血圧は、健康診断でも必ず検査する項目の一つですよね。
血圧は、高くても低くても何かと問題が起きてきます。
今回は、血圧について簡単に解説してみます!
特に、高血圧は様々な血管系の疾患のリスクになる為に問題視されることが多いですが、低血圧も何となく元気がでなかったり、立ちくらみしやすいなど辛い思いをしていることも多いのです。
ただ、低血圧のひとの方が寿命が長いというデーターもありますのでデメリットだけではないようです。
血圧とは?
血圧とは、心臓から送り出される血液が全身へと流れていく際、動脈の内側にかかる圧力のことです。
血圧は心臓に近い血管ほど高く、手足などの末梢血管にいくほど低くなります。
通常は血圧測定を行うときは、上腕部の血圧を測定します。
「血圧」=「心拍出量」×「総末梢抵抗」
- 収縮期血圧(上の血圧):
収縮期血圧とは、心臓が収縮して、最も強く血液を送り出そうとするときの血圧のことを指します。
- 拡張期血圧(下の血圧):
心臓がゆるんで、送り出した血液が心臓に戻ってくるときの血圧のことを指します。
冬場に寒くなると血圧があがるのはなぜ?
寒くなると、体温の低下を防ぐために、人の体は皮膚からの熱の放散を少なくしようと皮膚の末梢血管を収縮させます。
末梢血管が収縮すると、総末梢抵抗が増加することになりますので血圧の公式に当てはめると血圧が上昇することになり、寒い冬場は血圧が高くなる傾向になります。
冬場に寒くなると血圧が上がる理由について、以下に詳しく説明します。
寒冷刺激と血圧上昇のメカニズム
- 血管の収縮
- 寒さによる反応:
寒冷刺激を受けると、体は体温を維持するために皮膚表面の血管を収縮させます。この血管収縮(血管の狭窄)は、熱の放散を減らし、体温を保持するための自然な反応です。 - 血圧の影響:
血管が収縮することで血管抵抗が増加し、これにより血圧が上昇します。血液が狭い血管を通るため、心臓はより強い力で血液を送り出す必要があります。
- 寒さによる反応:
- 交感神経の活性化
- 寒冷ストレス:
寒さは交感神経系を刺激し、アドレナリンやノルアドレナリンといったストレスホルモンの分泌を促します。 - 血圧の影響:
これらのホルモンは心拍数を増加させ、血管を収縮させる作用があるため、結果として血圧が上昇します。
- 寒冷ストレス:
- 血液の粘度の増加
- 温度低下の影響:
寒冷環境では血液の粘度が増加する傾向があります。これは、低温が血液中の成分に影響を与え、血液がやや粘り気を持つようになるためです。 - 血圧の影響:
粘度が増加した血液は流れにくくなり、心臓が血液を送り出す際により強い圧力を必要とするため、血圧が上昇します。
- 温度低下の影響:
生活習慣と寒冷環境
- 室内と室外の温度差
- 急な温度変化:
冬場に暖かい室内から寒い屋外に出ると、急激な温度変化が体にストレスを与えます。このストレス反応により交感神経が活性化し、血圧が上昇します。
- 急な温度変化:
- 運動不足
- 寒冷による活動の低下:
冬場は寒さのために屋外での活動が減少し、運動不足になりがちです。運動不足は血管の柔軟性を低下させ、血圧を上昇させる要因となります。
- 寒冷による活動の低下:
- 食事の変化
- 塩分摂取量の増加:
冬場は暖かい料理や塩分の多い食品を摂取する機会が増えるため、これが血圧上昇の一因となります。
- 塩分摂取量の増加:
冬場の血圧管理
- 適切な防寒対策
- 衣服の重ね着: 寒冷環境にさらされないように、重ね着や防寒具を活用することが重要です。
- 室内の温度調整: 室内を適切な温度に保つことも、寒冷刺激を減らすために効果的です。
- 規則的な運動
- 屋内での運動: 屋内でできる運動を取り入れることで、血管の健康を維持し、血圧の上昇を防ぎます。
- 塩分の摂取制限
- バランスの取れた食事: 塩分の摂取を控えめにし、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
小まとめ
冬場に血圧が上がるのは、寒さによる血管の収縮や交感神経の活性化、血液の粘度の増加などが原因です。
適切な防寒対策や生活習慣の改善を行うことで、寒冷環境による血圧の上昇を予防し、健康を維持することが可能です。
病院で測ると血圧が高くなるのはなぜ?【白衣高血圧】
