最近では医療機関でも、領収書と共に明細書をもらうことが多くなってきたと思いますが、明細書を見てもあまり内容が理解できないことも多いと思います。
そこで、今回は調剤薬局で発行されている明細書の内容について一部説明してみたいと思います。
調剤薬局での支払いって、なんか複雑でわかりにくいよね~。
そうだよね~。
実際に現場で働いている自分でも分かりにくいなぁって思うことも多いんです。
例えば、錠剤を半分に割ってお渡しすると「自家製剤加算」という手数料が発生しているんです。
ほとんどの人は知らなかったでしょう…。
そうだったの…。
錠剤を半分に割る場合も ”細かい妙な決まり” があって、全く同じ作業をしているのに手数料が発生する場合と発生しない場合があるんだよ…。
個人的には「どうして???」って感じなんです。
ええっ、それってどんな場合なの???
錠剤に溝が刻まれているような形状を「割線」と呼んでいるのですが、添付文書と呼ばれるお薬の説明書にその溝が「割線」と明記されていると半分に割った際は手数料が発生するのに、明記されていなければ ”錠剤の単なるデザイン” とみなされて手数料は発生しないのです…。
個人的には全然納得できないんですが…。
ほかにも、錠剤を割線に従って半分に割ったとしても、”半分に割った場合と同じ量(規格)の製品が後発品も含めて存在している場合は「自家製剤加算」という手数料は取れない” という決まりもあるのです。
なんだか、ややこしいね。
その他諸々・・・・・・・。
詳しくはこちらのマンガを参考にしてね。【半錠の自家製剤加算あるある】です。
こんなに煩雑な決まりを作って誰に何のメリットがあるのでしょうね…。(ボヤキ中)
2022年度の改定では、錠剤を分割する場合は割線の有無にかかわらず自家製剤加算を算定できることとなり、実務に見合った改定となりました。
このように調剤報酬は改定されていくのですが、なんだか微妙…ということはまだまだありますね。
自家製剤加算とはどのようなものなの?
「自家製剤加算」とは、「市販されている医薬品の剤形で対応できない時に、医師の指示に基づいて、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合」に1調剤ごとに算定できる点数です。
調剤上の特殊な技術工夫とは、安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等の添加剤を加えて調剤した場合や、ろ過、加温、滅菌等を行うことを指します。
ちょっと専門的になりますが、詳しく知りたい方はこちらの動画が参考になると思います。
お薬の量が減ったのにお薬代が高くなったのはなぜ?そのからくりを解説します!
お薬の量が減ったのにお薬代が高くなったのはなぜ?
それは、錠剤を半分に分割した場合に ”自家製剤加算が発生してしまった” のです。
その理由を詳しく解説していきますね!
仮に56日分のお薬をお渡しする場合では、自家製剤加算は、7日分ごとに200円かかるので、200円×8(7日毎×8)=1600円の手数料が発生します。(※ただし、条件によっては例外もあります【マンガ半錠の自家製剤加算あるある】にて説明済み)
例)前回受診時は、A錠1回1錠、1日1回朝食後/56日分処方だったとします。
⇒体調の変化など何らかの理由で、今回はA錠1回0.5錠、1日1回朝食後/56日分に処方内容が変更になりました。
この場合は、薬価(薬そのものの値段)は半分になります。
しかし、錠剤を半分に割ってお渡しすることになるため、自家製剤加算という名の手数料が発生します。
その場合、薬価が安い薬剤の場合では、”薬の量は減ったのにお薬代が逆に高くなる” 逆転現象が起きてしまいます。
薬価が数十円程度の安いお薬だと薬価自体の減額よりも、自家製剤加算として発生してしまう手数料の方が高いため支払いが高くなってしまうんだね。
同じ成分量なのにお薬代が違う!どっちがお得なの⁉
【参考例】カルベジロール10㎎錠を半錠にした場合と2.5㎎錠を2錠もらった場合の比較
カルベジロールという薬剤を例に挙げると、カルベジロールには、剤形規格が「1.25mg・2.5㎎・10㎎・20㎎」と4種類あります。
仮にカルベジロール1回の服用量が5㎎の場合では、お薬を処方する際は、①2.5㎎×2錠、または②10㎎×0.5錠(半錠)という2パターンになります。(※カルベジロール1錠の薬価:2.5㎎錠➡約10円、10㎎錠➡約19円)
お薬代を計算すると次のようになります。
(※お薬代として違いが出る部分だけを抜粋)
- ①の場合は「約10円×2=約20円」×56日分=約1120円
- ②の場合は「約19円×0.5」×56日分=約560円+自家製剤加算1600(円)=約2160円
そうなると、①と②では約1000円以上の差が出てきます。つまり、カルベジロール錠の場合は、同じ量の薬を服用する場合は、①のように処方してもらった方が安く済むのです。
実際の支払額は患者負担は1割~3割ですので、今回の例題においては約100円~300円の差になります。
錠剤が上手く飲めないなどの理由があって錠剤を粉砕して粉の状態にした場合にも自家製剤加算は加算されます!
色々な理由で錠剤が上手く飲めない人もいるため、薬剤師はお薬の性質をしっかりと確認したうえで、錠剤を粉砕して粉状にしてお渡しすることがあります。
この場合も、半錠の時と同様に「自家製剤加算」と呼ばれる手数料が発生します。料金は内服の場合は同じく7日ごとに200円です。
粉状に粉砕する場合も、後発品も含めて同じ成分の散剤がないことが「自家製剤加算」が加算できる要件となります。
同じお薬の成分に「粉の製品(散剤)」があったら、全く同じ作業をしても一切手数料は発生しないんだね…。
すごく手間がかかる作業なのにね…。
調剤薬局での支払い面では、他にも知らないと損していることはいっぱいあるよ!
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