「食べられない」「においだけで気持ち悪い」「朝だけでなく一日中つらい」。
つわりは“我慢するしかないもの”とは限りません。
妊娠初期に起こる吐き気や嘔吐は非常に身近な症状ですが、程度には大きな個人差があります。
軽い食欲低下だけの方もいれば、水分さえ摂れず日常生活が難しくなる方もいます。
大切なのは、「妊娠だから仕方がない」と無理をすることではありません。
まず脱水や栄養状態を確認し、必要であれば産婦人科で治療を受け、そのうえで食事や休養、漢方などを上手に組み合わせていくことです。
- つわりは朝だけに起こるとは限りません。
- 妊娠4〜7週頃から始まることが多く、多くの方では妊娠20週頃までに軽快していきます。
- 水分が摂れない、尿が極端に減る、体重が大きく減る場合は「妊娠悪阻」の可能性があります。
- つわりの原因を「精神的なもの」「気持ちの問題」だけで説明することは適切ではありません。
- 近年はGDF15という胎盤・胎児由来のシグナルと、母体側の感受性との関係が注目されています。
- 妊娠中の漢方薬・生薬・サプリメントは、自己判断ではなく医師・薬剤師へ相談することが大切です。
つわりとは?妊娠悪阻との違い
つわりは、医学的には「妊娠中の悪心・嘔吐」として扱われる、妊娠初期に非常によくみられる症状です。
英語では「morning sickness」と呼ばれることがありますが、実際には朝だけではなく、昼・夕方・夜にも起こります。
吐き気、嘔吐、食欲低下、においへの過敏、唾液の増加、味覚や嗜好の変化などが現れます。
強い眠気や倦怠感を伴う方も少なくありません。
一般には妊娠4〜7週頃から始まり、妊娠初期に強くなりやすく、多くの場合は妊娠中期までに徐々に軽快します。
ただし、症状が長く続く方もいます。
「妊娠悪阻」は通常のつわりより重い状態
嘔吐が繰り返され、十分に飲んだり食べたりできなくなり、脱水や体重減少、電解質異常などを伴う状態を「妊娠悪阻」と呼びます。
妊娠悪阻では点滴や薬による治療が必要となり、状態によっては入院治療が必要になることもあります。
「吐いている回数」だけでなく、水分が保てているか、尿が出ているか、体重が減っていないか、日常生活ができているかを見ることが重要です。
このような場合は、漢方相談より先に産婦人科へ
- 水や飲み物を飲んでも吐いてしまう。
- 尿の量が明らかに少ない、または濃い色の尿しか出ない。
- 立ち上がると強くふらつく、失神しそうになる。
- 動悸が強い。
- 妊娠前から体重が大きく減っている。
- 嘔吐物に血が混じる。
- 強い腹痛や発熱を伴う。
- 強い頭痛や視覚の異常など、吐き気以外の症状がある。
- 妊娠中期以降になって初めて強い吐き気・嘔吐が出てきた。
特に水分を維持できない場合は、我慢せず早めに産婦人科へ連絡してください。
妊娠中の吐き気には、胃腸炎、胆のう疾患、甲状腺疾患など別の原因が隠れていることもあります。
最新医学で考える、つわりの原因
つわりの原因は一つではありません。
妊娠に伴って起こるホルモン・神経・消化管運動・嗅覚などの変化が複雑に関係していると考えられています。
注目されている「GDF15」というシグナル
近年、特に注目されているのがGDF15(Growth Differentiation Factor 15)という物質です。
GDF15は妊娠すると主に胎盤・胎児側から母体血中へ増加し、脳幹にある食欲や吐き気に関係する経路へ作用すると考えられています。
2024年にNature誌へ掲載された研究では、妊娠中のGDF15の増加だけでなく、妊娠前からのGDF15への「母体側の慣れ・感受性」が、症状の出方に関係する可能性が報告されました。
これは非常に興味深い研究ですが、現時点でGDF15を測定して通常のつわりを診断したり、GDF15を標的とした治療を一般診療で行ったりする段階ではありません。
「つわりはGDF15だけが原因」と断定できるわけでもありません。
hCG・エストロゲン・プロゲステロンなども関係
妊娠初期には、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、エストロゲン、プロゲステロンなどのホルモン環境が大きく変化します。
こうした変化が、吐き気に関係する神経系、嗅覚、味覚、胃腸の動きなどへ影響していると考えられています。
