
いつももらっている便秘のお薬なんだけど、最近は調子がいいので減らしてみることになったんだ。
他のお薬はいつもと全く同じなんだけど、今日は前回よりお薬代が高かったんだよね。
お薬が減ったのにおかしいよね⤵

お薬手帳を見せてみて!
なるほど!
お薬代が、高くなっている理由がわかったよ。
場合によってはこんな逆転現象が起こるんだよ。
調剤報酬の仕組みが原因なんだけど…。

今回は、お薬は減ったのにお薬代が高くなる逆転現象について解説してみるね!
Q) お薬が減ったのに、お薬代が高くなることってあるの⁉【服用法(飲み方)が変わるとそれだけでお薬代が変わることも!】

調剤薬局でお薬をもらったんだけど、
”お薬は減ったのに、いつもよりお薬代が高くなったんだよね⤵”
計算間違いじゃないのかな?
こんなことあるの?

ズバリ!あります!
調剤薬局でのお薬の計算方法は少々複雑で、細かい説明は長くなるので省略させてもらいますが、次のような場合は支払額が高くなります。
例)今までは、A錠とB錠の2種類のお薬をどちらとも1日3回、毎食後に服用していたと仮定します。
そこで、体調が改善したり色々な理由で「A錠は今まで通り1日3回毎食後」のまま、「B錠は1日2回の朝夕食後に減薬になった」とします。
つまり、この場合はB錠はお昼の分が中止になったため、お薬の数は当然少なくなります。

当然、少なくなったお薬の分だけお薬代が安くならないとおかしいよね…。

そうだよね…。
そう考えるのは当然なんだけど、
調剤薬局でのお薬代の計算の仕組みが今回のように
納得出来ないようなことを引き起こしてしまうんです…。
ポイントは調剤薬局窓口での支払額には様々な手数料のようなものも含まれているということなのです。
そのなかの一つに『調剤料』とよばれる技術料(手数料)があります。
調剤料は、内服剤の場合は飲み方ごとにそれぞれ加算され上限3回まで発生するのです。

”飲み方ごと” とは、「1日3回・1日2回・1日1回」というような服用法のことと理解してください。
先ほどの例では、最初はA錠・B錠とも1日3回だけだったので手数料は1回分のみ発生ます。
しかし、処方内容が変更になり、A錠は1日3回・B錠は1日2回になり飲み方の方法が2通りになったため、手数料が2回分発生することになったのです。
つまり、この場合は手数料が2倍になります。

調剤料という手数料が、減ったお薬の薬価より高い場合(増えた分の手数料>減った分の薬価)は、差し引きしてプラスになった分だけ窓口で支払うお薬代が高くなるのです。

服用法(飲み方)が変わると、場合によってはお薬代も変わることがあるんだね。
なんか気持ち的には微妙な感じになるけど、決まりだからそういうもんなんたって思うしかないよね…。

酸化マグネシウム錠が減ったと仮定して、実際の調剤報酬の計算をシミュレーション!
調剤料は処方日数により変わりますが、処方日数が31日以上の場合は1回分が860円ですので、2回分では860円×2=1720円です。

処方日数が多いと調剤料は結構大きな差になるんだね!
※点数は1点が10円として計算します

今回は、緩下剤である「酸化マグネシウム錠」が、1日3回から1日2回に減って、35日分処方された場合で、シミュレーションしてみます。

ちなみに、酸化マグネシウム錠330mgはとても安くて薬価は約6円/錠です。

おおよその差額を単純計算すると、調剤料は2倍になり、860円高くなります。
酸化マグネシウム錠は、1日3錠の場合「6円×3=18円」ですので、35日分で「18円×35=630円」。
1日2錠の場合「6円×2=12円」ですので、同様に「12円×35=420円」です。
差額は「630円-420円=210円」です。
つまり、お薬そのものも金額(薬価)は210円安くなるのですが、手数料である調剤料が860円高くなるので、支払額は高くなってしまう逆転現象(ジレンマ)が起こるのです。
注釈)今回のシミュレーションは、分かりやすくするため、実際の計算とは正確には若干のずれがあります。

今回のケースは、服用法(飲み方)が増えてしまったためにお薬代が高くなってしまったのですが、逆にお薬の服用法(飲み方)が減ってお薬代が安くなる場合もあります。
今回のケースの逆のパターンですね。
まとめ
お薬によって薬価は様々ですが、1錠が10円未満のものもあります。
安いお薬の場合は、このような逆転現象(ジレンマ)が起きるのです。
今まで、「お薬が減ったのに支払額はほとんど一緒、または少し高くなった」ということを経験した方がいると思いますが、実はこういう理由だったのです。
調剤料は、保険調剤薬局では全国共通であり、どこの薬局でも同じです。
ただし、施設基準により、「調剤基本料」や「後発医薬品調剤体制加算」とよばれるものは、薬局ごとで異なりますので、全く同じ処方箋をもっていっても、薬局ごとに支払額が変わることがあります。

一般的には「調剤基本料」は、大学病院など大きな規模の医療機関のすぐ近くにある調剤薬局や、大手の調剤薬局グループなどの方が安いですね!
これは、処方箋の受付枚数(回数)や集中率などで「調剤基本料」が分けられているからです。
金額としては、一番安いと90円、一番高いと420円なので330円の差があります。


患者さんがたくさん来て儲かっている(利益が出ている)調剤薬局は、
患者さんひとりの単価を下げることで、儲かりすぎないように調整されるんだね・・。
「調剤報酬表」とは、調剤を行うことで発生する手数料的な報酬の一覧表です!
(※調剤報酬表の1点は10円として換算されます)
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