「胃カメラでは大きな異常がないのに、胃がずっと重い」。
「少し食べただけですぐお腹いっぱいになる」。
「ストレスがかかると、げっぷやみぞおちのつかえが増える」。
このような症状が続いている場合、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)が関係していることがあります。
機能性ディスペプシアは、胃潰瘍や胃がんなど症状を説明できる明らかな病変が見つからないにもかかわらず、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みなどが慢性的に続く病態です。
そして興味深いのは、現代医学でも「胃酸だけの問題」ではなく、胃の動き、胃が食物を受け入れる力、知覚過敏、ストレス、食生活など、複数の要因が関係すると考えられていることです。
これは、中医学でいう「脾胃の弱り」「気滞」「痰湿」などの考え方とも重なる部分があります。
この記事では、薬剤師・中医薬膳師の視点から、機能性ディスペプシアを現代医学と中医学の両面から整理し、体質ごとの漢方の考え方、食事、腸活、受診の目安まで詳しく解説します。
- 日本消化器病学会の診療ガイドラインでは、六君子湯が機能性ディスペプシアの一次治療の選択肢のひとつに位置づけられています。
- ただし「FD=全員六君子湯」という意味ではありません。
- 中医学では、脾気虚・気滞・痰湿・寒証・陰虚など、症状の背景にある「証」を見ながら処方を考えます。
- 体重減少、繰り返す嘔吐、出血、嚥下障害などがある場合は、漢方より先に医療機関での評価が必要です。
- 機能性ディスペプシアとは?|「胃に異常がない=症状がない」ではありません
- 胃もたれ・早期満腹感・げっぷ|症状によって背景が違います
- なぜ胃カメラで異常がなくても症状が出るのでしょうか?
- 中医学では胃腸を「脾=土」と考えます
- 機能性ディスペプシアを体質別に解説|あなたはどのタイプ?
- 機能性ディスペプシアに使われる代表的な漢方薬
- 漢方だけに頼らない|胃を整える食事・薬膳・腸活
- ほどよい堂の3本柱|栄養・循環・吸収=腸活
- 3日・3週間・3か月|胃腸は「少しずつ整える」
- 漢方より先に病院へ|見逃したくない警告サイン
- 「胃の不調=全部ストレス」と決めつけないことも大切です
- 機能性ディスペプシアと漢方|よくある質問
- まとめ|機能性ディスペプシアは「胃だけ」を見ないことが大切
- 参考情報
機能性ディスペプシアとは?|「胃に異常がない=症状がない」ではありません
機能性ディスペプシアとは、胃潰瘍、胃がんなどの明らかな器質的疾患や、症状を説明できる全身性・代謝性疾患が見つからないにもかかわらず、慢性的に胃の不快症状が続く病態です。
「胃カメラでは異常なしだったから気のせい」と思われがちですが、そうではありません。
胃の「形」に大きな異常がなくても、胃の動き、食事を受け入れる能力、知覚、自律神経など「機能」の変化によって症状が起こることがあります。
Rome IVで重視される4つの症状
国際的な診断基準であるRome IVでは、機能性ディスペプシアの中心症状として主に次の4つが挙げられます。
| 症状 | どんな感じ? |
|---|---|
| 食後膨満感 | 食後に胃が重い、張る、食べ物がいつまでも残っている感じ。 |
| 早期満腹感 | 食事を始めて間もないのに満腹になり、十分な量を食べられない。 |
| 心窩部痛 | みぞおち付近に痛みを感じる。 |
| 心窩部灼熱感 | みぞおちが熱い、焼けるように感じる。 |
げっぷ、吐き気、膨満感などを伴う方もいますが、「げっぷだけ」で機能性ディスペプシアと判断するわけではありません。
胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状が強ければ胃食道逆流症(GERD)、げっぷが極端に多ければ空気嚥下やげっぷ症候群など、別の病態も考える必要があります。
胃もたれ・早期満腹感・げっぷ|症状によって背景が違います
① 食後の胃もたれが中心
「朝食が昼まで残っている感じがする」「夕食後、何時間も胃が重い」というタイプです。
現代医学では、胃排出の変化、胃・十二指腸の運動異常、内臓知覚過敏などが関係することがあります。
中医学では、胃腸を動かすエネルギーが不足した「脾気虚=胃腸のエネルギー不足タイプ」や、水分・未消化物が停滞する「痰湿」を考えることがあります。
② 少ししか食べられない「早期満腹感」
通常、食べ物が胃に入ると、胃の上部がゆるんで食事を受け入れます。
この働きを「胃適応性弛緩」と呼びます。
この機能がうまく働かないと、食事量が少ないのに「もう入らない」「すぐ満腹」という感覚が出る場合があります。
食べる量が減る状態が長く続けば、エネルギーだけではなく、タンパク質、良質な脂質、ビタミン、ミネラルなどが不足する可能性にも注意が必要です。
③ げっぷ・お腹の張りが中心
「緊張するとげっぷが増える」「仕事中は胃が張るのに休日は少し楽」という場合には、ストレスとの関係も確認します。
中医学では、このような状態を「気滞=気の巡り停滞タイプ」と考えることがあります。
特に、ため息、胸や喉のつかえ、イライラ、ストレスで症状が上下する場合は、「肝」の疏泄機能と「脾胃」の関係を重視します。
これを「肝胃不和」「肝脾不和」と表現することがあります。
なぜ胃カメラで異常がなくても症状が出るのでしょうか?
機能性ディスペプシアは、一つの原因だけで説明できる病態ではありません。
日本消化器病学会の診療ガイドラインでも、複数の要因が検討されています。
| 現代医学で考えられる要因 | 簡単な説明 |
|---|---|
| 胃・十二指腸運動異常 | 食べ物を受け入れたり、先へ送ったりする働きの変化。 |
| 胃適応性弛緩の異常 | 食事が入った時に胃が十分に広がりにくい。 |
| 内臓知覚過敏 | 通常なら気にならない刺激を強く感じる。 |
| 胃酸 | 一部の症状では胃酸が関係することがある。 |
| 心理社会的因子 | ストレス、不安、生活環境などと症状が影響し合う。 |
| 食生活・睡眠・生活習慣 | 食べ方や生活リズムも症状に影響する場合がある。 |
つまり、胃酸だけ抑えれば全員がよくなる病気ではありません。
胃の動きが弱い人、胃が敏感になっている人、ストレスの影響が大きい人など、同じ「胃もたれ」でも背景が違います。
中医学でも「胃もたれ」という症状名だけで漢方薬を決めません。
胃腸が弱っているのか、気が滞っているのか、水分が停滞しているのか、冷えているのか、熱がこもっているのかを整理します。
「同じ症状でも原因が違う」という考え方は、現代の機能性ディスペプシアの多因子モデルとも相性のよい視点です。
中医学では胃腸を「脾=土」と考えます
中医学では、「脾」は食べた物を消化し、気・血・津液という身体の材料に変える働きを担うと考えます。
五行では脾は「土」に属します。
土が植物を育てるように、脾胃が食事から身体を養う材料を生み出すというイメージです。
そのため、ほどよい堂では胃腸を単なる「食べ物の通り道」ではなく、
- 栄養を受け取る
- 身体の材料へ変える
- 全身へ送り出す
ための重要な土台として考えています。
胃腸が弱っている状態で、「身体によいから」とサプリメントや食物繊維を大量に追加しても、かえって胃もたれや膨満感が強くなる場合があります。
まずは「受け取れる胃腸」をつくることが大切です。
機能性ディスペプシアを体質別に解説|あなたはどのタイプ?