プロゲステロンの作用などにより胃腸の動きがゆっくりになると、胃もたれ、膨満感、げっぷなどを感じやすくなる場合もあります。
「ストレスが原因」と決めつけないことが大切
以前は、つわりや妊娠悪阻について心理的要因が強調されることもありました。
しかし現在は、妊娠に伴う生物学的な変化を基盤として考えることが重要です。
もちろん、吐き気が続けば睡眠不足、不安、仕事や家事への負担などが重なり、心身ともに消耗しやすくなります。
そのため心理面への支援も大切ですが、「気持ちが弱いからつわりがひどい」という意味ではありません。
つわりの主な症状
- 吐き気。
- 嘔吐。
- 食欲低下。
- 空腹時の気持ち悪さ。
- 食べると気持ち悪くなる。
- 特定のにおいが受けつけなくなる。
- 食べ物の好みが変化する。
- 唾液が増える。
- 胃もたれ、膨満感、げっぷ。
- 倦怠感。
- 眠気。
- 頭痛やふらつき。
同じ「つわり」でも、空腹になると悪化する方、食後に悪化する方、においで悪化する方、水分だけがつらい方などさまざまです。
自分が「どの時間帯・どの状況で悪化しやすいか」を把握すると対策を選びやすくなります。
つわりのとき、まず何を食べればいい?
つわりが強い時期に、最初から完璧な栄養バランスを目指す必要はありません。
第一優先は、脱水を避け、食べられるものを少量ずつ体へ入れることです。
1.空腹時間を長くしすぎない
空腹になると吐き気が強くなる方では、一度にたくさん食べるより、少量を数回に分ける方法が向いています。
枕元へクラッカーなどを用意し、起き上がる前に少量口にする方法が合う方もいます。
2.「食べられる形」を優先する
温かい料理のにおいがつらいときは、冷ましたおにぎり、果物、冷たい麺など、香りが立ちにくいものの方が食べやすいことがあります。
おかゆ、米飯、じゃがいも、バナナ、りんご、豆腐、卵なども、体調に合わせて選択肢になります。
「健康によい食品」にこだわるより、その日に受けつける食品を探してください。
3.水分は一気飲みより「少量をこまめに」
一度に多量の水分を飲むと、胃が張って吐き気が強くなることがあります。
一口ずつ、回数を増やす方法を試してみてください。
水やお茶だけが難しい場合は、氷、経口補水に用いられる飲料、薄めた飲み物などの方が摂りやすいことがあります。
この時期は「甘い飲み物は絶対にダメ」と考えるより、まず水分を維持できることを優先します。
ただし糖尿病などで食事・飲料について指示を受けている場合は、担当医の指示を優先してください。
4.脂っこいものや強いにおいは無理しない
脂質の多い食事、刺激の強い料理、においの強い料理は、症状を強くする場合があります。
調理中のにおいがつらいときは、家族に調理を頼む、換気する、作り置きを冷まして食べるなども立派な対策です。
5.食べられそうならタンパク質を少しずつ
食事量が戻ってきたら、卵、豆腐、魚、肉、ヨーグルトなど、食べられるタンパク源を少量ずつ足していきます。
一度に増やさず、「これなら大丈夫」という量から始めることがポイントです。
中医学では、食べたものから気血を生み出す消化吸収の働きを「脾」と考えます。
つわりの時期は、この「土台となる消化」を無理に働かせすぎないことも大切です。
普段は一口30回程度よく噛むことをおすすめしていますが、吐き気が強い時期は数字にこだわる必要はありません。
一口を小さくして、無理のない範囲でゆっくり噛み、胃腸へ一度に大きな負担をかけないことを優先しましょう。
腸活はどうする?つわりの時期は「足し算しすぎない」
腸内環境を整えることは、妊娠中の栄養や体調管理を考えるうえでも大切です。
しかし吐き気が強い時期に、食物繊維や発酵食品を無理に増やす必要はありません。
食物繊維を急に増やすことで、ガスや膨満感が増し、かえって気分が悪くなる方もいます。
食事が少しずつ戻ってきた段階で、味噌汁、野菜スープ、海藻、きのこ、豆類などを、受けつけるものから少量ずつ戻していきましょう。
温かい料理の湯気がつらければ、少し冷ましてからでも構いません。
腸活は、善玉菌を補う「プロバイオティクス」、菌のエサになる「プレバイオティクス」、菌が作る有用成分を活用する「バイオジェニックス」の三方向から考えられます。
ただし、つわりのピークでは「腸活を頑張る」より、まず水分と最低限の栄養を確保することが優先です。
病院ではどのような治療をする?
