
コロコロ便、ガス、いきみ。
「出ない」だけを見ず、体質から考える。
犬や猫が何度も排便姿勢をとるのに、なかなか便が出ない。
出ても小さくコロコロした硬い便ばかり。
おならが増え、お腹も張っている。
そんなときは、便秘の背景に水分不足、腸の動き、食事、運動、ストレス、病気など複数の要因が重なっている可能性があります。
中医学では、同じ便秘でも「腸が乾いているタイプ」「押し出す気が不足しているタイプ」「ストレスで気が滞っているタイプ」など、体質によって考え方を変えます。
この記事では、潤腸湯・大柴胡湯・小柴胡湯・防風通聖散などのペット漢方の考え方と、食事・腸活・和漢みらいペットフードまで分かりやすく整理します。
特に猫が何度もトイレに入り、いきむのに何も出ない場合は、便秘だけでなく排尿障害も確認してください。
雄猫では尿道閉塞が起こることがあり、尿が出ない状態は緊急性があります。
- 何度もトイレに行くのに尿がほとんど出ていない。
- 排尿時に鳴く、痛そうにする。
- 元気や食欲が低下している。
- 嘔吐している。
- お腹を触られるのを強く嫌がる。
このような場合は、自宅で便秘ケアを続けず、早めに動物病院へ相談してください。
まず「うちの子のタイプ」を整理
愛犬の体質を約30秒でセルフチェック 気虚・血虚・瘀血・陰虚・陽虚・気滞・痰湿・湿熱など、中医学の視点から今の傾向を整理できます。
フード選びで迷っている方にもおすすめです。
登録不要。
今の状態を整理するための目安としてご利用ください。
- 硬いコロコロ便は、水分不足や腸内で便が長く留まっているサインのひとつです。
- 便秘は食事だけでなく、運動、疼痛、ストレス、薬、加齢、基礎疾患などでも起こります。
- 中医学では「気・血・津液」と脾胃の働きを見ながら体質を分けます。
- 潤腸湯・大柴胡湯・小柴胡湯・防風通聖散は、同じ便秘でも使い分けの考え方が異なります。
- 漢方薬は人用製品を自己判断で与えず、獣医師など専門家と相談して使用します。
- 食事では「水分+適切な食物繊維+消化できること」をセットで考えます。
犬・猫の便秘サイン|コロコロ便・ガス・いきみをチェック
「毎日出ていない=必ず便秘」とは限りません。
食事量や食事内容、年齢、運動量などによって排便回数には個体差があります。
大切なのは、その子のいつもの状態と比較することです。

こんな変化があれば便秘を疑います
- 何度も排便姿勢になるのに便が出ない。
- 排便時に長くいきむ。
- 小さく乾いたコロコロ便になった。
- いつもより便の量が少ない。
- お腹が張っている。
- ガスや便の臭いが強くなった。
- 排便を嫌がる。
- 食欲や元気が落ちてきた。
動物病院へ相談したい目安
元気・食欲・排尿状態も一緒に確認します。
動物病院への相談を検討します。
時間だけで判断せず、早めに受診してください。
犬・猫の便秘はなぜ起こる?|まず原因を6つに整理
便秘は「食物繊維が足りない」だけで起こるわけではありません。
水分、食事、腸の動き、排便時の痛み、環境、病気などをまとめて確認することが大切です。
腸内に便が長く留まるほど水分が吸収され、便は乾いて硬くなりやすくなります。
食物繊維の量だけでなく、水分量、消化性、骨や消化しにくいものの摂取なども関係します。
活動量が低下すると、排便する機会や消化管の動きにも影響することがあります。
関節や腰、肛門周辺などが痛いと、排便姿勢そのものを嫌がることがあります。
トイレの汚れ、場所の変更、多頭飼育、生活環境の変化などで排便を我慢する子もいます。
前立腺、骨盤、神経、内分泌疾患、脱水を起こす病気、薬剤などが背景になる場合があります。
中医学で読み解く犬・猫の便秘|「脾=土」と気血津液
中医学では、便秘という一つの症状だけを見るのではなく、「なぜ出せないのか」を体全体から考えます。
その中心になるのが、気・血・津液と、消化吸収を担う「脾」の働きです。
脾は五行では「土」に属します。
土から植物が育つように、食べたものを気血へ変え、全身へ届ける土台をつくるという考え方です。
ほどよい堂では、この「脾=土」を現代の消化・吸収・腸活と重ねて考えています。

便秘でよく考える体質パターン
| タイプ | 中医学的な状態 | 見られやすい傾向 | 整える方向 |
|---|---|---|---|