病院で血圧を測る際は、医師や看護師が測る場合もあれば、自動血圧測定器で自分で測る場合もあると思いますがどちらにしても誰かにチェックされるという意識が働いてしまい、少なからず緊張感が出てしまいます。
緊張すると交感神経が興奮した状態になるので、血圧は上昇してしまいます。
そのため、自宅でリラックスした状態で測定するときよりも血圧が高くなるのです。
このような状態を「白衣高血圧」と呼びます。
このタイプの人の特徴として、真面目で細かい事にも、よく気が付くような性格であり、身体的・精神的に過敏で完璧主義の傾向が強いことがあげられます。
逆に、病院に来ると信頼している医師や看護師などに会えることで、安心してリラックスした状態になり自宅で測定する血圧よりも低くなるひとが稀におられます。
このような状態を「仮面高血圧」と呼びます。
他の原因としては、高血圧の治療中のひとで薬の効果が持続しにくいタイプのひとにも「仮面高血圧」が起こります。
降圧剤は通常、1日1回、朝に服用することが多いのですが、ひとによっては、薬の効果が24時間持続せず、病院を受診する昼間は薬が効いていて血圧がコントロールできているのですが、薬の効果が早めに切れてしまい夕方から早朝にかけて血圧が高くなってしまうのです。
「仮面高血圧」のひとは、心筋梗塞や脳卒中になる危険が、血圧コントロールができている人の約3倍も高いといわれています。
また、トイレを我慢したり、力んだりしても血圧は上昇してしまいます。
血圧は様々な因子により容易に変動してしまうのですね。
「白衣高血圧」について詳しく説明します。
白衣高血圧とは
白衣高血圧(White Coat Hypertension)とは、医療機関で血圧を測定すると血圧が高くなるが、自宅やリラックスした環境で測定すると正常な血圧を示す現象を指します。
この名称は、医師や看護師が白衣を着ていることに由来します。
原因
白衣高血圧の主な原因は、医療機関でのストレスや不安です。
以下のような要因が関与しています。
- 心理的要因:
多くの人は病院やクリニックに行くと緊張や不安を感じます。これは、治療に対する恐れや診断結果への不安が原因です。これにより、交感神経系が活性化し、血圧が一時的に上昇します。 - 環境の変化:
病院の環境は、家とは異なるため、患者がリラックスできず、血圧が上がることがあります。 - 医療スタッフとの対面:
医師や看護師に対する緊張感も血圧上昇の一因となります。特に初めて会う医師や慣れていない環境では、緊張が強くなることがあります。
白衣高血圧の影響
白衣高血圧は一時的な現象ですが、これが慢性化すると以下のような影響があります。
- 誤診のリスク:
白衣高血圧によって、実際には正常な血圧であるにもかかわらず高血圧と診断され、不必要な治療を受ける可能性があります。 - 不必要な薬物治療:
誤診により血圧降下薬が処方されると、本来必要のない薬物治療を受けることになり、副作用のリスクが増します。 - 心理的ストレス:
高血圧と診断されることで、患者が不安を感じ、ストレスが増すことがあります。これがさらなる血圧上昇を引き起こす可能性があります。
対処法
白衣高血圧を正確に診断し、適切に対処するための方法には以下のようなものがあります。
- 自宅血圧測定:
自宅で定期的に血圧を測定することが推奨されます。自宅での測定結果を医師に報告することで、より正確な診断が可能になります。 - 24時間血圧モニタリング:
ホルター型の24時間血圧モニターを装着することで、一日中の血圧変動を記録します。これにより、病院以外での血圧の状態を把握できます。 - リラックスした状態での測定:
血圧測定前に数分間リラックスする時間を設けることが有効です。深呼吸をする、静かに座るなど、リラックスする方法を取り入れます。 - 医師と患者のコミュニケーション:
医師が患者の不安を理解し、安心させることも重要です。患者がリラックスできる環境を作ることが大切です。
小まとめ
白衣高血圧は、病院や医療機関でのストレスや不安が原因で一時的に血圧が上昇する現象です。
この現象を正確に把握し、不必要な治療を避けるためには、自宅での血圧測定や24時間血圧モニタリングが有効です。
患者と医療スタッフとの良好なコミュニケーションも、白衣高血圧の管理に重要な役割を果たします。
太る(メタボになる)と血圧が高くなるのはなぜ?
