体力が低下している人の様々な症状を改善するおすすめの漢方薬が『人参養栄湯(にんじんようえいとう)』です。

最近よく「フレイル」って言葉を耳にするようになったけど、どんな意味なの?

「フレイル」とは加齢により心身が老い衰えた状態のことを指しています。


フレイルになるとどんなことが起こるのかな?

高齢者がフレイルという状態になると、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症を引き起こす危険が高くなります。
統計によると死亡率も上昇することも確認されています。
フレイルとはどのような状態なの?
人は年を取ると段々と体の力が弱くなり、外出する機会が減り、病気にならないまでも手助けや介護が必要となってきます。
このように心と体の働きが弱くなってきた状態を「フレイル(虚弱)」と呼びます。

フレイルについて分かりやすく解説してくれている動画がありましたので紹介しますね!
【人参養栄湯】の生薬構成(ツムラ)
人参(ニンジン)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)、黄耆(オウギ)、陳皮(チンピ)、遠志(オンジ)、五味子(ゴミシ)、甘草(カンゾウ)
【人参養栄湯】の効能効果(ツムラ)
病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
【人参養栄湯】の特徴・説明
- 『人参養栄湯』は ”フレイル” という状態のときに使用される漢方薬のひとつです。
「フレイル(Frailty)」とは、日本老年医学会が提唱している「高齢者が筋力や活動が低下している状態(虚弱)」を意味しています。
- 『人参養栄湯』は構成生薬に「五味子」を含んでいるため、呼吸器疾患をともなう際の補剤と考えると理解しやすいと思います。
- 『人参養栄湯』には構成生薬に「地黄」が含まれているため、胃もたれなどの症状が起きることがあります。
- 『人参養栄湯』には構成生薬に「遠志(オンジ)」が含まれているために、血糖値のコントロールをみる指標である『1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)』が正しく測定できない可能性があります。
- 『人参養栄湯』は悪性腫瘍や難治性疾患などの大病で体力が低下している場合に効果的な方剤です。
抗がん剤治療や放射線治療の副作用軽減も期待でき、補助的に併用するとがんの治療が上手くいくこともあります。
- 『人参養栄湯』は『十全大補湯』と構成生薬が似ています。
『十全大補湯』は気血両虚の人に使用され、『人参養栄湯』は呼吸器疾患がある場合が目標となります。
- 『人参養栄湯』の味は表現法が難しいですが、渋くて甘いです。

『人参養栄湯』は筋肉の衰えをゆっくりにしてくれるため、高齢者などの筋力低下による転倒を予防するために処方されることもあります。

”補剤” には凄い可能性が秘められています!
「免疫力アップ」「アンチエイジング効果」もアリ⁉
血糖値コントロールの指標のひとつ『1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)』に影響を与える漢方薬の構成生薬「遠志(オンジ)」とはどのようなものなの?

『1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)』って何?

『1,5-AG』は、検査(採血)時点から過去数日間の血糖レベルがわかる指標です。
尿糖の排泄量に伴い数値が下がるという仕組みから、食後だけ高血糖になっているケースなど、病状が比較的軽度の時点から、より敏感に反応が現れるので、糖尿病の早期発見に役立つ血液検査になります。

『1,5-AG』は、ほかの血糖値の指標となる検査項目『HbA1C(ヘモグロビン・エーワンシー)・グリコアルブミン(GA)』とは異なり、数値が低い方が糖尿病の状態が悪いので勘違いしないようにしてくださいね!


お薬の中には、検査結果に影響を与えることもあるって言っていたよね!

そうなんです!
漢方薬の中にも『1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)』の検査結果に影響を与えてしまうものもあるので紹介しておきますね。

「遠志(オンジ)」には、1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)が多く含まれているので、本来の血糖コントロール状態に比べて『1,5-AG 値が高くなる』可能性があります。

ただ、この数値の結果は、糖尿病の病気の状態が悪くなったり良くなったりするということではなくて、正確に検査結果が反映されないということなので、糖尿病のひとが「遠志(オンジ)」を含む漢方薬を飲んではいけないということではありません。

「遠志(オンジ)」は、ヒメハギ科のイトヒメハギの根を乾燥したもので、漢方的には、精神を安定させたり、動悸、健忘、不眠、咳嗽、多痰、腫れ物などの改善が期待できる生薬だったよね!


物忘れを改善するという市販薬の中にもこの「遠志(オンジ)」が含まれていることがあるので『1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)』の検査をしている患者さんは医師にその旨を話すようにしてくださいね!
例えば、エーザイが販売している「遠志の恵み」などがあります。
【人参養栄湯】のエビデンスとは
エビデンスとは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
- 『人参養栄湯』は放射線治療中の白血球減少の予防と自覚症状の改善に寄与する
- 『人参養栄湯』には慢性C型肝炎のリバビリン併用療法における貧血軽減効果が認められた
【人参養栄湯】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。




『人参養栄湯』は「遠志」が入っているので、ちょっと認知症が入ってきたような気のいいおばあちゃんに使うことが多いですね!
(引用:漢方.jp)

中医学的に ”肝血虚” に用いる方剤が『四物湯』+『四君子湯』⇒『八珍湯』です。
この『八珍湯』をベースにした方剤である『人参養栄湯』、『十全大補湯』を肝血虚に使用することが多いですね。
この肝血虚を判断するポイントは次のようになります。
男性・小児は2つ以上、生理がある女性は3つ以上当てはまると肝血虚と考えています。
- 皮膚に艶がない・皮膚が乾燥して痒い
- 髪が荒れやすい・抜け毛が多い
- 目が疲れやすい・目が乾燥する・視力が低下してきた
- 筋肉が痙攣しやすく痛みがある(こむら返りなど)
- 爪がもろい・割れやすい
- 立ちくらみがある(貧血傾向)
- 生理の色が以前より薄くなってきた
- 生理の量が以前より少なくなってきた
- 生理の周期が以前より長くなってきた
(引用:漢方.jp)

なかなか子供を授からない原因には「不妊症」と「不育症」があるのですが、最近では不育症の割合の方が多いと言われています。
不育症とは妊娠はするけれども、流産、死産や早期新生児死亡などを繰り返し、結果的に子どもをもてない状態をいいます。
不育症についてはまだ分かっていないことが多く、検査を行っても約半数は原因が特定できないとされます。
中医学的には受精卵が着床を上手くできない理由は子宮のベッドが固いからと考えます。
この子宮のベッドが固くなる理由は中医学的には ”血虚” であると考えるのです。
そのため、女性の「不妊症」と「不育症」には漢方薬では ”血” を補う方剤を使用するのです。
肝血虚には『四物湯』を用いるのですが、これだけでは補血作用しかないために、お腹を丈夫にして体を温める作用のある『人参養栄湯』がベストなのです。
ここで『十全大補湯』も候補の一つになるような感じがするかもしれませんが、構成生薬の中に活血作用のある「川芎」が含まれているために妊婦にはちょっと避けたい感じになります。
また、『人参養栄湯』がおすすめなのは固渋薬である「五味子」が含まれているからです。
私は「不妊症」と「不育症」の95%くらい『人参養栄湯』を処方しています。
イメージとして子宮を柔らかくて温かいベットにするためと考えると分かりやすいと思います。
(引用:がんじゅうふぁみりー)

【人参養栄湯】の注意点
むくみ・体重増加・血圧上昇などが現れた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。
【人参養栄湯】の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。

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