食事や生活の工夫だけで十分に改善しない場合には、産婦人科で治療を相談できます。
「妊娠中だから薬を使えない」と決めつけず、症状の強さと薬の利益・リスクを比較して判断することが重要です。
ビタミンB6
ビタミンB6(ピリドキシン)は、妊娠中の悪心を軽減する選択肢として国内外のガイドラインで扱われています。
ただし、市販サプリメントを自己判断で高用量使用するのではなく、妊娠中は医師・薬剤師へ確認してください。
制吐薬
症状によっては、妊娠中でも使用を検討できる制吐薬があります。
使用する薬剤は妊娠週数、症状、既往歴、併用薬などを考慮して産婦人科で判断されます。
点滴とビタミンB1
水分が摂れず脱水がある場合には、点滴による補液が必要になることがあります。
嘔吐や摂食不良が長く続くとビタミンB1が不足し、まれですが重い神経障害であるWernicke脳症につながることがあります。
そのため重症例では、ビタミンB1を含めた適切な治療が重要になります。
ツボ・生姜などについて
P6(内関)への指圧などは、補助的な方法として検討されることがあります。
生姜についても症状軽減を示した報告がありますが、誰にでも効くわけではありません。
普通の食品として少量の生姜を使用することと、高濃度のサプリメントやエキスを摂取することは同じではありません。
妊娠中に濃縮製品を使用する場合は、医療者へ相談してください。
「病院へ行くほどではないけれど、毎日つらい」という方へ
まず産婦人科で安全を確認したうえで、食事や休養、中医学的な体質の見方について整理したい場合は、ほどよい堂でもご相談いただけます。
妊娠中であること、妊娠週数、服用中の薬やサプリメントを確認しながら考えていきます。
中医学では、つわりをどう考える?
中医学では、つわりの中心にある状態を「胃気上逆」と考えます。
胃の気は本来、食べたものを受け入れながら下へ降りていく性質があります。
その流れが逆向きになることで、悪心、嘔吐、げっぷなどが現れるという考え方です。
ただし、同じ吐き気でも、その背景は一人ひとり異なります。
「なぜ胃気が上逆しているのか」を見極めるのが、中医学の弁証論治です。
ここからの説明は中医学独自の伝統的な身体観であり、GDF15などの現代医学的機序と同一のものではありません。
二つの考え方を混同せず、それぞれの長所を生かすことが大切です。
タイプ1|脾胃虚弱=胃腸のエネルギー不足タイプ
こんな傾向
- もともと胃腸が弱い。
- 食後に気持ち悪くなりやすい。
- 疲れやすい。
- 食欲が少ない。
- 軟便になりやすい。
中医学では「脾胃の気が不足し、食べ物を受け止めて下へ送る力が弱い状態」と考えます。
治則は健脾和胃・降逆、つまり脾胃を支えながら胃の逆流する気を整えることです。
タイプ2|脾胃虚寒=冷えを伴う胃腸虚弱タイプ
こんな傾向
- 冷えると気持ち悪くなる。
- 透明な唾液や水っぽいものを吐きやすい。
- 冷たいものが苦手。
- 手足が冷えやすい。
- 温めると少し楽になる。
「脾胃を温めて働きを助け、胃気を下げる」という方向で考えます。
ただし、実際につわり中に熱感や口渇がある場合には単純に温めればよいとは限りません。
タイプ3|痰湿阻滞=余分な水分が停滞するタイプ
こんな傾向
- 胃が重い。
- むかつきが続く。
- 唾液や痰が多い。
- 身体が重だるい。
- 舌にべったりした苔がつきやすい。
中医学では、脾の働きが弱ることで「痰湿=余分な水分や濁り」が停滞し、胃気の下降を邪魔していると考えます。
治則は化痰祛湿・和胃降逆です。
タイプ4|肝胃不和=ストレスと巡りが胃へ影響するタイプ
こんな傾向
- ストレスや緊張で吐き気が強くなる。
- げっぷが多い。
- 胸やみぞおちが張る。
- 気分が落ち着かない。
- 酸っぱいものを好む、または酸っぱいものが上がってくる。
中医学では「肝=気の巡りを調節する働き」が乱れ、その影響が胃へ及んでいる状態と考えます。
治則は疏肝理気・和胃降逆、つまり巡りを整えながら胃を落ち着かせることです。