肥満になると、脂肪細胞が増加し、脂肪細胞にも脂肪が蓄積した状態になります。
脂肪細胞からは様々な生理活性物質が分泌されるのですが、そのなかでも血圧を上昇させるレニン・アンジオテンシン系の活性につながる「アンジオテンシン」が増加します。
「アンジオテンシン」は血管を収縮させる作用のほかに、副腎髄質からの「アルドステロン」分泌の促進作用が認められています。
「アルドステロン」は、腎臓におけるNaの再吸収を促進するため水も再吸収され循環血液量が増加します。
循環血液量の増加は、心拍出量の増加になるので血圧の公式に当てはめると血圧の上昇になります。
そのため、肥満は血圧上昇の要因の一つと考えられています。
左右の腕で血圧を測ると差があるのはなぜ?
腕の太さの差が、血圧の実測の差に現れる
本来は、血圧は右腕も左腕も変わりません。
ところが人には利き腕があるため、通常利き腕の方が太い事が多いのです。
血圧を測定するときは腕にマンシェットという圧迫帯を巻きます。
最初にマンシェットに空気を送り込んで腕を圧迫し上腕動脈を閉塞させた状態から空気を少しずつ抜いていき血流が再開した時を最高血圧(上の血圧)としています。
このマンシェットに圧力をかけるのですが、腕が太いと圧力が逃げてしまうために、より高い圧力が必要になります。
そのため腕が太い方が実測値が高くなってしまうのです。
ただ、これは誤差の範囲とされ5~6㎜Hgくらいのものです。
腕の太さの差が血圧の実測の差に現れることについては、以下の点が関係しています。
血圧測定の基本原理
血圧は通常、上腕動脈の圧力を測定することで測定されます。
この圧力は、心臓が血液を送り出す際の圧力(収縮期血圧)と、心臓がリラックスして血液が流れ込む際の圧力(拡張期血圧)の2つの数値で表されます。
腕の太さと血圧測定
- カフの適合性:
血圧計のカフ(腕帯)は、適切なサイズである必要があります。腕が太い場合、標準サイズのカフでは圧力が正しく伝わらない可能性があります。これは、カフが腕を十分に締め付けられず、圧力が均等に分布しないためです。結果として、血圧の測定値が実際の値よりも高く出ることがあります。 - 血管の位置:
腕の太さが異なると、血管の位置や血管の深さも異なる可能性があります。太い腕では血管が深く、カフが適切に圧力を伝えにくい場合があります。これも測定値の差につながることがあります。 - カフの巻き方:
カフの巻き方も血圧測定に影響を与えます。太い腕の場合、カフが緩んでいたり、均一に巻かれていないと、正確な測定が難しくなります。
解決策
- 適切なカフの選択:
腕の太さに応じて適切なサイズのカフを使用することが重要です。標準サイズのカフではなく、大きめのカフを選択することが推奨される場合があります。 - 測定位置の変更:
必要に応じて、前腕や手首での血圧測定を検討することもできます。ただし、これらの部位での測定は上腕での測定とは異なる基準を持つため、注意が必要です。 - 専門家の助言:
定期的な血圧測定が必要な場合は、医療専門家に相談して、最適な測定方法や器具についてアドバイスを受けることが重要です。
研究と実証
研究によって、腕の太さと血圧測定の関連性が示されています。
例えば、肥満患者や筋肉が発達している人は、通常のカフではなく特別なカフを使うことで、より正確な測定が可能になることがわかっています。