ここからは機能性ディスペプシアにみられる胃症状を、中医学の「証」で整理します。
実際には2つ以上のタイプが重なることも珍しくありません。
| タイプ | 主なサイン | 中医学的な背景 | 治則のイメージ |
|---|---|---|---|
| 脾気虚タイプ | 胃もたれ、早期満腹感、食欲低下、疲労、軟便 | 胃腸を動かす「気」が不足 | 健脾・補気 |
| 気滞タイプ | げっぷ、膨満感、喉のつかえ、ストレスで悪化 | 気の巡りが停滞 | 理気・疏肝・和胃 |
| 痰湿タイプ | 胃が重い、吐き気、むくみ、身体が重い、舌苔が厚い | 余分な水分や停滞物がたまりやすい | 健脾・化痰・利湿 |
| 寒証・陽虚タイプ | 冷たい物で悪化、温めると楽、冷え、軟便 | 胃腸を温め動かす力が弱い | 温中・散寒・補陽 |
| 胃熱・湿熱タイプ | 胃の灼熱感、口苦、口臭、べたつき、刺激物で悪化 | 熱と湿が胃腸にこもる | 清熱・化湿・和胃 |
| 陰虚タイプ | 口や喉の乾燥、ほてり、乾燥便、みぞおちの熱感 | 胃を潤す津液が不足 | 養陰・生津・和胃 |
① 脾気虚|胃腸のエネルギー不足タイプ
機能性ディスペプシアで特に重要なタイプです。
- もともと胃腸が弱い
- 食欲が少ない
- 少し食べると満腹になる
- 食後に疲れる、眠くなる
- 胃が重い
- 軟便になりやすい
- 疲れやすい
八綱弁証では「裏・虚」を中心に、冷えがあれば「寒」が加わります。
治則は「健脾益気=胃腸を支えて気を補う」が基本です。
② 気滞|ストレスで胃が止まりやすいタイプ
- ストレスでげっぷが増える
- お腹がパンパンに張る
- 喉や胸がつかえる
- ため息が多い
- 食欲が日によって変わる
- 緊張すると胃が痛くなる
「肝」の気がうまく巡らず、胃の動きまで邪魔している状態を「肝胃不和」と考えることがあります。
この場合、単純に胃腸を補うだけではなく、「気を巡らせる」という視点が重要になります。
③ 痰湿|胃に「重さ」が残るタイプ
- 胃がずっしり重い
- 吐き気がする
- 痰が多い
- むくみやすい
- 身体が重だるい
- 雨の日に調子が悪い
- 舌に白く厚い苔がつきやすい
中医学では「脾は生痰の源」と表現します。
脾胃が弱ると水分を処理する力も低下し、「痰湿」が生じやすくなるという考え方です。
脾気虚と痰湿はセットで現れることが多くあります。
④ 寒証・陽虚|胃腸が冷えるタイプ
- 冷たい飲み物で悪化する
- 温かい物を食べると楽
- 腹部が冷たい
- 軟便・下痢になりやすい
- 手足も冷える
- 朝が苦手
胃腸は中医学では「冷え」を苦手とすると考えます。
冷たい飲み物、生野菜、アイスなどを完全禁止にする必要はありませんが、胃の調子が悪い時期だけでも頻度を少し減らし、温かい汁物へ置き換える方法が現実的です。
⑤ 胃熱・湿熱|熱とべたつきがこもるタイプ
- 胃の焼ける感じ
- 口が苦い
- 口臭が気になる
- 脂っこい食事で悪化する
- 舌苔が黄色くべたつく
- 便がべたつく
このタイプでは「胃が悪いから温めればよい」と考えると逆方向になる可能性があります。
寒熱を見分けることが漢方では重要です。
⑥ 陰虚|胃の潤い不足タイプ
- 口や喉が乾く
- 夕方からほてる
- 寝汗がある
- 便が硬い
- 胃に熱感がある
- 舌が赤く、苔が少ない
このタイプは「胃腸が弱いから六君子湯」と単純に考えない方がよいケースです。
痰湿をさばく方向だけを強くすると、乾燥感が目立つ方では合わない場合があります。
機能性ディスペプシアに使われる代表的な漢方薬
六君子湯|脾気虚+痰湿タイプ
六君子湯(りっくんしとう)は、胃腸が弱く、食欲が低下し、胃もたれや早期満腹感がある方に用いられる代表的な漢方薬です。
どんな証に用いる方剤かを一言で表すと、
「脾気虚+痰湿=胃腸のエネルギー不足に、水分や停滞が加わったタイプ」
日本消化器病学会の「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア」では、六君子湯は一次治療の選択肢に位置づけられています。
特に、
- 胃腸がもともと弱い
- 食欲がない
- 少量ですぐ満腹になる
- 胃もたれ
- 疲れやすい
といった症状が重なる場合に検討しやすい方剤です。
茯苓飲|胃もたれ・げっぷ・胃内停水を考える方剤