| 気虚 | 押し出す力不足 | 元気がない、疲れやすい、いきんでも出にくい | 気を補い、脾胃を支える |
| 血虚 | 血や栄養の不足 | 被毛や皮膚の乾燥、コロコロ便 | 血を養い、腸を潤す |
| 陰虚 | 潤い不足 | 乾燥、小さな硬便、シニア | 陰・津液を補う |
| 気滞 | 気の巡りの停滞 | 環境変化、ストレス、ガス、お腹の張り | 気を巡らす |
| 陽虚 | 温める力不足 | 寒がり、活動量低下、冷え | 温めながら動きを支える |
| 湿熱・実証 | 熱や余分なものが滞る | 体格がしっかり、食べ過ぎ、腹部膨満 | 滞りをさばく |
腸燥:腸の潤いが足りず、便が乾いている状態。
血虚:血や栄養が不足し、腸を十分に養えていない状態。
脾気虚:消化吸収と押し出す力が弱っている状態。
気滞:ストレスなどで気の流れが滞り、ガスや張りを伴う状態。
どの体質に近いか迷ったら
愛犬の東洋医学的体質をチェック 「硬い便だから血虚」と一つの症状だけで決めるのではなく、毛づや、食欲、冷え、体格、動き、ストレスなどを合わせて見ていくことが大切です。
便秘に用いるペット漢方|4つの代表処方を体質別に比較
漢方では「便秘なら全員同じ処方」という考え方をしません。
硬さ、乾燥、体格、年齢、食欲、ガス、冷え、ストレスなどを組み合わせて「証」を組み立てます。
人用漢方薬を、そのまま犬や猫へ自己判断で流用することはおすすめできません。
動物種、体重、年齢、基礎疾患、服薬内容などによって安全性や適切な量が変わります。
特に大黄など排便へ作用する生薬を含む方剤は、体質に合わなければ下痢や腹部症状につながることがあります。
使用する場合は、獣医師など動物の状態を確認できる専門家と相談してください。
① 潤腸湯|血虚・陰虚の「乾いたコロコロ便」タイプ
潤腸湯(じゅんちょうとう)は、文字どおり「腸を潤す」という考え方の方剤です。
中医学的には、血や潤いが不足して便が硬く乾燥している「血虚・腸燥」タイプを中心に考えます。
人用製剤の一例では、地黄、当帰、黄芩、枳実、杏仁、厚朴、大黄、桃仁、麻子仁、甘草などから構成されます。
麻子仁・杏仁・桃仁などの「潤す」方向と、枳実・厚朴などの「滞りを動かす」方向を組み合わせた処方です。
考えやすいサイン:
コロコロした兎糞状の硬い便。
シニア・虚弱傾向。
毛づやや皮膚の乾燥。
水分不足傾向。
治則:養血潤燥・潤腸通便。
「血を養いながら腸を潤して出しやすくする」という考え方です。
② 大柴胡湯|体格がしっかりした「実証・気滞」タイプ
大柴胡湯(だいさいことう)は、虚弱な子よりも、比較的体力があり、滞りや熱を伴う状態を考える方剤です。
食べ過ぎ、腹部膨満、ガス、便秘などが重なっている場合に、中医学的な候補として検討します。
考えやすいサイン:
体格がしっかりしている。
食欲が旺盛。
お腹が張りやすい。
ガスが多い。
硬い便が出にくい。
治則:疏肝理気・清熱・通便。
「詰まった気や熱をさばきながら、滞りを動かす」という考え方です。
虚弱・脱水・下痢傾向などでは同じ考え方にならないため、便秘だけを理由に選ばないことが大切です。
③ 小柴胡湯|ストレスや体調変動を伴う「少陽不和」タイプ
小柴胡湯(しょうさいことう)は、便を直接出すためだけの方剤ではありません。
中医学では、体の内と外の中間でバランスが崩れた「少陽不和」という証を整える代表的な処方です。
環境変化やストレスなどをきっかけに、食欲や消化状態、便の状態が不安定になる場合など、便秘以外の全体像を見ながら候補を考えます。
考えやすいサイン:
環境変化で体調を崩しやすい。
食欲や便の状態が安定しない。
ガスや胃腸症状を伴う。
ストレスの影響が大きそう。
治則:和解少陽・調和脾胃。
「偏ったバランスを調整しながら、胃腸の働きを支える」という考え方です。
④ 防風通聖散|熱・湿・滞りを伴う「湿熱・実証」タイプ
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、体力があり、熱や余分なものが体内にこもっているような「実証」を考える方剤です。
肥満傾向、食べ過ぎ、腹部膨満などを伴う場合に検討されることがあります。
考えやすいサイン:
体格がしっかりしている。
食欲旺盛。
お腹が張る。
暑がる傾向がある。
便が硬い。
治則:清熱・利湿・通便。
「余分な熱や湿を外へさばく」という考え方です。