これは「ストレスがつわりの原因」という意味ではありません。
妊娠による身体的変化を土台として、緊張や疲労によって症状が変動する方を中医学的に分類したものです。
タイプ5|胃陰不足=潤いが消耗したタイプ
こんな傾向
- 嘔吐が長く続いている。
- 口や喉が乾く。
- 少量ずつ水分を欲しがる。
- 食欲がほとんどない。
- 舌が乾燥しやすい。
嘔吐が長く続くことで「陰津=身体を潤す水分」が消耗した状態と考えます。
治則は養陰生津・和胃降逆です。
ただし、実際に水分が摂れず脱水が疑われる場合は、中医学的な養生より医療機関での補液が優先です。
つわりに使われる漢方薬はある?
つわりに対して漢方薬が検討されることがあります。
ただし、妊娠中は「天然だから安全」「漢方だから誰でも使える」と考えず、妊娠週数や症状、体質、服薬状況を確認したうえで選択することが重要です。
小半夏加茯苓
痰飲などを伴った胃気上逆による悪心・嘔吐に用いられる方剤です。
つわりに使用される代表的な漢方処方の一つですが、すべてのつわりに適するわけではありません。
半夏厚朴湯
気滞と痰飲が絡み、喉や胸のつかえ、緊張感などを伴うタイプに用いられる方剤です。
症状や体質によって検討されることがあります。
漢方薬は「症状名だけ」で選ぶのではなく、証を確認して選択することが基本です。
また、生薬やハーブの中には妊娠中に慎重な判断が必要なものがあります。
市販の漢方薬、薬膳素材、ハーブティー、健康食品、サプリメントを新しく始める際には、妊娠中であることを医師・薬剤師へ必ず伝えてください。
「私のつわりは、どのタイプ?」を一緒に整理できます
ほどよい堂では、症状だけを見るのではなく、胃腸の状態、冷え、疲労、ストレス、便通、睡眠などを確認しながら中医学的な体質を整理します。
妊娠中は安全性を最優先し、医療機関への相談が必要と判断した場合には受診を優先していただきます。
つわりを「3つの柱」で考える
ほどよい堂では、身体を整える基本を「栄養・循環・吸収」の3本柱で考えています。
つわりの時期も、この考え方を無理のない形に調整して使います。
① 栄養|今は「完璧」より「入るもの」
細胞の材料は食事から供給されますが、吐き気が強い時期に完璧な食生活を求めると負担になります。
まず水分と食べられるエネルギー源を確保し、症状が落ち着いてからタンパク質、良質な脂質、ビタミン・ミネラル、食物繊維などを少しずつ戻します。
② 循環|横になりっぱなしにも、無理な運動にも偏らない
つらい日は休むことが第一です。
一方、体調のよい時間帯には、医師から安静を指示されていなければ、室内を少し歩く、身体を軽く動かす程度でも構いません。
「運動しなければ」と頑張る必要はありません。
③ 吸収=腸活|受け取れる胃腸を守る
食べる量だけでなく、受け入れられる胃腸の状態も大切です。
一度に大量に食べず、少量を分けることは、現代栄養学の観点からも、中医学の「脾を守る」という観点からも取り入れやすい方法です。
今日からの「3日・3週間・3ヶ月」
まず3日|脱水を防ぎ、悪化パターンを知る
- 一度に飲まず、水分を少量ずつ摂る。
- 尿量や尿の色を確認する。
- 食べやすい時間帯・食品・においをメモする。
- 食べられない自分を責めず、摂れるものを優先する。
3週間|食べられる範囲を少しずつ広げる
症状の波を見ながら、タンパク質や野菜、汁物などを少しずつ戻します。
食べられない状態が続く場合や体重が減り続ける場合には、3週間待たず産婦人科へ相談してください。
3ヶ月前後|「食べられるようになった後」の栄養を立て直す
つわりが落ち着いてきたら、妊娠中に必要な栄養を改めて整えていきます。
主食だけに偏っていた場合は、タンパク質、良質な脂質、野菜、海藻、きのこ、豆類などを段階的に増やしていきます。
逆に妊娠中期以降も強い嘔吐が続く、あるいはいったん治まった後に強い症状が新しく出た場合は、「後期のつわり」と自己判断せず産婦人科へ相談しましょう。
よくある質問
Q.つわりがあるのは赤ちゃんが元気な証拠ですか?