茯苓飲(ぶくりょういん)は、胃内に食物や水分が停滞し、胃もたれ、胸やけ、げっぷなどがみられる場合に検討される方剤です。
どんな証に用いる方剤かを一言で表すと、
「気滞+水分停滞が胃に集まっているタイプ」 です。
六君子湯が「胃腸そのものの力不足」を補うイメージなら、茯苓飲は「胃に停滞しているものを動かす」方向を意識する処方として理解すると分かりやすいでしょう。
半夏厚朴湯|気滞+痰・ストレスタイプ
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、不安や緊張、喉のつかえ、胸のつかえなどを伴うタイプで検討されることがあります。
どんな証に用いる方剤かを一言で表すと、
「気滞+痰=ストレスで気の流れが詰まり、痰湿も絡むタイプ」 です。
「胃そのものが弱い」というより、
ストレス → 気が滞る → 胃の動きまで乱れる
という流れが強い方に向くことがあります。
茯苓飲合半夏厚朴湯|ストレス+胃の停滞
胃もたれ、膨満感、げっぷなどに加え、喉や胸のつかえ、緊張、不安などが目立つ場合に検討されることがあります。
「胃に停滞しているものを動かす茯苓飲」と「気を巡らせ痰をさばく半夏厚朴湯」を合わせた考え方です。
半夏瀉心湯|寒熱錯雑タイプ
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、みぞおちのつかえ、げっぷ、胃腸の不快感、下痢などが混在する場合に検討されます。
どんな証に用いる方剤かを一言で表すと、
「寒熱錯雑=胃腸の中で冷えと熱のアンバランスが起きているタイプ」 です。
二陳湯|痰湿が中心のタイプ
吐き気、胃のむかつき、痰、胃内停水など「余分な水分」が目立つ場合に使われることがあります。
六君子湯、半夏厚朴湯、茯苓飲、半夏瀉心湯などは、同じ胃もたれでも使い分けます。
また、複数の漢方薬を自己判断で併用すると、甘草など同じ生薬が重複する場合があります。
処方薬、市販薬、サプリメントを使用中の方は、医師・薬剤師へ確認してください。
「自分は六君子湯?それとも別のタイプ?」と迷ったら
胃もたれ・げっぷ・早期満腹感だけでなく、便通、冷え、睡眠、ストレス、食事、服薬状況まで確認すると、体質の違いが見えてきます。
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」では、薬剤師・中医薬膳師が漢方×薬膳×腸活の視点から無料で体質を整理しています。
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漢方だけに頼らない|胃を整える食事・薬膳・腸活
機能性ディスペプシアでは「何を飲むか」だけではなく、「胃へどのように食べ物を入れるか」も重要です。
まず1つ変えるなら「1口30回」を目安によく噛む
胃の調子が悪い方ほど、良い食品や健康食品を探したくなります。
しかし最初に変えやすいのは「噛み方」です。
よく噛むことで食物が細かくなり、唾液の分泌が促され、消化の準備が始まります。
中医学で表現すれば、「脾」が担当する消化吸収の仕事を、口の段階から助ける養生です。
食べる量は「腹八分」より少なくてもよい時があります
早期満腹感が強い時に、「栄養を取らなければ」と一度にたくさん食べると、かえって胃もたれが強くなることがあります。
1回量を少し減らし、必要に応じて食事回数を分ける方法もあります。
ただし体重減少が続いている場合は自己流で食事量を減らさず、医療機関で原因を確認してください。
脂質は「ゼロ」ではなく、量を調整
脂っこい食事で胃もたれが強くなる方は少なくありません。
揚げ物を完全禁止にするより、
- 揚げ物を毎日から週1〜2回へ
- 脂身の多い肉から白身魚・鶏肉へ
- 一度に大量の脂質を摂らない
というように、胃の調子を見ながら頻度と量を調整する方が続けやすいでしょう。
薬膳では「食積」も考える
暴飲暴食や脂っこい食事の後に、
- 胃が重い
- お腹が張る
- げっぷが出る
- 食欲が落ちる
という場合、中医学では「食積=食べた物の停滞」を考えることがあります。
このような食後の養生で使われる代表的な薬膳素材が山査子です。
ただし、胃酸逆流や胃の刺激感が強い方では酸味が負担になることもあるため、「胃に良い食品だから全員に良い」とは考えません。
胃もたれが強い時の腸活は「増やしすぎない」