虚弱、冷え、脱水、シニアなどでは別の証を考える必要があります。
4つのペット漢方を早見表で比較
| 方剤 | 体質の目安 | 便の特徴 | 一緒に見るポイント |
|---|---|---|---|
| 潤腸湯 | 血虚・陰虚・腸燥 | 乾いたコロコロ便 | 高齢、乾燥、被毛、水分 |
| 大柴胡湯 | 実証・気滞 | 硬便、出にくい | 食べ過ぎ、ガス、腹部膨満 |
| 小柴胡湯 | 少陽不和 | 便秘だけで決めない | ストレス、食欲、体調変動 |
| 防風通聖散 | 湿熱・実証 | 硬便 | 体格、熱感、食べ過ぎ |
漢方で重要なのは「何の症状に効く薬か」だけではなく、「どんな証に使う方剤か」です。
便秘という結果が同じでも、虚証と実証では方向性が大きく変わります。
便秘ケアは「出す」だけで終わらせない|食事と和漢みらいペットフード
便秘のケアで大切なのは、便を一度出すことだけではありません。
「便をつくる材料」「水分」「消化吸収」「腸内環境」を一緒に整えることが、長い目で見た土台づくりにつながります。

ほどよい堂が大切にする3つの軸
体も腸粘膜も、食べたものを材料にして常に入れ替わっています。
たんぱく質、良質な脂質、ビタミン・ミネラルなどを不足させないことが基本です。
食べた栄養や酸素を全身へ届けるには、適度に動き、巡らせることも大切です。
良いものを食べるだけではなく、「消化して吸収できる胃腸」を育てることを重視します。
食物繊維は「多ければ多いほど良い」ではありません
食物繊維は便秘ケアに役立つことがありますが、水分不足の状態で急に増やすと、かえって便が大きく硬くなったり、ガスが増えたりする子もいます。
特にすでに便が詰まっている場合は、自己判断で大量の食物繊維を追加する前に状態を確認しましょう。
STEP1:まず水分が足りているか確認する。
STEP2:今の食事を消化できているかを見る。
STEP3:食物繊維の種類と量を調整する。
STEP4:便の形・ガス・食欲を観察する。
和漢みらいペットフードという選択肢
和漢みらいペットフードは、栄養学的な食事設計に和漢・薬膳素材の考え方を取り入れたドッグフードです。
年齢から選ぶタイプに加え、胃腸、腎臓、心臓、肝臓、結石・膀胱、骨関節など、健康テーマから選ぶラインナップがあります。
ただし、「便秘だから必ず胃腸用」という選び方が最適とは限りません。
年齢、体格、既往歴、現在の食事、便以外の悩みも含めて選ぶことが大切です。
和漢・薬膳の視点からフードを選びたい方へ
和漢みらいペットフードの種類と選び方を詳しく見る ほどよい堂では、年齢別・悩み別にラインナップを整理しています。
「種類が多くて、どれを選べばよいか分からない」という方は、まず選び方からご確認ください。
犬・猫の腸活|プロバイオティクス・プレバイオティクス・バイオジェニックス
ほどよい堂では、腸活を一つの食品だけで考えず、「菌」「菌のエサ」「菌由来の有用成分」という複数の方向から考えます。
乳酸菌やビフィズス菌など、生きた微生物を利用する考え方です。
ペットでは犬猫用として安全性や使用方法が確認された製品を選ぶことが大切です。
腸内細菌が利用する食物繊維やオリゴ糖などを取り入れる考え方です。
急に増やすとガスが増える場合があるため、少量から様子を見ます。
菌体成分や発酵によって生まれる成分なども含め、腸内環境を支えるという考え方です。
腸の状態は「何を入れるか」だけではなく、「その子が消化できるか」「水分が足りているか」「ストレスが強すぎないか」でも変わります。
中医学でいう「脾を整える」という視点と、現代の腸活は重なる部分が多いと考えています。
今日からできる便秘ケア|水分・散歩・トイレ環境

① 水分を「飲ませる」だけでなく「食事から入れる」
水をあまり飲まない子では、食事へぬるま湯を加える方法もあります。
水飲み場を複数にしたり、器の形や置き場所を変えたりするだけで飲水量が変わることもあります。
② 無理のない範囲で動く
運動は、活動量を確保すると同時に排便するきっかけづくりにもなります。
ただし、シニア犬や関節・心臓などに持病のある子へ急に運動量を増やす必要はありません。
その子の体力に合わせて調整してください。
③ トイレを我慢する理由がないか確認する
特に猫では、トイレの数、清潔さ、砂、設置場所、多頭飼育での関係などが排便行動へ影響することがあります。
