何かのどにつかえ感があるけど、耳鼻科で検査してもらっても見た目には異常はないといわれたときにおすすめの漢方薬が『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』です。
「咽頭異常感症」「ヒステリー球」、中医学的には「梅核気(ばいかくき)」「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」ともいわれる状態です。
原因の一つとしてメンタル系の異常が考えられています。

なんだかのどに違和感が続いているけど、耳鼻科で診てもらっても腫れたり、炎症などは起きていないと言われるんだよね。


原因が分からないのどの違和感には『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』がおすすめです!
咽喉頭異常感症とはどのような状態なの?

「喉がイガイガ、ザラザラする」「喉に何かがつかえている感じがする」「物が飲み込みにくい」など、喉に何らかの異常感を訴える症状のうち、さまざまな検査をしても特に原因のはっきりしないものを総称して『咽喉頭異常感症』といいます。
ストレスによって喉の違和感が生じやすくなることがわかっていますが、詳細なメカニズムは明らかになっていません。
ストレスをため込みやすいまじめな人、責任感が強い人、我慢強い人などが発症しやすいといわれています。
(参考資料:佼成病院 耳鼻咽喉科部長 中村 健大 先生)
咽喉頭異常感症に使用される漢方薬にはどのよううなものがあるの?

【半夏厚朴湯】の生薬構成(ツムラ)
半夏(ハンゲ)、茯苓(ブクリョウ)、厚朴(コウボク)、蘇葉(ソヨウ)、生姜(ショウキョウ)
【半夏厚朴湯】の効能効果(ツムラ)
不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症
【半夏厚朴湯】の特徴・説明
- 『半夏厚朴湯』は心身症・不安障害などメンタル症状を背景とした、”のどの違和感・つかえ感” を主訴とした場合に使用されます。
『半夏厚朴湯』は器質的(見ため)には異常がないのに、症状はしっかり現れている場合によく使用される漢方薬です。
- 『半夏厚朴湯』は吐き気を伴う消化器症状にも効果があります。
- 『半夏厚朴湯』の構成生薬は、『小半夏加茯苓湯』という吐き気止めに使用される漢方薬にメンタル系の症状を改善する生薬である「厚朴」、「蘇葉」を加えたものです。
※「蘇葉」とはいわゆる「シソ」です。
※『小半夏加茯苓湯』は ”妊婦のつわり” にも効果があります。

「厚朴」にはクラーレ様の筋弛緩作用、中枢性筋弛緩作用、抗ストレス性潰瘍作用、抗アレルギー作用などが知られています。
- 『半夏厚朴湯』は七気(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)を治すことから、『大七気湯』という別名もあります。また、和剤局方では『四七湯』と呼ばれています。
- 『半夏厚朴湯』はなんとなく気分が乗らないようなときにも効果があります。
- 『半夏厚朴湯』の味は表現法が難しいですが、甘くて辛い感じです。
【半夏厚朴湯】のエビデンスとは
エビデンスとは、科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。
- 咳反射改善作用
- 誤嚥性肺炎予防効果
【半夏厚朴湯】のクリニカルパール
クリニカルパール(Clinical pearl)とは、経験豊富な臨床医から得られる格言のようなものです。

赤枠で囲った所(食道・胃・心臓・肺など)が、何か調子が悪いと訴えるような場合に『半夏厚朴湯』を処方するとそれなりに効果が期待できます。

(引用:漢方.jp)

誤嚥性肺炎防止に『半夏厚朴湯』を使用すると良いことがあります。
(引用:漢方.jp)

『小柴胡湯合半夏厚朴湯』・『大柴胡湯合半夏厚朴湯』は気管支喘息によく用いています。
また、のどが詰まった感じがあり『半夏厚朴湯』を使用したい場合であっても、腹力が軟弱でお腹が背中にくっついているような場合には、より疲れやすくなり、食欲も低下してしまうので使用すべきではありません。
「半夏」が含まれている方剤を使用する場合には筋肉の緊張感があることを確認すべきです。
その他、『半夏厚朴湯』を使用する目安の一つに ”用意周到な性格” があります。
(引用:漢方診療30年・症候による漢方治療の実際)

虚証の人に対して『半夏厚朴湯』を使用して脱力感を誘発した場合には『苓桂朮甘湯』が良い場合があります。
(引用:飛躍モダンカンポウ)

精神的なストレスが原因で無月経になってしまった場合には『半夏厚朴湯』が有効な場合が多いです。
また、『半夏厚朴湯』に「川芎」を加味すると、気を遣いすぎて無月経になったような場合には極めて有効です。
(引用:症候による漢方治療の実際)


『半夏厚朴湯』は中医学的には次のような効能があると考えられています。
- ”理気降逆” ⇒ストレスによる気滞・気逆などを改善すること
- ”化痰散結” ⇒痰などの粘り気のあるものを取り除いて、しこりなどの塊を解消すること
具体的な症状は吐き気・ゲップ・上腹部の詰まった感じ・咳・喉の違和感・嗄声などです。
”梅核気(ばいかくき)” ”咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)” とも言われ、嚥下には問題なく、見た目には異常がないのに喉が詰まった感じがするような場合に『半夏厚朴湯』が用いられます。
※個人的には胃や腸のポリープが出来る要因として中医学的な ”痰” が原因だと考えています。
(引用:がんじゅうふぁみりー)
【半夏厚朴湯】の入手方法
- 病院で処方してもらう
- ドラッグストアや楽天・Amazonなどのインターネットで購入できます。

『半夏厚朴湯』はアリナミン製薬からは「ストレージ タイプH」という商品名で販売されています。
コメント