腸活というと、発酵食品、食物繊維、オリゴ糖をたくさん摂るイメージがあります。
しかし胃もたれや膨満感が強い時に、急に食物繊維を増やすと、お腹の張りが強くなることがあります。
ほどよい堂では腸活を、
- プロバイオティクス=善玉菌を補う
- プレバイオティクス=善玉菌のエサを届ける
- バイオジェニックス=菌体・発酵によって生まれる有用成分を活かす
という三位一体で考えます。
ただし、「たくさん入れる」より「今の胃腸が受け取れる量」にすることが大切です。
毎日の定番は、温かい味噌汁や野菜スープから
胃腸が弱っている時は、
- 味噌汁
- 野菜スープ
- 豆腐
- 柔らかく煮た野菜
- きのこ
- 海藻
- 豆類
などを、その日の消化力に合わせて取り入れます。
「身体に良いから」と全部一度に入れる必要はありません。
少量から試し、胃もたれや膨満感が増えないか観察してください。
ほどよい堂の3本柱|栄養・循環・吸収=腸活
① 栄養|身体をつくる材料を満たす
早期満腹感で食事量が減ると、カロリーだけではなく、タンパク質、良質脂質、ビタミン、ミネラルなども不足しやすくなります。
「食べられる量が少ないからこそ、少量でも栄養密度を意識する」という視点が重要です。
② 循環|食べた栄養を届ける
中医学では「気が巡る」ことも胃腸の働きと関係すると考えます。
特にストレス型の方は、
- 軽い散歩
- 深い呼吸
- 入浴
- 十分な睡眠
- 仕事から意識を切り替える時間
も胃腸養生の一部です。
③ 吸収=腸活|受け取れる胃腸を育てる
良い栄養を食べても、消化・吸収できなければ身体の材料として十分に使いにくくなります。
中医学の「脾=土」と、現代の腸活をつなぐポイントがここです。
3日・3週間・3か月|胃腸は「少しずつ整える」
体調は一回の食事だけで決まるものではありません。
身体は常に入れ替わっている動的なシステムだからこそ、小さな習慣を積み重ねます。
まず「胃へ入れる負担」を減らします。
- 1口30回を目安によく噛む
- 腹八分を意識する
- 冷たい飲み物を温かいお茶へ置き換える
- 夜遅い大量の食事を減らす
食べ方を「習慣」に変えていきます。
- 食事時間をなるべく一定にする
- 味噌汁や野菜スープを定番化する
- 食後に軽く歩く
- 睡眠・ストレス環境も見直す
症状だけではなく、胃腸・栄養・循環・腸内環境まで全体を振り返ります。
- 何を食べると悪化するか
- ストレスとの関連
- 便通
- 体重変化
- 睡眠
- 疲労感
などを確認し、自分に合った「ほどよい量」を見つけます。
※3日・3週間・3か月は生活習慣を見直すための目安です。症状改善を保証する期間ではなく、病状や体質によって経過は異なります。
漢方より先に病院へ|見逃したくない警告サイン
胃もたれがあるからといって、すべてを機能性ディスペプシアや「胃腸虚弱」と考えることはできません。
日本消化器病学会の診療ガイドラインでは、器質的疾患を疑う警告徴候を確認することが重要とされています。
- 原因不明の体重減少
- 繰り返す嘔吐
- 吐血・黒色便など出血を疑う症状
- 飲み込みにくい、飲み込む時に痛い
- 発熱
- 腹部のしこり
- これまでなかった胃症状が新しく強く出た
- 治療を続けても症状が改善しない
このような場合は、漢方薬や健康食品で様子を見るのではなく、消化器内科などで原因を確認してください。
機能性ディスペプシアの診断でも、症状、年齢、病歴、ピロリ菌、過去の検査歴などから、必要に応じて胃内視鏡、血液検査、腹部超音波、CTなどが検討されます。
「胃の不調=全部ストレス」と決めつけないことも大切です
機能性ディスペプシアとストレスには関係があります。
しかし、
「ストレスがあるから胃が悪い」
と一言で終わらせるのではなく、
- 物理的ストレス:暑さ・寒さ・騒音・睡眠不足
- 化学的ストレス:アルコール・喫煙・刺激物など
- 生物学的ストレス:感染・炎症など
- 心理的ストレス:不安・緊張・悩み
- 社会的ストレス:仕事・人間関係・役割負担
のように、身体にかかっている負荷を分解して考えることが重要です。
休養も「ただ寝る」だけではありません。
睡眠、リラックス、軽い運動、自然、人やペットとのつながり、趣味、創作、情報から離れる時間など、自分に合った休養を組み合わせていきます。
機能性ディスペプシアと漢方|よくある質問
Q.機能性ディスペプシアに漢方は使われますか?