つわりの有無や強さだけで、胎児の状態を判断することはできません。
つわりが軽い方やほとんどない方もいます。
妊娠経過については定期的な妊婦健診で確認してください。
Q.何も食べられない日は、栄養バランスが悪くても大丈夫ですか?
短期間であれば、まず食べられるものと水分を優先します。
強い吐き気がある時期に完璧な食事を目指す必要はありません。
ただし食事や水分が十分に摂れない状態が続く場合は、脱水や栄養不足を避けるため産婦人科へ相談してください。
Q.吐かなくても、一日中気持ち悪いのはつわりですか?
はい。
嘔吐がなくても、持続する悪心、食欲低下、においへの過敏などが中心となる方もいます。
日常生活への影響が大きい場合には医療者へ相談して構いません。
Q.妊娠中に漢方薬を飲んでも大丈夫ですか?
妊娠中でも医療者の判断で使用される漢方薬はあります。
一方で、処方内容や生薬によって注意点が異なるため、自己判断で新しく開始することはおすすめしません。
産婦人科医や漢方に詳しい医師・薬剤師へ相談してください。
Q.つわりはいつまで続きますか?
個人差がありますが、妊娠初期から始まり、多くの方では妊娠20週頃までに軽快していきます。
一部ではさらに長く続くこともあります。
症状が非常に強い場合や、妊娠中期以降に初めて強い嘔吐が出た場合は別の病気も含めて確認が必要です。
Q.水分だけでも吐いてしまいます。どうしたらいいですか?
水分を保持できない状態は、自宅での食事療法や漢方相談だけで対応する段階ではありません。
脱水や電解質異常を起こす可能性があるため、早めに産婦人科へ連絡してください。
まとめ|つわりは「我慢」ではなく、安全を確認しながら整える
つわりは妊娠初期によくみられる症状ですが、その強さには大きな個人差があります。
現在はホルモン変化だけでなく、GDF15などの新しい生物学的メカニズムについても研究が進んでいます。
まず大切なのは、脱水や体重減少を見逃さないことです。
水分が摂れない、尿が減っている、ふらつきが強いなどの場合には、産婦人科での評価を優先してください。
軽症から中等症であれば、少量頻回の食事、水分の摂り方、においや食事温度の工夫などによって過ごしやすくなることがあります。
中医学では、つわりを一律に扱わず、「脾胃虚弱」「痰湿阻滞」「肝胃不和」「胃陰不足」など、胃気上逆を起こしている背景を見ながら考えます。
現代医学で安全を確認し、中医学や食養生を補助的に組み合わせる。
そのくらいの「ほどよい距離感」が、妊娠中の養生には大切だと考えています。
妊娠中だからこそ、自己判断せず一緒に整理しませんか?
「食事をどう整えたらいい?」
「この漢方やサプリメントは妊娠中でも大丈夫?」
「中医学ではどの体質として考える?」
ほどよい堂では、薬剤師の視点と中医学・薬膳の視点から、無理のない養生を一緒に整理しています。
受診が必要な状態では医療機関を優先し、そのうえで日常生活をどう整えるかを考えていきます。
参考にした主な医学情報
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」CQ201 妊娠悪阻の治療は?
- Royal College of Obstetricians and Gynaecologists, Green-top Guideline No.69, The Management of Nausea and Vomiting in Pregnancy and Hyperemesis Gravidarum.
- American College of Obstetricians and Gynecologists, Nausea and Vomiting of Pregnancy.
- Fejzo M, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625:760-767.



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