漢方薬には副作用が無いと言われることがありますが、実際のところどうなのでしょうか?
漢方薬は ”生薬” と言われるものを混ぜ合わせたお薬になります。
生薬とは天然に存在する薬効を持つ産物を、そこから有効成分を精製することなく、体質の改善を目的として用いる薬の総称です。
生薬の多くは植物由来のものですが、動物や鉱物などに由来するものもあります。
(引用:ウキペディア)
このように ”生薬” は天然物が原料であり、化学的に合成・分離されたものではありません。
漢方薬は天然の素材を混ぜ合わせて様々な効果を期待しているものと言い換えることも出来ます。
一方、西洋薬は化学的に合成された単一成分がほとんどです。からだのあるポイントに集中的に作用する(からだの機能を遮断したり、促進させたり)ことで、お薬としての効果を発揮します。
そこで、単一的にからだの機能を遮断したり、促進させるために不具合も生じてしまい、副作用という現象が生じやすくなるのです。
そこで、漢方薬と西洋薬の副作用を比較すると頻度・程度共に西洋薬の方が副作用が強く出てしまう傾向が見受けられます。
このことから漢方薬は、”体に優しく、お薬として副作用もない” と勘違いされてしまうようです。
しかし、漢方薬にも副作用はあるのです。決して ”ゼロ” ではありません。
そうなのですね!
漢方薬は安全!というイメージがありました…。
漢方薬を自分でも服用することが多い自分です。
決して、漢方薬を否定しているわけではないのです。
漢方薬は ”お薬” であり、しっかりと作用が認められていて効果があるわけですから、副作用は無いはずがないということを理解してほしかっただけなのです。
基本的に気を付けるべきことを理解して使用すれば安全なお薬でもあるのです。
どのようなことに気を付けでばいいのかな?
漢方薬を複数併用する際は、重なる配合生薬の量に注意しましょう!
漢方薬は生薬の組み合わせであるため、異なる漢方薬でも生薬が重複してしまうことが多いのです。
特に、使用頻度が多い生薬では重複してしまう可能性が高いのです。
「麻黄」、「大黄」、「甘草」などは用量依存的に副作用が出やすい傾向があるので注意が必要です。
漢方薬を複数併用する際は、構成生薬の数が多くなることに注意しましょう!
漢方薬の特徴のひとつに構成生薬の数で効果発現のスピードが変わることがあるのです。
基本的に構成生薬が少ない漢方薬方が ”即効性” ”効果の切れ味” が優れています。
早く効果が出て欲しいような場合にはあまり漢方薬は併用しない方が良いことが多いのです!
注意すべき生薬は「麻黄」「附子」「大黄」「甘草」「山梔子」です!
「麻黄」「附子」「大黄」「甘草」「山梔子」が含まれている場合は、少しながら注意した方が良いかもしれません。
「麻黄」の注意すべきポイントとは?
「麻黄」には発汗、解熱、止咳、利尿、鎮痛など作用が期待できるのですが、この作用を示す成分が主要アルカロイドの “エフェドリン(Ephedrine)” と考えられています。
この “エフェドリン(Ephedrine)” には交感神経を興奮させる働きがあり、場合によっては ”動悸・吐き気・不眠・発汗過多・排尿障害” などを催すことがあるのです。
狭心症や心筋梗塞などの循環器系疾患、排尿障害(前立腺肥大)、甲状線機能亢進症(バセドウ病)の患者さんなどは、症状を悪化させる可能性があるので、「麻黄」を含む漢方薬の服用には注意が必要です!
その他、「麻黄」が含まれている漢方薬をスポーツ選手が服用してしまうと、ドーピング検査で陽性になってしまうことがあります。これは “エフェドリン” の影響なのです。
「附子」の注意すべきポイントとは?
「附子」の主な効能に ”痛みをとる” ”新陳代謝をよくする” ”体を温める” ことがあるのですが、その主要成分「アコニチン」の作用によるものと考えられています。
このアコニチンによってナトリウムイオンが細胞膜を通りやすくなるため、神経細胞に作用することで ”動悸、のぼせ、舌のしびれ、吐き気” などの中毒症状が効き起こされることがあります。
「附子」はキンポウゲ科トリカブト属植物の塊根から得られる生薬です。
”トリカブト”というと猛毒のイメージが強いと思いますが、漢方薬で使用する場合には「修治(しゅうじ)」と言い、高圧蒸気処理で減毒加工することで生薬として安全に使用できるようになるのです。
「大黄」の注意すべきポイントとは?
「大黄」には大腸を刺激し蠕動運動を亢進し、排便反射機能を亢進させる瀉下効果が認められています。
簡単にいえば、便秘改善作用があるのです。
大黄の薬効成分は ”センノシドA(Sennoside A)” などのジアンスロン誘導体なのですが、センノシドは胃、小腸では吸収されずに大腸まで移行し、そこで腸内細菌(ビフィズス菌やペプトストレプトコッカス菌など)による代謝をうけて生成した ”レインアンスロン(Rheinanthrone)” が大腸壁を刺激して蠕動運動を活発にして瀉下効果をもたらすとされているため、腸内細菌叢が乱れている場合には効果が出にくいと考えられています。
「大黄」は人によって効果の差が大きいと言われています。
そのため「大黄」含まれている漢方薬では、お腹を下してしまう場合もあります。
「甘草」の注意すべきポイントとは?
古典によれば、「甘草」には寒涼薬と配合すると清熱の働きが、温熱薬と配合すると補気の働きが、作用の強い薬と合わせると毒性は穏やかになり、穏やかな作用を持つ薬と合わせるとその薬効が増強されるなど諸薬を調和する役割があるとされています。
そのため、保険適応漢方薬の4分の3に使用されるほどの頻用生薬なのです。
複数の漢方薬を使用すると「甘草」が重複してしまうことも多く、甘草の成分である ”グリチルリチン酸” によって ”偽アルドステロン症”という副作用が出やすくなってしまいます。
「甘草」はショ糖のおよそ150倍の甘味を有するといわれている ”グリチルリチン酸” を多く含んでいます。
甘草の1日用量が 2.5g(グリチルリチン. 酸 100mg)を超える場合には注意した方が良いとされています。
ただ、数日間程度の短期間に使用するような場合はあまり気にしなくても良いと思います。
「山梔子」の注意すべきポイントとは?
「山梔子」を長期に服用することで ”特発性腸間膜静脈硬化症” が起こった事例が報告されています。
まとめ
漢方薬は植物の葉、茎、根などや鉱物、動物のなかで薬効があるとされる一部分を加工したものである ”生薬” と呼ばれるものの組み合わせです。
漢方薬のイメージとしては、食べ物の延長線上にある健康によいものという感じでとらえてもらうと良いと思います。
副作用の面では西洋薬と比べると程度・頻度ともに少ないです。
しかし、”副作用がゼロ” ではありません。
漢方薬に様々な効果があるということは、逆を言えば何らかの副作用があるということにもなります。
これらのことをきちんと理解して漢方薬を使用していれば、副作用に対しても対応は可能ですし、あまり神経質になる必要は無いと思います。
日本で使用されている漢方薬は中国・韓国で使用されている用量の約1/10~1/3という点でも安心して使用できますね!
「宮崎県川南町」に位置する「ほどよい堂」において、「薬剤師×中医薬膳師×ペットフーディスト」として、健康相談を行っています。
代表の河邊甲介は、漢方医学、薬膳、そして腸活を組み合わせた独自のアプローチで、個々の健康に寄り添います。
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