はい。日本消化器病学会の診療ガイドラインでは、六君子湯が一次治療の選択肢のひとつに位置づけられています。 ただし、症状・体質によって適する漢方薬は異なります。
Q.胃もたれなら六君子湯を飲めばよいですか?
全員に合うわけではありません。 胃腸虚弱・食欲低下・早期満腹感・疲労などを伴う「脾気虚+痰湿」では候補になりますが、気滞、胃熱、陰虚など別の証では違う処方を考えることがあります。
Q.げっぷが多いのも機能性ディスペプシアですか?
げっぷを伴うことはありますが、げっぷだけではFDとは判断できません。 胃食道逆流症、空気嚥下、げっぷ症候群など別の原因もあるため、症状全体を見る必要があります。
Q.胃カメラで異常なしなら安心してよいですか?
重大な病変が見つからなかったことは安心材料のひとつです。 ただし、症状が続く、悪化する、体重が減る、嘔吐や出血があるなどの場合は再評価が必要です。
Q.食物繊維や発酵食品を増やせばよいですか?
胃もたれや膨満感が強い時に一気に増やすと、かえって張りが強くなることがあります。 少量から始め、温かい味噌汁やスープなど取り入れやすい形から試してください。
Q.自分の体質が分かりません。
症状だけでは判断しにくいことがあります。 ほどよい堂では、胃腸、便通、冷え、睡眠、ストレス、食生活、服薬状況などを確認し、気・血・津液、寒熱、虚実などから体質を整理しています。
まとめ|機能性ディスペプシアは「胃だけ」を見ないことが大切
機能性ディスペプシアは、胃カメラで大きな異常が見つからなくても、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの不快感などが続く病態です。
現代医学では、
- 胃の運動
- 胃が食事を受け入れる力
- 知覚過敏
- 胃酸
- ストレス
- 生活習慣
など複数の要因から考えます。
中医学ではそこへ、
- 脾気虚=胃腸のエネルギー不足
- 気滞=ストレス・巡り停滞
- 痰湿=余分な水分・停滞
- 寒証=冷え
- 湿熱=熱と湿
- 陰虚=潤い不足
といった「証」の視点を加えます。
そして治療・養生は、
①証を組み立てる
②なぜその症状が起きているか背景を整理する
③漢方・食事・薬膳・腸活・休養を組み合わせる
という弁証論治の流れで考えます。
大切なのは、「胃もたれ=六君子湯」と商品名だけで決めるのではなく、「なぜ今、胃が動きにくいのか」を整理することです。
あなたの「胃が弱い」の正体を一緒に整理します
宮崎県川南町の漢方薬局「ほどよい堂」では、薬剤師・中医薬膳師・薬膳素材専門士が、漢方×薬膳×腸活の3方向から現在の体質を整理します。
「病院では大きな異常がなかった」
「六君子湯を飲むべきか分からない」
「胃もたれだけでなく、冷え・疲れ・便通・ストレスも気になる」
という段階からでも相談できます。
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参考情報
・日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)」
日本消化器病学会 機能性ディスペプシア診療ガイドライン
・日本消化器病学会「患者さんとご家族のためのガイド|機能性ディスペプシア」
患者さんとご家族のためのガイド
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。医師による診断・治療の代わりになるものではありません。現在治療中の方は、処方薬を自己判断で中止・変更しないでください。



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