。
医療専門家との密な連携を通じて、個々の患者に最適な治療計画を立てることが重要です。
また、家族や介護者のサポートも不可欠です。
DLBに関する知識を深め、適切な対応をすることで、患者の生活の質を向上させることが可能です。
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