「便が出ない」だけでなく、「出したくても出せる環境になっているか」も確認してみましょう。
④ 便の記録をつける
| 観察項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 回数 | 1日の排便回数 |
| 形 | コロコロ・棒状・柔らかいなど |
| 量 | いつもより多い・少ない |
| いきみ | 排便までに時間がかかるか |
| ガス | 回数・臭い |
| 食欲 | 食事量の変化 |
| 水分 | 飲水・ウェット食・ぬるま湯 |
| その他 | 嘔吐・血便・元気・排尿状態 |
スマートフォンで便の写真を残しておくのもおすすめです。
動物病院や専門家へ相談するときに、言葉だけより状態を共有しやすくなります。
やらない方がよい便秘対策|自己流の下剤・浣腸に注意
- 人用の下剤を自己判断で飲ませる。
- 人用の浣腸を自己判断で使用する。
- 便が詰まっている状態で大量の食物繊維を追加する。
- 脱水しているのに下剤だけで出そうとする。
- 何日も出ていない状態を漢方やサプリだけで様子を見る。
特に猫では、リン酸塩を含む浣腸剤が重い電解質異常につながることがあります。
便秘が強い場合は、獣医療として浣腸や便の摘出、輸液などが必要になることもあります。
便秘ケアは「3日・3週間・3ヶ月」で見る
腸も体も固定されたものではなく、食事や生活環境の影響を受けながら常に変化しています。
ほどよい堂では、体づくりを短期・中期・長期に分けて考えています。
便の形、水分、ガス、食欲、排尿など、目の前の変化を観察します。
症状が強ければ期間を待たず受診します。
水分、食事、散歩、トイレ環境などを「続けられる習慣」に整えていきます。
食事や腸内環境、体重、活動量まで含め、便秘を繰り返しにくい体づくりを考えます。
何を選べばいいか分からない方へ
「体質を知る」→「フードを選ぶ」の順なら迷いにくい 便秘だからといって、すべての犬に同じ食事が合うわけではありません。
まず体質や現在の悩みを整理し、そのあとに食事を選ぶと方向性が見えやすくなります。
犬・猫の便秘とペット漢方|よくある質問
Q. 犬は何日うんちが出なければ病院へ行くべきですか?
48〜72時間程度排便がない場合は、動物病院への相談を検討してください。
ただし、嘔吐、食欲低下、強い腹部膨満、痛みなどがある場合は、時間を待たず相談してください。
Q. コロコロ便なら食物繊維を増やせばいいですか?
必ずしもそうではありません。
水分が不足した状態で食物繊維だけを大量に増やすと、便がさらに硬くなったりガスが増えたりすることがあります。
水分と食物繊維をセットで考えましょう。
Q. 人間用の漢方薬を犬や猫に飲ませてもいいですか?
自己判断での使用はおすすめしません。
犬と猫、人では薬物代謝や体重、基礎疾患などが異なるため、獣医師など専門家へ相談してください。
Q. 潤腸湯はどんなタイプの便秘で考えますか?
中医学では、血虚・陰虚・腸燥など「潤いが足りず乾いた硬便になっているタイプ」を中心に考える方剤です。
シニア、乾燥、コロコロ便などは参考になりますが、それだけで処方を決めるものではありません。
Q. 猫が何度もトイレでいきんでいます。便秘でしょうか?
便秘だけとは限りません。
猫では排尿困難を「便を出そうとしている」と見間違えることがあります。
特に雄猫で尿が出ていない場合は尿道閉塞の可能性があるため、すぐに動物病院へ相談してください。
参考にした獣医学情報
便秘は自己判断だけで長く様子を見ず、症状が続く場合は動物病院で原因を確認することが大切です。
本記事では、中医学的な養生とあわせて、獣医学的な安全性にも配慮して情報をまとめています。
この記事の執筆・監修
ペットの便秘には、水分不足、食事、運動、環境、年齢、病気などさまざまな背景があります。
中医学では、そこへ「気・血・津液」「脾胃」「寒熱」「虚実」という体質の視点を重ねます。
まず獣医学的に危険な状態を見逃さないこと。
そのうえで、食事・水分・腸活・運動、必要に応じてペット漢方を組み合わせていくことが大切です。
まず1つ始めるなら、今日の便の状態を確認して、愛犬の体質をチェックしてみてください。




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