また、左右の腕の太さが異なる場合、左右の腕で測定した血圧の差も確認することが推奨されます。
小まとめ
腕の太さは、血圧測定に影響を与える重要な要素です。
正確な血圧測定を行うためには、個々の身体特性に合わせた適切な測定方法と器具の選択が不可欠です。
大動脈炎症候群でも左右差が現れる
左右差が20㎜Hg以上ある場合は、何か他の原因があると考えるべきです。
若い女性に多い自己免疫疾患である『大動脈炎症候群』では、左右に分岐する動脈の部分に炎症が起こり動脈の壁が厚くなるために左側に流れる動脈の入り口が狭くなります。
そのため左の腕の血圧が低くなってしまうのです。
大動脈炎症候群(または高安動脈炎、Takayasu arteritis)において、血圧の左右差が現れる理由について詳しく説明します。
大動脈炎症候群とは
大動脈炎症候群は、主に若い女性に多く見られる比較的稀な自己免疫性疾患です。
この病気は大動脈およびその主要な分枝の中大動脈壁に炎症を引き起こします。
炎症は血管の狭窄(狭くなること)、閉塞(塞がること)、さらには動脈瘤(血管壁が弱くなり膨らむこと)を引き起こします。
血圧の左右差の原因
- 血管狭窄や閉塞:
大動脈炎症候群では、大動脈やその主要分枝が狭窄または閉塞します。これにより、左右の腕に供給される血流が異なります。例えば、片側の腕に供給される血管が狭窄している場合、その腕の血圧は低くなります。 - 血流の不均衡:
大動脈やその主要な枝に狭窄や閉塞があると、血液は狭窄や閉塞の少ない側により多く流れる傾向があります。この結果、血圧は狭窄が少ない側で高く、狭窄が多い側で低くなります。 - コラテラル血行の発達:
血管が狭窄または閉塞している場合、身体は新しい血行路(コラテラル血行)を形成して血流を確保しようとします。しかし、これらの新しい血行路は通常、元の血管ほど効率的ではないため、血圧の不均衡が生じます。
大動脈炎症候群の診断と治療
- 診断:
大動脈炎症候群の診断には、血管造影、CTスキャン、MRIなどの画像診断が用いられます。また、血液検査で炎症のマーカー(例えばC反応性タンパク質(CRP)や赤血球沈降速度(ESR))の上昇が確認されることがあります。 - 治療:
大動脈炎症候群の治療には、ステロイド薬や免疫抑制剤が用いられます。これにより、炎症を抑え、血管の狭窄や閉塞を防ぐことができます。重症例では、血管形成術やバイパス手術が必要になることがあります。
血圧測定における注意点
大動脈炎症候群の患者において血圧を測定する際には、以下の点に注意が必要です。
- 左右両腕での測定:
血圧を左右両腕で測定し、その差を確認することが重要です。片側の血圧だけでは正確な評価が難しいためです。 - 適切なカフの使用:
腕の太さに適したカフを使用し、正確な血圧測定を行います。 - 定期的なフォローアップ:
大動脈炎症候群は慢性の病気であり、定期的なフォローアップが必要です。定期的に血圧を測定し、病状の進行を監視します。
小まとめ
大動脈炎症候群における血圧の左右差は、主に大動脈やその分枝の狭窄や閉塞による血流の不均衡が原因です。
正確な診断と適切な治療により、病気の進行を抑え、血圧の管理が可能となります。
患者の血圧測定においては、左右両腕での測定や適切なカフの使用が重要です。
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